「Web3業界への就職や転職に興味がある」
「Web3ゲームの最前線ってどんな感じ?」
「Web3ゲーム開発はどんな人に向いているの?」
上記のような考えや疑問がある方も多いでしょう。
2023年6月26日、Mint TownはBLOCKSMITH&Co.と共同で、初となるWeb3ゲーム業界向け採用イベント「Web3ゲーム開発の未来予想図 −ガラケーからスマホを制覇した世代が語る−」を開催しました。
Web3のマスアダプションを牽引するのは、Web3ゲームといわれています。米金融大手シティグループも、2025年までに全世界で5000万〜1億人がWeb3ゲームを楽しむようになると予測しています。
今回のイベントでは「Web3ゲームの未来予想図」をテーマに、Web3ゲーム開発における最新動向のシェアや、最前線のプレイヤーによるトークセッションなどが実施されました。
本記事ではMint Townの取締役CTO山田によるプレゼンテーション「Web3ゲーム×開発の最新情報」で語られた内容を、わかりやすくお届けします。Web3業界やゲーム開発に興味がある方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
取締役CTO 山田憲晋(やまだ・けんしん)
1995年、NECに入社しネットワーク関連の研究開発に従事。2008年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。モバゲータウンやソーシャルゲーム『怪盗ロワイヤル』の開発に携わり、2010年分析組織を立ち上げる。2022年4月より、データ本部・本部長(GEX:グループエグゼクティブ)として、DeNA内のAI活用、分析業務全般を統括。2023年1月より株式会社Thirdverseへ参画。2023年5月、株式会社Mint Town取締役CTOに就任。
Web3とは、Web上の価値の分散化
Web3のキーワードは「分散化」です。インターネットは1990年代に立ち上がり、2005年以降のSNS、スマートフォン等の普及をきっかけに、誰もが使うものとなりました。しかし、GAFAMに代表される巨大プラットフォーマーがWeb上の価値を独占する状態に。
そこで誕生したのがオーナーシップエコノミーです。ユーザー自身がデータを管理・活用する分散化の概念です。分散化を実現するコア技術として、ブロックチェーンが利用されます。
ブロックチェーンを取り巻くNFTや暗号資産(仮想通貨)、DeFi(分散型金融)なども分散化の概念にもとづいています。たとえばNFTは、ユーザーが直接保有できるデジタルデータです。Web3は巨大プラットフォーマーの独占に対し、Web上の価値を分散化して取り戻す思想なのです。
Web3ゲームとは「稼げるゲーム」という新体験
Web3ゲームとは、ゲームにブロックチェーン技術を掛け合わせたものです。ゲーム上で暗号資産やNFTを獲得し、マーケットプレイスで売買すれば稼ぐことができます。ブロックチェーンゲームやNFTゲーム、GameFiなどと呼ばれることもあります。
Web3ゲームの歴史は、2017年にリリースされた『CryptoKitties(クリプト・キティーズ)』から始まりました。そこから2021年に『Axie Infinity』、2022年に『STEPN』とDAU(Daily Active User)が100万人を超える作品の誕生により、大きな盛り上がりを見せました。
Web3ゲーム業界の課題を明確化するため、大ヒットから勢いを失った『Axie Infinity』『STEPN』について簡単に解説します。
『Axie Infinity』
『Axie Infinity』は2021年8月にDAUが100万人を突破、NFT総売上$40億を超えた大ヒットWeb3ゲームです。3体のAxieでパーティを組みPvE、PvPの対戦を楽しめます。
『Axie Infinity』がヒットした理由の1つは、Axieをレンタルできるスカラシップの仕組みです。保有するAxieをプレイヤーにレンタルすることで稼ぐという、新しいビジネスモデルが話題になりました。
しかし2021年8月をピークに成長が頭打ちとなり、トークン価格が下降トレンドに。22年2月にはPvEのプレイで得られる報酬を完全廃止したことで勢いを失いました。現在はeスポーツ化の方向で「誰でも稼げる」から「強い人が稼げる」というコンセプトへの転換を図っています。
『STEPN』
STEPNは「Move-to-Earn(歩いて稼ぐ)」を確立したWeb3ゲームです。日本でも地上波で取り上げられるほどの知名度となり、MAUは270万人にまで上りました。
しかし2022年5月の仮想通貨の大暴落を受け、GST(STEPN経済圏における通貨)価格が暴落。多数のユーザを獲得し大きな盛り上がりを見せたとしても継続的なユーザー流入がなければ経済圏を維持することはできない課題が浮き彫りとなりました。
