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meetup対談:我々が思うエンジニアの生存戦略とは【前編】

 2016年12月13日、リクルートマーケティングパートナーズ(以下、RMP)×Quipperの技術対談を聞きながら、おいしいご飯やお酒を楽しむことができるイベント「【RMP×Quipper】Food&Drink meetup #4」を開催致しました。トークセッションでは、RMPでマネジメントを担当されている金谷 祐季(@soplana)とQuipperの開発者である大庭 直人(@ohbarye)が、今後必要とされるスキル等、エンジニアにおける生存戦略を語りました。

▼トークセッション担当自己紹介

金谷:本日はお越し頂きありがとうございます。今RMP(※リクルートマーケティングパートナーズの略)で開発グループのマネージャーをやらせていただいています金谷と申します。経歴としては新卒でSIer、次にスタートアップ、その後RMPに入社しました。もともとRMPにはエンジニアとして入社したのですが、最近はマネジメントとか組織作りというところで活動しております。

 今日は「エンジニアの生存戦略」という若干煽り気味のタイトルですが、この先エンジニア界で起こりそうな変化、可能性の話と、内製開発と外注開発の違いといったところを話しつつ、その文脈で今後重宝されるエンジニアってどういうものなんだっけという話ができればと思っています。

大庭:QuipperでWebの開発をやっております大庭です。Quipperという会社をご存じない方のために簡単に説明します。基本的にはオンライン教育プラットフォームで、世界中の誰でも、同じ質の教育をどこにいても受けられるようにしたいというゴールを掲げていて、そのミッションをDistributors of Wisdomと呼んでいます。

 プロダクトとしては『Quipper School』と『Quipper Video』、国内向けに『スタディサプリ』という3つを展開しています。『Quipper School』と『Quipper Video』はいま海外展開しているものです。『Quipper School』はフィリピン・インドネシアといったアジアのマーケットを中心に6ヵ国、Quipper Videoは現在3か国展開していて、グローバル企業の一つだと思います。

 開発面で面白いところとしては、『Quipper School』という海外向けのプロダクトと日本向けの『スタディサプリ』を全く同じコードベース上で両立させているっていうところですね。デプロイするときとかに日本向けに出したり、海外向けに出したりと切り替えられるようになっています。なので私も今は日本向けの開発がメインなのですが、開発するときには海外プロダクトのことも考えながら開発するし、逆に海外のエンジニアは日本のことを考えながら開発するという開発スタイルの会社になっています。

 経歴を簡単にお話すると、もともと私は教員を目指していました。けれども教員の世界にどっぷり入ろうかなと片足を突っ込んだぐらいのところでこの世界に自分は合わないな、とかなんでこんな非効率なやり方をするんだろうというところが多く見えて、「これは違うな」と思いました。だとしたらその「違うな」と思ったところを変えられる方に進みたいと思ってSIerに入って数年、その後そこから外れて今はQuipperにジョインしているという流れになります。

 先ほど話したように今はWeb Developerというポジションです。QuipperのWeb開発の人は基本的にフロントとサーバーサイドとをがっつり分けないで両方を見る、みたいな感じになってます。今日お話しできそうなこと、今自分の経験を振り返ってSIerからQuipperと2社しか経験してないんですけども、いずれも受託開発の中でB2C向けのものやB2Bのものもあって、で今まさにQuipperに入っていてB2CもB2Bもどっちもターゲットとしているサービスなので、そういうことで掛け合わせて4種類の開発経験があるということで、そこらへんの話もできればと。

▼エンジニアとして生きるのか、マネジメントとして生きるのか

大庭:引き続き私からお話しします。今回のテーマ改めて、「エンジニアの生存戦略」についてなんですけども、このテーマconnpass上でもうすでに発表されてみなさん多分知っていて来てると思うんで、基本的に今日来てる方は死にたくない…ですよね(笑)そういう方たちが興味を持ってきてますよね。

 ざっくりみなさんどういう属性というかどういうところで働いている方なのか聞きたいかなと思って…そうですね、ざっくり3択。Quipperみたいなベンチャーから中小企業の規模でプロダクト開発をやっているというと、RMPのような1000人規模の大企業でプロダクト開発をやっているというのと、あとは受託開発でSIerのようにやっている、この3択だったらどれに当てはまるかを挙手いただいてもいいですか?最初ベンチャー・中小企業の方いますか?・・・数えきれない。

金谷:多い

大庭:続いて大企業でプロダクト開発やってます、という方は?

