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塗料の可能性を力として
塗料は、色によって外観を美しく見せることに加えて、保護や断熱などさまざまな機能をもたせることが可能です。
市場では、高機能で多彩な色への需要の広がりや環境意識の高まりがあります。それは、塗料がもたらす効果に、誰もが期待を寄せているからだと思います。
私たち武蔵塗料は、塗膜についての専門的な知識と技術を持ったプロ集団です。1958年の創業以来、木工用塗料から始まり、プラスチック塗料分野の専門家として成長し、「色と機能の追求」を強みとして業界をリードしてきました。私たちが創り出す10万色以上の塗料製品は、自動車内装部品、情報通信機器・光学機器・電気製品などのさまざまな分野・用途で使用されており、世界各国のお客様に高い評価をいただいております。
つねにお客様に寄り添い、製品のアイデアを膨らませ、オリジナリティを形にしていく開発姿勢は、武蔵塗料ならではの優れた特長です。新製品の創出には困難さや技術的課題が立ちはだかりますが、私たちはそれを乗り越え、商品(製品とサービス)を通じてワクワクするような感動をお客様にご提供することをめざします。
塗料の色と機能がもたらす無限の組み合わせは、塗料の用途を広げ、私たちの事業を成長させてきました。私たちのパーパス(存在意義)である「色と機能で世界を豊かに」は、企業活動の未来を照らす言葉として策定しています。
そして「世界を豊かに」は、複雑多様な社会課題に立ち向かうことで実現するのだと最近強く感じます。私たちは武蔵塗料らしい自社の持つ能力・強みを発揮し、社会課題の解決に貢献し、長期的な企業価値向上をめざします。
植物由来の塗料製品
サステナブル経営は自分を好きになることから始まる。
事業の仕組みで社会課題解決へ
中国駐在時(左端が福井)
私は2006年に中国の地方にある子会社に配属され、駐在した経験があります。そこで貧困や人権、廃棄物処理に関わる問題に遭遇しました。自分の目の前で行われていることにショックを受け、帰国後すぐにアジアの児童買春問題に取り組むNPOに参加をし、海外の孤児院の現場を見に行きました。これは当社の社会貢献活動のきっかけとなった出来事ですが、こうした貧困や人権問題は、今では「SDGs」の1番目に取り上げられる全世界的に解決すべきテーマとなりました。
また、化学物質の不法廃棄など人が生きる地球環境を健康な状態で維持しながら経済活動を行う重要性についても深く考えました。地域に拠点を創り、雇用を創出し、正しい考え方を教育することは、事業を通じてできる社会貢献だと思います。
塗料という製品は、世界中にニーズがあり、どの地域にも普及しています。このことから塗料製品の製造・販売は、地域の経済的な仕組みを整える役割を果たせるものと考えます。
現在、武蔵塗料グループは、アジア、ヨーロッパ、アメリカの11カ国にネットワークを展開していますが、今後もできうる限り各地域に拠点を作り、雇用の創出や地域の活性化に貢献したいと考えています。
社会をより良くするために挑戦する
商品開発や生産に関わるプロジェクト活動を成功させるには、自社の利益だけを追求するのではなく、常に相手と従業員のことを考えたものづくりを行うことが大切です。そして、より良い商品が開発できる可能性に向けて仲間と共に挑戦していく。当社は、開発メンバーに挑戦する気持ちがある限り、資金不足を理由に開発を止めさせることはありません。
その成功事例が「バイオペイント」の開発です。
当社は、2008年より植物由来の再生可能資源を利用したプロダクト開発をヨーロッパのお客様と共に継続してきました。バイオマスなど環境に配慮した塗料の開発は持続可能な社会の実現に貢献するソリューションとして市場から注目されています。そんな中で、植物由来の「バイオペイント」を市場に投入しました。「バイオペイント」は、石油資源の削減という環境への配慮を促進します。この商品化は容易なものではありませんでしたが、開発メンバーが情熱を持って挑戦し続けて成し遂げることができました。
サステナビリティ(持続可能性)のために、楽しく活動する
課題解決に向けて、意欲を持ち続けることは大変です。
どうすれば可能でしょうか。
私は日頃から「正しいことを楽しくやろう」と従業員の皆さんに言っています。楽しくなければ続かない、そして、その楽しさは「やっている自分を好きな気持ち」から来るものだと思います。自分のやっていることが好きであり、だから自分の延長線上にある仕事を楽しめる。楽しく仕事を一緒にやっているから仲間が好きになり、その先にいるお客様も好きになる。
武蔵塗料は、創業時から変わらず自分を愛し、仲間を愛し、お客様を愛し、会社を愛し、社会を愛する気持ちを大切にしてきました。だから、独自の発想で社会に貢献できる商品を生み出せる。これを継続する。すなわちサステナビリティだと思います。
