これまで4回にわたり、『Human-centric AI Lab』の新規事業を紹介してきました。
過去の記事はコチラ ➾
- 新部署『Human-centric AI Lab』紹介 #1:設立の背景と展望
- 新部署『Human-centric AI Lab』紹介 #2:室長のキャリアストーリーと人物像
- 新部署『Human-centric AI Lab』紹介 #3:スクーリング事業の紹介
- 新部署『Human-centric AI Lab』紹介 #4:フルコース講座
前回の記事では、「E資格」合格を目指す「フルコース講座」の詳細を説明しました。今回は「カスタマイズ講座」に焦点をあて、その内容や特徴を詳しく紹介していきます。
- 新部署『Human-centric AI Lab』紹介 #5:カスタマイズ講座 ⇚ 今回です!
- 新部署『Human-centric AI Lab』紹介 #6:生成AIと機械学習入門講座
Q : 木村さん、よろしくお願いします!
木村:はい、よろしくお願いします。
Q:「カスタマイズ講座」はどのような内容ですか?
木村:「カスタマイズ講座」は「フルコース講座」の講義部分を切り出した講座になります。「フルコース講座」はE資格合格を目指しているため内容が膨大すぎるという弱点があります。そのため、例えば画像処理全般に対する深い理解が欲しいという方には適しておりません(強化学習まで学習したい訳ではないなど)。画像処理、自然言語処理、強化学習の全てが業務に必要という人は、あまりいないと思います。そこで、興味のある項目だけを選んで自分だけの講座を編成できるのが「カスタマイズ講座」になります。
Q : なるほど。確かに、「フルコース講座」は長いですからね。「E資格」は必要ないけれど、深層学習を利用した画像処理や自然言語処理を学びたいという人もいますよね。
木村:はい。E資格は範囲が広すぎます。
Q : とはいえ、画像処理を業務で行っている人が自然言語処理を学ぶ必要があるのでしょうか?
木村:それが、あるんですよ。深層学習というのは元々画像処理がメインでした。しかし、最近では自然言語処理の手法が強力になったせいで、逆輸入(黒船現象)が起こっています。どういうことかというと、画像処理なのに自然言語処理のアルゴリズムを利用していることがあるということです。だから、画像処理を仕事にしている人も、自然言語処理を学ぶ理由は十分あります。
Q : そうなんですね。でも、そんなに違うんですか?
木村:大分、違いますね。是非、体験してみてください!
また、深層学習を業務で利用しているけれど、もう一段階スキルアップしたいという方に向けた講座としても利用できます。
Q : 内容は、E資格合格を目的とした「フルコース講座」と同じなんですよね?それで大丈夫なのですか?
木村:大丈夫です。そこが「E資格」の懐の深さだと思います。技術の本質というのは共通していることが多く、基礎段階では結局同じことを学びます。「カスタマイズ講座」を学ぶことで、E資格の本来の目的である「深層学習の理論的な側面を理解」することができるようになると考えています。
Q : どういう方が受講の対象になりますか?
木村:実際に現場で実装コードを書いているけれど、どうやって動いているのか、実はよく分かっていないという方などが対象です。
Q : そういうことありますよね。事業は利益をあげてなんぼ、すでにあるコードを自分で書くな!っていうやつですね。
木村:そうなんですよ。システムというのは動いてさえいれば誰も文句を言いませんから。なので、新しい自社製品を開発したいなどの理由から、改めて深層学習や生成AIの理論的な背景を知りたいという方なども対象になります。また、これから自然言語処理チームを社内で立ち上げたから、どこかできちんと学んでみたい!という方も歓迎しております。
Q:価格を教えて下さい!
木村:講義は以下の二種類を用意しており、価格が異なります。
- 専門講義(上図の青背景):E資格の試験範囲を全て網羅
- 基礎講義(上図の白背景): 前提知識とE資格の間を埋める内容
専門講義(上図の青背景)は各回2時間ほどの講義で、一回3万円から販売しております。
基礎講義(上図の白背景)は各回2時間ほどの講義で、一回2万円から販売しております。
Q:お薦めの組み合わせはありますか?
木村:はい、ございます。3つほど紹介させてください。
(1) 生成AIの仕組みを理解したい!
木村:まずは「生成AI」の仕組みになります。言語系の生成AIではChatGPTなどが有名ですが、画像を生成するAIも多く利用されています。理論的な基礎だけを学ぶのであれば、「機械学習」と「深層学習の仕組み」の組み合わせがお勧めです。これに、「生成AI」の講義を追加すると画像生成のアルゴリズムを学ぶことが可能になります。また、自然言語系の生成AIに興味がある場合は「深層学習の仕組み」と「自然言語処理」の受講をお勧めします。大規模言語モデルでは、もはや関数として扱われているTransformerや、その基礎となったRNNなどのアルゴリズムを学ぶことができます。
Q:途中から謎の言葉がでてきて、ついていけないのですが・・
木村:その場合は基礎講義も含めた「機械学習」と「深層学習の仕組み」でしっかり基礎固めすることをお薦めします。この二つの講義が全ての根幹になります。
(2) 画像処理の仕組みを理解したい!
