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LEAP setup story② 〜生産者が科学的な背景を理解しないことのリスク〜

LEAP setup story ① 〜新規就農におけるセットアップの実態〜の続きです。

生産者が科学的な背景を理解しないことのリスク

ー 農業は専ら勘や経験の世界で、なかなか科学的発想や手法が現場作業においては入り込んでいなかった領域である。特にセットアップと科学というのは、それぞれがあまり結びつかないようなトピックに思えるが、実態や困難に直面して考え方が変わってきたそうだ。

「セットアップにおいては、やはり特に水源の重要性は計り知れないですよね。ただ、実態として地方に行けば行くほど、例えば井戸業者さんは限られた数しかいらっしゃらなかったりします。とあるエリアでは1社しかいないということもあります。もしかしたら今後展開するエリアでは誰もいないということもあるかもしれません。そして、水源の確保がその業者さんの経験則に縛られてしまうという大きなリスクが存在しています。そこをLEAPでは科学的なアプローチを導入して地質探査を行って、農地を確保する前に、井戸掘削を行う前に、エリア全体の水源評価を行うということを確実にやります。」

ー それでも、一見ハードルが高いように思える科学的な背景を、生産者が改めて理解する必要があるのか。

「既存の業者さんあるいは農業領域の方々と会話を進めていると、地質探査というキーワードとか発想というのはやっぱり出てこないんですよね。もちろん我々も何度も井戸掘削で痛い目にあってきました。そこで、生産者側が科学的な背景や手段を理解して、そのようなアプローチを提案・実行出来る力が必要になると強く感じました。だからこそ、科学的背景の理解というのをLEAPが代わりに行っていくことで、生産者の負担を軽減出来ることを仕組みとして目指しています。」

ビニールハウスありきではなく、立脚点は「目標の設定」

ー 一般的な栽培類型として安定的な収益や経営を志す場合には、どうしてもビニールハウスの構築をどう最適化するかが主な課題であり関心となりがちである。しかし、LEAPの考え方はそうではないという。

「ビニールハウスを構築するというのは、あくまでセットアップという全体のプロセスのOne of them(一部)でしかないんですよね。少し返答がおかしいかもしれないですが、”フランチャイズモデルにおける最適なビニールハウスとは何か?”と聞かれた時に、”ビニールハウスを建てなくてもOKです”と言える選択肢をLEAPとして持っておけることだと思ったんです。」

ー ビニールハウスを前提としない選択肢もLEAPとしてはあり得るということなのか。

「例えば冷涼・寒冷な場所においては、ハウスではなく露地袋栽培などで、短期集中の営農を実現することがベストである可能性は非常にあると思うわけです。だからこそ、”最適なハウスはどのようなものか?”と聞かれた時に、逆に”営農をスタートする場所はどこなのか?”によって選択肢は変わってくるべきだと考えています。天候の条件や、あるいは販売先の条件などでも変わることがあるかもしれません。それらを鑑みた上で計画策定と提案をしていくことが本質的なのかなと思ったんですよね。」

露地袋栽培

ー それでは、LEAPとして考える新規就農者が最も意識すべきポイントはどのようなところにあるのか。

「やはり、”目標設定”だなと思います。参入するエリアでアクセス出来るリソース(農地の環境や販売先など)を鑑みて、許容可能な初期費用を設定していく。例えば初期費用は1000万円に抑えたいよね、となった時に、業者さんから3000万円の鉄骨ハウスを提案されたら、やっぱりその提案は間違っていると思うんですよね。設定された目標と、現実の仕様や体系とのマッチ度合いというのはLEAPではしっかり意識して新規就農者に提案していきたいですね。」

広すぎる時間軸で考えない

ー 設備に投資をするというのは、特に若年層による新規参入者にとっては意思決定として重たいものになる。実態として新規就農者がいきなり設備投資を行うというのは稀で、露地栽培である程度経営を回した後に、いずれ投資出来ればというスタンスは多い。

「その設備投資を何年で回収していきたいのか?をやはりしっかり考えて設定する必要がありますよね。我々としては、若く志高くして農業に参入する人たちに対して、10年とか15年とかの会計的回収期間は長すぎるのではないかとも思っています。どちらの方が農業をやりやすいのか?どちらの方がそのエリアに合致した投資なのか?というのは客観的に判断する必要があると考えています。その判断材料や判断機能を、LEAPはしっかりと担っていきたいですね。」

ー 今後のLEAPとしての目標設定には、どのようなバリエーションがあり得るのか。

「もちろん、LEAPというプラットフォーム全体の中で、立派な鉄骨ハウスを活用した営農体系というラインナップも出てくるような気はしています。それを否定するつもりは全くないですし、出来る限り多くの選択肢を最終的には持っていられる集団でありたいとも思っていますね。ただ、今は新規就農者で若い方々が農業を始めるという場合には、背負うものは出来る限り少ない方が良いと考えているので、まずは最小投資でのパフォーマンス最大化というのがLEAPとして集中すべきことかなと。」

ー 設備の内容でも、多くの選択肢やバリエーションがあるのか。

「ビニールハウスというだけでも、非常に多様なバリエーションが組めてしまうんですよね。被覆フィルムの厚さだけでも、0.10・0.13・0.15mm厚という感じで適性やパフォーマンスは変わってきます。既存の農業では、どうしても”広すぎる時間軸”で考えてしまうという既成概念があるような気がしているんです。投資する設備の耐用年数に応じて本来は農地の賃貸を契約すべきですが、それが例えば、5年間の利用権設定を希望される地主さんがいらっしゃった場合に、15年耐用の鉄骨ハウスを建設するというのは明らかにおかしいわけですよね。」

ー 栽培管理と密接に絡む中で、設備の内容は何をもって最適と定義されていくのか?

「LEAPとしても走りながら模索しているところではあります。そもそもハウスが必要なのか不要なのかというところもありますし、品目によってのカーテンの遮光率も区別していく必要もあります。そこは半永久的に”最適である”という仕様は改善され続けるものなのかなとは思っています。」

「LEAP setup story③ 〜"セットアップ半作"と言えるぐらい環境構築は重要〜」 へつづく

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