深部体温のこれまでと、これから
新型コロナウィルスの影響で、日常的に体温関連の記事をよく目にするようになりましたが、体温を軸とする事2種類の温度「深部体温」「皮膚温度」業を展開するMEDITAだからこそ、今回は「体温の種類」について注目してみたいと思います。
2種類の温度「深部体温」「皮膚温度」
私たちは2種類の温度を持っています。それは「深部体温」と「皮膚温度」です。
深部体温という言葉を聞いたことがある人は、昨今話題の「睡眠負債」や「質の良い睡眠」など、睡眠に関し何かしら調べたことがあるのかもしれません。なぜなら睡眠と深部体温は大変関係性が深く、人が眠りに入る際に深部体温が下がる特徴があるからです。この深部体温を下げる手助けをするセンサーやアプリなど、スリープテック市場が大変活況で、ニュースなどでも多々取り上げられています。しかしながらこの深部体温こそが連続的な計測が難しいものでした。
深部体温と皮膚温度の違い
深部体温は身体の中心部分(脳や内臓)の温度を指し、お尻の穴から温度プローブを挿入して、直腸の温度を直接測る方法がスタンダートとされています。直腸は外側からは常に閉じた状態なので、外的環境の影響を受けにくいという特徴があります。
一方、皮膚温度は、日頃私たちが検温で測っている額、腋窩(脇の下)、耳の中、舌下などの箇所で計測した皮膚の表面の温度を指します。測定箇所が外的環境にさらされやすく、汗や気温、室温などの影響を受けやすいという特徴があります。このように、皮膚温度は深部体温よりも手軽に測ることができる一方で、外的環境の影響を受けやすいために、自分の正しい体温を把握しにくいという問題があります。
直腸温度と脇の下で計測した温度の差に関しては「筋や皮膚は熱の生産量が少ないうえ、熱の放散が簡単に行えるため、比較的低い温度を示します。このため、直腸温と腋窩温は1℃近くの差があります。」1) という専門家の意見もあります。
正しい平熱とはなにか
日本人の脇の下で測定した平均値は、36.89±0.34℃(10~50歳の男女3,094名、検温時間30分)とされており、36.6~37.2℃の間に入る人が、全体の概ね68%を占めています 2) 。つまり、37℃くらいの平熱を持つ人も含まれるということになりますが、おそらく誰しも測定時に37℃を超えてしまうと「熱があるのでは?」と慌ててしまいがちです。ただ、人によって平熱にはそもそも差があるので、私たちが思っている発熱の基準も正しいとは言い難いところです。そこで、やはり正確な深部体温を連続で計測し、それを元に個人の平熱を導き出すことが身体の異常をより正確に知るために重要となります。
ウェアラブルセンサーの可能性
上記に深部体温の計測方法を示したように、直腸に温度プローブを挿したまま連続的に計測することは身体的、精神的な負担が大きいため、日常生活を送りながらの深部体温の計測はこれまで実現することができませんでした。しかし私たちHERBIOは、おへその周辺温度と直腸温度の相関性に着目し、ウェアラブルセンサーを開発中です。現在はメーカーや研究のために有償での貸与や、製薬会社の治験などに使用されています。
深部体温を新しい健康指標のスタンダードへ
今後は製薬会社における治験や、大学との共同研究など、BtoBでのウェアラブルセンサーの使用が中心となりますが、将来的には一般のユーザーの方にご利用いただき、深部体温が新しい健康指標となることを目指していきます。