現在はSTEPNで形成された健康習慣やコミュニティ活動などを楽しむユーザーが、一定数残っている状況です。
Web3ゲームにおけるポンジ構造の課題
『Axie Infinity』や『STEPN』から読み取れるWeb3ゲームの課題は、新規ユーザーの流入に依存したポンジ構造です。両作品とも稼げることが大ヒットの原動力となりました。
しかしポンジ構造であるために、成長の限界点でトークン価格が下落。ユーザーが一斉に離れてしまい、回復基調に戻せないという結果になりました。
つまり、永続的なトークノミクス、トークン価格の維持を実現することがWeb3ゲームの大きな課題といえます。その課題を打破するためThirdverse(現、Mint Town)はBLOCKSMITH&Co.と共同で、2023年1月に、Web3ゲーム『キャプテン翼RIVALS』をリリースしました。
『キャプテン翼RIVALS』は安定したトークノミクスを実現
『キャプテン翼RIVALS』は稼げるWeb3ゲームでありつつも、トークノミクスを安定運用することに成功している稀有なタイトルです。Rivalsモードで安定的に稼ぎつつ、PvPモードでハラハラドキドキするピースの奪い合いを楽しめます。
『キャプテン翼RIVALS』は、1日5分の短時間で継続的に遊んでもらうことを意識した設計となっています。ユーザーが飽きてゲーム自体が苦痛を伴う作業ゲームとなって、最終的に離脱することを防止しています。また、『キャプテン翼RIVALS』は有名IPを利用した初めてのWeb3ゲームとなりますが、IPの魅力によりNFTの保有ニーズが生まれます。実際、選手カードに漫画コマがついているNFTは通常のNFTよりも高値で取引されています。
ゲーム運営においては、週1〜2回の高頻度アップデートを継続的に実施。Mediumブログで、開発・アップデート情報などのProducer Letterを17通発信してきました。
『キャプテン翼RIVALS』が安定運用できるワケ
『キャプテン翼RIVALS』が安定運用を実現している理由は4つあります。
1つめは、キャラクターを1体購入するだけでは永久的に稼ぎ続けられないリフレッシュという仕組みです。『Axie Infinity』や『STEPNは』、1度購入したメインキャラクターで永続的に稼げる仕組みでした。しかし、『キャプテン翼RIVALS』は、1選手のみで稼ぎ続けることはできず、複数選手を育成しながら稼ぐ必要があります。
2つめは、STEPNとも類似する部分ですが、選手を増やすほど稼ぎが増えるので、稼げると感じたユーザーが選手数を増やしたくなる点です。アクティブユーザーの約3割が9体以上の選手NFTを保有しています。
3つめは、トークンの消費を促すゲームサイクルです。PvEのRivalsモードでトークンを稼ぎ、PvPモードでトークンを消費してピースのコンプリートを目指す。報酬のガチャを引いて、選手NFTや各種アイテムを取得して楽しむという流れが確立されています。
4つめは、トークン価格を維持するメカニズム「UTTバランサー」です。初期はユーザーの投資が集まり、トークン価格が上がります。そこでトークンを売ることで、価格高騰を抑制します。安定期にはトークン価格を維持するための買い支えを実施。これにより長期的なトークン価格の安定を実現しています。
半年間の運用で見えた学びと課題
半年間の運用の結果、『キャプテン翼RIVALS』はトークン価格を維持し『Axie Infinity』や『STEPN』を超える、トークノミクスの長期維持に成功しました。
半年間の実運用を通して得た学びが2つあります。
1つめはDiscord上でのユーザー間の活発な議論通して多くのフィードバックが得られること。その期待に応えるために高速な改善アップデートサイクルの重要という点です。
2つめは海外ユーザーに比べて、国内ユーザーのWeb3ゲームのリテラシーが非常に高いことです。コミュニティ内で「もっと稼げるように報酬を増やして欲しい」という発言が見られた際には「トークン価格の維持にマイナスになるから良い施策ではない」という声が自発的にユーザから上がります。これはユーザーも運営と一緒にサービスの長期運用を実現しようとしてくれていることを意味しており、海外ユーザ中心のチャネルでは見られない傾向です。
一方、課題も見えました。マスアダプションの難しさです。原因として、2021年の暗号資産暴落以降、市場の冬の時代が継続していることや、暗号資産やウォレットを扱うハードルの高さなどが挙げられます。またWeb3ゲームでは、初期参入しなければ損をしそうというユーザー心理も、新規ユーザー獲得の大きな障壁となっています。
Web3ゲーム市場の最新動向
