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一人ひとりが“生きている”と自己主張できる。そんな組織を作りたい――代表インタビュー後編

自然体であること。

それは「無理してはいないか」と常に社会へと、そして自分へと問いかけること。

その問いかけは、生まれてしまったどうしようもない歪みを正す可能性を持っている。けれど、ただ甘ったるい蜜のようなものではない。

蜜を吸って、悠々と暮らす。それはスカイベイビーズの考える“自然体”ではない。

では、僕たちスカイベイビーズはどこに向かっているのだろうか。

後編では、僕たちが掲げる“自然体”について、そして、そこから導かれるスカイベイビーズの組織観についてお届けする。

代表インタビュー前編
https://www.wantedly.com/companies/skybabies/post_articles/335369

世の中には無理している人が多い。だから自然体を掲げた

―― 僕もそうですが、“自然体”というコンセプトに惹かれる人は多いと思うんです。どういう流れで、会社のコンセプトとして定めたんですか?

きっかけは、「僕が自分の最大価値」を考えてみたこと。僕が僕であることの一番の価値ってなんだろう、と考えたときに導き出されたのが、“自然体”という言葉でした。

―― もともと安井さん個人のコンセプトだったんですね。安井さんにとっての自然体、とはどのような状態なんでしょう?

いろいろあるけど、ひとつは「選択肢を複数持っていること」かな。自分がジェネラリスト志向ってのもあるけど、「この道しかない」という生き方はできないと思っていて。

それは山梨との二拠点生活を始めたのもそうやし、スカイベイビーズ以外の仕事を兼業しているのも同じ理由。ひとつに制限されると、どうも息苦しくなってしまうんです。

―― なるほど、楽に呼吸をしているというか。

しばられないことが、自分が考える最大価値なんじゃないかなって。それが、自分にとっての自然体なんじゃないかと。

そう考えるようになったのは、無理している人、自然体だとは思えない人が周りに多かったからやと思いますね。

―― 無理している人?

例えば、SNSでの自己アピールに必死になっている人だとか、仕事で自分の身の丈以上のものを求められて苦しんでる人、周囲の文化に馴染めないまま、そこにしか居場所がなくなってしまってる人とか。自己肯定感の獲得や、生存のための仕事のおかげで、どこかに歪みが生まれちゃってる感じ。

―― たしかに、無理している人は多いかもしれませんね。歪みという言葉はしっくりきます。

特に、30歳で東京に出てきて強く感じたんです。自分以上を生きようと必死な空気感を。本当にやりたくてやっているんやったら、問題はないと思う。でも、きっと違う気がした。

「そんな人が多い世の中でいいのか?」って考えたとき、“自然体で生きる人を増やす”ことを自分の生きる道にしてもええんちゃうかなと。それがきっかけで、スカイベイビーズのコンセプトにも“自然体”を取り入れることになったんです。

自然体でいることは、甘いことではない

ーー 安井さんが考える“自然体”って、どのようなものなのでしょう?

一言で表現するのは難しいよね。

でも、よく「ゆっくりほっこり仕事できることですか?」って言われることが多くて。それは違うって強く言っておきたい。

―― 怠けていいわけではないですもんね。

実際、スカイベイビーズのみんなは結構忙しい(笑)。自然体といっても、一生懸命には生きるんですよ。言うなれば「自分が持っている価値を、正しく発揮できている状態」かな。

「社会に対して、組織に対して自分は何ができるか」を常に自問し続ける。そして自分の役割だと自覚できたものに対して、価値を発揮する。それが僕の思う自然体。

―― あくまでも価値の発揮に主眼がある。

そう。その人が持っていないことをやらせるのは、不自然かもしれない。けど、自然の中にあるもの、組織の中にあるものにはすべて「価値」がある。だからこそ生存できるし、存続できる。その「価値」を全うしないのは、逆に不自然やと思う。

あなたの価値を、シンプルに発揮してね、ということです。

―― ある意味では厳しい側面もありますよね。ただ自分らしくいれば良いわけではない。みんなが自然体であるためには、どうしたらいいのでしょう?

それには「互助」が必要だと考えていて。自分はこっちを担当するから、あなたはそっちをお願いね、というような。

その人が価値を発揮するための場は、みんなで作り合わないといけない。助け合って、チームでコトに向かうからこそ、自然体でいられる余地も生まれる。会社や組織という共同体が存在する意味は、そこにあるんじゃないかなと思います。

自己の生存を確立できる組織を目指して

―― 一人ひとりが自然体でいるための組織って、どのような組織なのでしょうか?

ティール組織って言葉が流行ったけど、それに近いかな。ヒエラルキーが影響力を持つ組織にはしたくない。全員がフラットな関係性でいたいですよね。

序列が生まれると、「お伺いを立てる」みたいな無駄なやり取りも生まれてしまうでしょ。その結果、許可がないと動けない、決断ができない、自走できないといった現象が生まれる危険性がある。

―― たしかに、自らの価値発揮はしにくくなるかもしれませんね。

各自が考えて、各自が決めればいいんですよ。やった方がいいと思ったら責任を持ってやったらいいし、そこで軋轢が生まれるのなら自分で調整すればいい。

それが、自分の価値を全うすることやと思います。

―― とはいえ、いきなり自分で考えて動け、と言われても難しいですよね。そのためには何が必要なのでしょうか?

理解者、ですね。あなたの強みはこれだよね、あなたの弱みはこれだよね、って理解してくれる人。そういう理解を組織の中で互いに持てていれば、自分の役割や価値を認識しやすくなる。

―― なるほど。他者の理解をもとにして、自分の役割を把握する。

そして、他者を理解するには、組織のなかの多様性が必要になってくる。

―― 多様性ですか?

例えば、物事を深く考える人と、直感的に考える人の2種類しかいないと、互いを理解するのは難しいですよね。両極端がゆえに、対立が生まれてしまう。

でも、その間にいる人がいれば、その人が2人の考えを翻訳することができる。間に立つ人がいることで、互いの理解が進む。組織にいる人の種類が多ければ多いほど、そうやって理解できる人が増えていくと思うんです。

―― 多様性があるから、互いの理解者や翻訳者がいる状態になるんですね。

その結果、みんなが自然体でいられるんだと思います。それぞれが勝手に動いて、バランスを勝手にとっているような組織。みんなが自分の生存や自己主張を確立している、そんな組織にしていきたいね。

そのためには、まだまだ人は増やさないといけない。でも、誰でもいいわけじゃない。スカイベイビーズのあり方って、かなり特殊ですし。

僕たちの自然体ファーストで考える特殊なあり方に共感したり、面白いと思ってくれる人と、組織を作り上げていきたいですね。

僕たちの組織は、特殊だ。それは間違いない。

けれど特別ではない。きっと誰もが“自然体”になれる可能性を秘めている。

一人ひとりの存在は小さい。それでも、あなただけの答えが存在しているはず。

その答えを探究する場所が、スカイベイビーズなのかもしれない。安井さんへのインタビューで、そう感じることができた。

僕たちが“自然体”を追求することで、一人ひとりが持つ答えが光り輝く。そんなうねりを生み出すことができればと、そう思う。

(執筆:安久都智史)

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