なにをやっているのか
人間にとっては畑に生える青草は雑草だがニワトリにとっては新鮮なサラダである
人口1350人の村で平飼い有精卵を生産し6次産業化を通して小さくても強い農業/畜産業を実現する
わたしたちは中小企業の新規事業開発に特化した編集会社です。会社の今を支える既存事業(利き腕=右腕)ではなく、未来を迎え入れるために手探りする新規事業(左腕)にこだわります。言葉のちからで経営の言語化を。デザインのちからで事業の具現化を。言葉とデザインによる編集で社長の左腕を支え、企業経営に伴走します。創業からクライアントワーク主体で事業展開してきましたが、今後は自主事業や自社ブランドを強化していきます。その第一弾として平飼い養鶏事業に取り組みます。
なぜやるのか
1350人の西粟倉村内の現役農家は60歳以上が大半を占め、20〜40歳代は片手で数えるほどしかいない
耕作放棄地化された小さな田んぼでも養鶏を事業化することができれば多地域に展開できる
◎なぜやるのか?
・親戚がバタリーケージで排卵鶏14万羽を飼育していたが鳥インフルエンザにより全羽屠殺。物価の優等生といわれる卵の安売り主義に違和感を感じ、動物福祉と持続性を両立する平飼い養鶏をしたいと思ったから
・未利用資源と人の生活の間にニワトリが介在し美味しい循環が産まれる仕組みを構築したいから
・耕作放棄地が激増する中山間地で小さくても強い畜産業/農業を実現したいから
・日本人が年340個食べ、日常に溶け込んだ食材から命を考える機会を届けたいから
◎背景:ニワトリを飼い始めたら生ゴミが発生しなくなった
西粟倉村に移住した2015年に狩猟免許を取得し、くくり罠猟を始めました。同年、耕作放棄地を借りて夏野菜の栽培を始めました。いずれもお金に依存せず美味しい食料を調達できるようになりたいと考えたことがきっかけです。
2020年に自宅でニワトリの飼育を始めました。4年間で名古屋コーチン、岡崎おうはん、烏骨鶏、アイガモと40羽以上を飼育してきました。有精卵を孵化させ、ヒヨコを育て卵を収穫し、卵を産まなくなったメスや肉が付いたオスは屠殺して肉を食べる…というサイクルを回しています。
スーパーマーケットで卵を買うことは一切なくなりました。我が家のニワトリが産む卵が一番美味しいからです。
ニワトリを飼い始めたことで我が家では生ゴミが発生しなくなりました。キャベツの芯や魚の内臓もニワトリにとってはごちそうだからです。鹿の端肉はもちろん、草刈りで発生した青草すら食べてくれます。近所の農家さんが「くず米をやるからニワトリの餌にしたらええがよ」とおすそ分けしてくれるようにもなりました。
人間が食べない生ゴミや未利用資源を食べることでニワトリは美味しい卵を産んでくれます。なによりホームセンターで手に入る配合飼料を与えるよりも、地域の恵みを凝縮した卵の方が臭みがなくすっきりした味わいで美味しいのです。
◎数字で見る養鶏業
・日本人は年間340個(1人1日1個!)を食べる卵大好き国民。メキシコに次ぐ世界2位。また日本の卵自給率は1960年以来94%と高水準
・日本の畜産業は配合飼料の原料(穀物)を海外に依存しており、配合飼料費は経営費の6割を占める。特に養鶏業は米国のトウモロコシ価格に影響を受けやすい
・国内の飼育戸数2000戸のうち、10万羽以上を飼育する上位20%が国内飼育羽数の80%を占め、年を追うごとに大規模化が進んでいる。平飼い養鶏は100羽飼育の個人事業主から10万羽飼育(従業員60名程度)までさまざま
・バタリーケージ飼育の卵は1個20‐30円程度だが、平飼い飼育の卵は1個50-100円と高単価。排卵鶏は年間300個の卵を産むため、季節での売上変動が起きにくい。農地(鶏舎)面積あたりの売上が高い農業といえる。1反(1000㎡)あたりの売上2000万円が可能
・鶏舎はビニルハウスや単管パイプのセルフビルドで建てることができるため初期費用を抑えやすい。100㎡で100万円〜。また、農業用施設の範疇(200㎡以下)の木造鶏舎なら田畑でも建設可能であり、地目変更の必要もない
どうやっているのか
地域の未利用資源量に重点を置いた飼料自給率の高い平飼い養鶏モデルを構築する
代表の羽田はくくり罠の猟師としても活動する(9年目)。養鶏事業に取り組む知社集落唯一の猟師でもある
2022年8月に創業した設立2年目の会社です。現在は代表の羽田知弘とデザイナーの鍋島奈保子の2名体制ですが、今後スタッフを増やしながら事業拡大の予定です。職場の雰囲気というよりは羽田と鍋島の雰囲気を知ってもらえるように面談を進めていきたいと考えています。
西粟倉村は人口1350人の小さな村ですが、移住者が250名以上生活しています。また過去15年で新しく生まれた事業体は50事業体以上と言われ、売上合計は23億円を越えます。毎年のように移住者や新規事業が生まれている村です。