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【インタビュー#8】まだ世にないものをデザインする物質調律家 | 山崎 タクマさん

みなさん、こんにちは。スペースデータ採用担当です。

スペースデータで活躍するメンバーがどんな経験を持ち、日々どのような仕事に取り組んでいるのか、その一端をお伝えするために、社員インタビューや対談インタビューをお届けしています。

本日は、“物質調律家”として、スペースデータを取り巻く、あらゆるデザインを担当されている山崎タクマさんのインタビューです。

多摩美術大学を卒業後、キヤノン株式会社、独立を経て、2023年にスペースデータへジョイン。独自のデザイン哲学と死生観を持ち、デザイナーでありながらアーティストのような一面を覗かせる山崎さんの、これまでのキャリア、仕事に対する流儀、スペースデータで働いた印象などをお伝えします。


【プロフィール
】
物質調律家、インダストリアル・プロダクトデザイナー
山崎タクマ(やまざき たくま)さん

多摩美術大学卒業後、キヤノン株式会社に入社。6年間勤務し、一眼レフカメラ、コンパクトデジタルカメラ、レンズ、新規事業製品などの本体デザインを手がけた後、在籍中に起業していたTAKUMA YAMAZAKI DESIGN合同会社に専念するため独立。独立後の1年間で計5製品を量産化し、すべての発売を実現。その中にはベストセラーNo.1製品も含まれる。20代で国内外の大規模なデザイン賞を多数受賞。思想を纏った高精度なデザイン創出を得意とし、ニューヨークのギャラリーと契約を結ぶなど、アートディレクター、アーティストとしても活動。2023年に当社に参画。


職業、物質調律家。

── 本日はよろしくお願いいたします。まずは、山崎さんのスペースデータにおける肩書や役割について教えてください。

インダストリアル・プロダクトデザイナー、物質調律家、芸術家、アートディレクター……という感じですね。

── ありがとうございます。色々な方からも質問を受けることが多いと思うのですが、物質調律家とは一体どんなものなんでしょうか?

(これまでのキャリアで)デザイナーとして10年ほど働いてきたんですけど、自分がやっていることってどういうことなのかな?って向き合った時期があったんですよね。

ピアノの調律師っているじゃないですか。ピアノの音を聞いて、普通の人間が聞き取れない微差レベルの音を調整していく仕事。その仕事によってハイクオリティの演奏や空間を実現することができる。人間が体感するための音楽だった場合、機械で設定しても最終的には人間が音のチェックをすることになります。それに似た作業なのかな?って段々と思い始めていて。自分がやっていることって、物体のプロポーションや、表面のニュアンス、あとは塗料に含まれる粒子の立体感とか、艶感とか、すごく細かいところを見てるんですね。

それってCGの世界と似ているようで性質が異なっている気がしています。視覚だけでなく、かなり五感を使った官能評価に近い「物質の調律」だったという……その言葉が、きっと自分の仕事を表す上で分かりやすいんじゃないのかなと。それをどんどん突き詰めていくと、個人の思想や哲学が成果物に大きく影響するため、芸術の領域に調和していくんじゃないかなって思っています。

── たしかに、「物質調律家」と検索すると、山崎さん個人のWebサイトや山崎さんが出演されたラジオ番組がヒットしますが、同じく物質調律家を名乗る方は他にいらっしゃいませんでした。

まだ、いないですよね(笑)。ここ数年で昔に比べて、デザイナーという肩書を名乗る人が増えたと感じています。当たり前ですが「デザイン」にまつわる情報が広がることで「大体こうすれば良くなる」というものがフォーマット化されて整理され配られてきた時代だと思います。きっとこの先も、この現象の方向性は大きく変わらないと思います。その上で、最終的に残っていくのは、(物質調律家のように)狂ったように突き詰めてとがらせたクリエイティブな仕事、職業になるんじゃないかなと思っているので、今から物質調律家と名乗っておこうかな、と(笑)。

で、次にやらなければいけないことって、その上で新しい何かを創造していかなきゃいけない。今までの「慣れ」やパターンを繰り返していくと、広がりが止まっちゃう。そこからさらにブレイクするためには、次の領域に行く必要があると思っています。それは、もしかしたら日々の精神的な鍛錬や、全く新しい考え方の人間に出会い活力を交換することなのかもしれない。常にクリエイティブであるためには、エネルギーの拠り所みたいなものが必要で、出力のためにはエネルギーが必要ですから。


