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リサーチャー【矢口泰介】が考える「内発動機」のこれからの形

自分の改善をした結果論で、組織全体を改善することが、僕の内発動機。

矢口:今回のテーマが「内発動機」について、ですが、自分の動機は「自己改善」。提供できるスペシャリティとしては「サービスデザインによる、組織全体の改善」だと考えてます。

僕は自分の人生を生きやすくしていきたいという気持ちがあって。例えば何か課題にぶつかった時に、同じ失敗をしないための対策を立てたり、マインドハック的に自分の思考回路の改善をする時に喜びを感じるんです。

変な話、前より生きやすくなった事に喜びを感じるわけではなく、今よりも自分が生きやすくするために、新しいハックをしている瞬間が最高に楽しい。

学習組織をつくりあげ、皆でハックし続けたい。

矢口:僕はデザイン思考やサービスデザインを活用しながら、事業立ち上げや組織変革のコンサルティングを行うチームのマネジメントもしてるんですが、そのチームづくりにも、その感覚があります。

ロバート・キーガンの「発達志向型組織」という考えがありますが、皆で振り返りをしあって、課題に対して次への改善プランを立てたり、お互いにフィードバックし、学びを共有しあい、成長を感じる感覚がすごく好きです。もちろんうまくいくことばかりではないですが、試行錯誤をし続ける、その感覚を味わい続けることが、僕の原動力なんですよね。

だから自分には「未来にこうなりたい」という将来像があるわけではなく、今の自分を常にアップデートしつづけたい、という感覚が強いですね。

普通であれば「将来の自分の目標」に近づく事が「動機」として正しいとされていますけど、本当かなあとおもう感覚があって。それよりも、今の自分の「幸福な状態」を持続し続ける方が、結果的には成果も出せますし。満たされた人生になるのではないか?と僕は考えています。

サービスデザインで「場」全体をハックして当事者化の渦をつくりたい。

矢口:前職はデジタルエージェンシーに約7年いて、web開発やマーケティングプランを考え、充実した仕事ができていたのですが、次第に、もっと幅広いアウトプットや、本質的な課題に向けて、もっと深掘りして思考できる所に行きたい、と考えるようになりました。

DONGURIはマーケティングだけではなくて、経営企画や事業開発、組織人事コンサルティング、採用マーケティング、ブランディングの依頼もあり、そうしたアセット種類が多いことが、理想的な環境だと思いました。顧客の課題に対して、他にもっとよい手法があるはずなのに提案できない、という事が全くないので、自分にとっては理想的な環境です。

今、自分が一番楽しいのは、デザイン思考の派生系、サービスデザインです。サービスデザインは、商品だけではなく、それを提供する業務プロセスや、カスタマーサクセス、それを提供する人や組織など、そうした場所全体をサービス提供機能としてみなし、改善していく手法です。

デザインシンキングやUXは、ユーザーからの定性情報を起点に仮説を組み立てるのですが、サービスデザインではユーザーだけではなく、組織のステークホルダー全体からリサーチをしたり、その中の人間関係の把握や、空間位置関係、コミュニケーションプロセスなど、場をとりまくあらゆる定性情報を観察把握し、仮説の材料にします。

情報取得、仮説立案、仮説検証をとにかくたくさんすることが必要で、ハック好きの自分としては、とても楽しいです。


自分の動機を追い求めることで、結果的に組織の問題をハックする。

矢口:サービスデザインは場のあらゆる人を巻き込み、ファシリテーションし、共創関係にしていきます。意見や情報を出してもらい、その場でグラレコなども活用して、構造化し、結論に導いていきます。

最近の仕事で、介護や保育施設の展開をされているケアパートナーさんで、現場の方たちを巻き込んでサービスプロセスや指針について、ファシリテーション、議論の流れを構造化しながら、固めていきました。そのプロセスで進めたときの、関わってくれた人の腹落ち感というか、「自分ごと感」が凄かったんです。

まわりを巻き込みながら周囲の共感がおこり、自分も腹落ちしてハックの渦をつくりあげ、みなが当事者化をされながら改善し続けてく感覚があって。それが最高なんですよね。最終的にはその成果物として、CIをつくったり、業務プロセス化したり、具体的なマーケティング施策に落としこんだりする予定です。

組織内に入り込んで、ありとあらゆる人や部署をまきこみ改善し続けた結果、組織が一つのサービスとして繋がるのが、「場所全体のプロトタイプ」ともいえますし、「自分自身のプロトタイプ」と見立てて、自分が腹落ちするためのハックを追い求めると、その結果、顧客の組織も改善できる。

つまり、自分は自分の動機を追い求めているだけなんですが、結果的に組織内にあった問題が解決でき、人の役にも立てる、というのが、自分のない発動機にも合っていて、面白いですね。

みなの内発動機と幸福感を追求する、自己発達コミュニティを築きたい。

矢口:前述したように、僕はコンサルティングチームのマネジメントもしています。そのチームづくりにも、「サービスデザイン」の感覚があります。つまり、自分も含めたメンバーの内発動機をリサーチして、仮説を立て、その動機が叶えられるような場を、プロトタイプとして作り続けている、という感覚です。

みなが内的動機や自分の幸福を追い求めてるだけなのに、結果的にビジネス成果もあげられる。そんな自己発達型のコミュニティにしたいんですよね。

先日、チームのビジョン作りをしたのですが、そのリサーチの中で、DONGURIのコンサルティングチームは、「自分が本当に没頭・熱中する瞬間を追い求めていきたい」という方向の動機を持った人たちの集まりだということがわかりました。

それならば、そういう喜びを感じる瞬間を、一人ひとりがそれぞれのプロセスを通じて、追求できるようなコミュニティにしたい。そこで、取り組みや情報の共有を積極的に行ったり、仕組みを整えるなど、各自が、自分の好きなプロセスを追求しながら、自己発達していけるようなコミュニティを築きたいと思っています。

僕にとっては社内の取り組みもクライアントとの取り組みも、プロセスとしては等しく自分の動機を追い求めることにつながっているんですよね。僕としてはただ単に、「自分の幸福感」を追い求めてるだけなんですけど、それで周りに喜んでもらえる体験をできるのは。とても満たされるなと思います。

矢口泰介 DONGURI リサーチャー
@yatomiccafe

デジタルエージェンシーTAMで7年間マーケター/ディレクターを行う。その後DONGURIにジョインしてからは、マーケティング知見を基軸にしながら。サービスデザイン/UXデザイン/ファシリテーションを武器に、事業開発や組織変革プロジェクトのリーダーを務める。

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