目次
- 使ってもらえる「ものづくり」 重要ポイント6つ
- ①やるといいことがある
- ②日々、やりがいがある
- ③どうなるかわからなくてワクワクする
- ④みんなに認めてもらえる場がある
- ⑤すごい人が、すごいとわかる
- ⑥どうしてこれをやるのかを繰り返し伝える
- まとめ
私自身、これまで、たくさんの社内制度や、オンライン商品を考えてきましたが、「何かをつくる」ということにおいて、重要な共通点があるのではないか?
それが今回の内容です。
話に具体性を持たせるため、当社の『ありがとうポイント』を設計したときの考え方を事例に紹介します。(『ありがとうポイント』については、こちらの記事も読んでみてください。)
使ってもらえる「ものづくり」 重要ポイント6つ
①やるといいことがある
ユーザーに「いいこと」(=リターン)が何もないのに、使ってもらうことは難しいです。
では、リターンを何にすれば良いでしょうか?
一番わかりやすいのは、「金銭的報酬」です。これは、もらって嬉しくない人はいないといってもいいほど、万人に受け入れられやすいリターンです。
ただし、金銭的報酬を一番に考えない世代も確実に増えています。
そこで、同じくらい重要なリターンは「承認」です。
「◯◯の件、本当にありがとうございました!」「いつも◯◯さんのおかげで、すごく助かっています!」と、日々、感謝のメッセージが届いたら、それは何ものにも変えがたいリターンです。
このように、「利用した結果、何を得られるか?」というリターンを明確にすることは、ものづくりにおいてかなり大事だと思います。
(当社の『ありがとうポイント』のリターンは、第一に「承認」、第二に「金銭的報酬」として設計しました。)
もっと視点を広げれば、会社もプロジェクトも同じだと思います。
「入社(参加)した結果、何を得られるか?」の設計ということです。
当社であれば、クリエイティブ職は「相手の気持ちを動かすモノづくり」のスキルが確実に得られますし、学習に対する投資は、どの会社よりも惜しみなく行なっているという自負もあります。
また、職種に関係なく、「どの会社よりも休みを多く取ろう!」を合言葉に、強制的に有給消化してもらっているなど、とにかく休みが取りやすいという特徴もあります。
このように、「スキル」「学習環境」「時間」などをリターンとして設定することもできますし、会社によっては、「人脈」「知名度」など、様々だと思います。
何においても、リターンが明確でないものに、人は集まりません。
②日々、やりがいがある
「やるといいことがある」とわかっていても、それを日々、続けることができるかというと、それはまた別の話です。
これは、『ありがとうポイント』をリリースしてすぐ気がついたのですが、投票しても投票しても、その結果が、1ヶ月先にしかわからないとなると、その間、30日間はずっと、「のれんに腕押し、ぬかに釘」のような虚しさがあるでしょう。
やはり、何らかのフィードバックがこまめにないと、やりがいは持続しません。
そこで、できるだけタイムリーに近い形で、感謝のメッセージを本人宛に自動メールで届くようにしました。
これも、深掘りすれば、いくらでも凝れると思いますが、「こまめなフィードバック」は、サービスを継続してもらう上で必須です。
③どうなるかわからなくてワクワクする
「毎回、必ずこうなる」とわかっている類のものは、誰も参加しません。どうなるかわからないから、そこに楽しみが生まれます。
『ありがとうポイント』でいえば、毎月、誰がMVPを取るのかワクワクしますし、投票した人にも楽しんでもらいたいため、毎日投票してくれた人やたくさん応援メッセージを届けてくれた人にも、抽選で商品券をプレゼントしています。
抽選はルーレットを使って決めていますが、そのプロセスもみんなで楽しんでいます。
④みんなに認めてもらえる場がある
良い結果を残したとしても、そのことが誰にも認識されず、声もかけてもらえなければ、果たしてそれは幸せでしょうか?
