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社員インタビューVol.5/プログラミングができないシステム開発部責任者の履歴書

ソフトブレーンが開発・販売している営業支援システムの『eセールスマネージャー』は、パッケージソフトでありながら顧客の実現したいニーズに合わせて様々なカスタマイズ開発が可能です。このカスタマイズを担当するのがシステム開発部ですが、その責任者である三浦健はプログラミングができません。そんな三浦になぜシステム開発部責任者の白羽の矢が立ったのでしょうか、それは入社からこれまでの経歴にヒントがありました。

最初は問い合わせ対応を行うカスタマーサポートチームに配属

営業支援システムの『eセールスマネージャー』を顧客のニーズに合わせてカスタマイズ開発するシステム開発部。4名のプロジェクトマネージャーと9名のプロジェクトリーダーを筆頭に約40名のエンジニアが所属する職人集団です。

2016年7月に責任者を任されたのが、それまでコンサルティング部に所属していた三浦健です。この人事には多くの社内メンバーが驚きました。なぜなら三浦にはエンジニアとしての経験はなく、プログラミングができないからです。

なぜ三浦に白羽の矢が立ったのか、それは2017年4月に勤続10年を迎える彼の経歴にありました。


三浦がソフトブレーンに入社したのは2007年4月。2000年の東証マザーズ上場以来、右肩上がりに売上を伸ばし、05年に東証一部へ上場するなど、ソフトブレーンは第一次成長期のど真ん中でした。

三浦「当時、就職活動中に友人の薦めでソフトブレーンを受けたんです。社内見学をさせてもらって、会社としての活気も感じたし、営業支援というどの業種・業態にも当てはまりそうな市場の拡大余地と、当時IT企業が伸びていたという歯車が噛み合って、入社しました。」

2ヶ月の初期研修を受けた後、三浦は07年6月に『eセールスマネージャー』を利用する顧客からの問い合わせ窓口を担当するカスタマーサポートソリューション部(略:CSS部)カスタマーサポートチームに配属されました。

配属当初は顧客からの電話やメールへの問い合わせ対応、その後はシステムの障害対応などの業務にあたりながら『eセールスマネージャー』の仕様を学び、2012年1月からはCSS部サービスオペレーションチームへ移り、諸条件に応じたサーバーの管理やデータベースの構築など今度は『eセールスマネージャー』をセットアップするためのインフラづくりを経験。また、2011年2月には主任に昇格するなど、CSS部内での経験を順調に積んでいきました。


コンサルティング部で顧客折衝を担当

そんな三浦に最初の転機が訪れたのは2014年2月。コンサルティング部導入コンサルティングチームへの異動を命じられたのです。

導入コンサルティングチームでの三浦の役割は顧客のニーズをシステムに落とし込むコンサルタント。『eセールスマネージャー』を顧客の業務に合わせて運用設計するために、課題のヒアリング、業務の棚卸し・整理を行い、提案することでした。

三浦「それまでは、お客様からの問い合わせ対応はするものの、基本的にはインフラとかサーバーといったマシンを扱う業務で、命令すればその通りに動くという世界だったのが、ある意味お客様ごとに正解が異なる業務へ変わったので、驚きましたね。」

本人にとっては青天の霹靂でしたが、三浦はCSS部でキャリアを積んでおり、『eセールスマネージャー』の仕様に精通し、よくある問い合わせなども把握。さらにインフラについての知識も身につけていたことから、通常コンサルタントでは対応が難しい顧客からの技術的な質疑にも広く応答できるため、コンサルティングを通しての顧客折衝も身につけられるだろうとの判断でした。

三浦「最初は苦労しましたね。営業課題も本当に様々ですし、システムに求めるものも現行の体制や責任者の考え方に大きく左右される。ヒアリングする角度・深度がガラッと変わり、慣れるまではしばらくかかりました。」

実際、導入コンサルティングの業務において大きな割合を占める顧客折衝には頭を悩ませたことも。ある不動産関係会社のシステム導入プロジェクトを担当したときには、顧客の体制がコロコロと代わり、プロジェクトスタート時のメンバーが、3ヶ月ほどでほとんどいなくなってしまい、求める要件が当初と全く異なる結果になったこともあったといいます。

しかし、三浦は業種・業態も異なる様々な顧客の導入コンサルティングをやり遂げ、異動の狙い以上の成果を次々と挙げていきました。その結果、異動からわずか1年、2015年2月には課長職に任ぜられました。


急成長する組織に生じる綻びを補修する縁の下の役割

(写真:社員旅行で関西支社や営業など他部門メンバーと余興を楽しむ三浦)

