トライエッティングは、2019年5月に伏見から新栄にオフィス移転しました。それに先駆けて、2月にコーポレートブランドを刷新し、ロゴやWEBサイトなどのフルリニューアルを実施。旧ロゴからどう進化したのかをデザイナー山本に、またリブランディングの背景や会社としてどうアップデートしていくのかを代表長江にインタビューしてみました!
ロゴはトライエッティングの顔でもあり、パートナーでもある
—旧ロゴから新ロゴへ、どのように進化したのか教えてください。
山本:旧ロゴは「浮上」するイメージ、新ロゴは浮上から安定へ向かって「上昇」するイメージになっています。上辺が右斜め上に傾いているのですが、これは飛行機が上空で水平飛行するために上げる機首の角度と同じ2.5度になっています。フォントは、安定感がありながらもエッジをきかせて、トライエッティングの先進性を表現しました。
—まっすぐ進むだけだけど、それでも上を見続けている。深い意味が込められていますね。
山本:そうですね。あと新ロゴの三角形には、シンボルマークを生成するための「トライエッティンググリッド」という土台があります。トライエッティングのバリュー「BIND」「EXPAND」「AMAZE」を表す3つの三角形が循環しつながり合うことで、第4の新たな三角形を生み出し、バリューのその先にあるトライエッティングのスローガンを表現しています。
これは2011年のノーベル化学賞の対象となった準結晶構造の一つである「ペンローズパターン」をベースに構築しています。長江社長から「ペンローズパターン」はもともと世界には存在しない結晶で、常識ではありえないと思われていたものなのだと聞いてひらめいたんです。まさにトライエッティングのスローガン“明日の未来を今日つくろう”を表現するのにぴったりだなと。そういったものを作りたいと思っている長江社長の想いはすごく好きで、その想いや魂を宿していくことを心がけてロゴを制作しました。
—HRBESTやSTOCK STREAMSなど、それぞれのサービスロゴも新しくなりました。
山本:人財管理のHRBESTは「調和」を、在庫管理のSTOCK STREAMSは「グラフ」や「流れ」をイメージしています。UMWELTは、トライエッティンググリッドを円状にならべ、それぞれをトライエッティンググリッドを構成している2種類の黄金比二等辺三角形を組み合わせて「循環」を表現しています。
▲3月のABEJA SIX2019で使用されたプレゼン資料の表紙
—統一感があって、明るいイメージですね。
山本:全体の雰囲気として、長江社長らしさ、明るくニコニコしたイメージを大事にしています。エッヂのきいたデザインにはなっていますが、暗すぎず、明るさが抜けている印象を持てるイメージにしていきました。
—そのほか、封筒やプレゼン資料のフォーマットなど、ビジネスツールもリニューアルしました。
山本:コーポレートアイデンティティの整理をしていく中で、トライエッティングは他社から黄色い三角形のイメージがある会社と聞いていました。ビジュアル的なイメージは、覚えてもらうきっかけとして大事にしようと思い、そういった要素をビジネスツールに取り込んでいったんです。大きく見せるだけじゃない、ダイナミックに見せるデザインなんですよ。
—山本さんには、2018年4月からトライエッティングのパンフレット制作などを半年間担当していただき、今回のリブランディングには最初から関わっていただきました。やってみて、実際にいかがでしたか?
山本:トライエッティングのことを知った状態でリブランディングにあたるというのは、自分にとっても重要なプロジェクトになると思って。途中から日本を離れることになりましたが、長江社長から信頼して任せていただけて、こうして関わらせてもらうことができました。今まで関わってきたこと、プロジェクト開始時にAIのことを整理し、トライエッティングを改めてとらえ直してみたからこそ、今回のデザインができたんだと思います。
デザインは消耗品ではなく、資産になっていくもの。24時間365日、ともに働き続けていくパートナーになっていくものです。ロゴはトライエッティングの顔にもなっていくものなので、トライエッティングに対してのイメージや思いが、うまく相手に伝わっていくようになっていけばいいなと思います。
—ありがとうございました!
トライエッティングはワンステップ上へ
—今回のリブランディングの背景について教えてください。
長江:旧ロゴは、ポップだけれど、ポップすぎないよう遠目から見ても視認性があるものにしようと思って作りました。コーポレートカラーにしようと思っていたオレンジ系の黄色と、色相環でいう反対色にあたり、かつ竹島が好きな水色を影にした三角形です。
ただ、企業のフェーズが進むにつれ、中途入社の社員も非常に多くなってきました。トライエッティングには、元より明るく前向きで愉快なメンバーが集まってきます。良く言えばフラットかつ楽しい雰囲気、悪く言えばサークル感があるような…そういうところから抜けたかったというのも今回のリブランディングのきっかけになりました。
—旧ロゴはポップだったけれど、新ロゴはどんなものにしようと?
