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東大発ベンチャー「NABLAS株式会社」に有能なAIエンジニアが集う理由

弊社は、「AI総合研究所」と銘打った東大発の企業です。その名の通り、多岐にわたるジャンルの最先端AI技術を社会と結びつけ、「人が人らしく生きることができる社会を実現すること」をミッションとして掲げています。
2017年にAI分野における人材育成組織としてスタートした「iLect」と、自社でのAI技術研究開発の二本柱。さまざまな分野の企業へのAIの実装を手がけ、AIによって社会をよくする事業を展開しています。

今回は、代表取締役所長である中山と、執行役員でありAI人材を育成する「iLect」部門の責任者である佐野の2名に、NABLASに優れたエンジニアが集まる背景と、社内での働き方について聞きました。
また、2022年までオフィスワークを原則としていた弊社がフルリモートワークに舵を切った経緯と、それによって得られた利点についてもお話しています。

▍インタビュイー

中山浩太郎 / 代表取締役所長

佐野まふゆ / 執行役員・iLect部門部門長


目次

  1. NABLAS株式会社とは
  2. 「AI人材の育成」と「企業とのAI開発」を軸とするNABLAS
    - AI人材を育成しながら、同時にビジネスの現場で使えるAIを開発
  3. NABLASでは、LLMなど様々な領域のエンジニアが活躍中
    - エンジニアの半数が外国籍メンバー。社内では日本語・英語で会話
    - 「Kaggle」や「AtCoder」で世界トップクラスの実績を持つエンジニアが揃う
  4. オフィスワーク中心の体制からリモートへ180度転換
    - リモートだからこそ実った情報の可視化とコミュニケーション
  5. NABLASが採用したいのは「人のためのAIをつくる」エンジニア

「AI人材の育成」と「企業とのAI開発」を軸とするNABLAS

編集部:
まず最初に、事業内容について教えてください。

中山:
私たちは、AI総合研究所NABLAS株式会社といい、社名は∇(ナブラ)に由来します。ナブラというのは、AI技術で最も重要な数学的シンボルの一つで、より良いAIモデルを作るために少しずつ変化させる量を示すものです。この社名には、私たちの技術で社会をより良く・あるべき方向に少しずつ進めるために貢献したいという決意が込められています。
「AI総合研究所」と名乗っているとおり、AIに関して培ってきた知見があります。そして、これから研究開発をしていくことでさらに新技術を生み出し、ナレッジを蓄積し活用していきます。

私たちの事業には、「iLect」というAI人材育成サービスと、企業さまとAIに関する共同研究開発を行う「R&D」という2つの柱があります。

これまで蓄積してきたAIのナレッジを提供するだけでなく、企業さまと共に実際の現場で役立つモデルを研究開発する過程でさらにAI技術を深掘りし、「iLect」という育成の場でかみ砕いてお伝えする。シナジーの高いこれら二つの事業を軸として展開しています。

編集部:
AI人材の育成と研究開発を両輪のようにして、企業運営を行われているわけですね。

AI人材を育成しながら、同時にビジネスの現場で使えるAIを開発

▲NABLASのオフィス。2022年よりフルリモートワーク化している

編集部:
「iLect」「R&D」2つの事業について詳しく教えていただけますか?

佐野:
まず「iLect」は、AIを実際にビジネスの現場に持ち込み、自社の業務に合うようカスタマイズして課題解決まで到達できる人材を育成するものです。私たちは、そもそも東京大学発のスタートアップ企業なのですが、このAI教育のサービスがルーツです。

▲実務で使えるAI技術を学べるプログラム「iLect」

佐野:
そしてもうひとつが「R&D」、すなわち「Research&Development」ですね。私たちのAI技術を用いて、様々な業態の企業さまとともに、課題解決のためのAIツールやプログラムを研究・開発するものです。

▲様々な業態の企業と共にニーズに応じたAI技術を開発/提供している

編集部:
生成AIというと、2022年末あたりからChatGPTなどでビジネスの領域を超えて話題になりましたね。

佐野:
まさに企業さまからもニーズの高いジャンルですね。2年前より、特に私たちが注力してきた領域のひとつに「ディープフェイク検知」があります。ディープフェイク技術でつくられた架空の画像や動画、音声データが実在するかどうかを検知する技術です。

編集部:
これはマスコミやメディアなどで使われるのですね。AIが画像や動画を生成するようになっている一方で、それを見破る役割もAIが担うのは面白いですね。

NABLASでは、LLMなど様々な領域のエンジニアが活躍中

編集部:
今回のテーマのひとつであるエンジニアの働き方についてうかがいたいのですが、NABLASでは、現在エンジニアは何名ぐらい在籍していますか?

