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社員インタビューVol.4/SFAメーカーの営業部長が“営業のコア業務”に専念できる環境を作るとこうなった

営業支援システムのeセールスマネージャーを販売するソフトブレーン。その中で新規開拓を担う営業1部の部長が柿崎太郎です。柿崎は、入社以来、営業担当者が営業に専念できる環境づくりを進めてきました。“営業のプロ集団”を自認するソフトブレーンの営業部長が考える“営業のコア業務”。その一端を紹介します。


営業が“営業のコア業務”に専念できる環境づくりに興味

2010年6月、柿崎太郎、31歳は悩んでいました。

友人が起業したIT系ベンチャーへ営業組織づくりに協力するために入社して2年が経った2008年。結婚、自宅の建替えなどのライフイベントが重なったことから、安定した環境で働こうと転職したものの、オーナー社長の朝令暮改が当たり前の不動産会社、電車がない時間の出退勤でガソリン代も出ないのに埼玉から横浜まで車で通うヘルスケア系の広告代理店、と立て続けに会社選びに失敗。その間、第二子を授かり、次はミスが許されない崖っぷちの状況だったのです。

選択肢は5つ。営業部門責任者や事業マネージャーとしての誘いなど、魅力的な転職先が4つ並ぶ中、新卒に毛が生えた程度の条件でソフトブレーンの営業職のオファーがありました。普通なら(自社のことをこのように言うのはどうかという声もあるかもしれませんが、昔の話ですので時効とさせていただきます)、ソフトブレーンは選択肢に入らないはずですが、柿崎は何に悩んでいたのでしょうか。

「他の4社は『全部、自分でやってください』みたいな感じで、やりがいもあるし、できるとは思いました。ただ、直前に2度失敗していましたので『これ以上家族にリスクを追わせることはできない』、そういった気持ちがあったのも事実です。ただ、面接の時に『営業が“営業のコア業務”に専念できる環境を今からつくろうとしているんだよね』と言われたことに、「この会社は何をやろうとしているのだろう」と興味を持ちました。」(柿崎)

※営業のコア業務とは=ソフトブレーンでは、プレゼンやヒアリング、クロージングなどの顧客接点に関わる業務を”営業のコア業務”と位置づけています。

ソフトブレーンという会社に興味はあるけれども、提示されたオファーが希望と合わない柿崎。月々の生活費に、家のローン、子供のミルク代。それまでと同じ生活をしようとすると、毎月赤字、ボーナス入れてもギリギリ赤字という金額でした。

「金額について交渉したけど『上げられません』の一点張り。じゃあ、年収を12分割での支給にできませんかと伝えたら『12分割ならいいですよ』と。その反応も面白いなと思って、じゃあ考えてみようかとなったわけです」(柿崎)

現在のソフトブレーンは年収を12分割して支給する仕組みですが、当時は16分割でした。柿崎は形だけの夏、冬のボーナスよりも毎月の生活費と考えたわけです。また杓子定規な反応ではなく、柔軟さがあり、「一部上場、でもベンチャー」というマインドも魅力的に映りました。

こうして2010年7月、柿崎は人事の「うちはベンチャー気質なので成果を出せば上がりますよ」という言葉を信じ、奥様とは「1年だけ自分の実力を試させて欲しい」と約束し、ソフトブレーンへ主任として入社。1年後には当時の誰よりも実績を積み重ね、一足飛びで課長へ昇格を果たしました。


営業プロセスの本質は会う、話す、売るの3ステップ

入社時にソフトブレーンの取り扱うCRM/SFAについての深い知識があったわけではないにもかかわらず、1年でトップセールスへと駆け上がった柿崎。もちろん提案先の企業もこれまでとは異なります。商品も顧客も異なるのに、なぜ、売ることができたのでしょうか。

「扱う商品やお客様が変わっても営業プロセスの本質は変わらないと思います。それは会う、話す、売る。特に『話す』の部分は、相手との信頼関係を構築する段階とヒアリングの段階があります。この信頼関係はよく勘違いされがちですが、『飲みに行く関係』ではなく、『柿崎になら話してもいいかなと思ってもらえる関係』です。そのためには相手のことや会社のことを知る必要があるし、業界についても詳しくないといけない。だから信頼関係づくりのための事前準備は特に重視していました。」(柿崎)

柿崎が重視していた事前準備は、ソフトブレーンにおいても重要な営業プロセスの1つです。しかし当時は何を“事前準備するのか”は、人によって様々でした。そこで柿崎は上司とともに、自身の理想とする行動をベストプラクティスとして、業務内容の標準化に着手。例えば、事前準備も単に「訪問先企業のHPを見る」のではなく、有価証券報告書や採用サイトまで含めて訪問先企業の「どの情報を収集するか」というところまで定義。漠然とした業務プロセスではなく、1つ1つの業務を丁寧に棚卸しして、「具体的に何をやるか」を定めることで、お客様の業種・業態に関係なく通用する現在のソフトブレーンの営業スタイルのベースを構築しました。

