開発会社を経てSHOWROOMへと入社したフロントエンドエンジニアの尾松 恵美佳。これまで受託開発で、多くのアプリやWebサイトを手掛けてきましたが、SHOWROOMで働く日々に、これまでには味わえなかった感触を得ています。エンジニアの枠を越えた成長をしていきたいと語る尾松の意欲。その源泉とは──。
音楽が好きだからこそ開けたエンジニアへの道
一度は「趣味でいいや」と離れたものの、SHOWOROOMで働くことで、音楽を仕事にすることの幸せを感じられていると語る尾松。
もともとエンジニアを目指したのも音楽がきっかけでした。
尾松 「田舎出身というのもあるんですけど、楽しみが音楽しかなかったんです。小さいころからピアノを習っていて、小学校では合唱部に。高校では吹奏楽部。音楽漬けの学生時代でしたね」
吹奏楽で担った楽器はクラリネット。「音量はすごく小さいし、見た目も地味」などと尾松はいいますが、ときには主旋律を奏でるなど、楽曲の骨組みを支える大事な存在でもあります。あまり前には出ないタイプだと自負しながら、副部長にも指名された尾松にぴったりの楽器です。今でも「仕事は粛々とこなすタイプ」と自分を評するバックボーンには、こうした経験が息づいているのかもしれません。そのあと、尾松は大学へ進学します。
尾松 「専攻は情報工学でした。そこで音声や音響といったものを研究したかったんです。実際に取り組んだもののひとつには、音のQRコードとも呼べるようなものがありました。 QRコードといえば、特定のパターンを持った画像から情報を読み解る技術ですが、私は、音の構成から情報を抽出するといったことを研究していました」
きっかけこそ音楽でしたが、尾松は次第にシステム開発の楽しさと意義を学んでいったといいます。 そして、尾松が大学に在籍した当時はスマートフォンが爆発的に普及した時代でもありました。
尾松 「大学に入るまでは音楽に携わる仕事をしたいと思っていたのですが、これからもっとITで社会が変わっていくだろうという実感があり、それが音楽に限らず広くエンジニアという職で社会貢献していきたいと考えるようになったきっかけになったんです」
プロダクトへの憧れとSHOWROOMへの共感
エンジニアを志望しつつも、具体的なビジョンを持てずにいた尾松は、まず成長性を求めてアプリケーション開発を行う企業に就職。フロントエンドエンジニアとなりました。受託開発をメインとするその企業では、狙い通りさまざまな案件に携わることで、短期間でスキルを伸ばしていくことができたといいます。
尾松 「企業のコーポレートサイトの制作や、アプリ開発など、業種・業界を問わずいろいろやりましたね。6年間在籍したのですが、本当にいろんな経験をスピード感もってできたので、最初の就職先としての選択に間違いはなかったと今でも思えます」
しかし、どんなに経験を積めるといっても、手掛ける仕事は受託がほとんど。経験を積むほどに独自にプロダクトを持つことに対する憧れが強まっていきました。
尾松 「同時に2、3の案件をやっているようなときには、本当に自分が良いと思えるものをつくる余裕もなく、納期を優先した開発を行なってしまっていたのが実際です。 ひとつのことに集中できるような会社。つまりは、同時にプロダクトを開発する事業会社への転職を考えるようになりました」
そんなとき尾松の目に止まったのがSHOWROOMでした。実は尾松、前職でSHOWROOMの開発に携わったことがあったのです。そしてそれ以前から、ユーザーでもありました。
尾松 「当時AKB48グループが好きで、SHOWROOM限定の総選挙へ参加するために利用していました。テレビで放映されていた総選挙では、自分が応援したい子に投票が集まらなかったのですが、SHOWROOMでは、選抜にも選ばれるほどの人気を得たんです。 ファンとしてその子の頑張りが報われたような気がして、とても嬉しかったですね」
「努力がフェアに報われる世界を創る」SHOWROOMが掲げるミッションの意義を尾松が実感した瞬間でした。
