デザイン業務未経験から中途で株式会社SEESAW(以下、SEESAW)に入社し、現在ではグラフィックデザイナーとして数々のプロジェクトをリードする木村さん(写真右)と、2017年夏にSEESAWに新卒でグラフィックデザイナーとして入社した西能さん(写真左)。
このふたりが日々どのようにメンターとメンティーとしてグラフィックデザインのお仕事をしているのか?SEESAWにたどり着くまでのストーリーを伺いました。
ーおふたりはどのような学生時代をおくっていたのでしょうか?
木村:僕は、多摩美術大学のグラフィックデザイン学科に通っていました。
一言でいうと、不真面目な学生でしたね。サッカー部に入っていたのですが、朝から部室棟に直行して、そのまま夜まで部室で1日を過ごしてしまうような生活をおくっていました(笑)。
当時の多摩美のグラフィックデザイン学科は、グラフィックの基礎を1、2年生で学び、3年生からは広告、伝達、表現……といった様々なコースから各自学びたいものを選べていました。1、2年生のうちは不真面目な日々をおくっていたのですが、3年生のコース選択の際に広告コースを選択してからは、授業が面白いと思うようになりました。
自分で好きな企業を選び、その企業が持っているであろう課題を仮定して、それに対して課題解決するためのデザインをしていきました。当時の僕はプランニングが得意で、他のクラスメイトが考えないであろうユニークなアイデアを出して、カタチに落とし込む。
その一連の制作が楽しくて、将来はプランナーになりたいと考えていたこともありました。
西能:私は武蔵野美術大学の建築学科に通っていました。ですが、学んでいくうちに自分がそんなに建築に興味がないことや、周りとの熱量の差に気づき「私がやりたかったことは建築じゃなかったのかも」と思うようになりました。
芸祭の実行委員などにも所属していたこともあり、他学科の話を聞く機会が多く、アウトプットが建物だけではないデザイン学科に惹かれるようになりました。そして、就職した後に後悔したくないと思い、3年生から「視覚伝達デザイン学科」に転科をすることにしたんです。
せっかく転科したので、就職活動にとらわれずに2年間という貴重な時間を授業たくさん使って、学生のうちにしかできないようなインプットとアウトプットをしようと、思いきり学びました。
ーおふたりはどのような就職活動を行いましたか?
木村:広告業界の仕事には就きたかったのですが、大手広告代理店には興味がなくて。
自分が成長できそうな企業を探していました。いくつかエントリーしたなかで、Web広告と動画広告を制作している会社に出会い、内定をいただいたので、デザイナーとして新卒で入社することになりました。ですが、入社後に知ったことなのですが、その会社のルールで、デザイナー職として入社しても最初はプロジェクトマネージャーとして働いて修行を積まないといけないことになっていて。
「自分は何をやっているのだろうか」と思いながら毎日働いていました。自分の理想としていた仕事とのギャップを感じる日々でしたね。入社して約1年が経とうとする頃、心身ともに限界を感じ、次の職場は決まっていなかったのですが退職しました。退職後は、半年間無気力で休んでいましたね。今思うと、その頃の経験があるからこそ、今こんなに楽しく仕事ができているのだと思います。
ー SEESAWとの出会いは、その後に?
木村:はい。たまたま、大学時代の友人経由でSEESAWの立ち上げ初期に、代表とアートディレクターの2人に出会い、面接しました。
デザイナーとしての就業経験はありませんでしたから、面接に行った時はアルバイトのつもりで面接に行きました。でも面接後、帰り道ですぐにメールがきたんです。「社員として入ってほしい」と、立ち上げ初期らしい話ですよね(笑)。
入社当時は、6畳の1ルームに僕1人。3年後、まさか今みたいに多くの仲間と一緒に働くことなんて想像もつかなかったです。それが2015年の話ですから、そんなに昔の話ではないんですよね。
どんなに小さなオフィスでも、オフィスに僕一人でも、デザイナーとして働けることが嬉しくて、楽しかったですね。毎日「よし、やってやるぞ!」という気持ちでした。
SEESAWには様々な仕事が来ます。スタートアップのCI、名刺、Webサイト、パッケージデザイン、トータルブランディング。広告代理店のパートナーとしての仕事。デザイナーとしてアウトプットの機会が豊富にあるので、飽きることなくあっという間に3年が経っていました。
西能:私は途中からデザイン学科に転科したこともあり、就職活動は卒業してから行いました。卒制も終えてからようやくポートフォリオを作りはじめましたね。すでに卒業しているということもあり大手就職サイトではなく、美大生向けの就職サービスを活用し「既卒OK」という企業を中心に受けました。
内定もいくつかいただいている中で、SEESAWに出会いました。
ー 木村さんは西能さんの面接を担当されたそうですが、どういうところが良いと思われたのでしょうか?