金谷:こちらも多い

大庭:では受託開発でやってますという方は?…同じぐらい。今日はじゃあ結構それぞれ全方位方の話をする感じですね。生存戦略という話を最初このテーマで話そうって思った時に自分ってどうなんだろうと振り返ってみました。

 先ほど簡単に話したとおり、SIerで3年半くらいやってQuipperに来たのですが、最初のエンジニアとしてのキャリアスタートは社会人2年目くらいだったんですね。SIerの1年目はテスト設計とかやってましたが、実際に手を動かしはじめたらすごい楽しいと思えたことがあって。これでやっていこうと思った矢先にマネジメント系の仕事がわりと振ってくるようになって、マネジメント的な仕事とコードを書くことを並走させていたんだけど、段々マネジメントの仕事が8割くらい、コードを書くのが2割ぐらいになったときに、やっぱり自分の面白さはこっち(コードを書く方)にあるなって気付いて。自分はマネージャーかエンジニアかの二択でいうと「エンジニアでいくぞ!」と決めたタイミングがありました。

 そのときすごい爽快感というか、「俺はエンジニアでやっていくんだぞ」みたいなパッと開けた瞬間がある一方で、じゃあエンジニアとして生きていくということを3年とか5年とかさらにもっと先の7年、10年を考えたときにその時自分はどうなっているのか、という不安が同時にすぐ後ろから襲いかかってくる感じ。

それがQuipperに転職する直前くらいのことで、そのとき結構いろいろ読み漁ったんですよね。今生き残ってるって大手を振って言えるような人たち、各界の著名人たちは「こうすればいいよ」と言っていたり、『SOFT SKILLS』とかそういう類の本では、ブログを書いて自分の市場価値を高めて、オープンソースにコミットしようとか、100%正しいことが書いてあって。じゃあ自分もそうなんだな、そういうことをすればいいんだなと思うけど、それって持続可能性があるのかなと。生き残るために、偉い人たちが言ってることを自分が受け取ってやっていこうってことが本当に自分の人生の中で続けられるのかって結構難しいと思うことが何度も何度もあって。

▼プログラマー経験から見えてきたもの

金谷:では私のキャリアの話も続けて。

 私も最初は同じでSIerに”間違って”入ってしまって。(笑)もともと学生時代からwebサービスを作りたいなと思っていたんですが、あまり何も調べずに...というか、当時文系の大学だったのでSIerとweb系の違いが分かってなくてエンジニアリングできるなら何でもいいのかなという軽い気持ちでSIerに入って2年半くらい働いたんですけど、当時コードを書くというよりもお客さんに説明しに行くとか資料を作るような働き方で、尚且つ凄く忙しかったんですね。土日も出社して月曜のクライアント向け資料をプリントアウトしたりしてて。「土日に出社してやってるんだろう?」と。土日に休日出勤してやる仕事かなと。その日に何も考えずにもう勢いで辞めると伝えて数ヶ月後に退職しまして。

 それまでほぼプログラミングをやったことがなかったのですが、無職の間に勉強して、自分でサービスを開発してみたり、そのサービスのAPIや、開発上で必要になったgemやjsのライブラリやフレームワーク自作し、github上で公開したりという活動をずっとやっていると、運良く当時起業したばかりのベンチャーに拾って貰えて、そこからプログラマとしての人生が始まったという感じです。

 その会社はベンチャーだったので皆さんも心当たりがあるかもしれませんが、サーバー・クライアント・インフラ周りをすべてひっくるめて数人でやらないといけない状態を数年経て、採用活動とかマネジメントとか事業開発も多少やらせて貰えるようになりました。その後、縁があってRMPにジョインして、現在はマネジメントや組織作りに携わってます。エンジニアが自分の技術を武器として考えたときにどう振舞っていくべきか、どう振舞うと価値が高まるのかというところで思う所があり、RMPは4年くらい前に内製開発に踏み切って今70人規模の組織になってるんですけど、より価値の高いエンジニアが育つ組織作りをしている段階です。

▼内製開発と外注開発の違いを明確にすべき

大庭:じゃあ現在エンジニアを生き残らせるためにどうすればいいかを考えているのですか?

金谷:そうですね、どう育てばよいのか。それを考えて実践したことで、組織が良くなりつつあるなというステータスですね。

大庭:もう組織変更もしているんですか?          

金谷:はい、もう始まっていて、結構状況は変わってきていると思います。

大庭:組織変更の詳細って聞いてもいいですか?

