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株式会社TripBox創業ストーリー(創業編〜資金枯渇編〜)

前回のあらすじ)

会社としての最初のサービス「TripBox」をリリースするもユーザーが集まらない。

そこでTripBoxは、食事にだけ絞り、サービスを展開することにし、「Tastime」が誕生した。

https://www.wantedly.com/manage_posts/articles/105958/edit

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「TripBox」は「Tastime」に生まれ変わり、新たな道を進むことになった。

最強の助っ人である甲斐くんに手伝ってもらったことで、UIは一気に素敵になった。

その結果、Tastimeにはどんどん海外ユーザーが流入していき、飛躍的にサービスは成長していった。







・・・となるわけもなかった。

肝心のユーザー流入は、解決されていなかったのだ。その問題を解決するために、以下のようなことを考えていた。

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・画像一個一個にタグ付けするなどして、SEOを強化すること

・観光案内所にチラシを置く

・Facebookの日本旅行グループに投稿する

・Tech in Asiaへの出展した

など

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しかし、そのどれもが上手くいくような手応えがなく、僕らは今後どうしていこうかと頭を悩ましていた。

Tech in Asiaへの出展の時)


まだじわじわと汗ばむ気温の2016年9月初旬。突如、その時は来た。

根本「アメリカに住んでる中国人の彼女がいるって言ったじゃん?」

熊谷「あぁ、うん」

根本「この前、日本で会ったんだけど、ひどいのよ」

熊谷「どした〜?」

根本「ダシの効いた、しゃぶしゃぶのお店に連れていったら、「味が薄い」とか言って、ラー油とかぶっかけて、しゃぶしゃぶ台無し。」

熊谷「あぁ〜笑、他どこ行ったん?」

根本「逆に日本っぽいところ連れていったら、喜んでくれてたな〜。旅行中、大変だった、ちゃんと足から撮ってとか20〜30枚くらい撮らされるし。その写真、加工するために30分くらいトイレから出てこないし。」

熊谷「そんな加工してどうするん?」

根本「インスタにあげてる。」

熊谷「へぇ〜!!!1枚あげるのに、そんな労力使ってるんだ!!!!」

根本「おれも驚いた笑」

熊谷「インスタに凝ってる女子、ちょっと調査してみよっか」


調査してみると、

・インスタグラムで「いいね!」がもらえるかどうかがお店選びの基準になっていること

・インスタグラムを検索に使っていること

・インスタグラムでの検索はあまり便利でないこと

ということが分かった。

この調査で、僕らは、一つの仮説を導き出した。

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インスタグラムという新しいプラットフォームの出現した

→ユーザーの間で新しいニーズが生まれた

 →そのニーズを解消できるグルメサービスがない

  →不便でもインスタで検索している

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僕ら「これはイケるんじゃないか??」


画像中心での情報提供の形を変える必要はなさそうだ。「非言語」という核は揺るがない。

そこで、今まで外国人旅行客に向いていた目を、国内のインスタ女子に絞ることにした。


となると、次の問題はそう。流入だ。

「どうやってユーザーに知ってもらうか?」

ここを再度、僕らは考えることにした。

調べていくと、グルメサービスは軒並みWebに利用者が大半で、グルメサービスはアプリで目立っていないことが分かった。



根本「SEOを捨てよう。アプリで勝負する!」

僕らは、webを捨て、アプリに振り切ることにした。ここから僕らのアプリ開発が始まった。

早速、ホワイトボードにイメージを書いていった。


内容も話し合いながら、次にsketchに落としていき、約1ヶ月、11月にデザインをFixさせた。

Prottを使い、なんとなく動くイメージも付いた。そこで、ようやく開発に着手することにした。

しかし、社内にSwiftを書けるエンジニアはいなかった。

夏に、政策金融公庫から借りた600万円もどんどん目減りしており、到底どこかの受託会社に開発を頼むことは考えられなかった。


熊谷「どうするか・・・」


考えていると、その時、ちょうど大学の同期の友達Yから連絡が入った。

Y「久しぶり!リクルートのリードエンジニアになる予定でやすー、あと、リクルートの社風的に副業勧められてるから、起業に備えて受託の会社昨日つくったよ。笑」


なんというタイミング!天から神が舞い降りた気分だった。

早速、会う予定を取り付けると、こちらの事情を汲み取り、約100万で開発を引き受けてくれた・・・

彼の能力、工数を考えると相当の割安だ。彼にお願いし、アプリ開発は本格的にスタートした。


ちょうどロゴもクラウドワークスに頼んでおり、ロゴも出来上がった。

5万円でコンペ形式でロゴを発注できるクラウドワークスは、すごいサービスだなと思った。


そして、課題の1つであるインスタAPIの申請もNくんの活躍もあり、無事に通過した。



開発が進む中、僕らにはもう一つやらなければいけない大きな仕事があった。


そう、

資金調達だ

資金を調達できなければ、仮にサービスをリリースできても、続けることができない。

デザインだけがある状態で、VCやエンジェル投資家をいろいろと回った。

答えは、どれもNOだった。


「う〜ん、グルメアプリ市場は厳しいからね〜」

「UIは差別化にはならないよ」

「プロダクトがあればねぇ〜」


プロダクトのない段階では、投資を受けることは困難である。

この時、このことを身に沁みて味わった。12月の木枯らしが、心も財布も寂しくなった僕らにはより一層冷たく感じた。

熊谷「餅も買えない正月とは昔からよく言ったもんだけど、ほんとそうなるとはねぇ笑」

根本「厳しいな〜」

僕らは、不安な気持ちを抱えたまま年を越した。


2017年1月。

この月から、今まで出していた給料が止まった。役員はともかく、一緒にやってくれていたNくんにも支払いを待ってもらうようになっていた。

そんな中でも開発は、着実に進んでいた。

ただ、開発が進むということは開発費用を払わなければならない。当然そんなお金はなかった。

そこで、大学時代に起業してから一度も親にお金を借りずに来れていたが、初めて親にお金を貸してくれるように頼んだ。

母は、ガミガミ言わず、頑張れとお金を貸してくれた。親の有り難みを心から感じ、再度、気持ちが引き締まった。

自分の金を出すというのは、重い。これほど重いものか。


それまで、共同創業者であるものの

「自分は代表ではないから、自分には責任がない。」

という、気持ちがあった。この会社のために身銭を切るという体験をしてから、


会社を共同で創業するということがどういうことか、共同創業が結婚に喩えられる本当の意味が分かったような気がした。


もはや、僕らを突き動かしているのは、

「なんとかこのアプリを世の中に出したい!」

という想いだけだった。


そして、ついに3月6日。アプリをapp storeにリリースした。


翌日、一緒に開発を手伝ってくれたヨネさんから電話がかかってきた。

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ヨネさん「あ!今、お電話いいですか?あのですね、木村さんが根本さんを紹介して欲しいっていってて、☆*$&#」

熊谷「(なんかやけに興奮してるなぁ)木村さんって誰ですか?」

ヨネさん「Gunosyの代表とかやられてた方で☆*$&#」

熊谷「!?!?ほんとですか!」


今までの資金調達難が嘘だったように、あれよあれよという間に投資が決まった。

熊谷「やったね〜」

根本「うん、やったね。ここからだな」

熊谷「そうだね、がんばりましょ」

根本「おう!」


こうして僕らは、ようやく市場というフィールドへの一歩を踏み出した。

事業編に続く。

調達リリースを出した後の写真)

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