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事業開発を成功させる「三種の神器」。

スタートアップスタジオquantumのクリエイティブ担当役員、川下です。
「事業作家」として、未来の物語を書く中で得た気付きをまとめています。


職業、事業作家。(毎週月曜日更新予定)|KAZUHIKO KAWASHITA | 川下和彦|note
スタートアップスタジオquantum(クオンタム)のクリエイティブ担当役員であり、事業作家である川下和彦が、日々新規事業開発に取り組むなかで考えていることをまとめたマガジンです。
https://note.com/kazukawashita/m/mf634b5615c93

前回は、チームづくりの第一歩となるプロジェクト責任者の選定に際して、既存事業で経験を積んでいること以上に、その新規事業開発プロジェクトにおいて「一番槍を入れた人であること」を重視すべきだと書きました。なぜなら、その行動の背景には、自身が考えた事業を是が非でも実現させようとするオーナーシップがあると考えられるからです。


オーナーは、一番槍を入れた人。|KAZUHIKO KAWASHITA | 川下和彦|note
スタートアップスタジオquantumのクリエイティブ担当役員、川下です。新規事業開発を成功へと導くために「未来の物語」を書く事業作家として働く中で考えていることを、このnoteに書き留めています。 ここまで、 新規事業のアイデアのつくり方 について紹介してきました。 ここから、そのアイデアを具現化していく チームのつくり方について書きていきたいと思います。 ...
https://note.com/kazukawashita/n/n14578b21c9f2

しかし、新規事業開発を成功させるためには、オーナーシップがあるだけではまだ十分とは言えません。国内外で実施されたいくつかの調査・研究でもその重要性が注目されているものではありますが、わたしが新規事業のプロジェクト責任者に不可欠だと思う要素があと2つあります。

その1つが、「やり抜く力」です。
新規事業はその名の通り、まだ誰も知らない新しい事業を生み出すわけですから、いくら入念に計画を立ててシミュレーションを繰り返したところで、全てがシミュレーション通りにいくことはまず考えられません。必ずと言っていいほど、全く予測できなかったことが起こります。

そんなとき、過去に経験したことがないからと言って困難を前に立ち尽くすのではなく、どうすればうまくいくかを考え、行動し、想定した通りにならなければまた別のやり方を考えて再度挑戦する。何度もそれを繰り返し、幾重にも重なる壁を突破しながら、事業が軌道に乗るまでやり抜く力が新規事業のプロジェクト責任者には求められます。

もう1つの必要な要素が、「巻き込む力」です。
どんなに優秀な人でも神様ではありませんから、すべてのものごとを上手にこなすことができるわけではありません。もし仮にほとんど全てを上手にこなせてしまうスーパーマンのような人がいたとしても、すべてのことを1人の人間だけでやろうとすると、膨大な時間がかかってしまいます。新規事業開発においては、スピードも重要な要素。丁寧にやればどれだけ時間がかかってもいい、というものではありません。

では、どうすればいいのか。その答えは、自分にはない個性や職能を持った人の力を借りることです。そのため、新規事業のプロジェクトオーナーには、相手の信頼を得て、心を動かし、プロジェクトに巻き込む力が求められます。

一番槍を入れ、是が非でも事業を実現させる「オーナーシップ」。想定外の自体にもめげずに「やり抜く力」。自分の事業において必要な個性や職能を持った人を「巻き込む力」。わたしは、これら三つの力をまとめて、新規事業開発プロジェクトのオーナーに必要な、人間としての「器」という意味から、「三種の神器」と呼んでいます。


社内ベンチャー(社内起業)でオーナーとなり、後の社内起業家になる人を見極める。あるいは、スタートアップを立ち上げ、事業を成長軌道に載せる人を見極める。それらは、決して容易なことではありません。しかし、ここで紹介した3つの資質が備わっているか、という視点に立って考えることで、少なくとも目利きの確度を上げることができるはずです。

そう言うと、「そんな人材はなかなかいない」「一体どこで見つければいいんだ」という声が聞こえてきそうです。そこで次回は、オーナー資質の人材がどこに(隠れて)いるのかについて書きたいと思います。

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