こうした功績が認められ、また、プレイヤーとしても売上に大きく貢献していたことから、2013年1月、入社から約2年半で新規開拓部門の部長に任ぜられました。


無駄な作業は断捨離が必要

営業活動については「上から何も言われたことがない」という柿崎ですが、部長職になりマネジメントについては「色々と言われました」と苦笑します。時には、「こんなに言われるのだったら、辞めてしまおうか」という考えが頭をよぎることも。そんな柿崎を支えたのは、指摘もするけれども、腹を割って話すことができる経営陣、そして部下の成長でした。

マネジメントの楽しみを覚えていく中で、2016年7月、柿崎は新規開拓部門にリーダー制を導入します。当時の部門は、部長の柿崎、課長が1人、係長が2人、主任が2人、一般社員が6人の計12人で案件数は数百抱えている状態。いわゆるマネージャー層は2人で、部下、特に一般社員の案件まで細かく見ることができていませんでした。そこで、係長、主任をリーダーとして、その下に一般社員をつけるチーム制を導入したのです。

その狙いは案件の細かなマネジメント、リーダーの成長、課長への刺激の3つ。案件の細かなマネジメントとリーダーの成長は表裏一体で、リーダーはこれまで自分が言われていた事、指摘されていたことをアウトプットすることで自身の成長につながり、チームメンバーは個々の案件を細かく見てもらうことができます。また、係長や主任がリーダーとして成長することで課長への刺激にもなると考えました。

「リーダー制の導入は手応えを感じています。特にリーダー陣は、自分の業務をこなしつつチームメンバーに指示を与えるわけで、これまでと同じ仕事の仕方では通用しない。自分の業務を棚卸して、無駄な作業を断捨離する必要があるし、部下への指示についても1から10まで面倒見ていたら倒れてしまいます。だから『何を伝えるか』を考えなくてはいけない。それができるようになりつつあり、飛躍的に成長してくれています。」(柿崎)


営業のコア業務に集中できる環境を受け入れられるか

最近、柿崎の仕事の楽しみは部下が成果を出すことです。

「営業の評価は数字。私自身もそこにやりがいを感じていました。しかし、マネージャーとなり、部下を“会って、話して、売れる営業”にするための仕組みづくりに関わってきた中で、いつの間にか自分の成績よりも部下の成果に価値を感じていることに気が付きました。」(柿崎)

ソフトブレーンでは営業部門に配属されると、新卒・中途関係なく、「ソフトブレーンの型」を学びます。このソフトブレーンの型は柿崎や営業部門の取締役が顧客に訪問する際の事前準備や、提案手法、クロージングの仕方まで、いわば“営業のコア業務”を標準化したもので、現在のソフトブレーンにおける営業活動の行動指針となっています。

この型を学ぶことで、新卒・未経験であれば、まずは示された通りに進むことができ、既に営業経験があれば、これまでの経験を指針に合わせて活かすことができます。

「型を学んだとしても、売れる営業と売れない営業の違いは事前準備や情報収集にどれだけ時間を使えるかにあります。でも時間は有限。だから無駄な作業を断捨離して、“営業のコア業務”に集中する必要があります。それができるメンバーを見るとキャリアや経験は関係ないなと思いますね。」(柿崎)

実際、リーダー3名のうち2名は、営業未経験の女性、代理店営業出身の男性とITや当社の営業とは異なる出身ですが、ソフトブレーンの型を学び、短期でリーダーとして成長しています。


さて、営業が“営業のコア業務”に集中できる環境というフレーズに惹かれ、自身もその環境づくりを担ってきた柿崎。その一例として業務の断捨離とも結びつくピールオフという仕組みを紹介します。

ピールオフとは、「引き剥がす」「剥ぎ取る」という意味ですが、例えば名刺情報の入力や見積書作成、アポイントの調整、経費精算などの作業はすべてアシスタントや専門部署へ依頼し、お客様への訪問や提案書の作成、プレゼン、商談のクロージングなど営業担当者が注力すべきコア業務に集中してもらう仕組みです。一般的な企業では社長や役員などのポジションになって初めて秘書が対応するようなお客様とのアポイント調整もピールオフできます。中途入社でソフトブレーンの営業部門に入った方の多くが「こんなことまでお願いしちゃっていいの?」と驚く鉄板の仕組みです。(※ピールオフの解禁は基本的には試用期間終了後です)

ピールオフ以外にも、仕組みづくりや体制構築、ノウハウ蓄積が実を結びつつあり、着実に営業が“営業のコア業務”に集中できる環境は整いつつあります。


ソフトブレーンでは、営業支援システムを販売する“営業のプロ集団”が、その能力をいかんなく発揮できるよう、かつ、単にコトバだけのものとなってしまわぬよう、今後も全社でこの取り組みを推進していきます。


                 企画・写真 高野未希


               インタビュー・文 具志堅遥

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