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エンジニアは辞められない──開発の先にある新しい景色を見たいから。

家電メーカーで長年活躍された後、50代半ばで当社へ入社されたMさん。来年に定年を迎えるも、その後もシニアエンジニアとして活躍する予定です。心から技術を楽しみ、後輩を支援している様子が印象的なすてきなリーダーです。そんなMさんのお話には、「生涯、エンジニア。」として働くためのヒントがたくさんありました。

エンジニアは、常に「考える」ことを続けていく仕事

私は現在、オムロン野洲事業所内にある当社の受託チームに所属しており、エレキ分野のリーダーをしています。扱っている製品は、改札機や券売機のような駅務機器やUPS、パワコンなどで、システムテストや設計変更、新製品の性能評価などを行っています。

設計変更やテスト、評価などの仕事もしていますが、チームリーダーとして顧客と業務内容や期間、成果物などについて打ち合わせ、各チームに業務内容の落とし込みから進捗の管理、サポートや後進の育成を主に行っています。

仕事を進める上では、目の前で起こっている事象を受け入れ、ありのままを報告することを大事にしています。たとえば試験で意図通りの結果が出なかった場合、客先にはその通り報告して、対策を考えます。顧客の開発の意図を理解し、責任をもって取り組むことが大切だと考えているからです。

この会社には50代半ばで入社しましたが、それまでは家電メーカーで長年エンジニアの仕事をしていました。その当時から私が大事にしてきたことは「Value Engineering」という低コストで機能を付加し価値を高める考え方です。

試行錯誤していろいろと考えるのがエンジニアの醍醐味だと私は思っています。今の受託案件でも、製品の性能評価に時間がかかりすぎていて要求される期間までに完了が難しそうなケースに対しどういった工夫ができるのか。測定する機械や方法を変えることで短縮できないか……など常に考えています。考えることが楽しいんですよね。

エンジニアとしての礎を作るために必要なこと

私は大学では機械を専攻していたのですが、家電メーカーに入社した時に電子部分の開発担当になりました。大学で電子の簡単な学習はしていましたが、知識がまったくと言っていいほど足りていなかったので、かなり勉強しました。受験のときよりも勉強していたと思います。当時は会社の敷地内にある寮に住んでいたのですが、1カ月間その敷地から出なかった時期もあったほどです。

20代は、一生の糧となる知識や技術を身につける大切な時期です。ある一定の期間、エンジニアはものすごく集中して学ばなければいけない時期があると思っています。

私はリーダーとして若いエンジニアも預かっていますが、彼ら彼女らのそうした大事な時期を実りあるものにする一助になれればと思っています。私が経験してきたことや知識はできるだけ伝えたい。年も年なので、いつ私がいなくなっても大丈夫なように、今日教えらえることは今、教えたいと思っています。一日一日がとても大事です。

実際、私の元にはいろいろな人が質問しに来てくれます。これからも、辞書みたいに使ってもらえれば嬉しいです(笑)。

2年間続いている勉強会。成功の秘訣は、「成長の実感」

私が担当するチームでは、去年から週1回勉強会を開催しています。昨年度は私が教える側だったのですが、今年度からはメンバー間の持ち回りで行っています。これが、本当に良い成果が出ているんです。

もともと真面目なメンバーが多いこともあって、一度教わると、そこから自分で勉強するんですよね。講師役を持ち回りにしたのは、人に教えることは、理解を深めることにつながると考えているからです。講師役のメンバーは教えるためにものすごく勉強します。

生徒役のメンバーも発表に際して意見を言うわけですから、皆その日のテーマを事前に勉強していきます。全員が自分を成長させるために勉強する、良い雰囲気が醸成されていると感じます。

メンバーは今、顧客と対等に議論していますよ。皆、深い知識を身につけています。こうした知識や姿勢が顧客からの信頼を勝ち取り、より踏み込んだ開発案件ももらえるようになりました。最近では私より詳しいなと思うこともあって、ちょっと寂しい思いもあります(笑)。

「生涯、エンジニア。」として働く──エンジニアとしての好奇心が尽きるまで

私は来年に定年を迎えますが、この会社のシニア制度を活用し、「生涯、エンジニア。」としてまだまだ働き続ける予定です。終わりの年齢はとくに定めていません。会社から求められる限り、続けていきたいと思っています。

私にとって「生涯、エンジニア。」とは、評価や設計の対象になる製品に興味を持って接して、その挙動や測定している波形を見ておもしろいと思える感覚を持ち続けられることだと思っています。

エンジニアの仕事というのは、ずっと山を登っているような感じなんです。「あそこまで行ったら、そこから見える景色はもっと素晴らしいものに違いない」と進み続けるんです。目標地点に到達しても、「さらに高いところにある景色を見たい!」といったように、携わっている開発の先にあるものへの好奇心が、登り続ける原動力なんでしょうね。

しかし、登り続けるためには、顧客にも「あなたに頼めば間違いない」と言われ続けなければなりません。電子部品は日々変わっていきますし、測定機器もどんどんアップデートしていきます。今は、そこにアプリが付加されていく。

新しく入った仲間に説明し続けられる自分でなければいけないのです。エンジニアというのは常に新しい知識を更新し続けるものですが、そうした好奇心や知識への欲求がなくなってしまったら、そこが自分にとってエンジニアの終わりなのかな、と思っています。

そうなったら、それまで登ってきた山を最後に振り返って、満足したいなと思います(笑)。

※ 記載内容は2023年12月時点のものです

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