佐野:
全社員が二十数名なのですが、半数以上がエンジニアや研究者です。ソフトウェアエンジニアもいますが、多くは機械学習エンジニアですね。そして、それぞれが異なる得意分野を持っています。

たとえば、先ほど話題に出たChatGPTなどでメインで使われている「LLM(大規模言語モデル)」を研究しているメンバーがいます。LLMは人間が普通に使う自然言語を理解し、文章を生成する役割を持つモデルのことです。

あるいは、音声を作り上げる「音声生成」や声や音を聞き分ける「音声分離」などの技術開発に携わるメンバーもいます。これらは、ディープフェイク検知に関わる研究です。

また、例えば自動運転でクルマが障害物を検知したり、画像から人物を区別したりするときに使う画像認識の研究者もいます。大学で専門的に研究してきた延長線上にあるプロジェクトを当社で担当している人が多いですね。

編集部:
NABLASのエンジニアでありつつ、現役の研究者でもあるわけですね。

佐野:
はい。活動としても非常に研究者に近いんですよ。私たちは機械学習をメインに、企業さまと「R&D」を行うメンバーを「リサーチャー」と呼んでいます。というのも、お客さまとの共同開発を行う際、機械学習分野の論文を綿密にリサーチして取り組む、という仕事の進め方をしているからなんです。

こうしたリサーチャーとお客さまとの間に立って、プロジェクトを進めるプロジェクトマネージャーもいますし、変わったところではロボティクス(ロボット工学)分野の研究を経てジョインしたメンバーもいます。

また、ソフトウェアエンジニアも重要なメンバーです。私たちの研究開発をよりスムーズにするための既存のシステムをより軽く速くするなどのカスタマイズや、研究開発で培った技術をアプリケーションに落とし込み、一般に広く使えるようにプロダクト化するのに必要不可欠です。

あとは、たとえばIIT(インド工科大学)出身のメンバーのように、機械学習の知識とソフトウェアエンジニアリングの言語を理解できて、双方を俯瞰的に見られるエンジニアもいます。

エンジニアの半数が外国籍メンバー。社内では日本語・英語で会話

▲エンジニアの約半数は海外出身者。ミーティングによっては公用語が英語になることも

編集部:
まさに多彩なメンバーですね。ちなみに、海外出身の方は何名ぐらいいるんですか?

佐野:
エンジニアチームの半数ぐらいでしょうか。インド以外にも、中国・韓国・オーストラリア出身のメンバーがいます。

編集部:
社内の共通言語としては何を採用していますか?

佐野:
状況に応じて日本語と英語を使い分けています。バックオフィスや人事労務系の業務は、日本人スタッフが中心ですので日本語になりますし、外国人スタッフ中心のエンジニアチームのミーティングでは英語でのやりとりが多いです。

編集部:
社員の方々はみなさんバイリンガルなんですか?

佐野:
いえ、日本語だけのメンバーもいますし、英語だけのメンバーもいます。バイリンガルの社員が間に立って通訳するケースもよくあります。社内では英語は普通に使われていますし、みなさんが使えるような素地が作れるといいなと思っています。

「Kaggle」や「AtCoder」で世界トップクラスの実績を持つエンジニアが揃う

▲ミーティングの様

編集部:
エンジニアの方々は、みなさんすごい実績があるそうですね。

佐野:
そうですね。大学での研究はもちろんですが、同業者がハッとするような“称号”を持っているメンバーもいます。たとえば、世界中のデータサイエンティストが集まってデータ分析の精度を競い合う「Kaggle」というプラットフォームで「マスター」のバッジを取得していたりします。

あるいは、「AtCoder」という世界最高峰の競技プログラミングサイトで、参加者のランクが上がると表示される色が変わる仕組みなんですが、ここで上位に入っているメンバーもいます。

編集部:
武道で段位が上がると帯の色が変わるのと同じようなシステムですね。

中山:
私はエンジニアの採用をずっと担当してきているのですが、ほとんどの人が共通して「優秀なエンジニアがいるところで働きたい」と言いますね。私もエンジニア出身だからよく分かるのですが、エンジニアにとって優秀な人材のいる職場に在籍することは非常に重要なんです。一緒に働くことが、自分の成長につながると考えている人が多いんですよ。

そういう意味でも、私たちにとって、やはり「人」が一番の資産だと思っています。だからエンジニアの技術者集団としてのクオリティは常に高くあるよう、面談では相当厳しく見ているつもりですね。

編集部:
能力の高いエンジニアの方々が自然に集っているのではなく、質を担保し続けることで、さらに能力の高いエンジニアの方々が志望するという流れなんですね。

中山:
実際に面談しても、社内のエンジニアの質の高さには良く言及されますね。「だから入りたい」と言ってくださるので、ありがたい限りです。

編集部:
エンジニアである中山さんの面談以外に、能力の高いみなさんに入社していただけるポイントはありますか?

