なにをやっているのか
にっぽん てならい堂(tenaraido.jp)は、日本のものづくりを体感するコトを集めた新しいセレクトショップです。
日本のものづくりを体感できるワークショップやイベントをプロデュースしてきました。
続(つづく)という名前の会社です。続かないよりも、続く方がいいよねって思っていて、それを社名にしました。
「なにをやっているのか」と聞かれると、どうしてもふわっとした言い方になってしまいますが、許してください。
「世の中の、続かなそうだけど続いたほうがいいと思う事を見つけて、続く仕組みを考えてそれを続けていく。」そういう事業をいくつかやっていきたいと思っています。
ひとつめの事業として、2013年2月から「にっぽん てならい堂」というWEBサイトを運営しています。
にっぽん てならい堂は、ものづくりを体感することを集めたセレクトショップです。日本の伝統的なものづくりや、手仕事には私たちの身の回りから、少しずつ消えつつあります。続くにせよ、続かなくなってしまうにせよ、そこには知っておいたほうが良い知識がたくさん詰まっています。これを知るには、現地で見て聞いて体験するのが一番早い!ということで、例えば、染物体験や、味噌仕込み、和裁や金継ぎの教室などの機会を掘り起こし、プロデュースしています。
ふたつめの事業として、にっぽん てならい堂の活動の延長で、スタイルストア(stylestore.jp)を運営するenFactoryという会社と一緒にTSUKURITTE(ツクリッテ)というサービスを開始しました。
これは、つくる技術はあるんだけど何をつくっていいか分からないつくり手と、つくりたいものはあるけれど、つくれる人を知らないデザイナーとを結びつけていくサービスです。
世の中には「売れているものを真似して安く作る」というものづくりが幅を利かせていますが、これは「続かないほうのものづくり」だと思っています。新しい価値を創れるひとたちがせっかくたくさんいるのだから、みんながもっと力を発揮できる、新しいつながり方を実現できたらいいと思って、このサービスに参画しています。
どちらもまだ始めたばかり。これからどう形を変えていくのかわかりませんが、「続ける」ということだけは確かです。そしてコンセプトに沿ったかたちで、新しい事業をつくっていきたいと思っています。
なぜやるのか
続けるということを起点に考えると、色んなパラダイムが変わるということを、ものづくりの現場で教わりました。
続くことがある場所には磁場の様なものを感じます。そうした場所をたくさん訪れる仕事でありたいと思います。
「続くほうの社会へ」これが会社のビジョンです。
この会社を始めるきっかけの話をします。
私は、前職で日本の中小のものづくりをしている人たちと仕事をする機会がありました。伝統的なものだったり、手仕事に近いものであったりといった彼らのものづくりは、なかなか厳しい状況に置かれていました。あと5年10年なら何とかなるかもしれない、けれど社長を継いだばかりの若い世代があと30年続けてさらに子供の世代に引き継ぐことを考えた時、やはり今のやり方では続かない。閉鎖的・保守的な業界や地域でそう考えて、何かを変えようと必死に動いている、そういう仲間の姿を日本全国でたくさん見てきました。彼らの姿を見て、私はちゃんと「変わっていく」のだろうと思いました。きっと何百年も続くような伝統的な産業も、そうやって危機が来るたびに、その時代の人たちが必死に何かを変えて、そうして今まで続いてきたのだろうと思います。私はそんな変化の近くで、少しでも彼らの役に立ちたい、そう思って会社を興しました。「日本のものづくりが続いていくように」。これが「続」の社名に込めた最初の意味でした。
実際に会社を起こし、ほぼ同時に「にっぽん てならい堂」というサービスを立ち上げると、多くの方がいろんな人を紹介してくれました。たくさんのお客さんも来てくれました。その人たちと話をしていると、「てならい堂」への期待はものづくりだけでなく、食のこと、日本の文化的なことへもまたがっているようでした。求める人がいるのなら、それに応えたいと思いました。また、特に日本のものづくりはその地域社会と密接に関わっていることが多く、ものづくりを続けていくことは直接的に地域社会を続けていくこととも言えますし、逆にものづくりを続けるために社会の仕組みを変えなくてはいけないようなことも感じていました。原点はものづくりにありましたが、活動を続けているうちに、「続かないものを続けていく」というドメインこそ、この会社がやっていくことなのだと思うようになりました。