好きだから続ける、諦めずに成功するまで続けることが、私のめざすサステナブル経営です。
好きなことに挑戦したはいいけど失敗することもあるかもしれません。しかし諦めずに、最後までやりきったときに、自分のことも、会社のことも、お客様のことも、ますます好きになっていくと思います。この継続がサステナブル経営の軸になります。
環境配慮製品『バイオペイント』“塗料が環境の歯車を回す”
人との連携、ビジネスの共創で世界を豊かに
武蔵塗料は、色と機能性を創り出すことが得意な会社です。
世界で生産・販売される当社の商品は多くの製造業から支持され、電機や自動車、ゲーム機器などに使用されています。
業界屈指の技術力を有する一方で、まだまだ武蔵塗料を知らない人も多く、そのような方々に知ってもらうことで社会にさらに貢献できると思っています。優れた製品を開発することと、魅力的な商品を創り出すことは違います。いかに武蔵塗料らしさをプラスできるか、その「らしさ」の創造こそ当社の存在理由であり、社会課題の解決に貢献できる重要なポイントになると思います。
循環型社会や脱炭素社会の実現、貧困や差別のない社会への貢献など、“正しいこと”を続けるのは大変手間がかかります。それらを楽しくやろうとするサステナブル経営への道のりは一般的ではないでしょう。
色と機能を使って、世界を豊かにするための対処すべき課題の特定や解決に向けた対策には組織の横断的な連携が必要です。加えて外部との「共創」も重要な取り組みとなります。社会に大きな変化を起こすには、当社単独では考えられません。
武蔵塗料グループは、グローバルネットワークを駆使し、他のメーカーと一緒になって協働し、新しい価値を創造し続け、将来の世代に愛される会社となるよう、サステナビリティを追求していきます。
やると決めたら最後までやるのが私たちの持ち味。必ず到達できるよう、笑顔で、楽しく、意志をもってやり遂げたいと思います。
武蔵塗料とは
1958年の創業以来、当社グループはずっとお客様に寄り添い続けてきました。
難題に直面するたびに新しい技術で乗り越える。どんな小さな仕事も手を抜くことなく、どんな困難な要求にも応え続けていく。その積み重ねの中で、塗料業界においてユニークで確固たる地位を確立してきました。
経営理念とCSR
経営理念
経営理念とは、経営者の思いを込めた、自社の企業活動の基盤となる方針です。また、経営理念は自社がめざす“ありたい姿”でもあります。
それぞれ従事している業務内容が異なっても、すべての従業員が同じベクトルに向かって力を結集することで会社は成長していくものと確信しています。このため、当社グループは“理念経営”を推進しています。
当社グループは経営理念に続き、経営上の方針を示した「社是」、すべての従業員が守るべき理念や心構えを示した「社訓」も設定しています。
経営理念浸透に向けて
当社グループの「社訓」は上記のように7項目ありますが、従業員の理解を深めるために、社訓に49項目の考え方を付記しています。
「経営理念」「社是」「社訓」および社訓の考え方などを掲載した冊子「musashi color」を2015年に発行して、従業員に配布しました。この「musashi color」はすべての海外拠点で現地語化され、朝礼時に復唱するなどして、経営理念の浸透を図っています。
経営理念浸透プロジェクト「NIJI project」
NIJIカード事例
NIJIポスター掲示例
2020年に経営理念浸透プロジェクト「NIJI project」が発足しました。
経営理念を浸透させるためのプロジェクトはそれまでもありましたが、NIJI projectはこれまでのメンバーを総入れ替えして、新しい目線で、また各拠点から担当者が参加しており、これまで以上にグループ一丸となって経営理念の浸透に取り組んでいます。
具体的な活動としては、「いいね」や感謝の気持ちを相手に送る「NIJIカード」や、塗料会社らしく経営理念を表現したアートを従業員やそのご家族から募る「ポスター大会」の開催、そしてそれをひとつの作品集としてまとめる「NIJIポスター作品集」の作成・配布などを行っています。
2024年は、全拠点共通で取り組める活動を企画中であり、グループで一丸となって同じベクトルに向かい、「楽しむことで自然と経営理念が浸透していく状態」を理想として、取り組んでいます。
さらに、経営理念の実践により顕著な貢献を行った従業員やチームに対しては、各拠点長や各部門長が推薦を行い、審査により表彰を行っています。
経営理念とCSR
2023年12月5日に開催された日経SDGsフォーラムシンポジウムの基調講演で東京大学の亀山教授が、「サステナブルの語源となる“sustain”は一般に“持続”と訳されていますが、語源は放置することで下がっていくものを下から支えて下がらないようにすること」と述べられていました。
