「会社の規模が大きくなる中でも、日立市をはじめとした地元の企業に頼られる存在でいたい。ロボットという強みの領域は大事にしつつ、困りごとがあったときにいつも相談してもらい、課題解決に伴走できるようになる未来を目指して、頑張っていきたいんです」
ユニキャストでサブリーダーとして活躍するエンジニアの田中優香は、仕事にかける思いについて、このように語ります。当社は茨城県日立市に拠点を置き、クライアントワークとロボティクス、ITインフラ事業を展開するITベンチャーです。
田中さんは2018年4月に入社し、同年11月に産休・育休を取得。2020年4月に復帰し、フレックス勤務制度を活用しながら、お仕事に取り組まれてきました。2021年1月にはサブリーダーとして、クライアントとエンジニアをつなぐ役割を担っています。
今回は、ユニキャストに入社するまでの経緯や産休・育休から復帰した後の仕事の取り組み方、今後取り組みたいことなどについて田中さんにお聞きしていきます。
営業職での入社を考えていたが、予想外のエンジニアに
――田中さんはもともと違う職種で働いていて、そこからエンジニアとしてユニキャストに転職をされました。前職では、どのような仕事をされていたのですか?
メーカー系商社の海外営業をしていました。小さなネジから大きな筐体まで、担当メーカー様のプロジェクトに必要なものを海外から仕入れる部分の輸入代行をしていましたね。
入社した2014年のころは、ちょうどダイバーシティが騒がれたころで、女性営業職の1人目として採用されたんです。バリバリ働きたいと思っていたので就職したことは後悔していないのですが、出張や飲み会なども多く、今の主人との結婚を考えたときに、なかなかライフプランを立てられないという危機感がありました。
――結婚を機に、転職を意識されたということでしょうか。
そうですね。大学が理工系学部の出身で、少しプログラミングをしたことがあったので、転職を意識したころからエンジニアになろうと考えていました。手に職を的な思いもありましたし、場所にあまり左右されない働き方ができることに魅力を感じていたんです。
――そのころにユニキャストのことを?
いえ、当時は転職活動をする時間もなかったので、会社のことは知りませんでした。時間的なゆとりを少し持てればと思い、まずは契約社員として茨城大学に勤めたんです。ユニキャストは茨城大学発のベンチャーで、学内で働いているうちに自然と存在を知りました。あのころは「こんな会社もあるんだ」くらいの印象でしたね(笑)。
――当社への転職を考えたのは何かきっかけがあったのでしょうか。
知人に紹介してもらったころから、あらためて考えるようになりました。エンジニアが中心のベンチャーなので、服装もラフですし、働く時間の融通も利く。これまでの経験を生かして、「営業で働きたい」と思うようになりました。ただ選考を受けると、「営業でも良いけれど、エンジニアが今足りていないから、そっちはどう?」と聞かれたんです。当時は未経験ですが少し楽観視していて、「勉強しながら頑張ります」と答えていました。
エンジニアとして初の産休取得。復帰後の働き方は?
――実際に入社されてから、会社の印象はどのように変わりましたか?
いざ入社してみたら、自分よりも若い方がエンジニアとして活躍していて、不安になったことを覚えています。前職は大手だったので研修が準備されており、配属後は上司に言われたことをこなしていきながら、1人前になっていくというプロセスがありました。
ユニキャストの場合、人数も少ないベンチャーですから、すぐにプロジェクトにアサインされます。自分で学ぶ意識と、「自分が何をやりたいのか」という思いがなければ、心が折れてしまうこともあるかもしれません。なぜなら、順調にスキルがつくなんてことはあまりなく、誰しもがつまずくからです。そのときに、「自分が何をやりたいのか」がなければ、なかなか成長につながらないということを肌で感じたんです。私の場合、とにかく「自分の足で立ちたい」「エンジニアとしてのスキルを身に付けたい」という思いがありました。
――何のためにこの仕事をしているのか、目的を自分の中で設定するのは大事ですよね。
はい。最近だと異業種からエンジニアになる方も多く、その理由が「稼げるから」「カッコいい」「働き方が自由」みたいなことが結構あります。それ自体を否定はしませんが、エンジニアリングを通して何を実現したいかという働く目的や目標が明確でなければ、なかなか続けられないと思います。私もその時々で目的について考えるようにしています。
――他に前職との違いは何かありましたか?