── 調律という言葉に、「デザインなど何かを生み出す」ものより「既にあるものを整える」という印象を受ける方もいるかと思います。

そうですよね。僕のイメージでは、物質調律は既にあるものを壊す必要もあると認識しています。

たとえば、物質が内包している比率を調整するだけでも見え方や感じ方は全然変わります。人体もそうですけど、プロポーションだけでも印象は変わりますよね。同じ顔でも、身長が異なると、5等身と8等身では印象が変わって感じる。同様に、同じ物質でも、ちょっとバランスを変えるだけで、見え方や感じ方が全然違う。

でも、その感じ方は人間の周囲の環境やモノの前提条件によっても無限に変化する性質があるので、すでに備わっている知識や経験だけでフォーマット化して使い回せるものではないと感じています。そんな性質の現象を探究するためには、自分のこれまでのやってきたことを、一回壊さなきゃいけない時期が来るんです。他には、あえて雑にやってみるとか。

最近で面白かった話があって、村上隆さんが『一般の方は絵を上手くするためにAIを使っているけど、僕の場合は下手にするためにAIを使ってる』のようなことを言っていて。

こういう職業を続けていると「上手くやろう」することが嫌になってくる時があるんです。デザインをフォーマット化して、それを繰り返すっていうことが、僕の性格上、向いてないと感じます。だから、ある種これまでやってきたことをちゃぶ台返ししたりとか、自分のスキルにフラストレーションを感じたりすることが必要なのかなとも思っています。

そういうところまで行くためには、きっと「物資調律家」を名乗ったりとか、新しい領域へ飛び込んだりしないと、自分の脳はこれまでと同じことを繰り返すことを許容するようになるんじゃないかなと思っているんです。

── それはたしかに、デザイナーの一言で片付けられないお仕事ですね。

僕は自分の肩書きにすごく悩んでいて、自分がやってることとか、やりたいこととか……。『プロダクトデザイナー』だけでは、記号と行動に矛盾を感じて同業者や周りに申し訳なく感じることがあるんですよね。


↓ 「物質調律家とは何か」についてお話しされたFM FUJIのラジオ番組


美術5・センター試験2割から、倍率120を突破。

── 山崎さんはデザイナーとして数々の賞を受賞されていらっしゃいますが、デザインに魅力を感じたのは、多摩美術大学に入学されてからでしょうか?

物質の魅力に取りつかれたのは、幼少期ですね。兄のバスケットボールの試合に付いていって、試合を観ずに体育館の外で石ころを探したりとか、砂利の中からキラキラした粒を集めたりとか……自然物などのモノはすごく魅力的に感じていましたね。


── キラキラしていない、普通の石も好きだったんですか?

そうですね。小学生の頃はよく石を蹴りながら歩いていたんですけど、明確に長く愛着を寄せられそうな石や、かっこいい石は選ぶことができていました。傷が付いていったり、丸まっていったり、段々と形状が変わっていく石をずっと大事に持っておくのが好きでした。

他にも、大きい石をドライバーで削って、アリの家を作ろうとしたこともありましたね。今考えたら絶対無理なんですけど(笑)、まだ理解が及んでいない時から、「⚪︎⚪︎を使って△△を作りたい!」みたいな欲が明確にあって、ひとりで無謀なチャレンジをしていました。


── どのようなきっかけで、多摩美術大学を目指されたんですか?

僕は小学校3年生の頃からずっとバスケットボールをやっていて、北海道ベスト8くらいの高校で部長をやっていたんですけど。部活を引退して、将来に何をしようか考えていた時に、ずっと美術だけは5だったので「こっちの道がいいな」って思って美術予備校に通い始めて、絵を描き始めました。

そこで、初めて書いた製品のアイデアスケッチが、その塾の参考作品に選ばれたんです。『君、こっちの才能あるよ』と言われて、じゃあプロダクトデザインかな……とは思っていました。

ただ、勉強が全くできなくて、そこから二浪してしまって(笑)。

最初の受験時はデッサンが9割取れてたんですけど、学科が本当に良くなくて、酷かったですね。センター試験の得点も2割とかですよ……(笑)。


── 当時はパラメータを美術に全振りされていたんですね。

本当におかしな話なんですけど、試験中に集中しようとするじゃないですか。全力でやらないとダメなのに、その時間に、僕は他のことを考えちゃう。考えちゃいけないんだけど、何か自分がニワトリみたいだなって思っちゃって。皆と同じようにケージに並んで『コッコ、コッコ』と餌を突くように、紙に鉛筆を当てるのが、「もう、これダメだな、嫌だな」って考えちゃうんです。この空間がもう何かおかしいというか、変な感じというか…気持ち悪くて。「何で僕らは皆でエサ食べてるんだろう?なぜ?」みたいに感じて、試験中に対峙すべき問題が頭の中で変わっちゃったんです。