長江:今まで私たちの持っていたポップさというものを保持しながら、これまでのトライエッティングのイメージに対して「信頼感」をプラスしたものにと思いました。デザインチームが国内のAI企業を調査してみると、かっちりとした企業イメージや、青などを基調にしたロゴも多くあったので、差別化も戦略として組み込んでいます。そして外向けのイメージ以上に、社内のメンバーに対しても、一日の中で一番多く目に入るデザインだということを意識して、社員の個性に近い雰囲気の表現を目指してロゴデザインを行いました。
—リブランディング後、周囲からどんなリアクションがありましたか?
長江:大きく3つあります。まずは、旧ロゴより視認性も上がりシンプルになって、クリーンなイメージになったこと。三角形の中に有機的な曲線が入っていたことが原因だったのですが、「グリッド」によって排除しました。
2つ目は、コーポレートロゴやサービスロゴの統一性があること。全て「グリッド」が土台となっているので、コーポレートサイトでも非常に整っていて理解がしやすいわけです。このようなデザイン戦略のことをダイナミック・アイデンティティ(DI)というんですよ。私たちがこれまで取り組んできた基盤技術である「UMWELT」を土台に作られた、在庫生産管理SaaSのような新製品が、トライエッティングの社名やロゴを出さなくとも、姉妹製品だということを認知してもらいやすくなる。そして、中期的に見た製品ブランディングコストを下げる効果を期待しています。
最後はお客さまのご反応です。アイデアが伝わりやすくなったことで、お客さまの反応が「ウケがいい」といいますか。プレゼン資料のフォーマットもわかりやすくなり、結果として、クロージングまでの期間が非常に短くなり、営業工数を下げる効果が出てきました。これは期待していたことでしたが、予想以上の効果が得られました。
—プレゼン資料一つとっても、見方は変わると。
長江:第一印象ですよね。特にシステム構築に関わるAI開発は、決して安くはありません。ある程度のステップを踏んで私たちに発注いただくわけなので、技術がしっかりしていても、この会社はベンチャーだし、大丈夫かな?と思われるタイミングは結構あったんです。実力も備えるのはもちろんのこと、第一印象としてしっかりとお客さまのご期待に添えますよというイメージを出していきたいなと考えています。
これがあるのとないのでは、実はプロジェクトの進め方や着地の仕方も全然違ってきます。デザイン一つで最初からご信頼をいただければプロジェクト進行がスムーズになり、いま実際にその効果が表れています。
—社内向けのメッセージも込められているんですよね。
長江:新ロゴは三角形の中に、「トライエッティンググリッド」があり、これは点と点のコネクション、準結晶構造の一つである「ペンローズパターン」がもとです。同様に実際のトライエッティング社内ではネットワーキング型の組織構造を構築していて、ちまたではこれをティール組織と呼んでいます。その中で新たなプロダクトや、新しいフェーズの、明日のトライエッティングを今日つくろう、という意味が込められています。
—このロゴ一つに、いろんな意味が込められていますね。
長江:山本をはじめとするデザインチームにはいろいろと伝えて、それを全て形にしてくれたので、すばらしいなと思っています。そこに私たちが込めている意味は、もうちょっと先のトライエッティングを想ったものです。
メンバーが20人位を超えてくるタイミングで、役員が全員を見て管理するチームメイキングは不可能だなと感じたんです。管理はしていないけれど、みんなが何をやっているかがわかる組織を目指そうということで、オレンジと言われるピラミッド型組織から、非ピラミッドのティール組織にシフトしたんです。「じゃあトライエッティングってどういう組織なの?」というところを、ロゴから見てきちんと社内外に語れるようにしたいと思ったんです。
—リブランディングを経て、トライエッティングはどうアップデートしていきますか?
長江:会社として、やること自体は変わりません。ご信頼いただける仕事を、泥臭くおこなっていくだけです。そしてこれから、社内外におけるチームマネジメントやプロダクト・サービス構築という面から、ワンステップ上のフェーズに進んでいこうと考えています。
新ロゴは一見するとシンプルに見えますが、私や、メンバーの想いが込められています。オフィスも移転して、これからのトライエッティングがどう「上昇」していくのか、今後にご期待ください!