良い結果を残したとき、周りの人に「おめでとう!」と声をかけてもらえるから、人は嬉しくなり、次に他の人が良い結果を残したときも、心から「おめでとう!」と言える。
そのように、感謝と応援が循環していくことが大事だと思います。
当社の『ありがとうポイント』の事例では、週単位、月単位で全オフィスをテレビ電話システムでつなぎ、ありがとうポイント上位者に対し、みんなで拍手し、「おめでとう!」と声をかけています。
⑤すごい人が、すごいとわかる
すごい人が、すごいとわかる。これ、当たり前のように思えて、意外とやってないケースもあります。
すごい人なのに、そのすごさが伝わらず周りに認識されにくいことや、変な平等主義からすごい人を表彰しないケースまで多々あります。
しかし、すごい人をすごいと表彰してあげなければ、すごい人のモチベーションは下がってしまいます。
ここで大事なのは、すごい人に該当しなかった場合でも、誰も悲しまない設計です。
すごい人を表彰しつつ、該当しない人も悲しまないバランス。その両立は可能です。
『ありがとうポイント』の事例でいうと、月間MVPや上位者の表彰というのはあるのですが、上位5名未満の人の順位は公表されません。
順位は公表されませんが、ランダムでピックアップされ、届いた感謝のメッセージをみんなと共有し、ランキング外の人もお祝いします。
たまに、悪い結果を見せて、やる気を出させようとするアプローチがありますが、これは間違っていると思います。
良い結果は、みんなで祝う。そうでない結果は、あえて強く自覚させず、できるだけ良い面を拾ってあげる。
もちろん、早急に厳しい成果を求められるような事案は別でしょうが、基本的に、全員が気持ち良く参加できるやり方を模索すべきだと思います。
⑥どうしてこれをやるのかを繰り返し伝える
これが一番大事かもしれませんが、「そもそもどうしてこの制度があるのか?」
つまり、参加者に目的をしっかりと伝えることです。
これは、社内制度だけでなく、商品企画や起業でも同じです。
「どうしてこの商品を作ろうと思ったのか?」「どうして我が社は存在しているのか?」
わかりやすくいえば、ミッション・ビジョンに当たる部分です。
ラルズネットの場合、規模が大きくなり、スタッフが増えていくにつれ、部署間の連携や感謝の気持ちが気薄になるリスクを抱えていました。
当社の部署でいえば、システム部・デザイン部に毎日仕事があるのは、フィールドセールスがしっかり案件を受注してきてくれるからであり、フィールドセールスが安心して納品できるのは、システム部・デザイン部ががんばってクオリティの高いホームページを作ってくれるからです。
システム部・デザイン部ががんばれるのは、原資を生み出すフィールドセールスがいて、システムを企画デザインしてくれる担当者がいるからであり、現場でフィールドセールスが自信を持ってシステムを紹介できるのは、腕の良いシステム部・デザイン部が素晴らしいプロダクトを作ってくれるからです。
そして、これだけの数のお客様に対応しながらも、各部署が自分の仕事に集中できるのは、日々、細かな対応・サポートをしているカスタマーサクセス・オフィスサポートがいてくれるからです。
自分ひとりですべてができるということは、もう何一つありません。今日も自分が不自由なく仕事ができるのは、必ず誰かのおかげなのです。
この事実と、毎日、しっかり向き合い、お互いに感謝の気持ちを伝え合おう。
これが、『ありがとうポイント』制度の目的です。
このように、目的をまずきちんと定めることが大切です。
これは、制度でも、サービスでも、会社でも同じです。
「幹」(目的)を設計せず、「枝葉」(機能)だけいくら用意しても、それは簡単に飛び散ってしまいます。
そして、「幹」(目的)の設計と同じくらい重要なのが、それを参加者全員に何度も何度も繰り返し伝えることです。
幹(目的)を設計したはいいものの、誰もそれについて知らないというのでは、まったく意味がないからです。
まとめ
「何かをつくる」ということにおいて、重要な共通点。それは、以下をはっきり設計することです。
①やるといいことがある
②日々、やりがいがある
③どうなるかわからなくてワクワクする
④みんなに認めてもらえる場がある
⑤すごい人が、すごいとわかる
⑥どうしてこれをやるのかを繰り返し伝える
学生、社会人、企画担当、経営者の方など、部分的にでも参考になる部分があれば嬉しいです!
結論
ユーザーに使ってもらうための「ものづくり」には、共通したコツがある!