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老舗プラスチック工具メーカーと対馬の海洋問題②

こんにちは!
初めに前回のnoteではたくさんの人に読んでいただき、SNSでの拡散などのご協力いただきまして、誠にありがとうございました。
世界には解決しないといけない問題がまだまだたくさんあり、対馬に限った話ではありませんが、極めて目立つ多いアイコニックな、対馬からまず着手して問題意識を高め、そもそもプラごみを出さないように行動喚起をしていく事が大切と考えますし、たくさんの人にその一角の現状を認識いただけただけでも大きな成果だったといえます。ありがとうございました。
おかげ様で妻に「ちょっと執筆してくる」というと「ふっ」っと鼻で笑われるくらい調子に乗っておりました。スミマセン

改めまして、株式会社リングスターの唐金と申します。
弊社では株式会社リングスターという明治20年から続く、創業130年を超える工具箱の専門メーカーです。職人さんに対して圧倒的な耐久性を提供しており、強度と環境貢献が両立できない事から、この問題を対馬市へ訪問するまでは避けておりました。
詳細につきましては、前回のnoteを見ていただければ理解していただけると思いますので、ご一読いただければと思います。

あれから、「自分達の力で何ができるのか?」調べる程に、世の中の矛盾と、この途方もない問題に辟易する毎日でした。マクドで「マジ今日もヘキエキー」ってギャルと意気投合しておりました。
実際に、対馬市の皆様や大手プラスチック商社、リサイクル企業、メーカーとの度重なる打ち合わせ、クリーン関連の企業とのブレスト、忌憚のない意見をくれる仲間たちとの壁打ち、それと同時に、自分自身も「バイアスにかかってしまっていないか?」「本当に正しい事をしようとしているのか?」自己無謬に陥らないように留意し、真剣かつスピード感を持ち、今日まで行って参りました。
その中で、見えてきた現状の共有と世の中への提案を記させていただきます。

目次

  1. 1.海洋プラスチック問題の現状について
  2. 二つの概念
  3. 何故企業はOBPばかりに目が行くのか?
  4. 2.リングスターの目指す世界
  5. リングスターが取り組むべき事
  6. 根拠と透明性
  7. この事業の先にリングスターの目指す世界

1.海洋プラスチック問題の現状について

二つの概念

まず、皆様に海洋プラスチックと呼ばれるものには2種類の概念が存在している事をお伝えします。

Ocean Bound Plastic(※以下OBP)
海に流出する可能性があるプラごみ。
海と陸地の間から内陸部に向かって50kmの範囲を指す。(海を含まない陸地)
Ocean Plastic(※以下OP)
海から流れ着いたと証明できるプラごみ。
基本的には海外製品であったり、海で使われたものが捨てられる。
日光と海水にさらされ、形状が不安定であり、識別ができないものがほとんどである。

概略的になりますが、要するにOBPとは『これから流れ着く可能性のあるゴミ』と認識していただいて大丈夫です。
海洋プラスチックの70~80%以上は陸から発生して海に流出したものになりますので、こちらを回収する事で海が汚れる事を防ぐ事も事実明白ですし「この海を守るっ!!」とモアナ(見てませんがそんな感じですか?)みたいに粉骨砕身し、回収活動に従事していただいている方には頭が上がりませんし、とても尊い事だと思います。この場を借りまして御礼申し上げます。ありがとうございます。

ただ、一方でOBPは広義の定義な上に基準も定められたものもなく、曖昧な部分もあります。少し言い方悪くなりますが、SDGs推進企業の『提唱したもの勝ち』になっている今の状況は本末転倒です。現状だとOBPのフレーク(粉砕したもの)を一握りして添加しても海洋プラスチックを利用したと言えてしまいます。これは仕方のない事で「それができてしまう状況」というのはシステムエラーであり、ヒューマンエラーではありません。早急に定義をはっきりとさせるべきと考えます。

海外でも大手のアパレル会社がOBPでの取り組みにて、グリーンウォッシュと摘発されております。その内容は『モルディブのホテルにて、富裕層がホテルで捨てたペットボトルを、あたかも海洋プラスチックを回収し製作した』との誤解を招くものでした。もちろん、こういった企業だけではありませんし、ひたむきに貢献されている企業もいらっしゃいますので否定や論駁、平均化等は私はいたしません事をご理解ください。ただ、透明性(含有率や根拠)と誠実さ(愛と思いやり)はやはり必要だと思うんです。現状対馬で発生しているOPは良くて粉砕、ほとんどが埋め立てとなっているようです、あの美しい島でこのような決断が行われている事、対馬の皆様の心情を想像すると胸が本当に痛くなります。

何故企業はOBPばかりに目が行くのか?

