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アジアの新興国・バングラデシュでインターン修行 vol.13

こんにちは、oceanizeインターンの木内陽翔です。今回はラマダーン終わりのゴールデンウィーク、イードについてお話ししたいと思います。カバー画像はイードの挨拶をしている少年たちです。

イードデイズ

3週間の断食生活を乗り切り大型連休に突入したバングラデシュ。人々は地方の故郷に帰ります。ゴールデンウィークというよりお盆という方がいいかもしれません。有名な猛烈な人で溢れる列車はこのイードの帰省ラッシュです。

これを見ると日本の帰省ラッシュもかわいく見えます。
なんならガラガラです
隙間がない。
辛さはどっこいどっこいです


コックス・バザールへ

せっかくの連休ということで思い切って遠出をすることに。この国の最大の観光地、コックスバザールへ2泊3日の旅行をしてきました。

結構南の方です。


コックスバザールはバングラデシュにおけるハネムーンの定番スポット。125kmにも及ぶ世界最長のロングビーチがあります。観光地に乏しいと言われるバングラデシュですがここは世界的な観光地になってもおかしくないのではと思います。知名度が圧倒的に低いのと交通インフラさえどうにかなれば…

メンバーはぼくとたかひろ、そしてコックのAshikと事務のsomir,uzzol,それから建物の管理をしてるSofik。旅行には念のために同行者をつけることとその同行者の分の旅費を出すこと、と言われた手前、出発当日我が目を疑いました。4人は多いよ、間違いなく… お前ら人の金だからってと思いましたがそれを察したのか金は2人分でいいから、と4人。ちゃっかりしてます。

バングラデシュの最南端にほど近いコックスバザール。深夜バスを利用します。いつもはボロボロのまるで田舎の田んぼの隅に廃棄されているようなバスが走るバングラデシュですが、深夜バスはなかなか綺麗なバスでした。リクライニングシートはふかふかでいい感じです。このバスいいでしょ、とuzzol。うるさいよ笑

実際とても快適でした。ありがとうuzzol。


到着!1日目

ガッタガタの道や粗めの運転もなんのその。バスが走り出してほどなく爆睡。10時間のバス旅もあっという間でした。 さてやってきたコックスバザール。どこまでも続く海岸線、イードということもあり人はまばらでした。

いるのはおじさんばかり。
一緒にいるのも男ばかり。


ヤッホーイと飛び込んだ海はどこまでいっても膝の高さ!溺れる心配はないですね笑しかし海面の高さと裏腹に迫り来る波の高さはしっかり肩まで。 サーフィンとかにはもってこいなのかも?初心者にもやさしそうです。

この写真も波打ち際からかなり入ったところ。このあと全員波にさらわれかけました。


男だらけでパチャパチャやってると徐々に雲行きが… 突然の土砂降り。海でビッショビショになっているとはいえ携帯やら何やらは守らなければいけません。

引き上げて食事処を探します。川魚が多いバングラデシュにあってコックスバザールの名物は海の魚たち。実はラマダーン期間はあと3日残っていたのですがせっかくの旅行。目の前の美味しそうな魚たちを断てるはずもなくいただきます。

写真は撮り忘れました。


コックスバザールはミャンマーとの国境にほど近く、陸路での行き来はできないもののビルマ系の親しみのある顔をした人たちが多く住んでいます。アーリア系の濃いい顔に囲まれて生活しているのでなんだか親しみを覚えます。夜はそんなビルマの人たちのバルミズマーケットに。バングラデシュとはちょっと違ったミャンマー風?の雑貨たちやコックスバザールの名物乾物のお店があったりします。

残っていたのはこの写真1枚だけ…


ホテルの部屋にはテレビが。おかげでここまで1試合もろくに見られなかったEUROの準々決勝を見ることができました。ちなみにホテルの部屋はツインルームが2つ。僕たちは6人。どうするのかと思っていたらバングラ人4人は2人で1つのベッドを使う、と。大丈夫かなぁと思いつつ、やはり自分がかわいいのでそこは知らんフリです。おやすみ!


騒々しい朝と2日目

翌朝、突然響き渡る携帯の着信音で目を覚ましました。外は大雨、ドアを叩く音も聞こえます。なかなかに騒々しい朝です。ドアを開けろの電話かな?ととりあえずドアを開けます。そこには何やら深刻そうな顔を浮かべた4人。そして再び鳴る携帯電話。

出ると日本にいる上司、晃史さんからでした。ダッカで立てこもり事件が発生し日本人が人質に取られているらしいこと、そしてその電話の最中に人質に取られていた日本人が死亡したらしいことがわかりました。寝起きのまどろみも吹き飛び代わりにとんでもない不安が襲います。ダッカのどこ?家に帰れるのか?インターンは続けられるのか?

