衣服づくりにのめりこむきっかけは、
これまでにないものを生み出せるおもしろさ
昔からずっとファッションには興味があって、服飾の専門学校を卒業後、染物の会社で少し働いた後は自分でブランドを立ち上げて運営していました。好きな服を買ったり、販売をしたりするだけではなく「自分でつくろう」と思ったきっかけは、高校生のときのあるイベントですね。コレクションブランドが流行していたこともあり、ファッション選手権のような企画が全国区で開催されたんですよ。それに友だちと出よう!という話になって、ジャケットのデザイン画を描いて、家庭科の先生に教えてもらいながら実物をつくって。イベント当日は、つくったジャケットを着て友だちがランウェイを歩いたんです。もともと絵を描くのは好きだったんですけど、描いたものが形になって、それを友だちが着てたくさんの人の前を歩いてる・・・その光景にすごく感動しましたね。自分の手で二次元を三次元にできる。今までなかったものを生み出せる。そのことに、「うわあ」って圧倒されて(笑)。このときの、湧き上がってくるような気持ちが、今の仕事にもつながっています。「自分のつくりたいものをつくるには、どうすればいい?」と悩んでいるお客さんに出会うと昔の自分を思いだすし、気持ちがすごくわかる。形にしてあげたい、って思うんです。
※自身が立ち上げたアパレルブランド
トラブルには、同じ目線で向き合う。
それが信頼関係構築につながる
シタテルでは、生産管理をメインに、案件によっては顧客対応まで幅広く手がけています。ここで働き始めてからは工場のこともよく見えるようになったので、つくり手のニーズを完璧に満たすのがいかに難しいかということもわかってきました。何らかの外的要因で工場の作業が遅れ、お客さまの要望が通りそうにないという場合など、「お客さまの気持ちもわかるし、工場の言い分もわかる」という板挟みの状態になったときには、つくり手と工場、どちらの気持ちにもきちんと寄り添うことを大切にしています。特にお客さまに対しては、「なぜそうなったのか」を徹底的にヒアリングしてクリアにした上で、わかりやすい言葉で経緯と今後の対応についてご説明するところから始めるように心がけていますね。できれば同時に新たな提案もして、関係性が途切れないようにしていきたいと思っています。工場に対しても、トラブルが起きたからといってやみくもにダメ出しするんじゃなくて、なぜトラブルが起きたのかという根本的な問題に一緒に向き合うようにしてきました。なるべく内部まで入り込んで、自分たちも業務改善に協力するという姿勢が、信頼関係につながっていくんじゃないかと思っています。
誰もやったことのないことをやる。
会社が持つ革新性にわくわくする
型もレシピもない状態から人の手で行われる衣服づくりには、トラブルがつきものです。シタテルは、そうしたトラブルを、テクノロジーでなくしていこうとしているんですよ。数値化や均一化は難しいとされていたところに手を入れて、業界を変えていく。そういう革新的なところが、「おもしろいな」って思いますね。実際、こんなに刺激的な会社って、僕の知る限り熊本にはあまりないんじゃないかな。みんな衣服が好きで、思い思いの格好をして仕事をしているのも好きなところです。しかも、エンジニアとかデザイナーとか、アパレルの会社にはいないような職種の人がたくさんいて…。仕事がまったく違う人と同じものをつくるのは大変だけど、それ以上にわくわくしますよね。僕はずっと自営業でしたから、同僚とはたらくっていうこと自体が初めてだったんですよ。組織でちゃんとやっていけるのかな、って不安もあったんですが、職種に関わらず同じ志をもった仲間がいるということにとても助けられました。開発とか、別の部署の人ともよく話をしますよ。社内でも社外でも、やっぱり重要なのはコミュニケーションだと思いますね。僕のモットーは、「気づいたことはすぐに言う」。システムに対する要望や新しいアイデアなんかも、なんでそう思ったかという感情が薄れないうちにどんどん伝えるようにしています。今後は、蓄積されているパターンのデータをライブラリとして生かして、エンターテイメント業界と結びつけていけたらおもしろいんじゃないかなと思っています。実現するにはいろいろ難しい障壁もあるでしょうけど、自分たちで、どんどん新しい可能性を探っていきたいですね。