私が調べた所、今世の中の取り組みは”ほぼ”といっていい程、OBPでの取り組みとなっており、OPでの取り組みは片手で数えれる程しかありませんでした。その理由としては、OPの回収スキームが非常に困難である事です。
OPは、海水や紫外線、海の生き物や油等で、流れ着いたものは分別の判断を鈍らせるだけでなく、そこからの洗浄や粉砕には膨大な手間とコストが発生します。回収・リサイクル業者の参入障壁もOBPに比べ遥かに高く、これらの理由から企業も継続的に取り扱う事が全くできていない状態です。もちろん、含有率にもよりますが、現状では再生として比較的多い、One Way製品ではコストが全く合わずに難しいでしょう。

先述しましたが、物性の安定しない素材は成形機の故障、金型の破損、不良の排出などのリスク(無駄なエネルギーの増加)から、成形業を行っている私から見ても、到底仕入れる事はできません。それらを考慮すれば、曖昧なものさしであり、かつ海に漂着していないOBPの方が全てに置いてリスクも回収スキームもOPに比べ遥かに容易となる訳です。

結論として「企業はOBPの方が手を付けやすい」という事になります。
ただ、この問題の解決に必要な事はOPとOBPの両側面からの活動が必要になりますので、現場の回収比率では、OPを回収しない限り、埋め立てがどんどん増えていき解決に繋がる事はありませんし、いずれ限界を迎えます。
今一度言いますが「OBPとOPの両方をなくす」が大切です。

2.リングスターの目指す世界

リングスターが取り組むべき事

透明性と根拠を示した上で継続的な販売を行い、良い影響を波及させていく

漂着した青いポリタンク(ポリエチレン)のみを粉砕し、工具箱(ポリプロピレン製)に10%を添加する ※異材料は成形業ではタブーであり、これ以上の配合は成形不良や耐久性の低下に繋がる為、限界の数値を10%としました。※対馬市とリサイクル業者には合意済み

【補足】狙い撃ちの理由は、OPは変形などで物性が把握しづらく、全てを処理しようとすると確実に不良を排出し、継続して販売できません。あらゆる事象を勘案した結果、狙い撃ちが最も現実的に着手でき、確実に減らしていける方法となりました。職人さん向けで作ってきた「構造上の強度」があるからこそ、異材であるOP10%を混ぜても強度を保つ事ができたのは本当にリングスターの歴史に感謝します。

根拠と透明性

私は環境貢献と企業が掲げるのは、その「根拠」「透明性」は絶対に必要だと考えます。今のプラスチック環境貢献企業については含有率の公表がほとんどされていない事は理由もあるでしょうが、『本当に世の中を良くしていきたい』と考えるのであれば胸張って説明する事が大切であると考えますし、消費者を巻き込んで企業共に正しい方向に導いていく事も企業としての責任であると考えます。
現状では書き方次第で「嘘はいっていない」がまかり通ってしまいます。
環境貢献とは企業の巧みなマーケティングによって行われるものではないと私は考えます。

材料100kgに対し、10kgのポリタンクの粉砕を添加(10%)バスケット 1kg/個 ボックス 2kg/個 ポリタンク1kg/個にて下記に算出

2022年12月05日製品として初試作

2022年12月19日強度試験(奈良県振興工業試験センターにて)

弊社の強度企画も充分にクリアしました。
この強度が実現できるのはリングスターが130年の歴史の中で強度の高い工具箱を職人さんに提供してきたからこそ実現できるものです。
検査結果は全くの同数値にて、プラスチックに融点の異なる異材を入れるタブーを覆すことができました。ただこれ以上の配合に関しては、安定して成形ができず、不良排出ということ本末転倒になりますので避けたいと考えております。以上が透明性と根拠の説明となります。

こうなると「他のゴミはどうなるんや!結局お前らもポーズだけやないかい!」ともしかしたら思われたかもしれません。
正直、10年、20年と長い年月をかけて啓蒙していかない限りでは対馬にゴミは漂着してきます。それは対馬市の体力と財政を削りながら、専門的な分野でのリサイクルを行い、善処して現状維持が精いっぱいでしょう。けど、本取組にて、ゴミとしては青いポリタンクを確実に減らす事ができメーカーとして現実的な再生が可能になる訳です。
もし、処理が追いつくようになれば、他のゴミを狙い打ちにしていく事ももちろんお約束します。
正直、仕入れるフレークは前述した通り、数多の工程を経て、対馬から本州へ輸送されるので、破格的に高額になります。本当に困難な再生を継続的に行うとすればコストが膨大になる事は明白なのです。
余程の資金力と貫く信念と利益を享受しない限りは持続的にできない、だからこそ、この金額にて受け入れ販売するスキームに挑戦しております。
私がたどり着いた結論としては、
環境貢献には『企業の愛』と『経済合理性』が現状の社会構造では両立が必須だと考えます。リングスターとして耐久消費財として再生できる強みを活かし、行動し、伝え、販売に結びつけた上で長期的に啓蒙活動を行なっていく。
ただ個人として、企業としてできる事は様々あると思います。

