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スマートコントラクトとは?その重要性と画期的役割を徹底解説!

1990年代に提唱された「スマートコントラクト」は、2010年代半ば頃から、暗号資産を主とするブロックチェーンプラットフォームの台頭とともに少しずつ脚光を浴びることになります。そのトリガーとなったのが、イーサリアムブロックチェーンです。

イーサリアムの登場によって、単に送金や決済の手段であった暗号資産にアプリケーション機能が搭載されるようになりました(Dapps=分散型アプリケーション)。これによりNFTやDAO、DeFi、DEXなど、イーサリアム発のサービスやプラットフォームが次々と誕生し、その革新性と将来への期待から世界中の投資家や富裕層の注目を集め、多くの資金が流れ込んで一大イーサリアムエコシステムを構築しつつあるのです。

さらに、イーサリアムのレイヤー2であるポリゴンやイーサリアムキラーとして名高いソラナなど、スマートコントラクトを搭載する秀逸なブロックチェーンが次々と開発され、イーサリアムを凌駕する存在にまで成長しています。

そこで今回は、現在の暗号資産のトレンドを語るうえで欠かせない「スマートコントラクト」について掘り下げます。

スマートコントラクトの基礎知識

まずは、スマートコントラクトについて、基本的なことから説明していきましょう。

スマートコントラクトとは

そもそも「コントラクト」とは、契約を意味します。様々な経済・社会活動は、契約が基盤となっており、契約が締結されることで定められたルールに従ってあらゆる計画や行動が実行されます。不動産取引、建築、製造、賃借、売買、雇用など、現代社会では、契約なくして正常な組織運営、国や自治体のガバナンス、さらに様々なコミュニティの形成は、とうてい不可能と言っても過言ではありません。

「スマートコントラクト」とは、上記の様な契約をすべて自動化することを意味し、そのメカニズムの構築はプログラミングがメインとなります。スマートコントラクトは、1994年、コンピュータサイエンス学者のニック・スザボ氏によって提唱された概念ですが、近年頻繁にこの言葉が使われるようになったのは、ほぼ「ブロックチェーン」に関連する分野に限ります。具体的には、ブロックチェーン上の取引やブロックチェーンの外から与えられた情報を起点にし、あらかじめ定められたルールにしがってプログラムが自動的に実行されることを意味しています。

イーサリアムのメインプロトコル

スマートコントラクトを暗号資産のブロックチェーンプロトコルとして搭載したのが、イーサリアムです。それ以前からリリースされていたビットコインもスマートコントラクトを有しましたが、あくまで送金や売買の域を出ず、とりたてて注目するには値しませんでした。

しかし、イーサリアム界隈では、「EIP(Ethereum Improvement Proposals)」という世界中の開発者からオープンな場で提案を募る場があり、イーサリアムのローンチとともに矢継ぎ早にイノベーティブなアクションが起こされました。その最たるものが、2015年に公開された「ERC(Ethereum Request for Comments)20」というスマートコントラクトの規格とそれを利用した数々のトークンの開発です。

それまでの暗号資産は、開発者の定めた規格によって稼働するため互換性がなく、取引所やウォレットで互換性を確保するには、その都度別のプログラムを実装するという追加作業が必要でした。この手間を省き利便性を高めるために、標準化を求める声が多くのユーザーやエンジニアの中からあがり、そのニーズに応えるようにして開発されたのが、「ERC20」というスマートコントラクトの統一規格なのです。

EIPにおいて20番目に提唱・開発されたERC20を使って作成されたトークンは、すべて互換性があり、テザー(Tether)、チェーンリンク(Chainlink)、バイナンスコイン(BNB)、ダイ(DAI)といった、後にブレークを果たす暗号資産が続々と誕生することになります。

そして、これらERC20規格による暗号資産ブロックチェーンを活用することで、投票やクラウドファンディング、手数料決済など、中央集権的管理者を介さずとも自動的に様々なパフォーマンスが実行できるにいたったのです。

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ERC721の画期的役割

ERC20により作成されるのは、すべて、通貨や株などと同じ代替可能(Fungible・ファンジブル)なトークンです。例えば、A氏がもつ100円とB氏がもつ100円は、まったく同じ価値を持ち、交換しても、他の誰かの手に渡っても、同じ100円であることに変わりはありません。これが「代替可能」ということです。

このERC20 に続いて遅れること約2年、2017年に「ERC721 」が開発されます。ERC721 の特筆すべき点は、「代替不可能(Non-Fungible・ノンファンジブル)」なトークンが開発できる点です。ERC721に搭載されたスマートコントラクトは、動画や画像、音楽といったデジタルデータと紐づいて唯一無二の所有権を証明できる機能を持つのです。これにより、「NFT(Non-Fungible Token)」が誕生しました。

