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市場価値<市場創造。だから、転職するよりひとつの会社でキャリアを積むほうがいい

▲2018年1月より、メディアデザイン部 部長を務める前村 真之介

転職してキャリアアップを図りたいと考えているあなた。その決断は、当社メディアデザイン部 部長 前村真之介のキャリア論を知ってからにしませんか?
「キャリアを積みたいのなら、転職よりも現職がおすすめ」。社内外のキャリア講座で「目から鱗が落ちた!」と評判を呼んだ考えを、彼のキャリアとともに紹介します。

条件や待遇は大事。けれども、働きがいはもっと大事

仕事をするうえで大事なのは、報酬よりもやりがいなのかもしれません。
これは単なるきれいごとでしょうか。一概にイエスと言い切れないのは、誰もが仕事を通して成長を実感したい、周りから評価されたいという想いを持っているからではないでしょうか。

前村「私はこれまで、プロジェクトマネージャーや部長という立場でマネジメントをしてきました。マネジメントをする中で、転職していくスタッフを見送ることも少なくありません。そうやって目標を持って旅立った本人が、新しい場所で幸せに働いているのなら良いのですが、なかには職場を転々とする人もいるし、オプトに出戻る人もいる。この差って何だろうと考え、行き着いたのが『報酬なのか』『やりがいなのか』の二択でした。

良い給料をもらいたいのは誰もが同じでしょう。けれども、それだけを転職の動機に挙げる人は少ないはずです。それよりも、任されている仕事を役不足に感じている、自分の意にそぐわない仕事をしているなど、今の状況に満足していないケースのほうが多いように思います。つまるところ、お金は大事、だけど自分のやりたい仕事をすることはもっと大事。『なすべきこと』というベストを尽くした結果、『やりたい』につながる。やりたい仕事ができている人は、会社を移ろうなんて、まず考えないと思うのです」

では、このやりがいを見いだすにはどうすればよいのでしょう。そのためのキャリアの積み方を、前村はこう語ります。

前村「オプトは、業務を『Will・Can・Must』という3軸で考えています。オプトの社員に限らず、『Will』の大きい人は多いでしょう。しかし、その『Will』を実現するには、新たな仕事、現状よりも大きな仕事に挑み、『Can』を広げるしか方法はありません。ただし、これは会社の求める『Must』を広げることにもつながっています。

このサイクルが回るようになれば、転職しなくても自分の『Will』はどんどん広げられるというのが僕の考えです。そうなると、『良い職場に移るために自分の市場価値を作ろう』ではなく、『今いる職場で、自ら新しい市場を創ろう』という考えに変わります。自分のやりたいことを外に求めるのではなく、自分の内に求めるようになれるんです」

PDCAサイクルでは間に合わない時代がやってきた!

▲キャリアにおける「自分の市場価値」の落とし穴について学生の前で演説をする前村

ここまでを確信を持って話す前村ですが、この考えに行きつく前は、自分の市場価値にこだわっていたこともありました。

前村「デザイナーをしていた頃は、自分の市場価値が知りたくて、毎年のように転職活動をしていました。転職サイトやエージェンシーなどに接触すると、自分のおおよその適正年収を算出してくれるじゃないですか。それを見て僕ね、『あれ? こんなものなの?』って、ちょっと拍子抜けしたんです。制作だけをしていても、市場はさほど評価してくれないことを知りました。オプトで基礎を学べたから転職して幅を広げようと思ったら、そもそも幅がないと活躍できないことに気づいたんです」

これをきっかけに、自分の価値を高めようと考えはじめた前村は、当時の業務提携先に出向する機会をつかみ、そこで4年にわたり広告のディレクションとクリエイティブ制作に明け暮れます。オプト帰任後は、マーケティングプランニングを担当しつつ、デザイン組織を立ち上げる等、さまざまなプロジェクトに参画。気づけば、前村の幅は大きく広がっていました。

しかし、本人はあることに気づきます。

前村「当時は、コンペ用の資料を月に何本も作成していました。とにかく情報のアップデートが早くって。世の中がすごい勢いで動いていることを肌で感じました。もはやPDCAをきちんと回していられるスピード感ではないなと思うようになったんですよね。それよりも世の中の速さに自分を適応させることに集中しなければと、考えるようになりました」