金谷:そもそもの話として、内製開発と外注開発の違いって何が違うのという話から始まると思っていて。結局、外注開発でもサービスとして成功すればそれはそれでいいと思うんです。でも、リクルートあるいはRMPが内製開発に踏み切りますという戦略でエンジニアを抱えている以上、外注開発と内製開発の違いを明確にしないといけいけないのではないかと。

 リクルートって57年続いている会社なんですけど、その大半の歴史を外注開発的な手法で行っていた会社なんですね。そうするとただ単に内製開発しましょうと人を雇って組織化しても、結局関わり方が外注開発と変わらないっていう状態だと何の意味もないわけです。ただエンジニアが社内にいるだけだと、常駐タイプの外注開発と何も変わらない。内製開発と外注開発の違い、どっちがいいか悪いかではなく、違いがそもそもあるなと感じていて。

 外注開発は期限と成果物に対して対価が発生する。だから期限に対してシビアになるべきだし、マネジメント手法もそっちに寄りがちだと思う。必然的に仕事はタスクや機能ベースで振っていくことになる。一方で内製開発は、タスクベースじゃなくて相談ベースで仕事を振っていく組織です。極論すると達成不可能なもの、不確定なものも仕事として振れるものだと考えています。例えば、このプロダクトで1億円くらい売り上げたい、あるいは100万MAU達成したいと言われたとき、それなら3月までにこの機能を作ることで達成できます!って確約できる会社とか人っていないと思うですよね。そんなのわかんないじゃないですか。不確定だから、そこに対価って発生しにくいですよね。一方で内製開発の人達は、そういった不確定な目標も仕事として請けて、自分たちが有している技術を武器に、創意工夫を凝らしながら目標達成していく組織であるべきだと考えています。

 私も全ての状況を知っている訳ではないので観測範囲での話にはなるのですが、実際、元々RMP内でのエンジニア組織と非エンジニア組織の関わり方も、やっぱりどこか外注開発的でした。タスクベースで、こういうのを作ってほしいというオーダーで仕事が振られがちだった。これはエンジニア組織、非エンジニア組織双方の問題だと思っていて、どちらか一方が変わればいいという問題でもなかった。そういう所から、内製開発的な相談ベースでの仕事の進め方に変えていったという話だったりします。

▼Quipperの働き方について

大庭:Quipperにジョインしたのは1年前なのですが、この1年間意外とタスクベースの仕事も多かったんですよね。Quipperはもともと自分たちのプロダクトを持っているので、自分たちが主導でプロダクトを作っていくという感じで。ただやっぱりプロダクトって一番最初は何も形がなくて、それを作りきるまでの期間ってどうしてもありますよね。その期間は自社開発でもタスクベースになりがち。そこのフェーズを抜けたあとに改善フェーズになって、今あるプロダクトでどう勝負していくのかが見えてきたときに、金谷さんが言ったような組織になると非常にうまくいくのかなと。

金谷:今はそれに近い組織構造になってる?

大庭:そうですね、生き残るためにそうなったのかも。もともとはベンチャーでQuipperがRMPに買収される前だと、プロダクトが当たるか当たらないかっていう中でとにかく作るっていう状態だったみたいですね。

 背景説明すると、スタディサプリっていうプロダクトを作ってるんですけど、それはもともとRMPが持っていた受験サプリというプロダクトをQuipperのプラットフォーム上に乗せ換えたんですね。さらに来期には勉強サプリという小中学生向けのプロダクトをQuipperのプラットフォームに乗せ換える。それが終わるまではまずはやりきらないと勝負にならないというフェーズなんですね。

 CTOとかも非常に良く言うのがこれからは数字ベースでもちゃんと回していきたいと。とはいえ今年は全くそういうのがなかったわけじゃなくて、プロジェクト単位でKPIをちゃんと設定して、色んな数字を上げようと細々とやってみたりとか、アプリ内で課金できるようにして課金率をあげようとかをやっていました。そういうフットワーク軽い開発と並行して「プロダクトを作りきるぞ」という重いところが同時に走っていて、なかなか前者に全力投球できなかったけど「2017年度から本気出すぞ」みたいな。(笑)来年度からはがつがつ数字見てファクトベースで走っていくぞみたいなところが強化されるんじゃないかと思います。

▼人が育つ仕組みが重要

金谷:ベンチャーって生存者バイアスみたいな所があると思っていて。成功するベンチャーというのは、当たり前ですが優秀な人材が集まって、やりきる事ができる会社かなと。単純にそれ以外は消えていく。なので、私が主張している内製開発的な手法というのは、今のQuipperの話もそうですけど、多くの場合イケてるベンチャーだと勝手に実践できてることだと思うんです。

 ただ大企業で内製開発のメリットを出していくとなった時には、ちゃんと人を育てていくことまでを考えて体系化していくことが必要になってくるかなと。もともとリクルートって人材輩出企業みたいに言われることがあって、リクルートを卒業していった人たちが各方面で活躍している状況があります。いずれウチのエンジニア達もRMPを卒業して色んな所で活躍して欲しいと思っています。エンジニア輩出企業としても名をあげたいと。

 「元RMP、元リクルートのエンジニアってすごい」と言わせたい。そう考えたときに、優秀な人だけ残って卒業していけばいいよねとは言ってられない。もっとそういう人材が育つ環境というのを体系化して考えていかないといけない。

(meetup対談:我々が思うエンジニアの生存戦略とは【後編】にはこちら

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