バングラデシュの所属元、webHAWKSのUpalさんとも話をします。その時日本にいたUpalさんは僕の実家へ連絡を入れてくれるとのことでした。今まで遠い世界の話だと思っていたテロがすぐそばまで迫ってきていること、さらに日本人が犠牲になったことにぞっとしました。背筋が凍るという表現がありますがこの時まさにそんな感じでした。

ホテルにはwifi環境がないため一緒に来たSomirにパソコンを借りひとまず家族に連絡します。使えるのはSkype or Facebook。SkypeにしろFacebookにしろ家族間で使うことはないのできちんと連絡できるか心配でしたが一瞬でつながりました。日本とバングラデシュの時差は3時間。日本はすでにお昼でそのニュースは朝から流れていたためにあらゆる手段で連絡手段を探していたようです。前の晩にSomirがFacebookに投稿した陽気な写真たちにたどり着き安心したところで丁度僕からの連絡が来た、ことのこと。Facebookでやたらタグ付けしてくるSomirに一時辟易としていましたがこの時ばかりはSomirさまさまです。

しかしSomirのパソコンは当然日本語入力に対応していないので全てローマ字で返信します。緊急事態だったので謎のローマ字がかえって不安を煽ってしまいました。こればっかりはしょうがない。

そんな事件があったために二日目はホテルから外出禁止。実際少し怖さもあるのでホテルで大人しくすることに。この状況になると少しでも人数が多い方がなんだか安心します。6人できてよかった。

インターネットも使えずあるのは小さいテレビだけ…この暇な状況を救ってくれたのは日本に帰国した際に買ったkindle。kindleは右下に読了までの予想時間と読書の進捗状況を%表示で教えてくれます。この読了までの予想時間と戦っているうちに気がついたら3冊ほど読みきってしまいました。 単純です。


イード後半戦

三日目は雨も上がっていたので恐る恐る外に。Somirは外では絶対にしゃべるな、と。外国人だとバレないようにとのこと。なるほどここは観光地。どこで誰が何を聞いているかわからない。自分の身は自分で守らなければなりません。外に出るなり開口一番。Somirは僕にこう言います。「What do you want to eat ?」しょ、正気か…⁉︎

仏教系のお寺や眺望の有名な公園などを回りコックスバザールをあとに。

またゆっくり回れたらいいなと思います。


ダッカ市内に戻り家に着くとかなりの生存確認メッセージ。恐ろしい事件ではありましたがバングラデシュに来て以来こんなにもいろんな人からメッセージをもらうことがなかったのでとても嬉しくなんだか心強く感じました。(ブームは一瞬で去って行きましたが…笑)

落ち着いて情報を集めるといろいろなことがわかりました。事件があったのは7月1日の21時21分グルシャンというダッカの一等地にあるレストランを武装した7人の男が襲撃。日本人7人イタリア人9人を含む22人が亡くなりました。犯人は銃撃戦で6人が死亡。コーランが唱えられるか試験され、バングラデシュ人とイスラム教徒に対しては犯人は礼儀正しく接し外国人をターゲットにしていたようですが、この事件でバングラデシュ人の方も2名(警官を含めると4名)が亡くなっています。

亡くなったうちの一人は同じく亡くなったアメリカ国籍とインド国籍の2名と友人で、彼は犯人たちに立ち去る許可を得たものの友人たちが残るように言われたためにこれを拒否、友人とともに犯人グループに殺されてしまった、とのことでした。 バングラデシュにとどまらず世界的にも大きなニュースになったこの悲劇的な事件において、彼の存在がバングラデシュ人の救いだと言われていました。

バングラデシュではこの1ヶ月前に事実上の野党党首が死刑になっていたり関係者が1000人規模で逮捕されたりと政治的にはかなり不安定な一面があります。ISIL関連の組織が声明を出しました。4ヶ月しか生活していませんがそれでも普段の生活とこの事件から感じるバングラデシュのイメージはあまりにもかけ離れています。国としての評判を落とすことが狙いなのだとしたら犯人グループの作戦は大成功です。


このようなショッキングな事件に際して周りの人たちには本当に助けてもらいました。イードの連休は一週間。中盤にはチームリーダーのTahsinが断食明けのイードに僕たちを自宅に招待してくれました。断食明けを祝ってご馳走が食卓に並びます。

どれも絶品です


「イギリスからの植民地支配から解放されたことも日本のおかげだし、今走っている車も日本のものばかり。日本の助けがあって今のこの国があるしバングラデシュ人が一番好きな国は日本なんだ、それなのにこんな事件が起きて悲しい。」と言っていたTahsinのお父さんの言葉はなんだか重く響きました。

記念に、とTahsin。


コックのAshikは連休中にもかかわらず毎日僕たちの家に食事を作りに来てくれました。チームのみんなもそれぞれメッセージをくれましたし、買い物に出た時には日本人というだけで「今回の事件を本当に申し訳なく思う」と紅茶やお菓子を奢らせてくれという人たちにも会いました。(お腹いっぱいです)

少なくとも僕の周りにいる人たちはのんびり穏やかだし「おまえ何教?」と「SMAPで誰推し?」くらいの気軽さで宗教の話をするフラットな人たちです。クリスマスもブッダの誕生日もヒンドゥー教の記念日も祝日にしてしまうような国です。このニュースには本当にみんな悲しんでいたし「イスラム教過激派」として宗教を利用してこのような行為をする人たちに対して怒りを口にしていました。

しかし今回の標的が外国人です。まだ行方不明になっている青年は複数おり、今後同じような事件が立て続けに起こることが予想されていました。安全確保のために軽い軟禁状態になることと周りのスタッフの負担になることが気になり、イードの1週間の休暇明けからもう一つのオフィスがあるベトナムで1ヶ月ほど様子を見させていただくことになりました。

Chitraの結婚式に出られなくなることが心残りでしたが、ベトナムオフィスには一度行ってみたかったので非常事態とはいえラッキーだなと思いました。せっかく行くのだからベトナムオフィスとバングラオフィスの違いに気づき、いいところを吸収して還元しなければただのお遊び旅行になってしまいますし、バングラのメンバーにも申し訳ない。

気合を入れて乗り込みます。

つづく。

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