あの時の感覚は、今だったら理解できると思うんですけど、18〜19の頃は我ながら本当におかしかったですね。世の中の見方が甘かったのかな?目的が薄く気持ちが入っていなかったのかもしれないです。試験中は「今、僕はニワトリだ……」みたいなことをずっと考えていました。そんなことを考えているうちに、試験が終わってるんですよ。帰宅後、家族に試験の出来を聞かれて「いや、全然書いてないよ」と言ったら、案の定めちゃくちゃ怒られて(笑)。その時点でもうダメですよね。


── その後、二浪されて多摩美術大学に入学。卒業後は、キヤノンに就職されます。

キヤノンの就職試験は、僕が受けた年はプロダクトデザイナーの応募120名ほどに対して1名しか採用されない倍率約120倍だったんですけど、めちゃくちゃ集中して、とても良い成績で入社することができました。


── 120倍!すごい倍率ですね。受験時とは異なり、何故入社試験では集中できたのでしょうか?

試験中は会場内でヘッドホンが装着可能だったんですけど、それで集中できたのかもしれません。僕以外誰もヘッドホンを付けていなかったです(笑)。

あとは、やっぱり「入りたい!」という気持ちが入っていたのと、アイデアスケッチやプレゼンなどの実務試験もあったので熱がしっかりこもっていました。



新卒で、最高難易度のプロダクトデザインを経験。

── キヤノンではどのようなデザインを担当されていたんですか?

基本的には、カメラ・レンズ・新規事業系のボディをデザインしていました。もう変態の領域ですね、カメラのデザインは。プロダクトデザインの中でも特に難しいんじゃないかって言われています。

── カメラのデザインって、どのような部分が難しいんですか?

色々ありますが、左右非対称な点は難易度が高いと思います。大体の製品ってシンメトリーなので、左右非対称で、有機的な曲面が多用されていて、すべての面に理由がなきゃダメなので、なかなか難易度が高いと言われています。カメラのボディって、レンズが中心にあって、正面から向かって見ると、右部分に比べて、左部分の方が長くてボリュームがあるんです。にもかかわらず、違和感なく綺麗な形に見せなきゃいけないので、相当繊細なバランスでデザインを調整しています。

しかも、デザイナーだけで作っているわけじゃなくて、品質評価や設計者とか、他の人たちと交渉して、意見や考えを満たしながら作り上げていくのが、カメラのデザインでした。たとえば、持ち心地というか、人の手の馴染みやすさをすごく重視しているので……人間の手との調和を目指すという意味では、かなり生き物の造形に近い有機的なデバイスですよね、カメラって。その分、モデリングはめちゃくちゃ高度な技術が求められます。あとはものすごく高額な金型を作って製造するので、精密機器の量産をデザインすることの責任感はとても大きいですね。


↓ 山崎タクマさんが手がけたキヤノン製品



まだ世に形がないモノをデザインする。

── 独立後に手がけられたデザインやプロダクトについて伺っても良いでしょうか。

独立したのは3年くらい前ですかね。キヤノン在籍時に起業したんですよ。仕事して、上司と飲みに行って、飲み会が終わって帰ってきたらまた仕事して、会社に行く……みたいな。二年間くらい続けたんですけど、その生活がめちゃくちゃキツかった思い出があります(笑)。

その後、独立してすぐに、波動制御を強みとするスタートアップ企業と仕事をする機会をいただきました。そこの代表の方がキヤノン時代に講演に来ていて、その時に初めてお会いしたんですけど、その際に『独立後に一緒に何かやりたいね』と話していて。

その時はちょうど、複数のプロダクトを開発するタイミングだったので、僕が本体デザインを担当させていただきました。1つデザインを提案すると評判がとても良く、追加で4製品の依頼がありました。なので一年間で5製品くらい制作してたと思います。デザイン提案と、モデリングと、設計者とのコミュニケーション、工場との交渉などを同時にやっていました。これ、1つの製品でもまあまあな膨大な作業なんですけど、5製品を同時にこなしてたので、あの時は我ながら集中してたと思いますね。

── その中で思い出に残っている製品はありますか?

