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経営者インタビュー 取締役 木村哲也「売上100億を達成すれば“+α”もできる企業になる」〜「UT100」を掲げ、ゴールへの過程で成長できる組織へ〜

ユニオンテックでは「UT100」という中期マイルストーンを掲げており、これは「2025年までに売上100億円、営業利益率20%を目指す」という意味が込められた言葉で、キャッチーなワードにより社内外に浸透しています。
ただ実のところ「2025年に100億円」は、ユニオンテックにとってかなり無謀な数字ともいえるのですが、ではなぜ、これを目標として定めたのか? 取締役兼経営企画室長の木村哲也にインタビューし、この「UT100」を掲げた背景をお伝えします。

TOPICS

● UT100は「ここからまたチャレンジします!」というメッセージ

● 大きな規模の案件にも対応できる組織を作る

● ただ100億円を達成するだけなく、目指す過程が大事

ユニオンテック「カンパニーデック」より


UT100は「ここからまたチャレンジします!」というメッセージ

―― まずは、木村さんのことを少しだけ教えてください。今はどんな仕事をしていますか?

大きく3つで、1つ目は全社の目標や各部門のテーマ設定とモニタリング、2つ目は横断部署の実働として集客・PRと組織開発、3つ目はユニオンテックのアセットを活用した事業開発です。あとは法務・情報システム・人事など部署を作っていない業務やM&Aの相談などもよしなに対応しています。1つ目と2つ目については、各事業部やチームメンバーが着実に進めているので、進捗が芳しくないときに嫌味を言ったり騒いだりするくらいです(笑)。その分僕が率先してやっているのは、3つ目のPersGPTやCraftBoardというサービスの事業開発ですね。ユニオンテックの“業界に対する提供価値の向上”に向けて、点を面にするようなことをしています。 

 

―― PersGPTの拠点となっているベトナム・ダナンにも結構行っていますよね。PersGPTには初期から携わっていると聞いています。

はい。考え方としてはサービスの企画開発はベトナムで、販売先が日本というイメージです。サービスの売上もベトナム現地法人の従業員数も増加しているため、兆しや課題を逃さないよう柔軟に動けるようにしています。今後ベトナムでのプロダクト開発や英語圏への展開を強化していきたいので、より重要な拠点になると思います。
2年前に自社のCGパース制作のオフショアでホーチミンに出したときは、オペレーションには特に関与せず、都度発生する決め事の意思決定をしていたくらいです。オフショアは駐在スタッフとベトナムスタッフがうまく立ち上げて軌道に乗せてくれました。それを踏まえ「これをフックにビジネスができないかな」と考えはじめた1年半くらい前からはずっと関わっています。現地の学生と組んで、パースを無料で提供するといった仕組みづくりから、実際の推進までやっていますね。リリースして1年くらい経ちますが今のところ順調で、やりたいことも増えているので今後どのように伸ばしていくかが個人的なテーマです。

 


ユニオンテック「カンパニーデック」より

―― では、そんな木村さんに「UT100」について伺います。この中期マイルストーンはいつ生まれたのでしょうか?

2021年末です。少し経緯からおさらいするとユニオンテックは、過去に建設事業と並行してIT事業もやっていたんですが、IT事業の方のマネタイズがコロナなど一部外的要因はあるもののうまくできなくて、2021年4月に分社化することにしたんです。それでも財務的に厳しくて、会社が潰れかけるようなどん底状態でした。ただ、そこからの1年は従業員・役員陣が何倍もの力を出して顧客に向き合ってくれたおかげで、1年で正常運転に戻すことができたんですよ。で、「次は何をしようか?」と考えられるような状況になってきたので、そのタイミングで「UT100」という目標を立てました。九死に一生のフェーズから、攻めのフェーズに変わった瞬間ですね。 

――「2025年までに売上100億円、営業利益率20%を目指す」という目標になったのはなぜなのでしょうか?