『STEPN』の崩壊以降、大ヒットといえるWeb3ゲームは現れていません。ただ、日本国内では次なるヒットの可能性を秘めた、新しいトークノミクスに挑戦しているタイトルが増えています。
たとえばスクウェア・エニックスが開発した『資産性ミリオンアーサー』です。最大の特徴はLINEアカウントがあればゲームを始められること。ゲームで取得したNFTはLINE NFTマーケットで売り、LINE PAYにチャージして利用することが可能です。仮想通貨を知らないユーザに対して簡単にWeb3ゲームを通しての換金体験を提供していることは非常に価値が高いです。トークノミクスとしても、直接、ゲーム内コインを入手できない仕組みや、シーズン性でのゲーム内資産のリセットなどかなり工夫がされています。ただ、Free-to-playを基本とした設計であるため、稼ぐ目的のプレイヤーは物足りなく感じる可能性もあります。
また『MetaStrikers』は本田圭佑氏がジェネラルマネージャーに就任したことで話題になりました。ゲームは戦略検討の面白さに特化しています。PvPモードでは試合にエントリーして結果を確認するだけで、対戦時のゲームプレイや選択、目を引く演出など一切ありません。戦略面を試行錯誤して稼げることだけで十分であるためWeb3ゲーマーに好評でした。トークノミクスとしては、選手の引退サイクルによる継続投資が必要となっており、うまくゼロサムで設計されています。
このように日本のWeb3ゲーム業界は、継続的に多様なトークノミクスのチャレンジを施行錯誤している状況です。ただ、トークン価格を維持するだけでは、マスアダプションは叶いません。Free-to-playやアプリ化、クレカ決済などを含めて新規ユーザに訴求可能な新しいカタチのWeb3ゲームが求められています。
Web3ゲーム開発はOffchain型が主流
Web3ゲームはブロックチェーン技術を活用した新しいゲームです。しかし現状は、ゲーム部分をOffchainで実装するOffchain型が主流となっています。
Offchain型が主流な理由は、処理速度やユーザー確認の発生、手数料(ガス代)などによりUX体験を損なわないためです。
たとえば『Axie Infinity』では仮想通貨の購入や換金はOnchain、NFT購入やゲームプレイはOffchainと区別されています。今後、Layer2という技術の浸透により、Onchain型が主流となる可能性もあります。
Web3ゲームはブロックチェーンに詳しくなくても開発できる
Web3ゲームはブロックチェーンに詳しくないエンジニアでも開発可能です。Offchain型のWeb3ゲームが主流であるためゲーム開発ではブロックチェーン技術は不要です。Mint Townでは、ブロックチェーンのトランザクションは共通基盤として別途開発しているためゲーム開発そのものに集中することが可能です。
開発チームでは、試行錯誤しやすい少人数体制を重視しています。高頻度での改善要望に対して短期間で実装できるチームであることが求められます。短期開発においては、改善実装を一人でやり切れることが理想ではあるため、フルスタックエンジニアを中心にチーム組成することが理想です。
Web3ゲームの開発スタイルは、インディーズゲームの開発と似ています。「新規ゲームを1から作ることに喜びを感じる」「企画や設計と実装を同時に進めたい」という人にオススメです。大規模化したゲーム開発現場では味わえない魅力があります。
「稼げるゲーム」という時代を変える、新しいゲームパラダイムにワクワクする人にもWeb3ゲーム開発はオススメです。暗号資産やブロックチェーンなどの最新技術を取り入れたゲーム開発を、1から楽しむことができます。
Web3ゲームに挑戦したいエンジニアを積極採用中!
Web上の価値の分散化をキーワードに、Web3やブロックチェーンが誕生。Web3のマスアダプションを牽引する存在として、Web3ゲームが注目を集めています。これまでにDAU100万人を超える『Axie Infinity』や『STEPN』などが話題となりました。
しかし、ユーザー流入に依存したポンジ構造により、経済圏が崩壊。Web3ゲーム市場では安定的なトークノミクスの確立と、マスアダプションに向けた新しい取り組みが立ち上がり始めています。
そうした状況下で、Mint Townは『キャプテン翼RIVALS』を半年間運用し、安定的なトークノミクスを確立しました。今後はマスアダプションに向けて、アプリ化やFree-to-playなど、さまざまな可能性を模索していきます。
マスアダプションに際して、ブロックチェーンの高度な知識は不要です。大規模化したゲーム開発とは真逆の、1からゲームを作る醍醐味を味わいたい人が求められています。ぜひWeb3業界や新しいゲームパラダイムの立ち上げに興味があるエンジニア・クリエイターは、Mint Townまでお問い合わせください。