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【環境重視の商品創出】
当社グループは、塗料を事業の根幹とした化学物質を取り扱う企業であり、CSR活動項目の中でも特に環境に対する取り組みを重要視しています。
一方、消費者行動はその時代にあわせて変化し、現在は“人と一緒に生み出すトキに参加したい”という『トキ消費』の時代といわれ、特徴として貢献性が挙げられています。その例がSDGsであることから『サステナブル消費』ともいわれています。
当社グループは環境に対する貢献として、環境重視の商品創出に取り組んでいます。
環境重視の商品創出でめざすゴール
①当社が上市する商品は100%環境に配慮した商品である
②既存商品と一線を画した新しい設計開発や工法により環境負荷の低減に貢献する商品を創出している
三菱ケミカル・クリンスイ株式会社 商業リゾート施設「ヴィソン」ヒノキ材の天板を用いたテーブルの表面仕上げに、当社製品のバイオペイントを使用
<商品紹介>
■バイオペイント
性能面や価格面で使用が難しかった植物由来の原材料を配合成分に用いた塗料です。自動車内装用塗料や家電用塗料と同等の性能を有するため、様々な分野への展開が可能です。
本製品を用いることで、化石資源の削減効果、化石資源に代わる植物資源の市場展開、将来的なCO2排出量削減への試みが期待されます。
現状、当社製品では塗膜成分中の植物由来原材料比は最大40%ですが、今後100%をめざして検討を重ねてまいります。
■型内塗料
プラスチックの成型時に、塗料も同時に付着させるシステムに用いる塗料です。
塗装方法には様々な種類がありますが、当社グループの製品を主に採用いただいているプラスチック成型品市場では、形状や設備、コスト削減などのためスプレー塗装が一般的に用いられています。
しかしながら、スプレー塗装は噴霧した塗料がすべて目的とする成形品に付着しないため、ミストなど廃棄物が発生します。また、溶剤を含む場合はVOCが発生し、環境問題につながっています。
当社グループはそれらの問題を解決するため、欧州で開発されたプラスチックの成型時に塗膜も同時に付着される技術に着目し、この技術をお客様に提案するとともに、この工法に適した塗料を開発しました。
■メッキ塗装システム インビジウム塗料
スプレーによるメッキ塗装のインジウム塗料
鏡面意匠を付与する方法としてめっきや蒸着加工がありますが、めっきは廃水処理等の点で環境負荷が高いこと、蒸着は専用設備の導入が必須でバッチ式のため連続ライン生産ができないことが課題でした。
また、従来のメッキ塗装(銀鏡塗装・銀コロイド・銀錯体)は、耐候性や耐食性に劣っていました。
これらの課題を解決したのがインジウム塗料です。さらに、エンジニアリングメーカー「タクボエンジニアリング株式会社」と共同開発し、スプレーによるメッキ塗装の高度な塗装制御が可能となりました。
インジウム塗料の持つ意匠性と機能性を発揮するスプレーによる生産システムが完成しました。
■既存塗料の環境負荷の低減につながるUV塗料 水系塗料
塗料には多くのタイプがあり、それぞれにメリットやデメリットがあります。それらはお客様の用途や形状、設備により選択して使用されています。
当社グループでは塗装先での環境負荷の低減を目的に、従来とは異なるタイプの塗料も提案し、一緒に環境問題に取り組んでいます。
【社会とのコミュニティによる価値創造】
社会とのコミュニティによる価値創造でめざすゴール
共創で社会に変革をもたらせる会社となる
社会とwin-winの関係を構築する
①未来社会の産業構造に変革をもたらせる製品
現代社会にはSDGsのように解決しなければならない課題が数多くあります。当社グループは社会を構成する企業の一員として、サステナブルな社会の実現に向け自社の固有技術や製品を用いてこれらの課題に取り組むことが重要と考えています。
また同時に“志”を同じくする他業種や同業他社の皆様と手を携え、未来社会の産業構造に変革をもたらせる商品や事業の創出も図っています。
<事例紹介>
■MATSURIへの参画 ~微細藻類由来のバイオペイントの開発~
MATSURIとはバイオベンチャー企業群「ちとせグループ」がカーボンニュートラルの実現に向け、微細藻類を活用した新産業の構築をめざした日本発の企業連携型プロジェクトです。
藻類には海藻のような大型藻類と微細藻類がありますが、ちとせグループでは微細藻類を主体に2021年4月、20社のパートナー企業とともにスタートをきりました。当社はそのときから参画しています。
MATSURIは“MicroAlgae Towards SUstainable & Resilient Industry”の頭文字をとっており、“持続可能でかつ強靭な産業を微細藻類でめざす”となります。また、現在パートナー企業は79社となっています。
当社がMATSURIに期待していることは、微細藻類を出発原材料に用いたバイオペイントの開発です。当社はすでに植物由来の原材料を使用したバイオペイントを開発していますが、微細藻類は菜種油に比べて約10倍のオイル収量があります。