IT事業の分社化は、ユニオンテックにとって痛みがあったんです。社外や従業員に対して「ITもやっているなんてチャレンジ精神のある会社だ」「面白くなるんじゃないか」といった期待を裏切ってしまうから。実際、「新しいテクノロジーやサービスで業界を良くします!」という打ち出し方ができなくなったのは、武器がなくなった感じでした。そこで、「ここからまたチャレンジします!」というメッセージを伝えるために、分かりやすく「100億」という数字を掲げました。なので……正直なところをいうと、当時は売上100億円にたどり着くまでの具体的な算段はなく設定していなかったんですよね(笑)。目標はちょっと創意工夫すれば届く数字に、というセオリーからするとダメですね。 

中期ターゲット「UT100」の設定をリリース(記事はこちら

―― インパクト重視だったんですね。そのくらいガツンとくる数字を掲げれば、従業員の士気が高まりそうです。

2022年の売上は30億円くらいだったので、3倍以上にしなければいけない。M&Aなど達成できるやり方はいろいろあるでしょうけど、今の事業でオーガニックにそこまで売上を伸ばすのはまず無理だなと思っていました。まあ、「業績を伸ばすよ!」という意思表示にはなりますね。こういう数字って従業員にはあまり刺さらないものだと認識しているんですが、当時は「うちの会社、この先どうなるの…?」という不安がまだあって。とりあえず前向きなメッセージを掲げたいという気持ちでした。 

―― ちなみに、「2025年までに売上100億円、営業利益率20%」を「UT100」というキャッチーな文言にしたのはなぜですか?

裏話にはなるんですが、SHIFTさんという会社が「SHIFT1000」「SHIFT3000」といったワードで目標を掲げていて。うちの代表の大川は、SHIFT経営者を尊敬しているので、参考にさせていただきました。

 

大きな規模の案件にも対応できる“組織づくり”に尽力

――「UT100」に向けて、これまでどんな施策を行ってきましたか?

同業で売上100億を達成している会社はいくつもあるので、着実に取り組んでいればいける数字ではあるんです。引合数、単価、受注率の3つを高めていけばいい。なので、IT事業をやっているときに注力できていなかった提携先・取引先との関係性の再構築やデジタルマーケティングの強化や受注前のロールプレイングなど、即効性のあるものは早期に着手していきました。

――「UT100」を掲げる前と後で、会社の業績や従業員の質に変化は感じますか?

感じますよ。受注単価が1.5倍以上になっているのですが、提案の質がとにかく良くなりました。昔の提案資料と今の提案資料を見比べたら、違う会社みたいですから。提案の引き出しが増えて、単に空間のご提案というよりお客様の課題を空間で解決するという提案ができていると思います。あとは、うちよりも大きな会社から「自分の経験を生かせるから」「100億を目指したい」と、転職してくれる方が増えました。その一方で、規模よりも和気あいあいと案件や現場に向き合うことをユニオンテックの良さと思っていた従業員とは乖離が出てしまいました。結果、入退社は多かったですが、新しく入ってくれた方や残ってくれた方の尽力もあり業績自体は上がっています。あとは、課題だなと感じるところも出てきました。

―― 課題というと?

今現在の売上は50億円弱くらいなんですが、このくらいの規模の会社になるとお客様や競合の規模も上がっていて、例えばコンペ一つとってもレベルがちょっと変わってくるんですよ。今までなら受注できていたはずなのにできないことも増えてきて、苦戦しているのが現状ですね。 

―― 提案の質が上がったとはいえ、ということですよね。

はい。この2年半で提案内容が上がっているのは確かです。ただ他社と比較すると、初動対応から提案までのプロセスで信頼を得るコミュニケーションがまだ劣るなと感じることがありますね。もちろん得意なメンバーもいますので、時間はかかるかもしれませんが、ほかのメンバーも少しずつ独自の成功体験を得ていけばいいと思っています。

―― また、木村さんご自身が「UT100」のためにどんな取り組みをしているのか教えてください。前職ではリクルートでプロダクトマネジメントや新規事業に携わっていたかと思いますが。

