「人生を変えるような物語体験をつくり、届ける」というミッションを掲げ、オリジナルIPのVRゲームを作り続けてきたMyDearestには色んな経歴を持つ仲間が集まっています。今回取り上げるのはコーポレートチームの立ち上げから参画し、CFOとして活躍している若尾拓実さん。大学を卒業後、公認会計士資格を取得し、税務のプロフェッショナルとしての道を歩んでいた彼が、なぜVRゲーム開発を行うMyDearestに入社したのか。CFOの立場からMyDearestを支え、「攻めのコーポレートを作る」と標榜する彼にお話をお伺いしました。
ーーまずは若尾さんのこれまでの経歴から教えてください。
大学在学中に自分が何をやりたいか考えた時、頭の中にあったのが「数字で経営を支える」というものでした。様々なやり方がありますが、折角やるなら専門性を手に入れたほうが良いだろうと考え、公認会計士の資格を取得することにしました。
公認会計士の資格を取得後は、周囲が監査法人などにキャリアを進める中、自分は専門知識を活かした経営のサポート役に回ることを選び、税理士法人に入社することを決めます。様々な企業の経営者と日々お会いしたり、専門知識を生かした国際税務やM&Aに関するコンサルティング、証券会社への出向経験も含めて、色々なことにチャレンジさせてもらい、クライアントの経営を支える税務プロフェッショナルという形でキャリアを積み重ねていきました。
ーーその後、若尾さんは税理士法人を辞め、スタートアップに転職されたとお聞きしていますが、どういった理由があったのでしょうか。
税理士法人では6年ほど、自分がやりたかったことに没頭でき、とてもやりがいも感じていましたし、天職だと考えていました。しかし、社会人経験を積んでいく中で、税務以外の領域にもチャレンジしたくなったこと。そして何より、日々相対する経営者の方々が、リスクを負ってでも事業を成長させていこうとする姿が羨ましく、何より面白そうに感じたことが大きかったかもしれません。リスクを背負ってでも事業を前に推し進めようとする点に強烈な憧れを抱きつつあったところに、大学時代の友人から誘われて、次世代のリチウムイオン電池の研究、開発、製造などを担うスタートアップ企業に、社員番号1桁の社員として入社。管理部門の立ち上げや資金調達にも携わりました。
ーー事業の内容や規模、役割などが大きく様変わりする、とてもチャレンジングな転職だと思いますが、不安や焦りなどはありませんでしたか。
逆に資格があることで、最悪のケースでもなんとか生きていけるだろうと思い、失うものはないと思って、思いっきりチャレンジしようと考えていました。とはいえ、創業間もない会社で本当になにもないまっさらな状態だったため「何でもやるぞ!」と気持ちが高ぶったのを覚えています。社会人としてある程度キャリアを積んでいましたが、またゼロからのチャレンジャーとして、事業を成功させるためになんでもやると決め、実際にどんなことでもやりました。電池の工場を立ち上げるにあたって現地を視察しにいったのもいい思い出です。お陰さまで大規模な資金調達なども達成でき、仕事としてはとても良い経験を積むことができていましたが、会社の大資本化と安定化に伴い、更にチャレンジングな環境を探し始めていた頃に出会ったのが、このMyDearestでした。
ーー次の挑戦の舞台として選んだのが、VRゲーム開発を行うスタートアップということで、転職するに至った決め手などは何でしたか。
もともとゲームは大好きで、物心ついた時には『beatmania』などの音ゲーには触れだしていました。学生時代にはアーケードのクイズゲームにどっぷり浸かっていた時期もありますし、今でも社内のメンバーと『VALORANT』や『クラッシュ・ロワイヤル』を遊ぶこともあります。それでもMyDearestを知る以前は、ゲーム業界、ましてその中でもVRゲームを扱うスタートアップに転職するという選択肢はまったく頭にありませんでした。
というのも、自分にとってゲームは身近な存在でありながら、ゲームクリエイターはあくまでも尊敬や畏怖の対象であり、自分とは異なる存在だと勝手に思い込んでいた節がありました。彼らはいわゆるアーティストであり、自分とは別世界に生きていると思っていたのですが、MyDearestの経営陣と会う中でそのイメージがいい意味で覆されました。
MyDearestのメンバーと出会って感じたのは、他のスタートアップとは熱量の差が圧倒的に違ったこと。「絶対にやってやるんだ」という血気盛んな感じが最初のカジュアル面談からひしひしと感じられたことは大きかったです。もう1つは経営陣の個性や強みが分散していて、バランスが良いなと感じたこと。経営陣からは、採用面接において、「若尾さんにはゴールキーパーでありながらパスや得点も決められるチラベルト選手(※)のような存在になってほしい」と言われて。「そんな無茶な」と思いつつも、純粋に守りを固めるだけじゃなくて、意思決定や事業のスピードを損なわないことを求められている組織だと感じ、「やってやろう」という気持ちになったのを覚えています。そして、当時の経営陣だけではカバーしきれていない部分を、自分が入ることでより強いチームになれるという確信がありました。管理部門の立ち上げや資金調達の実施、経営に関するロジックの補強といった部分は、前職で自分が経験したところもありますね。
