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マネー回路の通電体験を得る

スタートアップスタジオquantumのクリエイティブ担当役員、川下です。
新規事業開発を成功へと導くために「未来の物語」を書く事業作家として、働く中で考えていることを書き留めています。


職業、事業作家。(毎週月曜日更新予定)|KAZUHIKO KAWASHITA | 川下和彦|note
スタートアップスタジオquantum(クオンタム)のクリエイティブ担当役員であり、事業作家である川下和彦が、日々新規事業開発に取り組むなかで考えていることをまとめたマガジンです。
https://note.com/kazukawashita/m/mf634b5615c93

前回は、「ディレクション」が本来持っている意味と、プロジェクト全体におけるその重要性について、わたしの考えを書きました。


「ディレクション」の意味|KAZUHIKO KAWASHITA | 川下和彦|note
スタートアップスタジオquantumのクリエイティブ担当役員、川下です。新規事業開発を成功へと導くために「未来の物語」を書く事業作家として働く中で考えていることを、このnoteに書き留めています。 前回まで、ビジネスを当てるにはデータとロジックだけではなく、野性の勘とセンスが必要であること、また、それらを養うためには、 ...
https://note.com/kazukawashita/n/n0ace52cdcc86

今回は、新規事業プロジェクトを一歩前に進めるに当たって、わたしがぜひお勧めしたいアクションについて紹介します。

新しい事業のアイデアが生まれると、誰でも失敗をするのは嫌ですから、ああでもないこうでもないと議論を始めます。そして、立てた仮説が正しいかどうか検証するために、ユーザー調査を設計します。ここで思ったような調査結果が出なければ、再びアイデアまで遡って仮説を立て直し、改めて調査を行う、というケースが多いのではないかと思います。

このように、石橋を叩いて叩いて、渡れるかどうかを確かめているだけのちは、怪我をすることはないかもしれません。しかし、それではもちろんプロジェクトは前進しません。あれこれ理由をつけて失敗を恐れ、避けているうちに、ビジネスアイデアの旬が過ぎ去ってしまっては、それまでの苦労が水の泡です。

では、どうすればよいか。

社内外からの資金調達して大きくプロジェクトを動かす前に、「スーパー極小サイズのマネー回路で通電テストをしてみよう」というのがわたしの考えです。

そうは言っても、最初から失敗したらユーザーの印象が悪くなってしまうのではないか、と心配になる気持ちもわからなくはありません。しかし、もしそうだとすれば、その影響を恐れなくて良いくらい小さく始めてみることにしてはいかがでしょうか。

ビジネスを始めるには何かと入り用入りようだと、どうしても必要資金を積み上げがちですが、火起こしした小さな炎を薪をくべて大きな焚き火へと育てていくように、まず最小限の中の最小限でできることをやってみて、それで火がつかなければ筋が悪かったのだと考え直し、もし種火がつけばそれをもとに火を大きくしていけばよいのです。

例えば動画ビジネスを始めようと思ったとき、最初からスタジオや業務用カメラ、照明機材、それらを使いこなせる専門スタッフなどをそろえなくても、スマートフォンを持っていれば、動画プラットフォームを使って誰でもマイクロビジネスを展開できるような時代です。

お弁当の宅配システムをつくるにしても、インターネットで簡単な申し込みページを立ち上げれば、規模さえ大きくしなければ顧客のもとまで直接自転車で届けることもできるわけです。

知恵を使えば学園祭際の出店でも稼ぐことができるように、難しいと思い込んでしまっているビジネスモデルも、意外と簡単に「最小のビジネス回路」をつくることができる世の中になっているのです。

このように、最小限のお金を稼ぐ仕組みをつくることを、わたしは「マネー回路づくり」と読んでいます。工作をするように、試しに小さな小さな最小のマネー回路をつくって通電してみる。そこから、チャリンと1円でも稼ぐことができれば、それはビジネスを大きくしていく上での手応えや、自信につながっていくのではないでしょうか。

そして、たとえ稼ぎが1円であっても、自分の起こした事業が人の役に立ち、その対価が得られる喜びが、次のステージを志す大きな原動力になるとわたしは思っています。

次回は、自分一人ではできないことをチームメンバーの力を借りてやろうとするとき、重要になる能力について書きたいと思います。

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