全部ですね。波動制御技術を用いた家電やインテリアアイテムってまだ世の中に馴染みがなくて、プロダクトの形が定義されていないんです。そういう意味で、新しい形の定義をまっさらな状態から設計者と交渉しながら構築しました。僕はすでにある形にはあまり興味が持てなくて、これらの仕事は非常に面白かったですね。開発スピードや世の中に出すタイミングも早かったので、とてもエキサイティングな経験でした。

── まだ世の中に出ていない未知のモノをゼロからデザインする、新しい姿のデザインをされていらっしゃるんですね。

そうですね。そっちの方が僕は重要だと思っていますし、興味があります。既存製品の姿に綺麗に化粧をすることって、どういう服を着せるか?に近い印象を感じます。でも、化粧をする前の最初の姿というか、そもそもどの姿が本質的なのか、変動の激しい時代の波の中でもスタンダードになり得るかっていうところに興味があります。

モノって、人間に近い生き物のようだと思うんですよね。バランスやサイズ感含めて、どういうものと一緒にいたいか?という気持ちや感覚が重要だったりします。僕が幼少期に石を蹴っていた時に、傷の付いた石に愛着を持っていたことが、すごく影響していている気がするんですけど。

「5年後、この商品がどんな姿になってるかな」と想像しながらデザインもします。発売時の登場感やインパクトだけじゃなくて時間がたった先に、その商品がユーザーとどういう風に過ごすか?をイメージしながらデザインしています。


知識ゼロから、宇宙のデザインに挑戦。

── スペースデータにジョインされたきっかけを教えてください。

佐藤さんが工業デザイナーの方を募集していたんですよ。で、僕が「キヤノンでデザイナーをやっていました!」と名乗り出て、そこから『ちょっと話しましょう!』『これやってみませんか?』みたいなやり取りが始まって。そこからは週一でデザインを出して、ボールを投げ合っていました。

── 山崎さんは、スペースデータで具体的にどのような仕事をされていらっしゃるんですか?

はじめはスペースコロニーのアイデアスケッチやそれをどのように作って実現するかという話から進みました。2023年からこの1年間でかなり展開が進んで、その後、スペースドローンや、スペースステーションのデザイン・アートディレクションも担当しています。

── Wantedlyに掲載されている、スペースコロニーの写真や宇宙の画像のデザインをされていらっしゃるんですか?

そうです。最初は手探りだったので、かなりエキサイティングでした。
スペースコロニーは自分の身体よりも遥に大きく、ボリュームもあるし、考えなきゃいけないことも沢山ある。しかも、宇宙のことが全く分からない(笑)。

最近になって、佐藤さんとコミュニケーションを取る中で、SSOS( SpaceStation OS )のロゴデザインやアートディレクションもお願いできないか?と相談があったので、ブランディングを含めた、世界観を作るところまで任せてもらっています。

僕の活動や考える範囲が佐藤さんと関わることによって広げられた感覚があって、新鮮だし面白いですね。宇宙って、まだまだ表現の可能性があると思っているので、そういう意味ではかなり拡張性のある、広がりのある仕事だなと感じています。

↓ オープン・スペースコロニー構想のイメージ


── もともと、宇宙自体に興味があったんですか?

最初はなかったと思いますね。ただ、2〜3年ほど前から、宇宙やりたいな、って思ってたんですよ。大体のデザインは経験したし、見るのも触れるのも飽きてしまっていて。そんな中で、宇宙空間はまだまだ全然デザインされていないし形がないので、面白そうだなあと思っていたら、今こうして宇宙に携わることができるようになっていました。


── 他の部署のメンバーとのやり取りも発生するのでしょうか?

ありますね。現在、基本的には佐藤さんとのデザイン戦略がメインにはなっていますが、アートディレクションを任されているため他のメンバーとも交流はかなり多いと思います。

池田さんはロボットを開発している方なんですけど、『こんな感じでセンサーを置きたいんだけどデザイン的にどうでしょうか?』みたいな相談が発生して設計・デザインの双方でモデリングデータを確認しながら進めています。今は新しいOSの発表や会社のリブランディングの時期ということもあり、ゲンさん(石川さん)、西脇さんからは制作したCG映像のイメージチェックのやり取りがよくあります。

外部向けの大切な発表資料などは坂本さん、高田さん、からご相談を受けてブランドのイメージを揃えたり、ビジュアルの品質を高めるための調整をすることもよくありますね。


↓ 宇宙ロボット



スペースデータ=芯を持った人間が集まる場所。

── スペースデータで一緒に働いているメンバーの皆さんに対する印象を教えていただけますか?

