なにをやっているのか
日米北極政策・戦略ワークショップの様子
「ナショナルイノベーションシステムに係る定量データとその分析手法」ワークショップの様子
Scirex センターでは, 主に以下の活動方針を掲げています.
- 学術的な研究成果の政策への実装を志向すること
- エビデンスに基づいた提言・提案を行うこと
- 様々なステークホルダーとの議論の場を設けること
- 学際的取組・異分野連携を促進すること
- 独立性・公平性を保つこと
- 国内外関係機関との連携・協力などを行うこと
そのため,
- 科学技術イノベーション政策において緊急性が高い課題について集中的に検討を行い、政策シナリオや政策オプションの骨格をデザインする、「政策デザイン領域」
-科学技術イノベーション政策によって解決すべき課題について、定量的評価を加えた政策オプションを作成する「政策分析・影響評価領域」 :
- 科学技術イノベーションが係わる政策形成プロセスにおいて、エビデンスに基づく議論・政策立案を実現する上での課題を明確化し、課題解決のための方法論を開発する「政策形成プロセス実践領域」:
の3つが, それぞれ互いに協力しながら活動しています.
本年3月から4月にかけては,
- 北極における持続的発展とイノベーションをいかにして実現するかを討議する「日米北極政策・戦略ワークショップ」
- ナショナルイノベーションシステムを論文データベースや特許データベース等のビッグデータを用いて分析する際必要不可欠な手法について学ぶ「「ナショナルイノベーションシステムに係る定量データとその分析手法」ワークショップシリーズ」
などを開催しました。
詳細については, SciREX センター Web を御覧ください:
http://scirex.grips.ac.jp/center/
なぜやるのか
「科学」と「社会」は, なんとなく遠くて, 関係ないもの. というイメージが当たり前な気がします.
けれど, 近年起きている様々なニュースや, 生活の身の回りで起きていることを考えると, 実はこの二つはとても近い関係にある気がします.
ほんの数年前まではケータイといえば折りたたみ式で, 写メールや絵文字を送り合うものでしたが, 今ではみんなが iPhone や Android をもって, 電車の中で LINE や Twitter をしています. 技術の進化は社会の形や人々の行動を大きく変化させますが, どうすればそれをより早く実現できたり, どのような経済的な効果を生み出すかについては, 実は未だに良くわかっていなかったりします.
もしくは, iPS 細胞の研究の進展によって, 今まででは考えられなかった医療が実現できるかもしれません. だけれど, そういった便利な世の中を実現するときに, それを手助けしたり, あるいは邪魔をする可能性のある法制度にはどのようなものがあるのか, これもよくわかっていなかったりします.
SciREX センターが目指すところは, こうした, 科学と社会をより上手く結びつける方法を考えることです.
(SciREX センター 原)
どうやっているのか
SciREX センターでは現在, 3つの活動領域があります.
[a. 政策デザイン領域]
政策デザイン領域では, 明確な政策ニーズが存在し, 複数の省庁にまたがり, かつ比較的短期での対応が求められる課題について, 研究会を開催し検討を重ねています.
これまでに
- 北極圏問題についての我が国の総合戦略
- 科学技術外交の戦略的推進
- デュアルユース技術の研究開発
- 大学等の成果の社会展開における規制・制度とイノベーションの関係
- 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けたビジョンと戦略
などの課題について検討してきました.
[b. 政策分析・影響評価領域]
政策分析・影響評価領域では, 科学技術イノベーション政策のデータ・情報基盤の構築の蓄積や関連する取組に基づいた、政策オプションの分析・評価とそのための方法論の開発を行っています.
これまでに,
- 多部門経済一般均衡相互依存モデルの整備
- ITにおける知識基盤社会のインパクト評価
- 科学技術イノベーションの経済社会効果のレビュー
などの活動を行いました.
成果の一部としては、
”SciREX における政策オプション作成の意義と課題 -「糖尿病対策における技術開発とその社会経済的影響評価」を事例にして-” http://www.jst.go.jp/crds/scirex/resources/download/grips14.pdf
などがあります.
[c. 政策形成プロセス実践領域]
政策形成プロセス実践領域では, 科学技術イノベーションが係わる具体的な事例に関する政策プロセスにおいて、エビデンスに基づく議論・政策立案の実現に向けての課題を明らかにし、それを促進するための方法論の開発等を行っています.
これまでに,
- 科学的根拠重視型政策と願望投影型政策との比較
- 地域におけるイノベーションのケーススタディ
- 社会・国民とのコミュニケーションを含めた政策形成プロセス
などを行いました.
また, これらの研究成果を政策の場へと繋げるため
- 関係機関との連携協力・協働の取組の推進
- センターの活動や関連する取組に関する情報発信・アウトリーチ
- 複数領域にまたがるプロジェクトの企画・実施
- ラウンドテーブルやワークショップなどの場の運営
等の活動も行っています.