これはまさしく企業活動にも言えることであり、企業が事業を存続させていくためには、サステナブル経営を推進していくことが重要であり、当社グループはこの“道標”となるのがCSR活動と考えています。
当社のCSR活動の位置づけ
前述の通り、当社グループは理念経営を推進しています。
当社グループには、CSR活動を開始する以前から「経営理念」「社是」「社訓」「パーパス」があり、当社グループの従業員が大切にしている考え方です。
しかしながら、これらの既存文書は概念的な要素が強いことから、サステナブル経営に結びつけるためには、より実践的な取り組みが必要と考え、これらの既存文書を具現化したCSR活動の導入に至りました。これらの関係は上記の図のようになります。
CSR方針
CSR活動の開始にあたり、まずは当社グループのCSR活動への取り組み姿勢や考え方を明確にするための「CSR方針」を策定しました。
CSR活動には様々な活動項目があり、これらの活動は時代の変化により対応すべき内容が変化します。
この状況を鑑み、当社グループのCSR方針はCSR活動全体からの視点で設定し、各活動項目については個別の方針を設定してそれぞれの取り組み姿勢や考え方を明確にしています。
CSR活動への取り組み
CSR活動
当社グループは、CSR(Corporate Social Responsibility)活動とは、その名の通り“企業が社会に果たすべき責任”とともに、一部の専門家で提唱されている“企業が社会からの要求に応える力”という2つの側面に取り組む活動と捉えています。
当社グループのCSR活動設計図
上図に示したように、当社グループのCSR活動は「社会にポジティブインパクトをもたらせる(攻めのCSR)活動」と「社会にネガティブインパクトを発生させない(守りのCSR)活動」の2つに大きく分けています。
社会にポジティブインパクトをもたらせる(攻めのCSR)活動は、社会課題解決の一助となることをめざし、社会との共通価値の創出を行うことで、社会から評価をいただき自社の企業価値向上につなげていくことを目的としています。
この考え方のもとはハーバードビジネススクールのマイケル・ポーター教授が提唱されたCSV(Creating Shared Value)です。
企業に対する社会からの要求とは、企業の力(固有の技術、製品や企業活動)をもって社会課題を解決することです。この社会課題を具現化したものがSDGsと言われています。SDGsには17のゴールと169のターゲットがありますが、当社グループは自社の企業特性を鑑み、社会にポジティブインパクトをもたらせる(攻めのCSR)活動として3つの活動項目を掲げて取り組んでいきます。
社会にネガティブインパクトを発生させない(守りのCSR)活動とは、企業活動が社会や地球に迷惑をかけないために心がける行動と捉えています。いわば“企業のあるべき姿”でもあり、これに対しては公的機関やこれに準ずる機関から指針が出ています。
また、ネガティブインパクトの発生は自社グループのみならず、サプライチェーン全体に影響を及ぼすことから、最近では調査票などにより取引先のCSR活動の取り組み状況を把握する動きがあります。
よって、当社グループでは公的機関やこれに準ずる機関の指針とCSR調査票に記載された項目を吟味し、社会にネガティブインパクトを発生させない(守りのCSR)活動として7つの活動項目を選定し取り組んでいます。
CSR啓発教育
2023年6月末に当社グループはCSR活動の内容をまとめた「Musashi Sustainability Guide」を発行しました。
この冊子は大きく分けて①CSRの位置づけ、②社会にポジティブインパクトをもたらせる(攻めのCSR)活動、③社会にネガティブインパクトを発生させない(守りのCSR)活動の3部構成となっており、さらに②については3項目、③については7項目の具体的な内容を記載しています。
CSR推進室ではこれを契機に、Musashi SustainabilityGuideを用いて当社グループのCSR啓発教育を始め、2023年は日本を含み5か国6製造拠点で実施しました。2024年の上期中にすべての製造拠点での第1回目の啓発教育を完了させる予定です。
サステナブルな価値創造を目指す
当社グループは、「色と機能で世界を豊かに」をパーパス、すなわち存在意義としています。
「豊かさ」の根拠となる経済的価値と社会的価値がどう生まれていくのか?を説明したものが「価値創造モデル」です。
この「価値創造モデル」を、すべての従業員が理解した上で日々の業務に取り組むことが重要であると考えており、「価値創造モデル」は各国語に翻訳されています。