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取締役鈴木の物語第1話|キスモとの出会い、1年目の成功と失敗

こんにちは、株式会社キスモの取締役鈴木です。

今回は僕が創業前夜のキスモに出会い、参画してからの1年間を振り返りました。キスモと僕が1年目で経験した成功と失敗について話します。

プロフィール

鈴木雄也

愛知県出身、名古屋大学卒。大学時代は全国最大規模の非営利組織のマネジメントに2年半従事し組織戦略や財務戦略を統括したほか、経営コンサルティングやマーケティング領域のインターンを国内外で経験し、海外では教育事業の立ち上げを行なった。全国規模のビジネスコンテストで中部北陸地域の最優秀者に選出された実績を持ち、個人でのwebサービス運営を経て創業に参画。現在はマーケティング、HR、PR、ファイナンスなどで戦略領域を担当。

会社のみんなには、あだ名でずっきーと呼ばれています。趣味は銭湯とサウナ巡りです。

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株式会社キスモ 取締役 ...
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失意の中、創業前夜のキスモに出会った。

理由を書き出せば長くなるのですが、とにかく僕は、大学3年生になるころから自分でスタートアップをやりたい、それも可能な限り早く起業したいと思うようになりました。

一度は冷静になって就職活動をしたのですが、その熱が抑えきれないほど高まってしまい、ITベンチャーの内定者でありながらもこっそりと自分のサービスのアイデアを練り始めました。最終的には熱が高じて内定承諾も取り下げさせていただきました。

当時は自分がCEOのつもりで、起業に向けて脇目も振らず必死に約1年間走りました。手伝ってくれるメンバーも複数人いました。しかし最後の最後で自分を信じる決断ができず、今まさに登記するという直前で、そのアイデアでの起業を諦めてしまいました。内定を捨ててまでやりたかったサービスを投げ出す決断は、本当に身を裂かれるような思いでした。そして僕は、少なくとも今の自分はファウンダーCEOに向いていないんだと自覚するようになりました。2017年3月が終わる頃のことです。


そこから運良く、とある財団の研修生に選ばれて修行の場を得た2017年4月。現代表の三野がチームをつくって起業するという話を人づてに聞いた僕は、彼に久しぶりに連絡しました。彼は、僕が持っていないと感じていた、ファウンダーCEOとしての才能を持ち合わせている稀有な人物です。いつかは一緒に仕事してみたいとは元々ぼんやりと考えていたのですが、彼の起業を聞いて、空き時間でなんとか彼を手伝えないかなと思っていました。

電話越しの三野は、僕から何か手伝えないかと言い出すよりも先に「単刀直入に言って、ずっきー(僕のことです)には営業を任せたいんやけど」と切り出しました。返す刀で「僕は営業の経験はないんだけど」と言ったところ、三野は「ずっきーなら絶対できるっしょ」と言いました。

ただし、空き時間とかじゃなくて、名古屋に帰ってきてフルタイムでやってほしい、とも。
であれば、僕としてはフルコミットするから、コアメンバーとして、営業だけじゃなくて経営全般なんでも任せてほしいという話をしました。

本当はその時点でほとんど心は決まっていたのですが、1週間冷静になって考えた末、3月末に研修生として拾っていただいた財団を1ヶ月で飛び出し、キスモでの日々が始まりました。

1年間で僕とキスモが経験した成功と失敗。

営業

キスモは、2017年5月9日に法人登記が完了したのですが、実質的な営業活動は4月の頭からすでに始まっていました。

僕自身がキスモにジョインして最も時間を使ってきたのは、営業です。

弊社はコンサルティング業務や開発案件で実際に多くの問い合わせやご紹介をいただいているのですが、こうした案件の50%程度を僕自身が初動対応してさばいてきました。また、外部のイベントにて会社やAIの業界動向についてPRする機会をいただき、僕がキスモを代表して出向くことも多くありました。最近は少しずつマスコミからの取材をいただくこともあり、広報活動にも当たっています。

しかし最初は技術の知識もなく、営業の作法もほとんどわからない中で、本当に手探りの状態からやってきました。正直に言うと、社会人としての常識を知らずに失礼を働いてしまい、お客様を怒らせてしまったこともあります。

今では少しは企業や組織のことが分かるようになり、技術の勘所も掴みつつあり、自信を持って商談の場に出ています。

会社全体としては技術者の頑張りが大きく、製造業や医療、生体情報に関わる開発や研究など、多数の領域で実績ができました。自分が代表して契約をまとめることもでき、この件でメディアにも掲載され、問い合わせが増えることとなりました。