また植物と比較して少量の水で生産でき、水と光があれば基本的にどこでも培養できることから、砂漠や荒地のような農業利用が難しい土地や耕作放棄地を有効活用して培養することが可能なため、食糧の安定供給が課題となるこれからの時代に、食糧生産と競合しないという点は非常に重要なメリットといえます。
当社は、2025年までに微細藻類由来の原材料を使用したバイオペイントの商品化を行い、お客様への提供をめざしています。
■株式会社TBM ~環境配慮製品の共創~
TBMと当社グループが連携し、当社製品バイオペイントを活用したLIMEX
TBM社が開発したLIMEX(ライメックス)は、炭酸カルシウムなど無機物を50%以上含む、無機フィラー分散系の複合素材です。世界40ヶ国以上で特許を取得しており、COPやG20の国際会議で紹介される他、日本の優れた技術として、UNIDO(国際連合工業開発機関)のサステナブル技術普及プラットフォーム「STePP」に登録されています。
主原料となる石灰石は、資源輸入国である日本においても自給率100%、地球上に非常に豊富に存在する資源です。石灰石は一般的なプラスチックと比較して同体積の焼却時にCO2排出量を約58%排出削減できるため、プラスチック代替素材の主原料として石灰石を用いることで石油由来プラスチックの使用量を抑え、焼却時のCO2排出量を削減できます。そして、ポリプロピレンベースのLIMEXが射出成形によって化粧品容器や建設資材向けに使用される際、そのコーティング材として当社のバイオペイントを適用し、環境配慮製品の共創を進めています。
また、TBM社はGreenore Limited社が製造した、ケミカルプラントから排出されるCO2を回収し、製鉄工場から排出される副産物である鉄鋼スラグに含まれるカルシウムイオンと化学合成することで、LCA上、カーボンネガティブが見込まれるCCU(Carbon Capture and Utilization)炭酸カルシウムをLIMEXの主原料として使用した「次世代LIMEX」を開発しました。よって、次世代LIMEXに対しても当社のバイオペイントを適用していきます。またCCU炭酸カルシウムを使用した各種塗料開発にも着手しています。
②地域社会貢献
企業が事業を継続する上で、地域住民との協力関係は重要です。また地域との良好な関係の構築は人財確保の点からも欠かすことはできません。
当社グループは地域社会から好まれる、喜ばれる会社であることをめざし、早くからこの課題に取り組んでいます。
<事例紹介>
■自社製品を用いて地域を活性化(日本)
豊島区の市民活動に参加し、塗り替えを行ったスペース
当社グループの本社は東京都豊島区の池袋にあります。豊島区ではSDGsをはじめ様々な市民活動を行っており、当社もその中の一部の活動に参加しています。
豊島区では校舎で不要となったテーブルやイスを街頭スペースに設置して、訪れた方々のオアシスとして開放しています。しかし直射日光や風雨などで表面に劣化が生じていました。そこで当社は塗装対象が木材であり、環境への影響も考慮して自社製品「バイオペイント」を塗装しました。
当社のパーパスである「色と機能で世界を豊かに」が実践された地域社会貢献事例といえます。
■バス停の塗装による地域環境整備(韓国)
韓国拠点の近くにあるバス停は古びており、一見して暗い雰囲気でした。
このため地域の役所と連携してより快適で安全な環境に改善する活動を行いました。具体的にはバス停を全面塗装しなおすことで、地域住民が快適な環境の中でゆっくり休んだり、バスを待ったりできるようになりました。
当社のこの活動は地域の人々に好評となり、別のバス停が塗りなおされる波及効果も生まれました。
■障がい者のための新たな雇用機会の創出(中国 天津)
観葉植物の世話をする様子
当社は危険物や化学物質を取り扱う塗料製造会社であるため、障がい者の雇用が難しい職場です。
しかしながらダイバーシティ&インクルージョンの推進をめざす上でこの課題に向き合う必要があります。天津拠点では、この課題に対し、自社内に障がい者のための新たな雇用機会の創出を行いました。具体的には社内にある観葉植物の世話を障がい者の方々にお願いしています。
障がい者の雇用と緑の保全の効果はともに小さな一歩ではありますが、私たちはこのような取り組みの積み重ねが大切であると考えています。
■社内フリーマーケットの開催(日本、韓国)
集められた品物
購入して喜ぶ従業員
日本拠点と韓国拠点では、従業員が各自では使用しなくなったがまだ十分に使用できる衣服・バッグ・ぬいぐるみ・日用雑貨などを拠出し、それを他の従業員が購入したり、譲り受けたりする社内フリーマーケットを開催しています。
残念ながら引き取りがなかった品物は地域の福祉団体と協議の上、必要なものをお渡ししています。また従業員が購入した代金は同じく地域の福祉団体に寄付しています。
このように使用しなくなった品物が他に有効活用いただけることは、拠出者にとっての喜びでもあります。
■こどもたちとともに(ベトナム ハノイ、ホーチミン)
絵画コンテスト(ハノイ)