異なる視点をくれる人が多いですね。多様な専門職が集まっているのもあると思いますが、考えていることの芯がちゃんと深いから、自分の考えとは全く違うことを聞けるのが嬉しいですね。

僕の感覚では、人間って死に方を選んでいるだけのように映っていて。どういう生き方をしようか?はどういう死に方をしようか?とイコールだと感じています。死と対峙するからこそ自分の内側から生き方の問いや答えが繰り返し起こり哲学が育つ気がしています。スペースデータの中には、生き方というか、それを話せる人間が結構いることに衝撃を受けていて。でも、この部分って、逃げがちなんですよ。考えるとしんどい時期がありますし。

でも、そこ(死生観)とちゃんと向き合える人たちが多いなと感じています。まだ話したことない人は多いんですけど。代表の佐藤さんも、そういうところを気にするんじゃないかなとは感じてました。

佐藤さんは多面体の人間だと感じていて、経営の話から技術の話、芸術の話まで聞くことができるし、理解してキャッチボールができる。これまで僕は人と話をしても、『そんなこと考えるんだね、不思議だね〜』という反応ばかりで、深く対話できる経験があまりなかったのですが、佐藤さんとは『そもそも、なぜ僕たちはなぜこれを美しいと感じてしまったのか』『その本質的な由来は何か』ということまで話せています。だからこそ、僕はここから生まれるプロダクトに全力投球できるし、佐藤さんなら受け止めてくれると思って、楽しくアウトプットをしています。これができる経営者っていうのは貴重だと僕は思ってますし、こだわりも持てているっていうところは非常に面白いなと思っているので。
そういう意味では、今後のスペースデータに対して組織文化の面でも、ものすごい可能性を感じていますね。

── 気にするというのは、どういうことですか?

要は、自分に芯があるかどうか。それがあるとかなり強いと感じています。

そういう人って、やっぱり自分に嘘をつきたくなかったり、自分を嫌いになりたくなかったりするから、自分と向き合っている人が多いので打たれ強いなと、見てて感じます。

そもそも日常的に(精神的な)修行を積んでいるので、そういう人たちで構成されたメンバーって、めちゃくちゃしなやかで強い組織だと思っています。
世間一般では、異なる意見を述べると対立するからダメとか、自分の意見と同じじゃないと認めないとか、そういう風になりがちだと思うんですけど、スペースデータのようにレベルの高い領域に行くと、その考えをどんどん上に積んでいけるので。そういうところが僕はすごい好きで、そういう場所に居たいと思うので、ここに来たのは、必然性があると感じています。
おそらくこの現象は、佐藤さんという存在自体がブランドとして機能しているということのあらわれなのかなとも思います。

── たしかに、何か引力のようなものを感じますね。スペースデータでの活動を通じた、今後の目標を教えていただけないでしょうか?

スペースデータは、テクノロジーを用いて宇宙社会を実現する企業です。
僕たちはそれぞれが「グローバル社会」から「宇宙社会」を考え、作り、届けるために動いています。

僕は物質との対話が特に得意なので、元々スペースデータの強みであったデジタルに、リアル=物質の魅力が加わることで、宇宙社会に対する信頼性や共感性という点で、スペースデータにさらなる魅力を与えることができると考えています。

というのも、人間は、五感で状況を判断する生き物で、モノには強い吸引力があります。
宇宙社会を構築するためには、デジタルとリアルの双方で解決すべき課題と機会があると思っています。

たとえば、今回は宇宙ステーションやスペースドローンのコンセプトデザインモデルを、実際に触れる形で制作していますが、質感や細部の造形そのものが纏う雰囲気を五感を使って感じてもらえると思います。デジタルのコミュニケーションだけでなく、物質の持つ力を通じて、ユーザーとのコミュニケーションを図れたらさらに望ましいですね。


── ここまでの話からも、幼少期からアナログ・物質領域に関心のある山崎さんがジョインされたことは、デジタル領域に強みを持つスペースデータにとって、非常に大きな意味を持つ出来事だと感じました。