尾松 「アプリの開発に携わったときも、SHOWROOMの社員の雰囲気の良さに惹かれましたね。そのときは、他の案件と掛け持ちだったので、とても短い時間しか過ごせなかったのですが、もう一度、SHOWROOMに関わりたいという想いが、転職を考えたときに高まってきたんです」
ユーザーとの近さが教えてくれたエンジニアの醍醐味
晴れてSHOWROOMへの仲間入りを果たした尾松は、フロントエンドエンジニアとして、Webアプリ開発を担っています。入社して間もなく手掛けたのが、有料ライブ配信機能「プレミアムライブ」でした。
Withコロナ時代に、大規模なライブが開けないミュージシャンなど、エンターテイナーたちの新たな収益軸をつくるということが開発の目的です。
尾松 「コロナ禍でライブができないミュージシャンの方が大勢いらっしゃいます。 SHOWROOMには、ギフティングシステムがありますが、それとは別に、実際のライブと同じようにチケットを販売することのできるプレミアムライブをリリースしたことで、『やっと音楽活動を再開できた』といった声を聴くこともでき、自身の仕事の価値を実感できましたね」
プレミアライブの開発は、尾松にとって事業会社で働く楽しさを噛みしめさせるものでした。
尾松 「受託開発だと、全体像を設計したあとに一気に開発、その後にテストを繰り返し、やっとリリースするという、いわゆるウォーターフォール型の開発で、リリースまでに長い時間をかける場合が多かったです。 プレミアムライブの開発は、ユーザーの反応を得て改善していくことを前提としたアジャイル型で、小さな機能単位でリリースしていったんです。そのスピード感と、ユーザーからの反応をすぐに得られる手触り感に、エンジニアとしての醍醐味を感じましたね」
また、何よりも自分の好きな音楽というジャンルでシステムを開発し、ミュージシャンが使ってくれていること。そしてその配信を、自分自身ユーザーとして視聴するという体験ができたこと。これまでに感じ得なかったプロダクトと自分自身の身近さが尾松に強い感動を与えていました。
尾松 「人の役に立つものという前提で、自分の好きなこともできているという感じです。やっぱりモチベーションは、ぐっと上がっていますね」
“コト”に向き合うからこそ、活躍の幅を拡げたい
プレミアムライブの開発を経て、SHOWROOMにも馴染んできたという尾松があらためて感じているのは、社員皆が、自分と同じように、SHOWROOMのプロダクトそのものを好きでいるという事実でした。
尾松 「ユーザー視点で『自分はこうしたい』といった意見が社内に飛び交っているんですよね。職種や立場、チームは関係ありません。 誰もが、自分の立場にかかわらず、『SHOWROOMをより良くしたい』という“コト”に向き合って、本質的にどうあるべきなのかを考えているんでしょう。何よりそんな環境がSHOWROOMにはあるのかもしれません」
尾松は、そんな傾向を自分自身にも感じ取っています。
尾松 「SHOWROOMはライブ配信サービスの中でも歴史があるほうです。アプリの裏側には、最近では使われないような古いコードも残ってしまっていて、将来的にメンテナンスがしにくくなるといった懸念をはらんでいます。 そうしたコードを、他の人が見てもわかりやすく、直したり、書き加えたりしやすいコードにしていくという作業を地道にやっているんです」
既に、SHOWROOMのエンジニアとして、事業の成長に欠かせない働きを果たしている尾松ですが、今後はエンジニアリングにかかわらず、活躍の幅を拡げていきたいと語ります。
尾松 「前職では完全に自分の成長のために働いていたのですが、SHOWROOMには、サービスそのものが好きで入ったんだな、とあらためて感じています。 技術ベースではなくて、SHOWROOMに還元できるようなスキル。たとえばデザインやマーケティングといった知識も増やしていきたいんです」
SHOWROOMという環境で、一度は「趣味でいいや」と離れた音楽を仕事にし、“コト”に向き合えるようになった尾松。
自分自身の可能性を無限に感じられるからこそ、エンジニアという枠組みに収まらない成長を誓っています。
2020.08.28