自社工場見学(ハノイ)
自社工場見学(ホーチミン)
ハノイ拠点とホーチミン拠点では、従業員のこどもたちは最も身近な地域住民であると捉えています。
このため従業員のこどもたちとの対話の機会として下記のような活動に取り組んでいます。また、上記以外にもプレゼントの贈呈や運動会も実施しています。
■寄付活動
当社グループは地域の状況にあわせ、各拠点で様々な寄付活動にも取り組んでいます。
また、下記以外にも地域清掃活動や献血などを行っています。
■他社の救援活動サポート(中国 蘇州)
他社の救援活動を行った蘇州のチーム
蘇州拠点では、同じ地域で他社が被災したときに従業員が救援活動のサポートを実施しています。
地域社会貢献に対する現状課題と対応
既述の通り各拠点では独自色を持った社会貢献活動を実施しています。
このような活動の継続は重要ですが、より“武蔵塗料らしさ”を社会貢献でも出していくためには、ターゲットの絞り込みも重要と考えています。「こどもたち/地球の未来のために」などと一本化していきたいと思います。
【従業員のウェルビーイングの追及】
厚生労働省の報告書では「ウェルビーイングとは、個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味する概念」と定義され、短く表現すると「持続可能で多面的な幸せ」といわれています。
従業員は最大のステークホルダーであり、従業員のモチベーション向上や成長なくして会社は成り立ちません。
当社グループは、従業員のウェルビーイングに向け、様々な取り組みを実施しています。
「従業員のウェルビーイングの追及」でめざすゴール
働きがいのある労務管理を構築する
①従業員のモチベーション向上への取り組み
■Continous Service Award(グループ永年勤続表彰)
富士山見物
東京ディズニーランド
都内バスツアー
当社グループは各拠点で実施している永年勤続表彰以外にグループ全体での永年勤続表彰も実施しています。
表彰対象は当社グループでの在籍年数が5年・15年・25年・35年で、2023年は5年:68名、15年:21名、25年:2名、35年:1名の従業員が表彰されました。副賞として5年勤続の方は社名入りのマイボトル、15年勤続の方は同期入社による旅行、25年勤続の方は当社製品が採用されている商品10万円相当、35年勤続の方は純金製の社章・ビデオレター・当社製品が採用されている商品5万円相当を贈呈し、長年の勤務に感謝しました。
15年勤続の副賞である同期旅行は、それぞれの拠点で中堅になった従業員同士がお互いを知ることで仲間としての絆を深め、さらに旅行を自ら計画することでリーダーシップを高めてもらう意図から始めています。
コロナ禍が明けた2023年から本格化し、行き先は参加者全員で検討した結果「日本」に決定しました。全員での富士山見物や2グループに分かれてのディズニーランド、都内バスツアーで楽しい時間を過ごしました。
■5S Activity Award
当社グループは、継続的に5S活動に取り組んでいます。
当社ホールディングスの組織である5S Globalが全拠点を訪問して5Sの活動状況を評価・順位付けを行い、優れた拠点を表彰しています。
優勝チームには、当社グループの拠点のある地域への研修旅行が贈られ、自拠点以外の5Sメンバーと交流を行い、5S活動におけるさらなる高みをめざす機会になっています。2023年度は、天津武蔵が優勝しました。
■Musashi Global Awards
このアワードは経営理念に基づいて行動し、精神的・物質的な豊かさへ貢献をした従業員を表彰しており、定量的な成果に対して「Best performance」、定性的な成果に対して「Musashicolor award」を制定しています。
これらは、拠点長や部門長から提出された推薦文からお互いの投票によって決定しています。
②従業員の働きやすさに関する取り組み
■フレックス勤務と在宅勤務の併用(導入試験段階)
池袋本社勤務のホールディングス従業員を対象に2023年度より試験的にフレックス勤務を導入しました。これはコロナ禍で導入した在宅勤務制度を用いることが難しい職場に配慮したものです。
同時にこれらの制度の導入は池袋本社勤務者の採用にも効果があります。最近はコロナ禍が明け、在宅勤務を廃止する企業もありますが、働き方の選択肢を増やすとともにさらなるコミュニケーションや情報共有の活性化を目的として、2024年度より出社比率を高めて対応することにしました。
■時間単位休暇制度の導入
生産性の効率面から始業開始時間が一定の入間工場では、フレックス勤務制度の導入が難しいため、有給休暇を時間単位で取得する時間単位休暇制度を導入しています。
これにより、有給休暇取得の効率化を図ることができます。
■育児短時間勤務制度の拡大
日本拠点では、2011年に育児・介護休暇制度を制定し、社会情勢の変化により見直しを行ってきました。
2023年には当社グループ初の男性従業員による制度利用がありました。2024年1月にはさらに制度を見直し、育児特別短時間勤務制度を追記しました。