少し、話が大きくなり過ぎたかもしれません。実際のところは身近なこと、小さなことを積み上げていくことをイメージしています。
ちょっと例え話をしてみます。
美味しい果実がなる森が枯れかけています。
元々はたくさんの樹が生えている森でした。
けれど、誰かが植えた美味しい果実のなる樹の果実があまりに美味しく、皆が望むのでその樹ばかりが増えるようになりました。
美味しい果実のなる樹がたくさん植えたので、森はぎゅうぎゅうになりました。
たくさん生えていた他の色んな種類の樹はいつの間にかほとんど見当たらなくなっていました。
森は、ぎゅうぎゅうだったので、樹は高く高く伸びました。
樹が高くなるほどに、美味しい果実も高いところになるので、高く飛べる鳥だけしかその果実を食べられません。
高く飛べる鳥が競って果実を食べるので、果実はまだ小さいうちに全て食べられてしまいます。
一方で森の下の方は、ぎゅうぎゅうに生い茂った葉で、ほとんど日が入らないようになりました。
森で暮らす生き物の種類も減っていきました。
日の光や、落ちてくる果実や、たくさんの生き物など、土を豊かにしてくれていたものが減って、土は痩せていきました。
土が痩せているので、森の樹も痩せ細り、そして、森は枯れかけています。
みなが続かない森よりも、続く森を望んでいるように見えました。
けれど、この枯れかけた森も、これはこれでいまだたくさんの生き物が暮らしている森です。
これを焼き払ったり、切り落としたりすることはできません。
じゃあどうしたらいいのかーーー
一見枯れてしまうように見える森で、まだ生きている種や芽を探し、その土地の在来種のことを知り、新たに相応しい樹を植え直します。
そこに育つ新しい森とその生態系が土を豊かにするから、そこが続く森となるんじゃないかと思います。
土が大切だと思うんです。あなたにとって土とはなににあたるでしょうか。あなたの周りに続かない森はありますか?「続」という会社は「続く森」を増やしていく会社でありたいと思っています。
どうやっているのか
渋谷のPoRTALというシェアオフィスにいます。気持ちの良い空間で、”広げる”タイプの仕事に向いてます。
代表からしてパラレルワークです。続の仕事はラフな格好、もうひとつの仕事はスーツです。こういうギャップも仕事に役立ったりします。
会社とは言っても、代表ひとりだけでこれまでやってきました。今後は一緒に「続く森」を増やすメンバーを増やしていきます。
続かない森を続く森へと変えていく、それが今までの当たり前を、見直していくことだとすれば、会社の形、働き方もこれまでの当たり前にできるだけとらわれずにやっていきたいと思います。
代表である私自身、現在パラレルワークで働いています。もう一方では「社員を成長させるための人事評価制度をつくる人事コンサルタント」として仕事をしています。
であるので、まずは会社は週休4日にしようと思います。残りの時間は、別の仕事をするのもいいし、家族と過ごすのも良いでしょう。もちろんもっと働きたいという要望があれば相談しましょう。拠点は、今は渋谷のPoRTALというシェアオフィスを使っています。
今後、会社に増やしていきたい職種は以下の通りです。
・続かない森を見つける人
・その森でまだ生きている種を見つける人
・その森の在来種を調べる人
・新しい森に植える樹を考える人
・苗を育てる人
・手をかけて森を育てる人
・森の恵みが土に還るように考える人
それから、続く森を育てるために大切だと思っている12のことについてもお伝えしておきます。
1. ユニーク/自分らしいこと
2. シンプル/分かりやすいこと
3. ポジティブ/楽しく前向きであること
4. マイペース/肩の力を抜くこと
5. シンパシー/顧客の共感から始めること
6. リライアブル/信頼がベースであること
7. リーダーシップ/自ら先導すること
8. ソーシャル/草の根のつながりを大切にすること
9. エッセンシャル/常に本質を捉えていること
10. ボーダレス/国境をはじめ垣根をとり払うこと
11. イノベーション/小さな変化を楽しむこと
12. サステナブル/つづいていくこと
もう一度言いますが、NPOやソーシャルビジネスをやりたい訳ではありません。続く森をつくることで、森とこの会社が続いていくために必要なお金もきちんとつくっていきます。