走ってから考える。その結果、失敗したってチャンスは逃げない

▲悩んでなんかいないで、走ってから考えたほうがよっぽどいい。とにかくチャレンジが大事だと語る前村

「PDCAでどうにかなる時代じゃない」。
そう悟った前村は、これからはOODAの考えかたがより必要になると話します。
OODAとは、Observe(ひたすら観察する)、Orient(状況判断と適応)、Decide(意思決定をする)、Act(沿って動く)の頭文字を取ったもの。前村は、こんな時代だからこそ、シンプルに、最短距離で、効率よく成長することを考えたほうがいいと持論を展開します。

前村「これは仕事のみならず、自らのキャリアを考えるうえでも当てはまることです。悩んでなんかいないで、走ってから考えたほうがよっぽどいい。とにかくチャレンジが大事なんです」

未知に飛び込み、自分にプレッシャーをかけないうちは、成長なんてない。
ひとつのクリアに甘んずることなく、ひとつ、またひとつと進まないと、先だってない。
そう分かっていながらも、決断できずにこまねいているくらいなら、挑戦して失敗するほうが、むしろプラスになると前村は話します。

前村「たとえば、オプトは手を挙げたことを実行した結果、失敗してもマイナスが発生しない会社なんです。『すみません。これとこれがうまくいきませんでした』と振り返りから学びがあればいい。チャレンジしている人を降格させるようなこともない。会社も『あいつは、この前失敗したから二度と重要な仕事は振らない』なんて言いません。むしろ『この前、これにチャレンジして学びを得ているから、もう一度やらせてみるか』となるんですよ。

つまり、成果ではなく、手を挙げたかどうかのほうが価値が高い。成功すれば、もっと大きなことを任せてもらえるかもしれないけれど、失敗したってそう変わりません。だったらチャレンジしたほうが得。やらないうちから悩むのではなく、手を挙げてから考えればいい。だって、はじめない限り、何もはじまらないじゃないですか」

世の中の動きに合わせた成長曲線を描いていますか?

▲社内講義を行う前村の様子

前村の今があるのもまた、オプトというフィールドで一途にチャレンジを続けてきたから。その結果、手に入れられた裁量権と決裁権がまた、前村のチャレンジを生み出します。

前村「僕は、新しい部署、新しいプロダクトを作る仕事が多いのですが、これらは、自分の挑戦したい想いや、会社や世の中にあったほうがいいという考えがベースにあります。そういった自分の『なすべきことをやる』に対し、会社がゴーサインを出してくれるから、10余年にわたってオプトに居続けているのだと思います。同じことを他の会社でゼロからやるとなったら大変。しかも、予算をつけ、それなりのスケールでやらせてくれる会社なんて、そうそうありません。だからオプトがいい。自分のミッションにトライさせてくれて、成長もさせてくれる。そんな一連の仕事を任せてくれる会社って相当レアだと思います」

この環境をつかむために、しなければならないこと。

それは、信頼につながるチャレンジを繰り返すことに尽きると、前村は語ります。

前村「なぜなら自分の『Can』を広げていかないと、会社だって信頼のしようがない。だから、まずはやるしかない。その結果、手を挙げたら任せてくれる会社なら転職しなくてもよくないですか? 一心に励む社員を大切にしない会社は無いと思います」

そう話す前村ですが、この考えは現時点でのもの。今後は変わるかもしれない。だけど、それもいとわないと淡々と語ります。

前村「マクロ環境は変わり続けている、個人単位でも結婚したり、子どもが生まれたり、ライフスタイルは刻々と変わっていくと思います。僕だって将来は親の介護をすることになるかもしれない。そのときが来たら、気持ちも変化すると思うんですよ。その時に自分はどうしたいのかだけをいまは整理しておけばよいと思っています。そう考えたら、これからはなおさらPDCAのPじゃない。その場その場でベストを考えないと。世の中が右肩上がりで急上昇しているのだから、働き方も同じ曲線を描いていきたいですよね」

今の時代に求められているのは、考察力ではなく「しなやかさ」と、ためらわず実行に移せる「行動力」。これらさえ自分のものにできれば、今いる場所でも自分らしく働き続けられる。

市場価値を測るより、市場を創造する。前村のそんな考えは、多様性のこの時代だからこそ多くの共感を生んでいるのだろうと思います。


前村真之介(Shinnosuke Maemura)
2006年株式会社オプトへデザイナーとして入社。
Webサイトのプランニングや、ディレクターチームのマネージャーを経て、2011年より電通へ出向。
電通ではデジタル領域のメディア/クリエイティブプランニングなどの業務に従事。
2015年にオプトに帰任して以降は、マーケティングプランニングやデザイン組織の立ち上げなど幅広いプロジェクトに参画。
2018年1月よりメディアデザイン部 部長となり現在に至る。

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