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「ユーザーが自由に遊ぶコミュニティ」をいかに設計するか。音楽SNSが大型アップデートに込めた意図を振り返る。

「nana」では、ユーザーが歌や伴奏を投稿し、互いに音を重ね、新たな表現を生み出しています。そんな“共創”の場を、より楽しく進化させるべく、nana musicのエンジニアやデザイナー、プロダクトマネージャーは改善に向けた試行錯誤を重ねています。

この秋の大型アップデートでは、ユーザーの投稿数を増やし、より多くの人が音を通じてつながれるよう、4つの新機能をリリースしました。それぞれの機能にはどのような意図が込められているのでしょうか。

今回は、アップデートを率いたCOOの細野とプロダクトマネージャーの近藤に、その裏側を振り返ってもらいます!

(エンジニアの近藤とCOOの細野、nana musicの新しいロゴTシャツに身を包んで登場です!)

すべては“アクティブ”な投稿ユーザーを増やすため

ーーまずは今回のアップデートの目的について説明をお願いします!

細野:アップデートの最大の目的は「ユーザーの投稿数を増やす」ことでした。どれだけ新規のダウンロード数が増えても、一度も投稿せずに「nana」を離れるユーザーの数が多ければ、コミュニティは盛り上がらない。新規ユーザーの獲得に注力する前に、まずはバケツの漏れを確実に塞ぐための施策が必要だと考えました。


近藤:以前から社内でも「ユーザーの投稿数を増やしたい」という話は挙がっていました。ただ海外展開など、他にもやりたいことが沢山あり、新規ユーザーの獲得の方が優先度が高かったんです。

けれど、昨年細野さんが入社してユーザーのデータを改めて見直したところ、投稿数がユーザーの定着率に強く影響していること、数回しか投稿せずに退会する人も多くいることがわかりました。

他にもやりたい施策は山ほどありますが、まずはここから手を打たなければと。細野さんや他のエンジニア、デザイナーとも議論し、具体的な機能を話し合っていきました。

(1)投稿のきっかけをつくる「コラボ歓迎機能」

ーー今回は大きく4つの機能をリリースしましたよね。まず、1つ目の「コラボ歓迎機能」について、その裏側を紹介してもらってもいいですか?

近藤:「コラボ歓迎機能」は、投稿時の画面で「コラボ歓迎にする」をONにすると、ユーザーが楽曲やアーティストを検索した際、その投稿が上位に表示される機能です。フォロワーにも招待が送られるのでコラボされる確率も高まります。

(左が投稿画面、右のようにフォロワーに通知が届く)

細野:「nana」を使い始めたばかりのユーザーにとって、知らないユーザーの歌や伴奏に自分の歌を重ねるのは、少しハードルが高いと思うんです。

新規ユーザーが「勝手にコラボしていいのかな」と思っているときに、他のユーザーが「コラボを歓迎している」ことが一目で理解できれば、より気軽に投稿してもらえるはずだと考えました。

(2)テキストでの表現を広げるフィードのデザイン変更

ーー2つ目がフィードのデザイン変更ですよね。かなり見た目が変わりました!


細野:フィードに表示できるキャプションの面積が増え、よりテキストが目に入ってくるデザインに変更しました。ユーザーがその曲を選んだ理由や、演奏に込めた熱量を可視化し、それらを通じて他のユーザーとつながる。人と人が音で繋がる「nana」のコンセプトを体現した機能です。

近藤:テキストから投稿の背景を知ると、同じ曲でも聴こえ方が大きく変わると思うんです。よりテキストが目立つデザインになったことで、これから音だけでなく、文章でも表現する人が増えていったら面白いですよね。

(3)コミュニティへの参加を促す「リポスト」

ーー 3つ目の新機能「リポスト」もフィード周りの変更ですよね!ついに「nana」でもリツィート的な行為ができるように...!

近藤:そうですね!他のユーザーの投稿を自身のフォロワーに共有できる機能を追加しました。「nana」ユーザーのなかには、投稿よりも聴く方を楽しむ「聴きnana派」がいるんですよ。彼らは言わばキュレーター。「リポスト」は、素敵なサウンドを見つけて紹介したり、自分でプレイリストつくったり、そういう「nana」の楽しみ方をしている人に向けた機能です。


ーーでも、「フィードのデザイン変更」も「リポスト」も、ダイレクトに投稿数を増やす機能ではありませんよね?どのような意図があったんでしょうか?