どちらが良い悪いではなく、とにかく社内が静かだなと思いました(笑)。仕事は効率重視で、時間も紙も無駄がないことに驚いたことを覚えています。入社して数か月はプリンタの登録が必要なかったくらい、紙を使いませんでした。あとベンチャーならではの利点として、コンパクトに意思決定がされていくため、意見も言いやすいですね。
――田中さんはエンジニアとして初の産休・育休も取得され、昨年4月に復帰されました。こうした意思決定も素早く行われたか、復帰後の働き方についても教えてください。
そうですね。相談して、上司と社長がOKしてくだされば、基本的にはすぐ意思決定が行われます。そのため、産休についても割とあっけなく、取得できました。
復帰後は、やはりブランクがあったので、ゼロから学び直す気分でした。働き方は、新型コロナ感染拡大の影響もあり、フルリモートかつ、フレックスタイム制度を活用しました。8時~16時ころまで働き、子育てが落ち着いた夜に残りの業務を着手するイメージです。
「退勤しづらい」みたいな気持ちになることは全くなく、私自身はとても有難かったのですが、業務面で周囲にはどうしても迷惑をかけることがあったように思います。そうした中でも、タスクの報告がしやすいように、15時ころにメンバーが連絡をくれて、引き継ぎをしてくれるなどの配慮がありました。残った業務を自分で処理しきれない心苦しさもありつつ、働き方の柔軟さがあることやフレックスが機能していることに助けられましたね。
※12月にロボティクス事業関連でNHK水戸放送のインタビューを受け、放映された様子の写真を撮ったもの。取材時間の関係で、お子さんと一緒に取材を受けています
――緊急事態宣言下などにおいても、すぐにフルリモートに切り替えて仕事ができることが、ITベンチャーで、エンジニア中心ならではの会社の魅力ですよね。
そうだと思います。あと、誤解のないように伝えると、私の場合はバリバリ働きたかったので、夜にも働きましたが、コアタイムや勤務時間を守っていれば問題はないです。業務の切り出し方や報酬面での違いは出てくるかもしれませんが、介護や子育てで時間的な制約のある方にも働きやすい環境を会社として今後も整えていきたいです。
規模が大きくなっても、地元企業に頼られる存在でいたい
――復帰から約半年で、ユニットのサブリーダーにもなられました。今はどのようなお仕事が中心となっていますか?
現場のエンジニアとクライアントの間をつなぎ役割が増えましたね。もともと営業職だったこともあり、人と話をしながら、相手が求めることを咀嚼するのが得意でした。そこで、リーダーが見切れないプロジェクトの工程管理や、小規模な案件ではクライアントの窓口を引き受けるようにしていったんです。その中で、12月からサブリーダーを任されました。
嬉しい気持ちがある半面、技術的な知見を多く持っているわけではないので、指示される側からの不満の声がないか不安になることもあります。分かりそうな部分は自分で手を動かすことで、周囲からの信頼を得られるようにしたい。そして、私自身がプログラミングでの貢献が難しそうな部分については、クライアントが求める結果とエンジニアがやるべきことをしっかり整理し、工程管理をすることで、「任せること」も実践していきたいです。
――今後のキャリアとしては、よりマネジメントに近い形を考えられていますか?
マネジメントもそうですが、より会社組織として全体を見るような役割になれるといいなと考えています。今の若いメンバーが成長してサブリーダーやリーダーになっていくので、その成長に負けないよう、私は私で経営に近い領域に挑戦したいなと。組織全体のことにアプローチできるのも、ベンチャー企業だからこそ可能だと思っているので。
最初はエンジニアになることで精一杯でしたが、仕事を進める中で会社としての姿勢やどのポジションにたどり着きたいかまで、自分の中で目的や目標が変わっていきました。
※自宅の作業環境。会社からディスプレイを貸与してもらったのが助かっています
――ありがとうございます。最後に、ユニキャストが中長期でどのような会社になってほしいか、田中さんが今考えていることを教えてください。
会社規模が大きくなろうとしている中で、多様な案件がありますが、より地元企業に頼られるような存在になれたらと思っています。単純に「これを作って」と言われて「はい」と納品するだけでなく、もう一歩踏み込んだ課題解決に寄り添うことができたらなと。
ロボットアプリケーションという強みは注力しつつ、何か困ったときに相談してもらえるような関係性でいたい。そのためにも、決まったことをただこなすだけでなく、クライアントへのヒアリング能力やお客様にも分かりやすい仕様書作りやそれを活用した提案などの経験を積むことで、それぞれのエンジニアが自分で提案までしていけるようにならなければ今後生き残ることは難しくなってくると思います。
こうした積み重ねによって、「ユニキャストだからお願いしたい」「ちょっと相談したい」などと思ってもらえるような関係性を、クライアントの皆さまと築いていきたいです。
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