はじめに
この記事は実際のNOINのデータを用いて色々な切り口でコスメを考えてみよう思います。我々はNOINというプロダクトを通じてコスメをECで販売しています。
平均的に購入に至るまでに100以上の商品を比較検討することが分かっており、これが意味するところは「購入した」というデータは「閲覧した」というデータの100倍以上の価値があるということを示しています。そのデータから分かったことを我々だけに閉じるのではなく、データってこんなに意味があって面白いんだよということを皆さんにも知ってほしいと思い、noteを更新していこうと思っています。
さて、初回である今回のテーマは「NOINのユーザーは誰なのか」。誰がNOINで買っているの?という内容です。まぁここはただデータ並べるだけなので大した分析ではないですが初回なのでライト目に。
NOINは現在200万DLを突破しており、今回の分析に関しては購入経験者という軸できっています。早速本題に入りましょう。
年齢、エリア属性
年齢の分布です。横軸が年齢、縦軸がボリュームです。最も若いお客様が11歳、最もご高齢のお客様は75歳でした。平均年齢は現在約25歳で18歳〜25歳のユーザーで全体の54.2%が占められています。現在の年齢層は極めて若い媒体と言えます。
次にエリア属性です。エリアはかなり特徴的でECサービスにしては東京の比率が少ないです。ZOZOTOWNの決算説明資料(p.21)を見ると東京の比率は17.9%、一方でNOINは10.8%にとどまります。7.1%の差分は明らかに誤差ではありません。(上記は比較しやすいようにZOZOの分類と寄せて地域割しています)
我々はこれまで特にエリアターゲティングを行って広告配信を行うということはしていません。ではなぜ人口比率と異なるユーザー分布が現れるのでしょうか。
リアルの販売チャネルの有無による購入転換率の差異
おそらく販売チャネルの問題が最も大きいのではないかと我々は分析しています。東京に住んでいるとあまり気づきませんが、地方では「化粧品をリアル店舗で買う」という行動自体が難しい可能性が高いのです。リアル店舗で化粧品を買う場合、主なチャネルとなるのは百貨店かドラッグストアではないでしょうか。しかし、地方において百貨店は撤退が続いています(参考)。また、ドラッグストアに関してもコスメの取り扱いはあるものの、必ずしも新商品が並ぶとは言い難い状況です。
「地方では購入できる場所が少ないため、DLしてからの購入転換率が高い」
つまり買う場所がないので「買える」という機能訴求で攻めることは有用といえる可能性が高いです。ここから考えうる我々のマーケティング戦略の一つとして、「エリアターゲティングを行って効率的にユーザー獲得をする」というものが考えられます。そして確実にエリアターゲティングができる媒体で広くリーチできるものに何があるか。
戦略的に出稿媒体の選定を行う
我々は出稿媒体の一つとしてテレビを選択しました。実はテレビは上手に活用すればインターネットサービスのユーザー獲得に向いている媒体です。「若者はテレビをみていない」よくこれは言われますが本当でしょうか?たしかにテレビ視聴は減っています。しかし、大事なのは減っているという状況でどの程度減っているのかというところです。実は2016年時点で10代、20代の若者でも約70%がテレビに接触しています※1。つまり「減少傾向ではあるもののまだ最強メディア」これが事実としてのテレビの姿です。そのうち最強の座からは引きずり降ろされる可能性は大いにありますが、現状は最強。そしてこれは全体の平均であり、高学歴になればなるほどテレビの接触時間が減る、女性の方がテレビを見るということもデータとして分かっていることです。「テレビ離れ」を意識するくらいの意識高い人が見ていないだけで、必ずしも我々のターゲットはその人達ではありません。エリアターゲティングに関してはインターネット広告で行おうとするとボリュームの観点でまだ大きな課題があります。テレビで消化できるような金額を消化するのはほぼ不可能と言えます。
※1 総務省 学術雑誌『情報通信政策研究』 第 1 巻第 2 号 2018 年 3 月
Journal of Information and Communications Policy Vol.1 No.2 March, 2018
「情報通信メディア利用時間調査」の 5 年間データに見るテレビと
ネットの時間的侵蝕関係 ―若年層の分析を中心に
橋元 良明 (東京大学)
データで方向性を決め、個々人から具体的訴求を決める
今回のCMに関しては上記を踏まえて、そもそもテレビを使うか、使う場合の訴求をどうするか等々を決めていきました。また、データを用いる際に最もやってはいけないことは実はデータのみでの意思決定です。データから浮かび上がる人物はあくまで平均なのであって、実はどこにもいないということに注意をしなくてはなりません。(これはスマートニュースの西口さんもおっしゃってました たった一人の分析から事業は成長する 実践 顧客起点マーケティング)余談ですが、この本超おすすめです。
今回のCMの訴求軸は地方出身の大学生や社会人を集め、ユーザーインタビューをコピーライターの小藥元さんと行いながら詰めていきました。「街までの交通費でデパコスが買えちゃう」、「欲しいのが全然置いてない」、「ECで買い物しても北海道って送料別エリアになってることが多くて悲しい」この実際のペインは平均値からは出てきません。ここから訴求を絞り込み、再度ユーザーインタビューを行い、表現の詳細を詰めていきました。「田舎をバカにする表現にしてしまうと嫌いになる」というのはなかなか難しいオーダーでしたが、あるあるネタを盛り込みつつバカにしない田舎の表現に落とし込んでいったつもりです。
お店まで行くこと自体が超大変というペインはECで「家まで届く」ということで解消できるということを伝えたいという意図で作りました。
せっかくお店行ったのに欲しいの全然なかったというシチュエーションをコミカルに描くことにしました。CMはしっかり作っているので自転車もNOINカラーです。
「コストをかけて街までコスメを買いに行く」そこでの往復3,600円まさにリップくらいの価格。行くだけでデパコス買えちゃいますが、ノインなら送料無料。
実際、広告効果としては上々で、現状アドネットワークよりも効果高く獲得できています。
タレントさんの選定や構成等々のクリエイティブ詳細、ベンチャーにおけるテレビ広告の買い付けやKPI設定等々の実務に近い部分に関してはもし需要があれば書いてみようかと思います。
ノインでは一緒にサービス、会社を伸ばしていく仲間を絶賛募集中です。職種は色々募集しているので興味持っていただけたら是非ご連絡ください!
ノイン株式会社 取締役COO 千葉 久義