領域を問わず、これまでに存在しなかった新しいサービスやプロダクトの開発に取り組むquantumには、非常に多様な専門性と経験を持ったメンバーが在籍しています。 "あらゆる才能を重ね合わせ、まだ世界に存在しないプロダクトをBuildする" このミッションを達成するため奮闘する、quantumメンバーのひとりひとりがそれぞれどんな思いを持ってこの場所に集い、日々を過ごしているのか取材するシリーズがこの1/q(キューブンノイチ)です。
第9回目に登場するのは、Venture Architectの伊藤みのりです。
伊藤 みのり Venture Architect
●いとう・みのり 岩手県出身。高等専門学校卒業後、鉄道会社に入社。鉄道線路の施工管理業務を担当しながら、社内新規事業開発プログラムに応募し、自身の経験を元に提案した事業で入賞。社内新規事業を立ち上げると共に、同プログラムの事務局も兼任し、事業開発支援も経験する。quantumではVenture Architectとして、自身の経験から、メンティー側の思考でクライアントと共に事業づくりに取り組む。
quantum入社まで、どんな道を歩んできた?
高校受験のタイミングで、なんとなくみんなと同じところに行きたくなかったことと、もともと理数系が好きだったこともあって、高等専門学校を選びました。いざ入学してみると、内容が想像していた何倍も専門的で。同級生はなにかしら目標や将来像を持っていたのでベースのやる気が違っていて、最終的には授業が嫌になってしまって(笑)、あまり授業に出ずに、アルバイトばかりしていました。
そんなわけで進級や卒業が危うい時期もあったのですが、クラスのみんながノートを貸してくれたり、先生も親身になってくれたりと周りには本当に恵まれていて、なんとか留年もせず卒業することができました。
当時働き詰めていたアルバイト先は某コーヒーチェーン店だったのですが、コーヒー豆やグッズを売ったりする時に、自分で営業方法などを考えてよかったり、自由に挑戦させてくれるんですよね。そこでお客さんと話したり、喜んでもらえる経験をたくさんしたことで、誰かのためになることの楽しさを知り、自分がワクワクできる、そういうことを仕事にしたいと思うようになりました。
そんな思いも踏まえつつ、地元での就職を考えた時に真っ先に思い浮かんだのが駅員さんでした。田舎の駅で乗降者数が多くないこともあり、利用駅の駅員さんは私の顔も覚えてくれていて、改札を通るときにいつも挨拶してくれたり、元気をたくさんいただいていました。私も就活生や受験生など、改札を通る人たちの人生を応援できたらと思い、「これしかない!」と就活では鉄道会社一社しか受けませんでした。
とはいえ理系の高専だったこともあり、入社後は駅員ではなく保線の部署に配属されました。希望とは違った縁の下の力持ちの仕事ではありましたが、地域の方々の生活を支えていることには変わりなかったので納得して働いていました。ただ、もともと人との直接的な触れ合いの中で貢献したいという思いが強かったので、やっぱり人と直接触れ合って、その中で爆発的な感動を生むような体験、挑戦をしたくなってきて。ちょうどその頃、会社で社員がチャレンジできる新規事業開発プログラムが始まるのを知り、応募してみることにしました。
実は、そのプログラムには3回挑戦しています。最初の2回はそこまで肩入れしていなかったのでもちろん落選。3回目の時は「これで通らなかったらやりたいことをやるために転職しよう」と覚悟を決めて応募しました。徹底的に手と足を動かして、分析して、それまでの2回とは違って粘り強く挑戦したところ、最終審査まで進むことができ、結果として賞をいただくことができました。その後は、その新規事業開発プログラムの事務局メンバーとして働くことになり、プログラムの運営や候補者のメンターなどを担当しました。
実家のすぐそばにも線路が走り、鉄道は身近な存在だった。こちらは走行中の「SL銀河」。
quantumに入ったきっかけは?