そもそもデジタルデータは、デバイスさえあればだれでも簡単にコピーができます。だれかの作ったデジタルアートが、どれだけ優れた作品であっても、いくらでも複製可能なため、一旦コピーされてしまえば、原作がどれかを証明することはできませんでした。ところが、ERC721規格のスマートコントラクトによって、それが可能となったのです。

もともとERC721は、2017年にローンチされたNFTゲーム『CryptoKitties(クリプトキティーズ)』のために開発されました。このゲームが画期的なのは、キャラクターの猫を飼育したり繁殖したりして楽しむだけでなく、それらの猫たちを各プレーヤーがもつ唯一のキャラクターとしてNFT化して売買できる点にあります。

ERC20の誕生はイーサリアムに関わる多くの関係者から歓迎され、大変な話題になりましたが、それに輪をかけてインパクトを与えたのが、ERC721でした。ERC721の2017年のリリース依頼、にわかに人気があったNFTですが、2021年に入り、NFTアートが高額で取引されるようになると、一躍スターダムにのし上がります。これにともなって、イーサリアムの価格はわずか半年で約4倍に跳ね上がり、秋の後半には5倍以上、一時は56万円に迫るところまで高騰、史上最高値をマークしました。

イーサリアムのスマートコントラクトによって、他にもDEX(分散型取引所)、DAO(分散型自律組織)、そしてDeFi(分散型金融)といった、中央集権的管理者が不在で取引が可能なプラットフォームが短期間のうちに集中的に誕生しました。しかもこれらは単独で機能するのではなく、相互に融合することによって、Web3.0の主軸となるであろうイーサリアム経済圏を確実に構築しつつあるのです。

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ERC721とERC1155の違い

ERCで注目されている規格に「ERC1155」もあります。ERC1155の特徴はERC721と比較すると分かりやすいです。

ERC721のスマートコントラクトは、例えばNFTゲームであれば、ゲーム内のNFT化したキャラクターやアイテムは、一つずつ個別にマーケットプレイスに出品するしかありませんでした。

イーサリアムブロックチェーンには、各トランザクション時にかかる手数料(ガス代)が、他の暗号資産に比べて群を抜いて高く、取引速度が遅延する「スケーラビリティ問題」が存在します。ERC721では、まとめてキャラクターを出品したくても、一つずつしかできないため、その度手数料が必要になります。これではガス代が高額となり、多くのユーザーに負担を強いるだけでなく、参入障壁にもなりかねません。

そこで新たに開発されたのが、「ERC1155」です。ERC1155のスマートコントラクトを使うと、NFTをまとめてマーケットプレイスに出品できるため、取引がスピーディーになるだけでなく、ガス代も安価に抑えることができます。さらにNFTに限らず、代替可能なトークンを含む何種類かのトークンをまとめて複数のアドレスに送ることもできるので、これまでにない利便性が確保されました。これらの機能から、ERC1155は「マルチトークンスタンダード」とも言われています。

ERC20や721、1155などのように機能性の高い規格が開発・公開されると、そこに群がるようにして数万、数十万という単位のトークンが短期間のうちに開発されては消えてゆきます。しかし、その中でも、有力な投資家や富裕層から高い評価をうけた暗号資産は市場に残り、多額の資金を調達しては新たなプロジェクトを形にしていく、という動きを繰り返しています。

暗号資産の世界では、完璧なシステムは存在しないため、より利用価値と実効性のある新たなERC規格が登場すれば、そこからさらなるイノベーションが生まれる可能性は十分にあり得ます。イーサリアムとそれに関連するサービスは、メタバースとのつながりも急速に深めています。イーサリアム以外のスマートコントラクトを搭載する暗号資産の台頭も含め、今後の動向からますます目が離せません。

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まとめ

スマートコントラクトは、Web3.0で主役となる、ブロックチェーンによる分散型ネットワークの構築にとって不可欠な存在です。ブロックチェーンというと、世間ではまだ暗号資産のイメージが色濃くありますが、現実には、金融や、製造業を中心としたサプライチェーンの構築、エンタメ、芸術など、さらには、エストニアのように全国民の電子カルテがブロックチェーンで管理されている例まで、活用例は多岐に広がりを見せています。

スマートコントラクトのもつポテンシャルは計り知れず、これからも、安全かつ便利でスピーディー、しかも人の手を介さずに機能するエコシステムが、どれだけ広範囲に浸透していくかが、非常に楽しみです。

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