僕は、既に世の中に存在する形には興味が薄いのですが、まだ世に出てにない製品や形・モノのあり方を構築することには興味があります。

宇宙分野はその塊のようなものですし、事業範囲の広いスペースデータは、高速で未知数で、最高に興味深い場所です。これからどんな事業が生まれるのか?どんな企業や団体とコラボレーションしてどんな化学反応が生まれるのか?自分の表現の幅が広がったり、固定観念のリセットが起こったりすることがあるかもしれません。今から非常に楽しみですね。

ちなみに、僕自身は物質の楽しさを知っている一方で、ゲーム漬けの日々を過ごした経験もあります(笑)。 今後は、たとえばゲーム内の道具のデザインなど、バーチャルプロダクトデザインの力が発揮できる場所を作ってみたいですね。

── ありがとうございます。山崎さん個人として、今後の人生で成し遂げたいビジョンがあれば教えていただけないでしょうか。

デザインと芸術が相互に影響し合って、価値を高め合うような活動を今後も続けたいと考えています。これらが調和し合うことにより、自分の人生がより充実した結果になると思っているので。宇宙をテーマにアート作品も作ってみたいです。

また、これまで作ってきた作品に対しては、単に制作しておしまいにするのではなく、時代の変化に合わせて継続して育てていく、成長し続けるプロジェクトにしたいと思っています。

最終的には、人生最後のイベントである死が最高のものになるように、思考と経験を繰り返しながら、自分の納得する世界の捉え方を構築し続けたいですね。


── 最後に、この記事を読んでいる方に向けてメッセージをお願いします。

今までキヤノンや自分の会社で様々なプロジェクトに携わってきましたが、スペースデータの仕事の難易度は、過去1番だと感じています。

グラフィック1枚つくるだけでも、太陽光がオゾン層に侵入するそのうち30%は跳ね返って、それが地上に届くのか海に届くとか……などを理解しながら描かなきゃいけないので、JAXAの方に助言をもらいながらデザインしています。

でもその分、新しい発見がめちゃくちゃ多いです。過去の自分の常識を壊したい方、新しい発見がしたい方、これまでの仕事に負荷が感じなくなっている方、業界が同じことを繰り返していると感じている方、熱量の交換ができていないと感じる方、今まで会ったこともない考え方にたくさん出会えるのでおすすめです。





最後までお読みいただきありがとうございました!次回のインタビューもぜひ楽しみにお待ちください。

スペースデータでは、様々なポジションで募集を行っております。詳細は求人票にてご確認ください。
皆様からのご応募を心よりお待ちしております。


デジタルツインクリエイター
JAXAとの共創で宇宙を再現!デジタルツイン開発クリエイター募集!
「宇宙をインターネットのように身近に。」 スペースデータは、衛星データとAIを使って地球や宇宙の環境をデジタルで再現する「デジタルツイン」と、宇宙ロボットや宇宙ステーション用のOS(オペレーティングシステム)の開発に取り組んでおります。具体的には、衛星データとAIを使って地球をデジタルで再現する技術、月面や国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙環境をデジタルで再現する技術、汎用的な宇宙ロボットのソフトウェア、次世代の宇宙ステーションのソフトウェアなどの開発に取り組んでいます。 宇宙と地球をつなぐ「スペース・トランスフォーメーション」を推進することで、誰もが宇宙開発に参入でき、宇宙を活用できる世界を目指しています。また、JAXA・政府・国際機関等と連携し、宇宙技術を通じて持続可能な社会をつくる活動にも積極的に取り組んでいます。
株式会社スペースデータ
地球デジタルツインクリエイター
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「宇宙をインターネットのように身近に。」 スペースデータは、衛星データとAIを使って地球や宇宙の環境をデジタルで再現する「デジタルツイン」と、宇宙ロボットや宇宙ステーション用のOS(オペレーティングシステム)の開発に取り組んでおります。具体的には、衛星データとAIを使って地球をデジタルで再現する技術、月面や国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙環境をデジタルで再現する技術、汎用的な宇宙ロボットのソフトウェア、次世代の宇宙ステーションのソフトウェアなどの開発に取り組んでいます。 宇宙と地球をつなぐ「スペース・トランスフォーメーション」を推進することで、誰もが宇宙開発に参入でき、宇宙を活用できる世界を目指しています。また、JAXA・政府・国際機関等と連携し、宇宙技術を通じて持続可能な社会をつくる活動にも積極的に取り組んでいます。
株式会社スペースデータ


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