前の会社は大企業で、数億から何百億規模の事業の運営や管理を行っていました。そういう視点でユニオンテックを見たときに、組織やチームがまだ追いついていないなと感じていて。「UT100」を掲げた直後に、売上100億を目指すための人材ポートフォリオを考え始め、さまざまな人事系の施策を行いました。ミッションやビジョンを定めたのもそうですし、等級制度、評価制度、報酬制度、それに表彰制度も作りましたね。営業・集客などは即効性がありますが、組織・人のようなソフトについては時間がかかりますので。以前は大川だけが上にいて、ほかのみんなはその下に横並びになっている文鎮型の会社だったんですが、それでは100億の会社になれないので、チームで戦えるような組織づくりは意識しました。

―― 売上を上げるために、組織改革も必要なんですね。

あとはチャレンジの尊重ですね。大川は、あれをやろうこれをやろうといって、実際にやってみて弾け飛ぶタイプですけど、ほかのメンバーはそううまくもいかなくて。ただ従うだけ従って、うまくいかなければ文句を言ってしまうようなところがあったので、「新しいチャレンジをしましょうよ」という意識付けをしました。まだ大川に依存してしまうところはありますが、少しずつ各事業部のミドル層が前に出るようになってきてくれたので、いい変化を感じています。
もともと管理職という考え方もあまり意識されなかった会社なんですが、かなり意識されるようになってきました。今は、大川も赤枝も僕も任せるところは任せて各チームが動いているので、一定の手応えはありますね。

 

ただ100億円を達成するだけなく、目指す過程が大事

――「UT100」を実現させることで、ユニオンテックはどんな会社になると思いますか?

実現するための強みやアセットは、今の時点で十分にあると思うんです。提案力も上がってきていますし、施工に関しては億単位の物件も数多く納品していてちゃんと能力がありますし、デジタル活用に関しても一般的に遅れているとされる業界のなかでは、かなり進んでいますから。ですが正直なところを言うと、ただ売上100億円を達成するだけでは意味がないと思っています。だって、売上100億円の内装会社が一つ増えるに過ぎないじゃないですか? お客様から見ても選択肢が増えるだけ。うちが目指しているものって、そこではないんですよ。

僕は、100億円を目指す過程でどんな創意工夫をして、それを業界に提供していくことが大事だと思っています。例えば、PersGPTやCraftBoardといった取り組みは、売上規模はまだそこまで大きくありませんが、うちのノウハウを活用して事業を拡大されているお客様が多数いらっしゃいます。PersGPTでいうと、パースを作ったことなかった会社からうちよりもかなり大きい会社まで。PersGPTを活用したお客様が受注しているであろう金額は3,000億円以上になっていると思います。業界を裏で支援する間接的な関わりですが、自社のスペース事業だけでは到達できない効果を、空間を享受する方に提供できていると思います。この取り組みで得た顧客の情報で新しいスキームを組むことだってできるかもしれない。正直、短期的に100億を目指すなら基幹事業のスペース事業に集中するのが一番早いですが、顧客の幅を広げ内装事業以外の“+α”もできる企業になる。外からの見え方も、だいぶ変わると思います。

―― きっと、ほかにはない会社になっているでしょうからね。 

ですね。業界最大手ではなくうちのような規模で、自社で設計施工機能を持ちながら業界を向いている企業は珍しいと思います。ビジネスモデルやプロセスをデジタルベースにするなど、自社でもやれることは多々あります。更にそれを同業やDXサービスを提供しているスタートアップにも提供できれば、より業界全体でレバレッジをかけて付加価値を上げられると思います。

―― では最後に、木村さんご自身のユニオンテックでの使命を教えてください。

僕はもともと畑違いの人間なので、違う世界や考え方をみせることだと思っています。テクノロジーの進化で社会がどうなっていくかや、UT社の持つアセットをどう活かすと顧客・社会に価値を返せるかなどなど。あとは大川への依存度を下げることも。裏を返せば大川の自由度を上げること。うちは良くも悪くも大川次第なところがありますが、事業や会社の成長に伴い機会や仕組化すべきことが増えています。それを新卒から役員まで、少しでも自分の考えで判断・推進できるようになれると理想です。「UT100」については僕がいなくてもできると思いますが、内装インテリア会社・業界で「Build a new standard.」を体現する企業体にするのは僕の役割かなと思っています。そうして、「ユニオンテックはいつも変わったことをやっているね」というイメージがつけば理想ですね。

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