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大手製薬会社からベンチャーに“レンタル移籍”。期限は6ヶ月、彼女は不確実な環境でどう動くかを学んだ。

企業間で社員を“レンタル移籍”させるプラットフォーム「ローンディール」をご存じでしょうか?

大手・中堅企業の社員がベンチャー企業に移籍し、自社では経験しづらい立場や職務を経験できるというこの仕組み。nana musicも大手・中堅企業から社員を受け入れている150社のうちの1社です。

この「ローンディール」を通じて、大西順子は大鵬薬品工業からnana musicにレンタル移籍。半年間にわたり様々な活躍を見せてくれました。この半年で彼女が得たものとは何だったのでしょうか。

nana musicへの“移籍”を決めたのは、サービスへの情熱と、それを支える人の魅力

ーー大西さんは、大鵬薬品工業ではどういったお仕事をされていたのですか?

長く事業開発部に所属して、ライセンス業務を担当していました。契約の締結や提携支援、アライアンス周りの業務ですね。

ーーそのなかで、どうして別の企業に移籍するローンディールを利用しようと思ったのですか?

1年前に新規事業開発を担当する「社長室」に異動が決まったことがきっかけです。製薬以外の領域での事業立案がミッションだったのですが、アイデアを出すのに苦戦していて。何とか絞り出しても、どうやって動けば良いのかわからない、という状態でした。そんな私を見ていた社長から、「ローンディール」での“レンタル移籍”を提案され、挑戦してみることにしました。


ーー目の前の仕事に悩んでいる時期だったんですね。いくつも移籍候補があるなかでnana musicを選んだ理由は?

当初は製薬と関連するヘルスケア系の企業がいいな、と思っていました。でも、それを社長に話したところ「面白くない!」と一蹴されまして(笑)。「もっと頭を柔らかくして考えてみたらいいんじゃないか」とアドバイスされ、純粋に行ってみたい会社を選ぼう、と。そこで目に留まったのが、nana musicでした。

元々、大学時代は軽音サークルに所属していたくらい音楽が好きで、何度も音楽に救われてきました。「音で人と人をつなぐ」を掲げる会社があると知って、話を聞いてみたい、そう思ったんです。

面談で文原から「思春期の若者に居場所を提供したくて『nana』をつくった」という話を聞いた時に、おこがましいかもしれませんが、自分の思春期の記憶が重なったような気がして。私も誰かの居場所になれるようなサービスに携わりたい、と思いました。

ずっとやってきた提携業務もnana musicでは別物。「顧客心理を掴めているのか?」

ーー大西さんの原体験と重なる部分があったんですね!移籍してからは様々な業務を担当されていましたよね。

はい、最初は新たなマネタイズモデルの立案に取り組みました。たとえば「クライアントが音声アンケート調査をできる機能を設ければ?」とか「音源がアルバム化されて有料ダウンロードできるのはどうか?」など色々と提案したのですが、全部COOの細野さんに却下されまして(笑)。そこからはアプリの有料会員増加の施策を担当することがメインになりました。 

カラオケボックスと提携したプロジェクトでは、カラオケボックスの稼働率が低い時間帯を使って、「nana」の有料会員に無料で3時間利用してもらうパッケージをつくりました。無料会員の方も500円で利用できるパッケージで、つい先日約2ヶ月半のトライアルを終えたところです。想定以上の集客に成功したので、今後もどう継続していくか、協議を進めようとしています。


ーーそうした仕事に携わるなかで、印象に残ったことなどはありましたか?

私は「具体的にどういうパッケージをつくるか」という提携の詳細を決めるタイミングでプロジェクトに加わったのですが、大鵬薬品で提携業務を担う時に考えてきたこととは、まったく質が違っていて驚きました。

大鵬薬品では、決まったフォーマットがありましたし、ユーザーの存在を強く意識することはなかったんですね。でも、nana musicでの提携業務は「nana」ユーザーの皆さんが、どういう内容だったら嬉しいのか、どういうパッケージなら有料会員化を検討してくれるのかを考え抜いて設定する必要がありました。

nana musicで働き始めてからずっと「ユーザーに憑依して考えろ!」と言われてきたので、10代・20代の女性について色々な角度から調べたり、自分自身も「nana」に歌をアップしたりと工夫してきました。ただ、今もユーザーの心理を掴むのには苦戦しています。

ゲームセンターでデシベルを測る日々。nana musicのバリュー「Try First」本領発揮。

ーー他にも印象に残っている仕事があれば教えてください!

