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なにをやっているのか

多様なエンジニアチームで機械学習等を横断的に議論。理論と実装の両面で世界をリードする技術開発を推進。
機械と生体脳の接続イメージ (渡辺正峰 「脳の意識 機械の意識」 中央公論新社[1]より)
「意識を持つ社会」と、その先の「意識のアップロード」へ    当社は、脳神経科学と機械学習(生成モデル)に関する長年の研究に基づき、短期では「意識を持つ社会」の構築を、中長期では「人間の意識をアップロードすること」を目指す大学発スタートアップ です。 【意識を持つ社会とは】  人間は、皮膚などの感覚器から得た身体の異常の情報が、脳に集約されることで「痛み」として意識に昇ります。それと同様に「意識を持つ社会」とは、都市に張り巡らされたさまざまなセンサー群からの情報を、通信網を介してサイバー空間上のデジタルツインに集約することにより、異常などが発生したときにリアルタイムで検知するものです。当社では、サイバー世界と現実世界を高精度に同期させる仕組みである次世代型AI「MinDエンジン」を開発し、従来AIでは解くことが困難な課題の解決を目指して、大手各社と事業展開を行なっています。 【意識のアップロードとは】  人間の意識を機械に移植し、機械の中で生き続けることを言います。当社では、意識に関する以下の仮説をあげています(渡辺正峰氏 著「脳の意識 機械の意識」より)。 ・意識の源は、脳内の仮想現実を生み出す神経アルゴリズムであること (覚醒中は感覚入力により外界と仮想現実が同期する一方、睡眠中の夢では、仮想現実が感覚入力の縛りを受けない) ・上にあげた神経アルゴリズムを実装した機械には、ニュートラルな意識が宿る可能性があること ・ニュートラルな意識の宿った機械と人間の脳を接続することによって意識が一体化し、さらに記憶の転送を行うことにより、肉体的な死後にも個人の意識が生き続けること (一方の脳半球が脳梗塞等により欠損した後にも、もう一方の脳半球で変わらず生きている事に相当) 当社では、中長期的に「ヒトのデジタルツイン」にも拡大し、人間の意識をサイバー空間にアップロードすることを目指しています。

なぜやるのか

日本は少子高齢化・インフラ老朽化等を背景に、都市のトランスフォーメーション等の面で課題先進国である一方で、アナログ・デジタルセンサー技術に強い競争力を持ちます。さらに、CPU/GPUやセンサーの爆発的増加と技術的発展、データ量の増加、機械学習/深層学習の発展が近年目覚しく、それらを組み合わせることで、世界にリードしてデジタルツインを展開していけるポジションにいます。 当社デジタルツイン技術は、「従来AIが解けない課題への適用」「AR/VR等の次世代メディアへの応用」「都市のデジタル化」「産業のデジタル化」等幅広い領域への応用が可能であり、大手各社との協業を通じて、リーディングカンパニーになることを目指しています。 さらに、長期的にはデジタルツインをヒトにも拡大し、人間の意識をサイバー空間にアップロードすることを目指しています。意識のアップロードを実現することの最大の利点は、不老不死を望む人や、何らかの原因により生きたくても生きられなかった人に、自分が望むまでの間生き続けられるという、究極の選択肢が開かれることであり、人類の生き方が根本から変わる可能性を秘めています。

どうやっているのか

当社では、「意識を持つ社会」および「意識のアップロード」に向けて、「脳内の仮想現実を生み出す神経アルゴリズム」のモデル化に取り組んでいます。 【仮想現実を生み出すとされる神経アルゴリズムとは】  計算論的神経科学(※)の文脈でMumfordや川人らは、仮想現実生成において低次の入力情報から高次の推定結果を得る「ボトムアップ処理」と、その逆の、高次から低次を生成する仕組みである「トップダウン処理」とが関わっていると提案しています。  「視覚」でいうと、あなたがコップに目を向けたときに、1)網膜に捉えた情報が脳の一次視覚野から高次視覚野に向け信号として伝わり、最終的に「コップである」ことを示すニューロン(群)が活動するフローがボトムアップ処理、2)逆に高次視覚野の「コップである」という情報から、コップが見える様(一次視覚野へ)を生成するフローをトップダウン処理に例えることができます。そして、1)と2)は共同して視覚を作り上げます。つまり、網膜が捉えている内容はまさにコップである(ボトムアップ)、コップであるならこう見えるはず(トップダウン)、という双方のすり合わせのようなものが起きて、最終的に人はそれをコップと見る、といった感じです。  トップダウン処理は、言わば外界の対象を仮想現実としてシミュレートするものであり、それにより対象への理解や知識がモデルに織り込まれることで、実世界で起こっていることの推定の精度が向上すると言われています。 (コップの大きさ・形・表面質感や材質などの事前知識が、精度を向上) ※計算論的神経科学: 「脳と同じ方法で」脳の機能と同じ機能が実現できるアルゴリズムを考える学問 脳は外部環境を予測する「予測符号化 (predictive coding) とは何か」(外部リンク) https://omedstu.jimdo.com/2018/08/17/%E4%BA%88%E6%B8%AC%E7%AC%A6%E5%8F%B7%E5%8C%96-predictive-coding-%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B/ 【トップダウン処理を高いレベルで実装】  MinDでは独自の技術により、上記のうちのトップダウン処理について高いレベルで実装をしています。これにより、ボトムアップ処理についても多くのデータが容易に手に入り、データに困ることなく研究開発が可能となっています。  また、富士通株式会社様・名古屋大学様などと提携を行い、研究成果で生まれた「仮想現実を生み出す神経アルゴリズム」のモデルを用いた次世代型AIの社会実装・運用に取り組んでいます。今後も様々な分野で企業様とパートナーを組み、実データを用いたモデルの研究開発・社会実装に取り組んでいきます。