現在、三浦のシステム開発部でのミッションは、プログラミングを覚えること。。。

では当然ありません。三浦に課せられているのは、職人集団のマネジメント、営業・コンサルティングなど他部門との連携サポート、そして部内における業務の標準化です。

実際にカスタマイズ開発を行うのはエンジニア。特にプロジェクトマネージャーを担うメンバーはプログラミングの技術はもちろん、顧客折衝や要件定義もしっかりこなせる面々です。しかし、職人肌ゆえに、クオリティを追求しすぎるあまり、自身の業務過多に繋がったり、仕事の仕方が属人的になりがちという課題がありました。

また、同じ顧客の案件でも、入口の部分で顧客企業のトップと関わることの多い営業やコンサルタントと、実際の開発場面で顧客企業のシステム部門や現場マネージャーと関わることの多いエンジニアでは、見解にズレが出ることもしばしばです。

そんなシステム開発部を上手くまとめるにあたり、良い意味で職人ではなく、複数の部署で実績を残してきた三浦に、会社が期待しての抜擢だったのです。

実は、それまで責任者を務めてきたメンバー達には、優秀なエンジニアだからこその弱点がありました。自身も手を動かせてしまうからこそ、部下の抱える問題を、マネジメントによって解消するのではなく、ついつい自分が解決してしまう。職人気質ゆえの課題でした。

それに対し、三浦は自身がエンジニアとして「手を動かせない」からこそ、マネジメントに注力。業務プロセスの見直しやチーム編成の最適化に着手し、組織改革や業務の標準化が着々と整いつつあります。

エンジニアのマネジメントをするのにプログラミングに関する知識がなくていいのか。会社によって判断は別れるかもしれませんが、三浦の場合、逆にプログラミング以外のことは会社・商材・顧客について熟知。また前段のコンサルティング部での活躍には、部下育成や周囲の部門フォローなども多く含まれており、チームマネジメントという面ではむしろ、親分肌で人望の厚い三浦に対し、職人集団のシステム開発部からも驚きはあれど反対の声は出ませんでした。

三浦「確かに技術についての知識は少ないかもしれませんが、そういった面でのメンバーの教育、マネジメントはプロジェクトマネージャー、プロジェクトリーダーがサポートしてくれます。私は彼らがしっかりとプロジェクト運営できる環境を整えるのが仕事だと思っています。」


そして、本人も自身のここまでとこれからを踏まえて感じていることがあります。

三浦「今、振り返ってみると、私が異動になったタイミングというのは、その部署がヘルプを欲しているとき。人の異動であったり、業務量の増加だったり、現状の体制ではメンバーへの負荷が高まるというときでした。」

実際、ソフトブレーンは2008年~2011年の4年間は業績が低迷しその後2012年からは反転、V時回復で売上高が順調に伸び、利益も伸びるようになりましたが、業績低迷からの反動が大きく組織として安定しているとは言い難い状況でした。三浦は、そのような体制が整っていない中、急成長していく組織でどうしても生じてしまう綻びを縫い合わせる重要な任務をこなしてきたのです。

三浦「現在、会社は第二次成長期に突入しています。その分、お客様からのカスタマイズ要望に応えるシステム開発部への業務依頼も急増しており、今は良くても、この先一人ひとりのメンバーにかかる負荷が大きくなるのは目に見えています。そういった状況に陥らないよう、更なる業務の標準化に着手するとともにプロジェクトマネージャーとマネジメント体制の強化に取り組むことで、受注が伸びても応えられる強靭な組織に作り変える。その役割が、今回は求められていると思いますね。」

2017年6月に創業25周年を迎えるソフトブレーン。その歩みは順風満帆と言えるものではありませんでした。三浦はまさに第一次成長期のピークとなった2007年に入社。その後、大幅な減収減益から倒産危機、V字回復までの期間を屋台骨として支えてきたのです。

そして今、ソフトブレーンは2016年12月期、3期連続の過去最高売上を更新するとともに、営業利益・経常利益・純利益も過去最高を達成、踊り場を抜け出し、さらに成長を加速させていこうとしています。その中で三浦のミッションは、成長痛を少しでも和らげられる組織をつくること。これは10年弱の間に3つの部署を軌道に乗せてきた三浦だからできることだと言っても過言ではありません。

近年は部署毎の役割や採用・育成フローが整いつつあり、キャリア入社はもちろん、新卒入社でもここまでの部署異動を経験することはなくなりました。職務としても顧客接点としても実感値を幅広く持っている強みは、今後、より希少性を増します。こういった観点からも、プログラミング“は”できないシステム開発部責任者に期待される役割は大きく、引き続き活躍を追いかけていきたい社員の一人です。


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                   企画・写真 高野未希

                インタビュー・文 具志堅遥

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