中山:
面談において「ライブコーディング」というものを行っています。候補者のみなさんに、私たちの前で実際にプログラミングをしていただき、技術力をしっかり見るようにしています。

編集部:
実技をチェックするというのは確実ですね。腕のいいエンジニアが入社する背景がよく分かりました。

オフィスワーク中心の体制からリモートへ180度転換

▲オフィスには、ボルダリングのできる壁やハンモック、芝生などを完備したスペースも。デザインを手がけたのは代表の中山

編集部:
この記事のもうひとつのテーマであるリモートワークに関して伺います。NABLASでは2022年の春以降、オフィスワークからリモート中心の働き方に切り替えましたね。

中山:
はい。実はずっと私の考えとして「オフィスで働く文化を大切にしたい」というものがあったんです。コロナ禍に入ってからもそうでしたし、IT業界はリモートワークとの親和性が高いということもわかっていたのですが、オフィスで働くことにこだわっていたんです。そのため、オフィスのデザインにも力を入れました。

でも、もしオフィスにこだわる文化がもはや古いのであれば、中途半端なところに価値観を置くわけにはいきません。どうせなら思い切って大改革を行ったほうがいいのではないかと考えて「リモートワーク中心の会社にする」という意志決定をしたんです。

今、エンジニアはほとんどリモートワーク100%で勤務しています。リモートにはリモートなりの課題もありますが、そこは一つひとつ対応しながら取り組んでいます。

編集部:
たとえばどのような課題が発生しましたか?

佐野:
よくリモートでは言われることですが、やはりオフィスに一緒にいて、隣のデスクのメンバーに直接話すことでスムーズに進む部分というのがありました。でも、そこはエンジニアチームが自ら課題解決に動いたんです。

たとえば、事業開発の新しいプロダクトに取りかかるときには、特定のメンバーが最初だけ3日間オフィスに集まって、ある段階まで作るようにしたんです。そこで直接コミュニケーションをとり、その先はリモートワークに切り替えるんです。

毎日定時にプロダクトの開発状況を確認し合う「スタンドアップ」を行って、進捗や問題点を共有しながら進めていく。こちらからの提案ではなく、自発的にエンジニアチームからはじまったもので、これはうまくいった要因の一つだと思っています。

リモートだからこそ実った情報の可視化とコミュニケーション

▲リモートワークでのコミュニケーション手段として様々な懇親会を開催。これはPR部門の村田さんがママを務める「バーむらた」のお知らせ

編集部:
リモートワークに転換されたことで、企業運営においてプラスになったことはありますか?

佐野:
情報や状況がより可視化されるようになったことですね。オフィスで直接コミュニケーションをとっていたときは、メンバー間に情報の格差が生じていたところもあったんです。伝えたつもりで伝わっていなかったり、限られたメンバー中心に進めてしまってその場にいないメンバーに共有ができていなかったりということもありました。

リモートだと、より注意深く情報を伝えるために、みんなが情報を可視化する必要が出てきたんです。それで、以前よりメンバーみんなが情報を共有できるようになったと感じています。

編集部:
エンジニアのみなさんに限らず、社内全体でリモート化によって生じた問題はありますか?

佐野:
やはりコミュニケーション不足はありましたね。そこで、今取材に同席しているPR部門担当の村田が、みんなが気軽に話せる場として、オンライン上に「雑談ルーム」をつくりました。オフィスワークのころにも定期的にランチミーティングを行っていたのですが、いわばその進化形です。さらに今では、「バーむらた」が“開店”しています。

編集部:
それはどういう場なんですか?

佐野:
村田がバーのママになったという想定での懇親会です。リモートワークではコミュニケーションが希薄だったり雑談しにくいと感じていたりするようなメンバーが、オフィスでお酒を飲みながらお話しするんです。

編集部:
バーには何人ぐらい来るんですか?

村田:
月に一度のペースで開店していまして、前回はオンライン参加も含めて15人ほど集まりました。あとは、リモートワーク以前から使用していた「Slack」に、各個人で開設している「times」というチャンネルがあって、個々にはこれを使って雑談するようにも心がけています。

佐野:
「バーむらた」以外の懇親会も増やしています。そのせいか否か、現状では、リモートワークゆえの不自由さや悩みなどの声はほとんど聞かれなくなりました。

NABLASが採用したいのは「人のためのAIをつくる」エンジニア

編集部:
最後に、記事を読んだ方に向けての採用メッセージをいただけますか?

中山:
これまではオフィスにこだわった会社だったのですが、私たちはその価値観を180度転換し、リモートワーク中心の会社へと生まれ変わりました。オフィスワークを敬遠していた方も、ぜひ検討いただきたいと思っています。

編集部:
関東圏以外に住んでいるスタッフの方もいるんですか?

中山:
はい。それだけでなく、リモートワークを活用して、日本中、世界中のエンジニアやデザイナーとコラボレーションする機会もあります。働く場所を問わず、能力あるさまざまな人々と一緒に働ける環境を整えています。

そして何より、今、社会に最先端のAI技術がいろんな形でどんどん入ってきています。だからこそ、人のためになるAIをつくることがとても大切なのです。

私たちが目指してるのは、「人が人らしく生きられる社会を創る」です。この目標は壮大かつ困難ですが、臆せずチャレンジしたいという気概と技術に自信のある方がいれば、ぜひ一緒にやりましょう!

編集部:
採用試験においては中山さん自らがチェックされるコーディングの試験も行われますよね。試験は厳しいかもしれませんが、入社後には成長できる環境が待っているわけですね。本日はありがとうございました。

(取材:ミライのお仕事 リンク先: https://jobseek.ne.jp/ )

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