細野:確かにどちらもユーザーの投稿数に直結する施策ではありません。けれど、「歌う」以外にも「nana」というコミュニティに参加する手段を増やしたかったんです。

特にリポストについては、ユーザーが動的にアクションし、コミュニティに参加しているという点で、とても意義があると思っています。自分では歌わないけど誰かと共有したいものがあるとして、その熱量がコミュニティに伝わらないのはもったいない。彼らにもアクティブに参加する方法があれば、きっと「nana」を使い続けてくれるはずだと考えました。

(4)ハモる楽しさを体験できる機能「Harmo-Tune」

ーー4つ目の新機能が「Harmo-Tune」です。これは細野さん念願の機能だと聞いています(笑)

細野:僕自身が、他のユーザーとハモるのが好きすぎて「nana」にハマったので、必ず形にしたかった機能ですね(笑)「Harmo-Tune」は録音した歌にかけるエフェクト機能の1つで、主旋律を歌ったサウンドをハモり用に加工できます。

いくら「コラボ歓迎」と言われても、完成された伴奏にボーカルが重なっていると、「コラボする隙がない」と感じてしまう人もいるはずです。そういう人にも音を重ねる気持ち良さを体験してもらいたいと思いました。

(右下で赤く囲んだのが「Harmo-Tune」機能)

――音声処理エンジニアの杉浦さんがかなり苦労したとか…。

細野:そうですね...。僕はオーディオ関連の知識がないため、当初は「他のエフェクトと同じようにできるんじゃない?」なんて思っていたんです。

でも、今の音質を保つためには、相当な試行錯誤が必要だったみたいで...。杉浦さんと何度もミーティングを開き、実際の音を聞きながら改善を重ねていきました。ハモりの気持ちよさ感じてもらえないと意味がないので、満足できるクオリティに至るまで、開発にはかなり時間も割きました。


Listen To The Music (with Chorus)/Playing For Change by nana運営チーム - 音楽コラボアプリ nana
by nana運営チーム - #nanaPFC #listentothemusic #PFC #playingforchange
https://nana-music.com/sounds/043db7d1/?s=embed%EF%BC%88%E3%81%86%E3%81%AB%E3%83%BC%E7%A4%BE%E9%95%B7%E3%81%AE%E6%AD%8C%E3%81%AB%E3%80%8CHarmo-Tune%E3%80%8D%E5%8A%A0%E5%B7%A5%E3%81%97%E3%81%9F%E6%AD%8C%E3%82%92%E9%87%8D%E3%81%AD%E3%81%9F%E3%82%82%E3%81%AE%E3%80%82%E3%83%8F%E3%83%A2%E3%82%8A%E3%81%8C%E7%B6%BA%E9%BA%97%E3%81%A7%E3%81%99...%EF%BC%81%EF%BC%89

(上記のURLから、うにー社長の歌に「Harmo-Tune」加工した歌を重ねたものが聞けます。ハモりが綺麗です...!)

自由に遊んでもらうためのバランスを取る難しさ

――無事にリリースした4つの新機能、どんなふうに楽しんでもらいたいですか?

細野:それはあえてあんまり意識しすぎないようにしています。遊び方を規定するのではなく、ユーザー自身で面白い遊び方を見つけてもらいたい。

社長もよく言ってましたが、「nana」は「マインクラフト(仮想空間でブロックを配置して遊ぶゲーム)」なんですよね。マインクラフトでは、ユーザーがブロックで道具や建物を組み立て、世界をつくっていく。ボスを倒すとか、そういう達成すべきゴールも設定されていない。

「nana」もまったく同じで、「達成」という明確なゴールがないんです。新しい出会いや楽しいこと、別れ、喧嘩も、人と人のコミュニケーションすべてがコンテンツなんですよ。

――確かに...!みんな自由に楽しんでますよね。

近藤:僕も同感です。例えば「声劇」(セリフを読む人、台本を考える人がコラボし、劇のようなストーリーを演じる投稿)も、僕たちが提案したわけではなく、ユーザーの発想から自然と生まれたジャンルでした。こういう遊び方を発明するための余白を用意していきたい。

細野:「nana」には、ユーザーの心のなかにある「歌いたい」とか「面白いことしたい」とか、そういう内なる情熱が欠かせないですよね。外から刺激を与えたり、仕組みを整備したりしすぎてはいけない。

とはいえ、僕らも投稿数を増やしたいから、加減がめちゃくちゃ難しいんだけど...(笑)そこは今後も最適なバランスを探っていきたいです。

ーー 常にユーザーに寄り添う「nana」でありたいですね...!

ーーー

多様な表現が溢れる自由な遊び場をつくりたい。それと同時にしっかりと新たなユーザーが増えていく仕組みも用意したい。このバランスについては、2人とも「難しい...!」と声を揃えていました。

今回のアップデートに寄せられたフィードバックと真摯に向き合い、より楽しく、面白く「nana」を進化させられるよう、社員一同がんばります!

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