quantum
quantumは、発想から実装まで、事業開発の全てを活動領域とし、 新しいプロダクトやサービスを創り出すスタートアップスタジオです。
https://quantum.ne.jp/
2024年5月15日、企業の可能性を拡げる事業を立ち上げ、それにより企業変革を成し遂げている大企業/中小企業の新規事業に賞を贈る、企業内の新規事業にスポットを当てたアワード「日本新規事業大賞」の最終審査が行われました。
日本新規事業大賞は、quantumが株式会社Sansan、株式会社アルファドライブ、株式会社ゼロワンブースター、株式会社ユニッジ、株式会社Relicなど、スタートアップ業界を代表する各社と共同で開催したもので、2024年3月11日〜4月12日まで募集を行い、書類審査を通過した5つの事業からプレゼンテーションによって最終審査を実施。最終のプレゼンテーションと審査はスタートアップ企業・大手事業会社・投資家など、スタートアップ産業に関わるすべての人が一堂に会した「Startup JAPAN」内のステージにて行われ、quantum代表の及部も審査員として参加させていただきました。
大賞は、以下6つの審査基準をもとに、6名の審査員によって選定されました。
< 審査基準 >
・Why you
・Why your company
・顧客、課題
・提供価値、解決策
・事業性、スケーラビリティ
・所属企業で実現することの想い、所属企業へのインパクト
< 審査員 >
・麻生 要一 株式会社アルファドライブ 代表取締役社長 兼 CEO
・石井 芳明 経済産業省中小企業基盤整備機構 審議役
・及部 智仁 株式会社quantum 代表取締役社長 共同CEO / 東京工業大学 特任教授
・鈴木 規文 株式会社ゼロワンブースター 代表取締役 会長
・大丸 徹也 株式会社Relic 取締役CRO Co-Founder 兼 ストラテジックイノベーション事業部長
・土成 実穂 株式会社ユニッジ 代表取締役Co-CEO
書類審査を通過し、最終審査に登壇したのは以下5つの事業でした。
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「100年歩けるわたしへ」をテーマに、加齢とともに低下する歩行力に特化したトレーニング機器と手法を提供するサービス。専門機器を使った家でのトレーニングをメインに、ジムではデータ分析・アドバイスを行う「反転ジム」形式を導入し、ターゲットの生活に適したトレーニングスタイルを採用。カテーテルやワイヤーなどto B向け医療用機器のメーカーであった社内から、未病に特化したto Cビジネスに挑戦中。
高額かつ効果測定が難しいとされるテレビCMを、低額から出稿を可能にし、独自の分析ロジックで効果を可視化。まだまだ可能性のあるテレビの影響力を活かし、現代に合う形での運用を実現したサービス。立ち上げから3年で78億円の売上を達成し、急成長の勢いがいかにユーザーに求められていたサービスであるかを物語っている。
MOONRAKERSは、「先端素材による未来の生活」をコンセプトとした、ユーザーのダイレクトボイスを元に、先端素材による機能的なアパレル製品を開発・販売する事業。歴史的B to B企業である社内からD to Cの事業を生み出すという変革だけでなく、アパレル産業自体の新たな方向性を示す可能性を秘めている。
成長する子供向けプログラミング教育の市場に対し、知識や技術の習得ではなく、プログラミングを使って「何をするのか」を子供自らに考えさせることで、ひらめきと創造力を引き出すプロダクト。「遊ぶ」ことで自然とプログラミングを身に付けることができる。会場を引き込むプレゼンテーションで、embotの魅力と可能性を伝えた。
データを活用しきれていないという課題をもった素材メーカーをはじめとする企業に対し、トヨタ社の長年培ってきた素材開発ノウハウを活かし、データに基づいた意思決定支援を行うサービス。「素材産業が日本のグローバル競争力の要になる」という信念とともに、事業推進への想いを語った。
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会場は満席で、立ち見が出るほどの活気の中、各社によるプレゼンテーションが実施されました。
どのプレゼンテーションも熱意溢れるもので審査は難航しましたが、映えある「日本新規事業大賞」の第1回大賞に輝いたのは、大接戦の末、東レグループ発の新規事業 「未来を織り成す:先端素材で切り開く産業革新」 MOONRAKERS TECHNOLOGIES株式会社 ⻄⽥ 誠 氏となりました。
MOONRAKERSは、マザーカンパニーである東レの開発力を活かしながら、クラウドファンディングによる受注生産を主なチャネルとして、ユーザーの声を取り入れつつ過剰な在庫をつくらずに機能的な衣料の販売に挑戦している事業です。
日本の先端素材は世界最高レベルとも言える中、極端な低価格ファッションの台頭で高い技術が必要とされなくなりつつあり、続く業界のデフレ環境によってアパレル産業全体が疲弊していくことへの問題意識からプロジェクトが始まりました。
歴史的なB to B企業として知られる東レですが、MOONRAKERSは出資者などを通してto C向けのマーケティングやブランディングといったノウハウを取り入れながら、クラウドファンディングによってユーザーと近距離でコミュニケーションをとって製品開発をすすめています。「過剰だなと自分たちでも思う」と自ら表現するほど徹底的にユーザーの声を取り入れ、洋服に快適さや利便性を求める層から熱狂的なファンを獲得し、ユーザーとの信頼関係やコミュニティを形成しながらブランドを成長させています。
クラウドファンディングを通して次々と寄せられるユーザーからの要望は、技術者たちにとってやりがいとなり、支援者の声や販売数がリアルタイムに見えることで、プロジェクト内外の人たちからも日々反響があったとのこと。ユーザーの声を重視したものづくりが、ユーザーの本音に辿り着いただけではなく、B to B企業ゆえに消費者の直接的な反響に触れる機会が少なかった社内にも新たな活気をもたらしたことが伺えます。
また、製品開発の速さが革新的なこともMOONRAKERSの特徴の一つ。従来の先端素材を使った製品は、アパレル・小売店経由で開発から販売まで2年かかっていたものを、自社開発により従来の4分の1である半年まで短縮。新素材を開発後、加工やデザイン、スタイルなどのインターフェイスとなる部分で柔軟にユーザーの声を形にすることによって、新しい製品を次々と生み出しています。
西田氏は「日本の企業には素晴らしい宝の山がある。それは技術と人。ともに日本を、そして世界を変えていきましょう。」と、来場者へのメッセージとともにプレゼンテーションを締めくくりました。
初の開催となった日本新規事業大賞ですが、授賞式後の懇親会にも多くの人が参加し、大盛況のうちに幕を閉じることができました。
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国内のスタートアップ産業や起業家界隈が盛り上がりを見せる一方で、企業内の新規事業は依然として肩身の狭い思いをすることが多いという現状があります。しかし今回の登壇者たちの白熱したプレゼンテーションが示してくれたように、日本企業の内にある技術や、人材は間違いなく大きな可能性を秘めています。
国内大企業の新規事業開発に並走するケースの多いquantumとしても、企業内の新規事業にフォーカスした本アワードへの参加も含め、ありとあらゆる方法で、日本からイノベーションを創出する後押しをしていきたいと考えています。