木村:SEESAWは基本的に、自分の部下や上司になる人、一緒に働くであろう人の面接にメンバーが出て、採用を判断しています。なので、自分にないものを持つ、良い影響を与えてくれる人がいいなと思って探していました。
西能さんは、まずポートフォリオがすごく良かったですね。作品数が多く、見応えがありました。本人の振り幅を知るために、多くの展開を見たいんです。グラフィック系の学生の場合、10プロジェクト以上あるのが理想ですね。彼女はポートフォリオの中で、しっかりそれを表現していました。
あとは、僕とは作るもののタイプがまるで違うところに惹かれました。僕はロジカルにデザインするタイプなのですが、彼女はエモーショナルなデザインができるので、一緒に仕事ができたら良い影響をもらえると思ったんです。
西能さんの就活ポートフォリオの一部(2017)
ー 何社か内定をもらった中で、SEESAWに入ろうと決めた理由はなんだったんですか?
西能:単純に、SEESAWが手がけている作品がかっこよかったということですね。渋谷にある「森の図書館」や「多摩美のオープンキャンパス」など、自分が足を運んだことのある場所のデザインや、見たことのあるものを作っている人たちと一緒に働ける。それがとてもエキサイティングな経験になるのではないかと思ったからです。
SEESAWが手がけた「多摩美術大学オープンキャンパス」 (2016)
SEESAWがトータルブランディングを手がけた「森の図書館」 (2014)
ー入社後、一緒にお仕事をしてみてどうですか?
木村:今まで自分が育ててもらっていた立場だったので、僕にとって後輩を育てるという経験は西能さんが初めてなんです。なので、僕が今まで先輩から教えてもらってきたことを全て、教えようという気持ちで日々接していますね。
西能さんに日々言っていることが、果たして自分はできているのだろうかと思うことも多いです。そういった積み重ねが確実に自分の成長に繋がっていると思います。
入社してまだ半年ほどなので、クオリティに関しては正直まだまだ鍛えるところが多いです。でも、ロゴタイプなどで自分じゃ出てこないような彼女の感性が光るアウトプットを見ることが出来ると嬉しいんですよ。
西能:そんな風に見てもらえてるなんて……嬉しいです(笑)。木村さんは、いつも丁寧にフィードバックしてくださいます。木村さん個人の好き嫌いではなく、一人のデザイナーとして建設的なアドバイスをしてくださるな……と。
入社してすぐにお手伝いした仕事は、某大手飲料メーカーの新作のパッケージデザインでした。入社初日から大手広告代理店に打ち合わせに出席して、入社してすぐなのにこんな大きな仕事を手伝わせてもらえるんだと驚きましたね。
木村:その案件は、SEESAWの中でも挑戦的な仕事だったんですよ。僕もかなり忙しくて1日でも早く入ってほしくて。確か入社予定日よりも1日早く来てもらったんだよね。本当に時間がない中で、彼女はよく頑張ってくれました。
西能:転科した時に視覚伝達デザイン学科で感じたことと似ていて、アウトプットの幅が広いのでそれが仕事のやりがいにも繋がっています。新しいことに挑戦できる分、成長できる環境だと思っていますね。
木村:西能さんのいう通り、SEESAWの良いところって仕事を通して様々なアウトプットをすることができるのが魅力の一つだと思います。だからこそ、自分の成長がわかりやすいんです。成長の機会がある環境ですから、成長したい人や、僕のように最初スタートダッシュが遅れた人が取り返すにはぴったりの環境だと思います。
ー 今後、おふたりが挑戦したいことを教えてください。
木村:
直近でいうと未経験の僕を育ててくれたSEESAWに、恩返しをしたいと思っています。よく言われることですが、働き出して3年目からがようやく組織に恩返しができると思っています。これまでは与えてもらうばかりでしたからね。広告代理店で豊富な経験を積んだアートディレクターさんに育ててもらったこともあり、今度は僕が教えてもらったことを後輩に教えたいと思っています。個人としてはプランニングができるデザイナー。アートディレクターを目指していきたいですね。
西能:
私はまだ入社して間もないので、まずは自分が納得できるアウトプットを出せるようになりたいです。そして自分が良いと思ったものを人にも良いと思ってもらいたいですね。
そして、私がいいと思って作ったものに共感してもらった人と話をしてみたいです。
今後おふたりが、SEESAWでどのような活躍をみせるのか楽しみですね!
木村さん、西能さんお話ありがとうございました!