(※)ホセ・ルイス・チラベルト。パラグアイ出身のサッカー選手。ゴールキーパーでありながら、フリーキックやペナルティーキックを得意としており、歴代公式戦で通算60点以上記録した「攻撃的守護神」として知られる。
コーポレートだから形にできる感動と感謝を、クリエイターたちに還元できるチームに
ーー改めて、MyDearestではどのような業務に取り組まれているか教えていただけますか。
CFOとして会社全体の企業価値を向上させるために、様々な施策に取り組んでいます。ヒト・モノ・カネといったリソースをどう配分するか考えたり、資金調達や業務提携などの形でリソースそのものを増やすために動いたり、クリエイターが自分の役割に集中して取り組めるようなルールや環境を整えたり…時には社内の誰がボールを持つのか不透明なものを拾いに行くことも多いです。MyDearestに転職した直後はちょうど『アルトデウス: BC』のリリースが間近に迫っていることもあって、デバッグ要員としてひたすらバグを探すためにゲームをプレイし続けていました。
とにかくどんなに泥臭い仕事でも厭わずやり続けてきましたが、コーポレートにも仲間が増えてきたこともあり、人事や労務、総務、経理などは周りに任せつつ、経営企画や財務周りによりフォーカスをあてた働き方が少しずつできるようになってきつつある状態です。
とはいえ、まだまだ自分がやりたいけれども実現できていない部分は数多くあります。もっとタイムリーな予算管理をしていきたいし、事業部にとっても情報にアクセスしやすい仕組みを整えていきたいと思います。チーム内でも「攻めのコーポレートチームでありたい」という話は繰り返ししており、バックオフィスに求められる堅実性や正確性といった守りの要素は大事にしつつも、よりクリエイターファーストでスピード感ある職場作りのためにできることは山程あると考えていて。理想は高いかもしれませんが、自分たちが数あるコーポレート組織の中でも、世界中から称賛され、憧れの目で見られるような魅力的なチームにしていきたいと本気で考えています。
ーー『ブレイゼンブレイズ』をはじめ、今後も魅力的なVRゲームを作り、届けようとしているMyDearestの一員として、これから一緒に働く仲間に期待することがあれば教えていただけますか。
過去勤めていた企業はいずれも、働いている人も、組織全体の雰囲気も冷静で落ち着いたところが多かったと思います。それに対して、MyDearestは毎日が体育祭前夜、文化祭前夜のような熱気のある空気感で、いかにクリエイティブなことに全力を注げるかどうかにみんなが集中している。そういう空気にコーポレートが水を差すことなく、クリエイターにリスペクトの気持ちを持てるかどうかがすごく重要で、外せない要素だと思っています。言い方を変えれば、MyDearestに限らず、自分の仕事に情熱を燃やし続けられるクリエイターは、良くも悪くも子どもっぽいところがあるので、手がかかるところも正直ありますが、彼らがゲームを生み出す環境づくりに自分たちも同じくらいの熱量を発揮できるかどうかはかなり重視しています。
自分自身を思い返してみると、ゲームの中でも自己成長を感じられるゲームが自分はすごく好きなんですよね。音ゲーも昨日クリアできなかった楽曲と出会った時に「今日はクリアできるかもしれない」「明日はもっとうまくやれるかもしれない」という成長を実感する瞬間が嬉しくてのめり込んでいましたが、仕事も同じような部分があると感じています。
MyDearestのような組織はまだまだ足りない点も多くありますが、仲間とコミュニケーションを取りながら、少しずつより良い組織や仕組みを形にして、周りのみんなに感謝されたり、喜ばれたりする。大きな組織に属しているとそうした感覚はどうしても味わう機会が少なかったり、自分自身の感度が鈍ってしまうところがあるかもしれませんが、MyDearestのような小さな組織だと日々いろんな課題があり、それを乗り越えることで自分もチームも成長した実感が得られるという点が気に入っているのかもしれません。
一人のユーザーとして、MyDearestが生み出すゲームは、VRならではの斬新な体験や、自分の心に深く入り込んでくるストーリーなど、従来のゲームとは違った感動を与えてくれます。その上で、自分自身はCFOとして、MyDearestというチームにいるみんなに、IPOを一緒に実現したり、より働きやすい環境を提供することで、また違った感動を提供できるようになりたいと思いますし、そういった志をともにできる方とご一緒できたらと思いますね。
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