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制作活動を楽しんできた私が、作家ではなく、作家の活躍をサポートするThe Chain Museumの仕事に情熱を注ぐ理由。

アート・コミュニケーションプラットフォーム「ArtSticker(アートスティッカー)」を軸にアートビジネスを展開するスタートアップ「The Chain Museum」のメンバー「川越 地球(かわごえ・てら)さん」に、これまでのキャリア、The Chain Museumへの入社の決め手や、今後チャレンジしていきたいことなどをインタビューしました。ぜひご覧ください!


■社員プロフィール

川越 地球さん/Art Registrar

武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業。
株式会社アートフロントギャラリーにて、ホテル/マンション/オフィスなどのアートコンサル、大地の芸術祭(新潟)/瀬戸内国際芸術祭などの芸術祭企画運営を経験。

RICOH ART GALLERYのギャラリー立ち上げを経て、2023年4月よりThe Chain Museumに参画。
主にアートキュレーション、コンサルティング、ギャラリー運営、作品の管理などを担当。



川越地球さんへの3つの質問〜

Q1:入社前はどんなことをされていましたか?

祖母の影響で日常的にアートに触れる機会が多かった私にとって、物心ついた時からアートは生きる上で欠かせない存在でした。それ以降もアートへの興味を持ち続け、高校では美術科に進み美術やデザインを学習。大学では作家を志望して武蔵野美術大学に進学しました。

大学生活は、制作できることへの喜びを感じる日々でした。一方で、「面白い考えや素晴らしい作品を創作できる人が沢山いるのに、なぜほとんどの人が大学を出てから制作や作家活動を継続できなくなってしまうのだろう」というやるせなさも同時に感じるようになりました。

そんな私の転機となったのは、大学3年時に学外の研修旅行でニューヨークに訪れた際の出来事。欧米と日本のアート・シーンの在り方の違いに衝撃を受け、当時日本でメジャーではなかった「現代アートキュレーター」という職業に興味を持ち始めました。

この経験が、「作家になる」ではなく、「作家が活躍できる(才能を発揮できる)場を増やしたり、これからの日本の美術の在り方をつくる仕事がしたい」と心に決めたきっかけとなり、当時アートの会社として代表的だった企業の1つに入社を決めました。

この1社目の会社では、芸術祭の企画運営から、ホテルやマンション・公共施設にアートを入れるアートコンサルティング、ギャラリー業務までを一通り経験。日本を代表する芸術祭の企画運営に関われたこと、そして、芸術祭とはまた違ったかたちで世の中にアプローチできるアートコンサルティング事業を両方経験できたことは、とても良い経験でした。

「アートに興味がない人にどの様にアプローチするか」を経験した私が、次にチャレンジしたいと考えたのは、「アートを求める人にどの様に作品販売を提案するか」。そこで、2社目の会社としてご縁をいただいたのは、知り合いに「企業が期間限定でアートのギャラリーをつくるので人を探している」と声をかけられて入った、RICOH ART GALLERY。

ここでは、ギャラリーの立ち上げから関わり、展覧会の企画運営から、作家やお客様との関係作り、作品販売・作品管理・配送対応・インストール・PRなど、ギャラリー業務全般を一から経験。企業の新しい技術と作家のコラボレーション作品を展示するギャラリーだったので、通常のギャラリーとは違うところもありましたが、立ち上げから関われたことはとても貴重な経験になりました。



Q2:入社のきっかけとして、The Chain Museumにどんな魅力を感じてくださったのですか?

The Chain Museumの存在はもともと知っていましたが、当時はどんな事業を行っているかまでは認識していませんでした。

関心を持ち始めたきっかけは、コロナ禍のタイミング。当時、殆どの美術館やギャラリーが事前予約制になったことで、前職のギャラリーで「ArtSticker(アートスティッカー)」の事前予約制チケット機能の活用がスタートしたんです。また、「東京ビエンナーレ2021」の展示会場としてギャラリースペースを使っていただいたことも相まって繋がりが深くなり、The Chain Museumの事業の面白さを知るように。

ジョインする決め手となったのは、ちょうど前職の契約期間が終了したタイミングで、「新しいギャラリーをオープンする計画があるので参画してみませんか」とお声がけいただけたこと。当時The Chain Museumにはギャラリー運営の一連の業務経験を持つメンバーが在籍していなかったこともあり、自身の経験や知識が活かせるのではないかと感じ、まずは業務委託として関わることになりました。また、もともと「若手作家の支援や活動の場を広げたい」という想いがあったので、その様な活動をするにはぴったりな場所だと思ったのも決め手の一つです。

特に「ArtSticker」のSticker機能や作品販売システムは、作品販売へのハードルが高い売り手(学生や若手作家) 、更には作品購入へのハードルが高い買い手にとっても、とても良いシステムだと感じています。

実際に入社して特徴的だなと感じたのは、The Chain Museumという組織の専門性と多様性。「ビジネス視点/アカデミック視点/マーケット視点/コレクター視点/アーティスト視点...」など、様々な視点と強みを持ったメンバーで協力しながら、チーム一丸となってアーティストの活動サポートや企画を行っている点を魅力に感じています。

その後も業務委託として働く中で、「自分ももっと会社の中に入り込んで、事業づくりに携わっていきたい」という想いが強くなり、2023年11月から正社員としてジョインすることになりました。


Q3:今後、The Chain Museumでチャレンジしていきたいことは?

近年、日本の美大/藝大の卒業制作を見ている中で、買い手側の好みやマーケットの動きに合わせたような、ある種「答えが用意された場所」に応える作品を制作する学生(作家)が増えているように感じます。

もちろんそういった感覚を持つことも大切だとは思いますが、必要以上に作家がそこを考えなくてはいけない状況は、本来のアートの面白さや魅力について伝える機会を遠ざけてしまいかねないなと感じます。

こういった状況を踏まえて、私たちの様なアートを扱う側が特に心がけるべきは、「鑑賞者や買い手にアートをどのように魅せ、伝えていくか」を大切にする気持ちだと思います。

The Chain Museumでは、作家や作品を消費的思考で扱うことはしません。常に大事にしているのは、「才能溢れる作家がより長く制作活動を続けていけるようにするために、我々はどの様な支援をすべきか」です。ここを考えながら、日々、アーティストのサポートに取り組んでいます。

私個人の想いとしては、学生時代に制作活動をしてきた経験もあるので、より作家に近い視点で、作家が本来持っている思考や面白さを最大限発揮できるような場作りやプロジェクト・企画に関われる機会を増やしていきたいです。


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