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SEESAWのコーポレートサイトデザイン設計法(前編:分析〜設計)

デザイン会社は日々いくつものデザインを世に送り出しています。しかし、コンプライアンスの観点から、クライアントワークのデザインプロセス事例は公表することが難しい場合がほとんどです。そこで今回の記事では、SEESAWの自社コーポレートサイト事例をもとに、私たちがどのように設計から表現の一連のデザインを行なっているのかを詳しく解説します。ひとつの制作方法として参考になれば幸いです。

STEP1:リニューアルの目的を明確化

SEESAWはここ数年で事業の方向性が変わりました。

設立当初は広告とグラフィックデザインが主軸だったのが、UI/UXデザインやブランディング、新規事業開発に少しずつ比重が変わってきたため、現在の事業内容と自社サイトの掲載内容に乖離が生まれてきていたのです。これでは発注者や求職者に正しく自分達の価値を伝えることはできません。

税務上の「Webサイトの耐用年数」は3〜5年程度と言われていますが、それは情報の鮮度も同じです。設立3年目に制作したWebサイトを使っていたので、7年目に入った今がちょうど良いタイミングだと考え、「受注を増やすこと」と「採用を活性化させること」の2つの目的を達成するために自社サイトのフルリニューアルをすることに決めました。

△過去のSEESAWのコーポレートサイトの一部。事例を中心にしたデザインだった。

STEP2:自社と市場の環境を分析

次のステップではSEESAWの主軸であるUI/UXやブランディング、新規事業開発を取り巻く市場の環境や自社の分析を行います。ここでは、PEST、3C、SWOT、STPなど、マーケティング戦略のフレームワークを用いて社内メンバーと一緒に丁寧に分析しました。

このようなフレームワークから「自社がどの市場の、どんなターゲットに、どんなポジショニングで顧客に価値を提供するのか」という事業の大方針を再度確認していきます。これがもし間違っていると、この後いかに美しいビジュアルデザインをしても期待する効果は得られません。良いデザインをするための最初の一歩は、良いマーケティング戦略を設計することから始まるのです。

△実制作でも行う基本のフレームワーク

STEP3:マーケティング戦略を元にブランド戦略を設計

次はマーケティング戦略を元にリニューアルしたサイトでは自分達をどのようなブランドとして顧客に理解してもらうのか、といった「ブランド戦略」を検討していきます。

通常の仕事では、MISSIONやVISION、それを支える情緒的価値、機能的価値などのブランドアイデンティティを言語化していくのですが、SEESAWではもともとそれらは設定してあったので、今回はこの数年で起きた自社や市場の変化と、過去に設定したブランド戦略との間に、乖離が生まれた部分のみを修正する、という作業に留まりました。結果、MISSIONやVISIONに変更はありませんでしたが、機能的価値や情緒的価値については一部修正を行いました。

ブランディングはブレずに続けることが良いとされることが多いですが、自社や市場の環境と、立案した戦略にズレが生じたら、勇気を出して見直すことも大切です。

△分析からブランドピラミッドを形成

STEP4:サイトマップやワイヤーフレームを設計

次はユーザビリティに大きく関わる、サイトマップやワイヤーフレームといった、情報設計やインターフェースの設計が待っています。

今回は自社の機能的価値や情緒的価値を
「UIUXとブランディングが融合したデザインコンサルティング」
「ロジカルさとクリエイティビティを持って、そばにいてくれるチーム」
と設定してありますので、制作会社のような「見栄えのいい事例だけを押し出す」といったスタイルのコンテンツではなく、「デザインの質だけでなくプロセスやロジックも詳細に伝わる」ということを重要視して、全体を設計していく必要がありました。結果、「UXデザインやブランディングの情報がたっぷり入った読み応えのあるサイトにしよう」という結論に達したのです。

◎ 前編のまとめ

デザイナーがトンマナやレイアウトなど表層のデザインを始めるまでには、今までお話した4つのSTEPを経てようやく開始できる状態になります。デザインはあくまでマーケティング戦略やブランド戦略から導き出させる魅力を最大限顧客に伝えるためのひとつの手法でしかなく、これらの戦略が間違っていたらビジネスを成功に導くことはできません。こういった工程を含めたものが「上流のデザイン」と呼ばれています。

ご紹介した4つのSTEPはデザインを始める下準備として非常に重要なプロセスと言えます。一方で、理屈ばかり捏ねても人の心を打つデザインは生まれません。後編では、今回上がった内容をビジュアルやUIに落とし込むデザインのお話に入っていきたいと思います。

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