宮城県白石市(しろいしし)で「あしがるさん」と自らをブランディングし、主に白石城の甲冑着用体験やPR活動を運営している後藤さん。
先日、仙台市が主催するビジネスコンテストで、後藤さんが提供するビジネスプランが特別賞を受賞しました。
ー受賞内容について教えてください。
「第5回仙台市交流人口ビジネスコンテスト ビジネス部門」において特別賞を受賞しました。仙台市の交流人口を増加させるために、旅行や宿泊、飲食などの観光関連の産業のビジネスアイデアを募集するもので、私は「東北唯一の特別な体験 Samurai Armor City Walking」というビジネスプランで応募しました。
もともと白石城を舞台にして、本格的な甲冑着用体験を行ってきましたが、この甲冑着用体験をさらに多くの方に認知してもらうために、宮城の観光における玄関口である仙台で甲冑着用体験をしてもらおうと考え、思いついたのが甲冑を着ながら街歩きを行う「Samurai Armor City Walking in Sendai」です。
設定としては、お客様扮する仙台の武将「伊達政宗公」が、城下町での皆さんの働きぶりを見て回るというもので、お客様には政宗公をはじめとした伊達藩をイメージした黒の甲冑を着用してもらいます。私は足軽(家来)として案内しつつ、仙台の歴史や文化もお客様にお伝えします。審査員の方からは「あまり聞いたことのないビジネスなのでおもしろい!」などと評価していただきました。
さらに白石城では、通常の甲冑着用体験だけではなく、「Be Samurai in Shiroishi Castle」という本物の城を使った映画撮影体験もできます。台本を用意して演技をし、作成した動画を納品させていただいています。刀を持つと一気に役に入り込めるので、みんなで本気になって動画を作るというとても斬新な体験が楽しめると思います。本物のお城の中で撮影ができるのはおそらく日本でも白石城だけだと思います。
ーどうして「あしがるさん」になったんですか?
私は4年前に「観光を通じて地域を盛り上げたい」と思い、Wasshoi Tohoku Group(以下、WTG)に入社し、白石市を盛り上げるために白石城で甲冑着用着付け体験を始めました。ただの甲冑を着せるのでは面白くないと考え、当時甲冑の着付けを教えてくれた方から「殿に甲冑を着せるのは家来か奥さん」と教えていただいたのをきっかけに、家来である足軽になりきって着付けをするようになりました。甲冑着用体験自体は他でも実施しているところはあると思いますが、ここまでコンセプトを決めて行っているのは私たちだけなんじゃないかなと思います。
いざ、仕事として地域を盛り上げようと思っても、地域に入り込むのってすごく難しいと思うのですが、私は「あしがるさん」というキャラクターになったことで、地域の方々に分かりやすく、すぐに受け入れてもらえて、白石市に「あしがるさん」が定着してきた気がします。今年は「あしがるさん」というキャラクターをどんどん推していこうと、力を入れています。
ーやりがいを教えてください。
甲冑着用体験を通してお客様が楽しんでくれたり、何度も足を運んでくれたりすることですね!
お客様からいただく「楽しかった!」という言葉は、体験を始めた当初から変わらずやりがいになっています。また、最近は企業さんとも関わらせていただいているので、どうすればお客様に喜んでいただけるか一緒に考え、試行錯誤できることもやりがいとなっています。
逆に、自分自身を律することが大変だなと感じています。白石市を拠点にして活動しているのは僕だけなので、WTGの顔として関わる責任も感じていますし、いかに折れずに事業として継続させていくか、常に自分自身との戦いです。
先日、ホスピタリティの醸成やお客様対応を学ぶ研修のためにテーマパークに行ってきたのですが、「その場の空気づくり」「空間づくり」が非常に大事だなと感じました。音楽や効果音=聴覚、テーマに沿った服装=視覚など、五感にアプローチすることが重要だと感じました。また、お客様と会話をしながら楽しんでもらうなどのサービスや与えられた役になりきるための演技が徹底されていて、私はさらに足軽になる覚悟が必要だと振り返る良いきっかけにもなりました。
ー今後の目標は?
仲間を増やしていきたいと思っています。
私の取り組みに共感してくれた方々と少しずつ協業はできてきていて、新たに甲冑撮影プランを造成したり、白石や仙台以外の地域で一緒に体験をつくりましょうと言ってくれたりしているので、今後が楽しみです。
いちばんの目標は、「お客様をお殿様にする」をコンセプトに、甲冑着用体験を東北でNo.1の文化体験にすること!!!
これに尽きます。観光で地域を盛り上げるために頑張ります!