木村:続いては「画像処理」になります。最低限必要な内容は「深層学習の仕組み」になります。ここでは、深層学習における様々な理論的背景(最適化やモデルの作り方など)を学ぶことができます。いわゆる画像モデルの基本であるCNNも基礎から学ぶことができます。
さらに、「画像処理」の講義を受講することでCNNを発展させたモデルを学び、写真にうつる複数人物の同定や動画でのリアルタイム物体検知なども学習することが可能になります。追加で「深層学習の応用」を受講すると、軽量化手法(いわゆるIoT)や、既存のモデルを借りて新しい課題に適用する転移学習なども理解できるようになります。CNNは知ってるから大丈夫という方であれば、「画像処理」だけを受講するということも可能です。
Q:ついていけないときは「機械学習」と「深層学習の仕組み」を選べばいいんですよね・・
木村:そうして頂けると助かります。別の講座として「生成AIと機械学習入門講座」(次回のStoryで紹介予定)も用意してあります。前提知識なく生成AIの考え方を学ぶことができますので、そちらも参考にして頂けると幸いです。
(3) 自然言語処理の仕組みを理解したい!
木村:最後は「自然言語処理」になります。イベントや講習会などに参加すると、猫も杓子もLLM (Large Language Model:大規模言語モデル)となっているように思います。機械学習や深層学習を知っている人だけでなく、知らない人も含めて興味を持たれているのが昨今の自然言語処理ではないかと思います。
この内容を理解するために必要な講座は、当然「自然言語処理」なのですが、その前提として、「応用数学」の一部と「深層学習の仕組み」が必要になります。これらの講座を通して、Transformerやその基礎となったRNNなどのアルゴリズムを学ぶことができます。これを飛ばして自然言語処理を理解することは難しいので、併せて受講して頂くか、同じ内容を自分で学んでから「自然言語処理」を受講してもらえると助かります。
Q:なるほど。ChatGPTなどは生成AIだと聞きましたが、必要ないのでしょうか?
木村:本講座での「生成AI」は画像生成が主な内容になります。ChatGPTなどは「自然言語処理入門」にて解説いたします。
Q:わかりました!ありがとうございます。
Q:講義の日程を教えて下い。
木村:講義は、平日の夜と土曜日に開催します。
- 平日:週2回程度
- 土曜日:午前1回、午後最大2回(月に一回は休み)
講義の内容と順番は事前に決めてありますが、いつ、どの講義を実施するかの日程は皆さまの希望を踏まえた上で決定します。
Q:カスタマイズ講座からE資格の受験資格を取得できますか?
木村:可能です。「フルコース講座」においてE資格の受験資格を取得するには、以下の3項目を修了する必要があります。「カスタマイズ講座」でも同様に、受講した講義以外を、追加で受講して頂き、プログラム演習と認定試験に合格すれば受験資格を取得できます。
- 1. 講義への参加
- 2. プログラム演習課題に合格
- 3. 認定試験に合格
Q:カスタマイズ講座を通して何が得られますか?
木村:逆説的な話ですが、自分は全然分かっていなかったんだな、ということに気づけると思います。「既存のソフトやアプリを使えること」と「新しい製品を開発できること」にはとてつもない断絶があります。最近は、生成AIが原稿だけでなくプログラムまで書いてくれるようになりましたが、分かっていなければそれを修正することも難しいと思います。また、生成AIによって仕事が奪われる未来、働かなくてよくなる未来の到来が言われていますが、どちらも、簡単な作業が出来ることに需要がなくなる未来の到来を意味しています。「不思議の国のアリス」にでてくる赤の女王のように「同じ場所に留まるためには、力の限り走らなければならない」という時代に私たちは生きています。常にアップデートする必要があるわけです。
Q:大変ですよね。
木村:すでに社会人として忙しく働いている方の場合、学習するための時間を確保するのはなかなか難しいと思います。そこで、特定の専門スキルを身につけることができる「カスタマイズ講座」を用意しました。皆さまとともに成長していけるような、お互い切磋琢磨できるような講座を目指し、私自身も日々精進しております。皆様のお役に立つ機会を与えてもらえたら幸いです!
Q:本日もありがとうございました。
木村:こちらこそ、ありがとうございました。
ここまでご覧いただき、ありがとうございました!
今回は、「Human-centric AI Lab」で新しく始まるスクーリング事業のひとつ「カスタマイズ講座」の紹介をしていただきました。次回は入門編の講座を説明していこうと思いますので、どうぞお楽しみに!