ユーザーの「歌う場がない」という問題の解決策を探るのは、本当に刺激的でしたし、勉強になりました。歌を録音したい人にとっては、部屋の中で歌っていると「となりに聞こえる」「家族に聞こえる」というのが障害になりますし、カラオケなどの場所ではノイズが入って綺麗に音源を撮れないうえ、コストも高いんですね。

はじめは「どうすれば防音できるか」と考えて、防音を専門とされている会社にアポをとって話を聞きに行ったり、良い素材を探してホームセンターに見に行ったりしました。でも、その過程で個人が気軽に防音器具を購入することはハードルが高いと分かって。

「そうなったら簡易防音ブースを作ってゲームセンターに置いたらいいんじゃないか」と、企業に提案にも行きました。ゲームセンターが防音できるレベルの騒音環境なのか確かめようと、自分でデシベルを測りに行ったりもしましたね(笑)。

結局、ゲームセンターで密閉型のブースを設けることは消防法や風営法的に難しい、となり諦めたのですが、その後も街を歩いては「ここだったらいいんじゃないか!」と模索し続け、実は今も違う所に打診中です。

ーー地道にトライを重ねてきたんですね…!「Try First」のスピリットを感じますね。

そうですね。“移籍”当初驚いたのですが、誰かが「これ面白いかもしれない」とアイデアを出したら、すぐ人が集まってその場でディスカッションが始まり、2日後くらいには企画書が出来上がるんです。

面白いものを取り入れるのが速くて、常にユーザーを驚かせようとしている。「Try First」だけでなく、「Keep Surprising」というバリューも、会社に根付いている。日頃の会話でも「それサプライズや!」みたいに、ジョーク混じりで会話に出てきたりします(笑)。


大鵬薬品工業とnana music、提携できる日を目指して

ーーnana musicで過ごした時間は、まさに「頭を柔らかくする」日々だったのだな、と感じました。

頭が柔らかくなったのか、自覚は正直持てていないのですが(笑)。不確実な環境でどう動いていくか、に関しては多くを学ぶことができました。いきなり一つの仮説検証に集中するのではなくて、色んな選択肢を持って、それを小さくゆるく回していく。その中でいいものが1つ見つかるかどうかなのだ、と理解できたように思います。

なので今、大鵬薬品に対しても、沢山の選択肢を継続して試す取り組みが評価されるよう、評価制度の見直しを打診しているところなんですよ。

ーーさっそく新たなアイディアを提案されているんですね!最後に、大鵬薬品工業に戻ってからの目標も聞かせてください。

まず今回得た学びを大鵬薬品でアウトプットして、外の世界に興味を持つ人を増やしたい。nana musicに来て、色んな生き方をしている方に出会い、視野がすごく広がったんです。1つの会社に長い間いると、外に出る勇気ってなくなりがちだと思います。

でも、転職とかじゃなくても外の世界に触れる機会はつくれるし、その一歩で世界が広がるというのはしっかり伝えていきたいです。

あとはnana musicとも何か面白いコラボができたらいいなと思って、色々とアイディアを練っているところです。nana musicは本当に温かい人ばかりで、ずっとよくしてもらってきたので、何か恩返しとなるような提携案を考えたい、それが今の目標です。


数ヶ月前までアイディアを出すのに苦戦していたのが信じられないほど、笑顔で今後の目標について話してくれた大西さん。その苦手なことから逃げず、日々の仕事に真摯に向き合う姿に、社内のメンバーも多くの刺激を受けました。

大西さんのこれからの活躍、そしてnana musicとどんなコラボを企んでいるのか…!楽しみにしたいと思います!



◎今後も、nana musicで働くメンバーを紹介していきます。お楽しみに!


nanaな人々|nana music Inc.|note
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