賃貸仲介業というシゴト

こんにちは。

結家不動産コンサルティング株式会社の木山澤です。

2016年、当社の宅建免許番号が、東京都知事（１）第93933号から、東京都知事（２）第93933号に変わりました。
宅建免許を取得して5年経過すると、宅建免許番号がプラス1されます。
免許番号１のまま倒産・清算していく会社も多い中で、２番を迎えられたこと、とてもうれしく思います。

思えば当社の企業当初は、賃貸仲介業が売り上げのほとんどを占めていたなぁと思いだしました。

人が引っ越しをするとき。
希望に満ちた新生活を始めるにあたって、
住居というのは非常にたいせつな場所。

空間は、心を豊かにする効果があります。人生のうち、
家で過ごす時間は長いですよね。
毎日をその空間で過ごします。

その場所は仕事から帰ってきたときの癒しの場所かもしれない。
友人を呼んで、楽しく過ごす場所かもしれないし、
子供と楽しく過ごす場所かもしれない。
恋人と多くの時間を過ごす場所かもしれないし、
夫婦の場所かもしれない。

僕が初めて一人暮らしで住んだのは、大学生の時です。
名古屋のボロアパート、１Ｋで3万6000円のお部屋でした。

今思えば、よくあそこに住んでいたなと思いますが、
思い返せば、そこでの思い出は、計り知れないものがありました。

部活の仲間と集まって川の字で寝て夜通しさわいだり、
徹夜で麻雀したり、ゲームしたり、ふざけた写真を撮ったり、
彼女と過ごしたり。

忘れられない、母と父から独立したあの日の、
両親の心配そうな顔。

初めて凝ったアジアンテイストのインテリア。
まるまる太った、ゴールデンハムスター。
本気で喧嘩した彼女。
新しく付き合った彼女。
別れたときに押し入れに突っ伏して号泣したこともあった。

そういえば、空き巣にあったな。一階の角部屋って、狙われやすいみたいです。

朝、布団をめくったらゴキブリが潰れて死んでいたり（絶叫）
洗い物してたら体長１５ｃｍくらいのでっかいムカデが手を這ってきたり（絶叫）
別のムカデが靴の中に侵入してたり（絶叫）

ゴキブリホイホイ設置して、翌日中を見るときの恐怖。
害虫にはいろんな種類がいることを知りました。笑
嫌なこともあったけど、それ以外はいい思い出がたくさんあった。

「住めば都」という言葉があるけど、
正直、よかった体験は、どの物件でも、できたことだったと思う。

だけど、嫌な体験は、しないに越したことないですよね（笑）

不動産屋の知識がある今、当時の僕にアドバイスするとしたら、
川沿いのアパートはやめたほうがいいということと、
1階ではなく2階にしようね、と提案するかな。

賃貸は、購入と違って完全に消費だから、
得られるものって心に与える影響なんだよね。

だから引っ越しするとき、礼金がどうとか、フリーレントがどうとか、仲介手数料が割引されたとか、金銭的に一時的に損した得したって、そこまで重要じゃなくって。

そこで新しい暮らしを始めて、居住している間、
自分が気持ちよく過ごすことができて、いい思い出をたくさん作ることができるかどうか、がいちばん重要だと思うんです。

僕の例で行くと、もしあの時紹介された物件以外に、
似たような物件で害虫が出ない物件に住めていたら、
嫌な思い出は残らず、もっと楽しい思い出に代わっていたはずです。

他の例で考えてみると、
「大通り沿いの物件、特に問題ありませんよ」と営業マンが伝えたが、実際住んでみたら音がすごくて寝れないとか、排気ガスが部屋に入ってくるとか。

そんなことが引っ越し後に起こってしまったら、引っ越しした人は残念な気持ちになるよね。
嫌な思い出ができてしまいますよね。
そして引っ越しした担当の人を、ちょっと恨みますよね。

不動産の営業マンは、お客様が部屋に住んだ後の思い出を、いいものにも変えられるし、悪いものにも変えられる手段と知識を持っています。

だからこそ私たち不動産仲介の営業マンは、目先の損得に縛られず、あくまでお客様のご入居後の幸せな思い出作りのために、物件を仲介すべきだと、僕は考えています。

しかしながら不動産業界には、そんな大事な家との運命の出会いを邪魔している文化があります。

「ケシ行為」と言って、大家さんからのボーナス報酬がついていない物件は、「もう契約になってしまいました」とか、「お客様の条件ではこれ以上の物件は出てきません」とか嘘ついて、よりボーナス報酬が多くもらえる物件に誘導することです。

「ボーナスがついていない物件を選択肢から消す」という意味で、「ケシ行為」と業界では呼ばれています。

この行為によって、お客様が選択することができる物件が少なくなってしまいます・・・。

ただ、不動産会社の多くは、ネット集客で成り立っているので、そのコストを織り込むと、仲介手数料だけでは経営が成り立たない、という側面もあるんだよね。

だから、そういった不動産会社を否定するつもりもないし、肯定するつもりもないけど、
少なくとも私たちは、一切広告を出さず、お客様のご紹介のみで成り立っているのが強みですから、
お客様にとって最高の思い出作りをしていただけるお部屋をご紹介し続けたいと思います。

今までも、これからも。