新規プロダクト

こうして増えていく外部対応の一方、新規プロダクトは四苦八苦して検証を続けてきました。

アイデアの出し方や決め方も様々なやり方を試しました。海外でブレイクしているアイデアの輸入や顧客企業で聞いてきたニーズの事業化、社内ハッカソンなど。使える技術を並べ立てて、先輩起業家に「僕たち何をやったらいいですか」と聞きにいったこともあります。

AIなどの先端技術を活用したBtoBの事業では、顧客の業界や業務をしっかり理解しなければ課題もソリューションも全く描くことができません。社会人経験のない僕たちは、顧客の業務をイメージしきれず、ここで人一倍苦労しました。

ありとあらゆるアイデアを検証するために、実際に膨大な数のヒアリングに挑んできました。その過程でデモ動画や試作品をつくり営業に行ったり、業界についてリサーチするために分厚い業界紙を読み込んだりもしました。つくっては壊しを何度も何度も繰り返しました。

正解のない新規事業で自分たちを信じて試行錯誤を続けることは、ワクワクの連続であるとともに非常に苦しくもありました。アイデアの仮説が大きく外れ、プロジェクトの撤退を決断する瞬間は、信じて手伝ってくれていた周りの期待がため息に変わることが最も息苦しく、自分の力不足に何度も絶望してきました。

資金調達

2018年に入ってからは、本格的に資金調達に動きました。
創業間もない中でエンジェル投資家の出資を受けていたので、初めてのファイナンスではありませんでしたが、チームだけを見て賭けるエンジェルでのラウンドと比較して、より規模の大きなファイナンスを目指していました。

数ヶ月にわたりデット・ファイナンスにするか、エクイティ・ファイナンスにするのかも考え続けてきた中で、資本性ローンを経験した先輩起業家にヒアリングしたことをきっかけに、最終的に政策金融公庫の資本性ローン満額を調達するという選択肢に絞り込みました。

当時メンバーの多くが卒業論文の時期とかぶってしまい多忙を極める中で、実は刻々と契約の期限が迫っていました。このときのファイナンスには僕はサブでしか関わらないことになっていたのですが、この状況を見て、意を決して全てを自分で巻き取ることを決めました。絶対に遅らせられない、失敗できないというプレッシャーの中で、事業計画の穴という穴を塞ぎながら担当者の方とコミュニケーションし、なんとか契約をまとめきったことは大きな自信になりました。

組織改善

ファイナンスと同時に、採用と、今後の採用を見越した組織改善には会社全体として取り組んでいます。

まずはオフィスを名古屋大学に移転しリモート環境を整備し、勤怠管理を再設計。そして属人的だった選考フローと採用基準の言語化を行いました。続いて新メンバーへのフォローの手引き書の設計もしました。組織運営の面では権限移譲を進め、代表不在で決められる範囲を明確化し、かつ拡大してきました。また、「苦手なことはやらない」「得意なことだけやる」を徹底できるような分業を心がけ、組織設計を進めてきました。
また、企業全体のリブランディングの議論を通して、これまで曖昧に認知していた会社のカラーやカルチャーを言葉にして表現しました。

泥臭いコミュニケーションも少しずつ増やしてメンバーの不満や不安をできるだけ拾い、打てば響くと信頼してもらえるよう、スピード感のある対応を心がけました。

このような組織戦略においては経営陣が決めて引っ張るのではなく、メンバーとイメージを共有するためのコミュニケーションを意識的に増やしました。

取り組みはまだまだ道半ばで、常に人のいるところに課題はありますが、課題解決が少しずつ個人戦からチーム戦に変化していくインパクトを肌で感じています。


創業してからの1年間は営業や広報、資金調達に組織改善と様々な施策を行い、試行錯誤しながらも少しずつ自信を得ることができた1年だったのかなと感じます。序盤から実績がついてきたことで会社としても売上高を確保でき、広報活動が実って少しずつ社会で認知され始めるとともに、継続的に優秀なメンバーが集い、組織としても機能し始めました。

他方、私が全力で取り組んだいくつかの新規プロダクトは一つも立ち上げることができず、正解のない道を今日も必死でもがいています。

第2話では、初めての役員合宿で考え尽くした、プロダクトにおける失敗の根本的な原因と、失敗から得た学びを生かして今どんな日々を送っているか、また僕が見出した僕自身の役割と合わせて、キスモの未来を話します。

ここまで読んでいただきありがとうございました。第2話のリリースまで少々お待ちください!

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