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なかった部署を、なくてはならない部署に。代理店の広報スタイルを模索した3年間

今回は、いつも取材する側である広報部が、自分たちの想いを発信します。2015年の部門立ち上げから3年、積み重ねてきた実績を次の3年にどうつなげていくのか。これまでの軌跡と今後の展開について、立ち上げメンバーである高村奈津子をはじめ、広報メンバーたちの言葉を紹介していきます。

広報部門の立ち上げ当時、目の前にあった課題とは

▲広報部を立ち上げた当初。 全社会議で、広報活動をプレゼンする高村奈津子

オプトグループの広報部門は2015年に高村が立ち上げました。

高村 「わたしは2018年4月で入社14年目になりますが、その間に2度の育休を取得しています。2度目の復帰にあたっては、自社の組織づくりに携わりたいと考えていました。というのも、管理職を務めることで全社的な視点が芽生え、クライアントの課題解決のみならず、自社にも目を向けられるのではないかと思ったからです」

時期を同じくして、2014年頃より、社内でもインナーブランディングを強化する動きがはじまりました。事業の急成長にともない組織が大きくなり、オプトらしさが徐々に薄れはじめていたためです。

高村 「当時のオプトでは、組織が大きくなるにつれ、本来の価値観や大事にしていきたい文化の希薄化が進んでいました。これを食い止めたいと考える経営の思惑とわたしの希望が一致し、まずは私ひとりで経営理念の浸透活動をスタートすることになりました」

しかし、半年やってみた高村が気づいたのは、内輪の域を出ない活動をしていても、社員の心に刺さらないということでした。社外からの評価に耳を傾けたほうが、社員のマインドに火をつけることができるんだと実感した高村は、会社に広報の組織化を提案することにしました。

高村 「理念浸透の文脈に加え、クライアントに選ばれるためにも、対外的な広報活動への投資が必要だと話しました。広告代理事業で伸びてきたオプトは、『自社の宣伝より、クライアントのPRのほうが重要な仕事』と、始終自分たちは黒子であるべきだという考えだったんです」

今まではそのスタイルで良かったとしても、これからやってくる情報過多の時代ではそうは言っていられません。プレスリリースを発信するだけではなく、会社のカルチャーやそこで働く人たちを積極的に見せていくべきだ、そしてそれを実現するためのチームをつくらせてほしいと高村は提案したのです。

そんな強い想いが実り、2015年の4月に2名のメンバーが加わって広報チームが立ち上がりました。

高村 「2名とも、『オプトは、社員の夢を応援するプラットフォームでありたい。個人の夢をみんなが応援できる会社にしたい』というスタンスが好きで入社してきたメンバーでした。そしてそのスタンスを原点に、『社員の誇りをつくる活動がしたい』という私の想いに共感して来てくれたメンバーでもありました」

2名のうち1名はクリエイティブ担当として入ってもらい、会社の見せかたを整えるためのデザイン業務に従事してもらったこともポイントでした。無事にチーム化できてまず注力したことは、社外への情報発信です。コーポレートサイトなど、オウンドメディアの更新頻度を上げ、情報量を増やしたのです。

高村 「写真やバナーなどのビジュアルを使って、オプトの姿かたちを露出していくことを目標にして活動していました。写真を撮ったりブログを書いたりしながら、ひたすら素材のストックをつくる期間でしたね。発信活動の基盤もなにもない時だったので、センスがあるなと感じる2名と組めて、本当に良かったとあらためて思います」

立ち上げに携わった2名は、異動や退職のため今は別の組織で働いていますが、言語化しにくい感覚値の部分を共感し合いながら、一緒にモノづくりができた貴重な仲間です。

本格始動。社内外への情報発信、タレントづくりに注力

▲オプト広報部のメンバー。左から良田幸、菅原良恵、藤本香奈美、高村奈津子(部長)

広報チームが立ち上がった3カ月後に、菅原良恵と良田幸が異動してきました。菅原はオプトに入社後、広告運用や営業などさまざまな職種を経験していましたが、「専門性を磨きたい」と高村に相談をしたことがきっかけとなり、広報へやってきました。