少しでもお力になれるようにバスケットで1個につき100円、ボックスで200円を対馬市へ寄付する事をお約束します。

この事業の先にリングスターの目指す世界

私達の最終ゴールは対馬の海を綺麗にする事も勿論ですが、より本質的な問題の解決に向けて本事業を進めて参ります。

膨大な時間を要しますが、この世界が実現すれば、確実に世界は良くなっていきます。小さな事からでも全然大丈夫です。ちょっと進めば私はあなたを尊敬しますし、この筋肉でハグします。

本当に現状をなんとかしたいと思うのであれば、その姿勢に共感し動いてくれる企業が増えれば結果的に対馬市の皆様は豊かになりますし、意味のある取り組みであったと思います。
「ストーリーは?」
「何故君がやるの?」」
綺麗にまとめられたストーリは確かに聞こえはいいですし、納得感もでます。だけど、目の前に困っている人がいて、ストーリーを考えて助けないでしょう。声掛けますよね。この事業に関しては人としてリングスターの組織として当たり前の事を行っているにすぎません。

ただ、敢えて申せば、『再生困難であった汚れた漂着物を老舗のノウハウを用いて、誰もなしえなかった耐久消費財として再生させる』事ができたのは、リングスターとして十二分に「私達だからやるべき事」として筋は通っているかと思います。プラスチック問題については、気にはしておりましたが、リングスターとしては難しいと考えていた所、ご縁にて対馬市へ行き、圧倒的な自然に触れて現状のゴミに溢れた状況や困っている皆様を見て「できる事がしたい」と考えたにすぎません。
この事業で私は『SDGs』とは一言も言っておりません、助け、支え合う事なんて当たり前の話なんです。言葉ばかり考えずに動きませんか。
だから偽ポンデリングの皆様(SDGsを営利目的で行う自分の代だけ儲かればいい方々) 本当に世の中の為にアクション起こしていきましょうよ!

ただ、これらの件は、非常にセンセーショナルな問題につき、もちろん反対意見等もあるかと思われます。
私は対極の考えの方を否定や論駁する為に書いているのではなく、対極だからこそ、議論して、よい方法に結びつけていく事が大事だと思います。
その為には、透明性がないと話しができないじゃないですか、お互いに情報を開示して、胸を張って仕事をしているからこそ、より良い方法が生まれてくるものじゃないですか。
本当に信念を持って行動していれば、その正義、人同士ぶつかり合う事は至極同然なのです。それを恐れて行動せず、避けて通る人生なんて私は御免ですし、もし私が間違っていれば、喜んで自説を撤回して、より良い世の中にする為に精進する事を惜しみません。

最後になりますが、前のnoteにも書きましたが、自分の玄関の前を綺麗にし、隣の身近な人が困っていたら声をかける、そんな先人達の、ちょっとした思いやりが、何十年、何百年と時間をかけて積み重なって、今の私たちは豊かな生活を享受しております。それをまたずっと先の子供達に向けて私たちが行動する番であることを忘れない事です。大きな目標を持つ事も勿論大切ですが、いきなり対岸にいる人を持続的に幸せにするには1人では足りません。同じ想いを持つ人や、その想いに昇華するよう助け合い、小さくても長い時間をかけてコツコツとつなぎ合わせていくしかありません。

一人一人が〈正しく選び・正しく捨て・正しく向き合う〉を自覚し、それをたくさんの子供達に〈100年後の未来を考えて行動、啓蒙していく必要がある〉と思います。どうしても私たちは「今、幸せだからいっか」耽溺に自分のビジネスに取り組み、楽な選択を取ってしまいます。だから偽ポンデリングが跋扈するのです。今日からできる事もたくさんあると思いますし、本記事をここまで読んでいただきました愛のある皆様なら、共に良い世界を作っていけると確信いたします。

2023年2月26日より、リングスター公式サイトにて予約販売を開始しました。賛同していただける企業様は対馬市やリサイクル企業とお繋ぎいたしますのでご連絡ください。小さな一歩ですが、良い影響を広げていくべく行動して参りますのでよろしくお願い申し上げます。


株式会社リングスター powered by BASE
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今回も最後までお読みいただきまして、誠にありがとうございました。これからも世の中に役に立って、繋がっている人を一人でも多く笑顔と幸せにできるように精進してまいります。

株式会社リングスター 唐金祐太

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