社内新規事業開発プログラムの事務局の仕事をする中で、候補者のサポートやケアをしながら色々なプロジェクトが形になっていくことが、すごく楽しいと感じるようになったんです。その経験を元に、こうした事業開発の伴走や、経営企画のような領域で仕事ができる会社で働きたいと思って、quantumに入社しました。
実はquantumは、自分が挑戦したその新規事業プログラムに運営やメンタリングのサポート役として入っていたので、その時から知っていました。プログラム参加当時の私は新規事業に関してほぼ何も知らない赤ちゃん状態だったので、quantumのメンターの方からインプットを受けることが本当に多くて、最初の印象はもう「すごい人たちがいっぱいいる」っていうイメージでした(笑)。
それと「quantumという会社の人たち」という統一感があるというよりも、キャラが濃いというか、一人一人が本当に個性的だなと思っていました。
入社してからもその印象はあまり変わっていないですが、私も自分のキャラクターを出して、会社の中でも、外でも、ありのままで発信していいんだって思えるようになりました。会社によっては、同じ仕事に取り組み続ける中で性格が似てきてしまうようなこともあると思うんですが、quantumはあえてみんなが個性を持ち続けることで、凸凹を組み合わせていいものを作っていこうという文化を感じます。
働く環境、普段の仕事の様子。ワークスタイルについて聞かせてください。
常時2、3個のプロジェクトに入っていて、今はちょうどバランスの良い仕事量で働けていると思います。オフィスに行くのは週に2回くらいですが、パートナーさんとのミーティングに直接伺う時もあるし、オフィスには行かなくても意識的に外に出るようにはしています。
オンラインのミーティングが詰まっている時は家にいることが多いのですが、考える時間が必要な時や、作業をする時は外の方が集中できるので、よく近所のカフェに行きます。適度に雑音があって、自分一人ではなく、かつ面識の無い人が周りに誰かいる環境が私としては一番集中できるんです。
頭を切り替えるために意識的にやっているのは、一つの仕事が終わったら場所を変えることですね。前の仕事に頭を引っ張られてしまうことが多いのですが、お茶やお菓子ではいまいち切り替えができなくて、私にとっては物理的に場所を移動することが一番スイッチを切り替えられる方法です。だから、一つ仕事を終えたらカフェを変えて…、と、外で仕事するときはとにかく移動を重ねています(笑)。
外での作業時の、必携アイテムたち。家には、猫のほかにも複数のペットを飼っている。
アフターワーク、オフの日。どんな風に過ごしていますか?
野球観戦、食べ物、ゲーム、サウナ、アイドルなど、自分で言うのもなんですが趣味がすごく多くて、休みの日やアフターワークは趣味で全部埋まっています。
どんどん新しい体験をしたくなる性格なので、最近は断食道場に行ってみたり、メイド喫茶や競馬場に行ったり、初めてのことをたくさん体験しています。父と母が「まずはやってみて、違ったらやめればいい」という考えで、子供のときから私に色んな挑戦をさせてくれていたので、その影響が大きいかもしれません。少し前に病気になって手術が必要になったときも、手術までの検査や過程など、体験の一つ一つが新鮮で、楽しく感じてしまったくらいです(笑)。
新規事業開発に携わるようになってから、趣味を楽しむ中でも事業者側の目線になって物事を考えるようになりました。例えば野球観戦にしても、球団がサービスやイベントを通してどういうファン層を獲得しようとしているのか考えるし、飲食店に行っても体験設計の一つ一つを丁寧に観察するようにしています。
初めて野球場に行った時の写真。ここから野球ファン人生がスタートした。
quantumに入って、仕事の仕方や価値観など、変わったことはありますか?
以前はquantumのような会社に教えてもらう立場にいたので、入社して伴走する側になった当初、そのギャップに悩みました。どこまで口を出していいんだろうとか、無意識に制御してしまっているところがあって。
でもquantumの他のメンバーにそれを相談したときに「新規事業には正解があるわけではない」という話をしてもらってからすごく仕事がしやすくなりました。ブレーキを踏もうとする気持ちが消えて、むしろ、「教えてもらう側だった立場の私にしかできないやり方があるはずだ」と考えることができるようになりました。
同時に、その先輩メンバーは「パートナー企業が新規事業開発のためにquantumの仕事にどのくらいお金をかけているのか」をしっかり考えていて、自分も出し惜しみをしている場合じゃないなと。自分が持っているものをしっかりアウトプットしなくてはいけないと考えるようになりました。
サービスやプロダクトを通して作りたい未来の姿とは?
短期的なところだと、医療関係の事業開発に興味があります。自分が社会人になってから体調を崩して、通院のハードルや病気になったときのメンタルの変化など、ペインをリアルに感じたことが大きいです。
あとは、quantumで地方活性化に関わるプロジェクトに関わっていて、いつか自分のルーツである東北を元気にする活動もしたいと考えるようになりました。これは今すぐにというよりは年齢を重ねてからでもいいのですが。
今は何かを決めてやる、というよりも、人生の中でまだまだインプットするフェーズなんだろうなと思っています。興味関心のあることが多すぎて、とにかく吸収したいという感じです。quantumはメンバーそれぞれ個性や得意な領域があって、意識的に「この人からはこれを盗もう」と、吸収するものを決めて一緒にプロジェクトに取り組むようにしています。
目の前の誰かの「不」を解決して喜んでもらうとか、困っている人を助けるとか、かつて駅員さんになりたいという思いを抱いたときのように、自分が活動することで誰かが喜んでくれることをしたいという気持ちはずっと一貫して持っています。たくさんインプットを繰り返して、自分の力でできることが今よりもっと増えていっても、その気持ちは変わらないと思います。