高村 「『想いに共感できる』『クリエイティブに明るい』というメンバーの次に必要なのは、広告事業と社内情報に精通している人材だと思っていました。その点、菅原と良田はこの条件を満たすだけではなく、渉外もできる。これらの能力を、広報に活かしてもらおうと考えたんです」

こうして、基盤となる体制が整いました。次に取り組んだのは、社員への情報発信です。クライアントワークをやっていると、自社を振り返る余裕があまりありません。

高村 「管理職になるまでは、自社への興味を持つ余裕はまったくと言っていいほどありませんでした。そこで、普段はクライアントに向き合っている社員が情報に困ったときに立ち戻れるものとして、社内向けの週刊メルマガ『FEEL the OPT(フィールザオプト)』をスタートしました。
オプトの1週間を肌で感じられるように、というコンセプトのネーミングです。お盆や年末年始を除いて、毎週欠かさず発行しています」

ほかにも、企画もののコンテンツ、メディア露出の報告、発信したプレスリリースの報告、その週に行なわれる社内イベントの情報などを発信しています。とりわけ人気なのは、社長の金澤大輔みずからが執筆している『KANAZAWA’s EYE』。

新社長として就任して1年目に、社長が毎週目にしていること、感じていることを社員に発信すべきだと強く提案し、受け入れてもらったのです。金澤も、「情報を得ている社員との議論が、これまで以上に活発になった」と言い、3年経った今でも欠くことなく続いています。

菅原 「それから、オプトには事業領域ごとに毎月行なわれる『領域会議』というものがあるんですが、広報も必ず参加して議事録を取り、その内容をメルマガに載せています。だから、領域会議が行われた翌週の『Feel the OPT』はとっても長いんです(笑)」

良田 「コンテンツが盛りだくさんなので、メルマガにしては長すぎるという声もあるんですが、感度が高い社員にとってはとびっきりためになる情報源です。経営の文脈や、会社がどこに向かおうとしているのかなど、会議に参加できなくても知れることには、大きな価値があると思っています」

このほか、公式ブログ『opt café』の更新を、週1の頻度で1年間続けました。企画出しからインタビュー、執筆、アップロードまでのすべてを内製していたので、結構なハードワークでしたが、意地でもやろうという気概で広報チームとして取り組みました。

発信したい社員のために、ルートを整備・開拓して全面サポート

▲オプト広報部の活動内容(かぞく報、ノベルティノート、クリアファイル制作など)

社内外への情報発信と並行して、見せ方も工夫して進めていきました。当時のオプトグループのコーポレートイメージは、外部からと内部からで、見え方に大きなギャップがあったためです。

菅原 「オウンドメディアを通じて、私たちが日々社外へ情報発信をしていることに気づきはじめると、みずから率先して情報を提供してくれる社員も増えていきました。社内の情報を外に発信し、また社内に戻すという広報ならではの仕事が認知され、応援してもらえる空気が社内につくられていきました。
私は広報になってすぐ、全部長を紹介するコンテンツを担当したんですが、誰もがフィーチャーされることを喜んでいた印象がありました」

良田 「情報発信したいという想いは、社内でもずっと沸々としていたんだと思います。なので、私たちも、社員の売り込みには力を入れました。
たとえば、イベントで登壇者を募集していたら、広報で応募してほしい人をリストアップします。そしてプロフィールをつくり、応募すべきコンテンツが複数ある場合は、選定もするといった具合にお膳立てをしたりすることも」

このような取り組みを通して、社内外のコーポレートイメージのギャップが徐々に埋まっていきました。そして社員のなかからも、自発的な情報発信を行なう動きが見えはじめました。そうこうしているうちに、メディアの露出量が少しずつ増え、外に出ていく社員が現れるようになりました。

高村 「そうした変化を全社会議の場で報告すると、社員たちにも『オプトからもスター社員が生まれるんだ』という実感が湧いていきました。“代理店は黒子で良い“という時代は、見られ方がよくわからないので無難にまとめてしまっているところがありました。
だから、外から見るとカラーがないように映る。でも、内部の雰囲気は決してそうではない。成長意欲があり、トライしている人もたくさんいるので、当社の実態をきちんと打ち出したいという思いを強く持っていました」

菅原 「受信という点でも、社員は情報を欲していたことが分かりました。『広報ができてからいろいろな情報が入ってくるようになってありがたい』とよく声をかけられるようになりました。
『KANAZAWA’s EYE』もそうですが、トップのメッセージを毎週読める会社ってなかなかないと思います。そうした取り組みを通して、会社というチームを良くするために貢献できている感じがあります」

誰よりも信頼される「レゾナンスクリエイター集団」を目指して

▲一人ひとりがオーナーシップを発揮しつつプロジェクトを進行するからこそ重要な、日々のコミュニケーション

オプトグループとして、初めての取り組みである社内外への広報活動。活動を続けていくにつれ、広報チームとして目指すべき方向も固まってきました。

高村 「メンバーにはいつも『必要とされなさい』というオーダーをかなりしていたと思います。私たちのチームが発足する以前、IRのための広報はいましたが、たったひとりでした。カルチャーや人を通してコーポレートをPRするチームがまったくなかったところからスタート。
しかも求められたからではなく、みずから提案してできたという成り立ちがあるので、まずは私たちの存在価値を定義する必要がありました」

「体当たりで社員や個客のニーズを学んで来い」というスタンスからはじまり、やがて自分たちの存在意義をつくり出し、少しずつ目指す姿にあてはまるように表現し続けてきました。

そして、社内地盤を築けてきたまさに今が、第2フェーズのスタートラインです。この3年間を経て、メディア露出も増え、その効果を社員も実感できています。

菅原 「代理業であっても、『広報部は会社にとってなくてはならない存在だ』という共通認識はできたと思います。正直、3年かかったというのは長かったと思います。でもその分、付け焼刃ではない“広報カルチャー”という土台が築けたんだと思います。これからは、『当たり前にあるべき組織』として、期待値を超えるステージを目指していきます」

高村 「今後は、広報に関わる人員も拡大していきます。2018年に入社した藤本香奈美もチームに加わってくれました。現在の広報チームは社歴が長いメンバーに極端に偏っていますので(笑)、外から、または社歴の浅いメンバーにもどんどん入ってもらって、新しい価値創造に一緒に取り組んでもらいたいです」
藤本は、カスタマーサポートやWebディレクターなど、広告とは異なるキャリアを通じて培ったプロジェクトマネジメントのスキルを、早速チームで活かしてくれています。オプトのビジョンに共感して入社してくれた社員が、自身の持つ企業価値向上のアイデアをどんどん形にしてもらえる環境をつくり続けたいと高村は思っています。

高村 「メンバーの多くは、広報一筋のキャリアではありません。広報に限らず、バックグラウンドの異なるキャリアが集まってチームを組むことが、これからますます重要になると感じています。
立場を変えることでキャリアを広げるジョブローテーションは、人材育成の観点としても有用ですし、その選択肢のひとつに広報が入ることで、活躍できる人材も増えていくと個人的には考えています」

藤本 「2018年に入り、『これからの3年』というスパンで広報の目標をみんなで立てました。それは、『誰よりも信頼されるレゾナンスクリエイター集団になる』というもの。
広報は、あらゆるステークホルダーに目を向ける必要がありますが、私たちは『社員の共感(レゾナンス)を起点にして、世の中に波及していくものをクリエイトする存在』と定義しました。そのためには、誰よりも社員に信頼される存在、一番の良き相談者でありたいと思っています」

菅原 「重要なのは広報経験の有無よりも、“誠実な野心家”というイズムに共感できるかどうかだと思っています。ビジョンやイズムに共感してくれる仲間を増やし、まずは社員から、そしてその社員を通して個客や社会から信頼される発信を、より強くしていきたいですね」

高村がひとりで立ち上げた広報チーム。課題をクリアするごとに大きなミッションをみずからつくりだしてきました。今後も、オプトグループにとってなくてはならない存在として、より一層活躍していくことでしょう。

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