TikTokといえば皆さんはまず先にどのような動画を思い浮かべますか?
ほとんどの人は、ダンス動画や音楽に合わせた動画などを思いつくと思います。
こちらの記事では、TikTokを視聴している395人にアンケートを取っており、「ダンス・音楽関連」ジャンルが52.7%で一位でした。二位が「料理・グルメ」ジャンルで48.4%と、この二つのジャンルが他のジャンルよりも視聴者層が多いことがわかりました。
また、「料理・グルメ」ジャンルの視聴者からは「文字だけではなく動画だとイメージがつき、チャレンジしやすい」との声が上がっており、TikTokは娯楽としての使用だけではなく、生活に役立つ情報を得るなど、情報収集のツールとしても重宝されているとも記載してあります。
■代表的な調理系TikToker
誰もが見たことある料理系TikToker。2020年の9月より投稿を開始しています。
ケンティーさんといえば、おかっぱな髪型とクリアフレームのまるメガネが特徴的です。
TikTokでは毎日投稿を行っており、無言で容姿からは想像できないワイルドな手つきで調理し、それを食べる動画を投稿しています。
TikTokLiveでは、おっとりとした口調で喋るケンティーさんをみることができ、癒されます。
バヤシさんも、誰もが一度は見たことがある料理系TikTokerなのではないでしょうか。2023年2月28日にはフォロワー数が日本1位となりました。
黒の背景に木製の机でテンポよく調理をし、豪快に食べる姿が特徴的です。コメント欄には、国籍多様なコメントが寄せられており、他の国でも人気なのが一目見てわかります。
Youtubeチャンネルは、7月20日時点でチャンネル登録者数1520万人を超えており、長い尺の動画をメインに投稿しています。また、料理・咀嚼音のASMRを中心にVlogも投稿しています。
二つ星レストランで料理長をしていたという経歴を持つプロのシェフ。
基本的に手元がアップされていて、プロの包丁さばきを垣間見ることができます。ナレーションもシンプルでテンポよく、また料理中の具材の切れる音や油で炒める音など入っており、五感が刺激されます。動画自体も洗練されており、上品で見入ってしまいます。
Youtubeの方をメインとして活動していて、そちらは10分程度の動画になっています。TikTokよりも丁寧でナレーションにおいても料理の豆知識やユーモアを感じさせる話もしており、こちらも見逃せません。
・りーさ
「あんたたちぃ!」でお馴染みの女性クリエイター。お母さんのことを「マイクロミニマムマミーポコパンツ」、お父さんのことを「ダディーポコパンツ」と呼んでおり、ユーモアに富んでいることがわかります。
スマホで撮っているような親近感の湧く動画が特徴的です。
・ささみ
おつまみを主として作っている男性クリエイター。
動画の導入は、日常における疑問や、会社への不満や社会人あるあるなどから始まるため、動画に引き込まれやすく、動画自体は料理系TikTokerとしては珍しいバラエティ・コメディ要素があるのが特徴的です。
TikTokでは大まかに材料を紹介していますが、YouTubeやInstagramではより詳細に紹介しています。また、YouTubeは一つの動画3分〜10分と、長すぎず見やすいです。
■飲食系企業アカウントでの盛り上がり
普段は新メニュー・期間限定メニューの紹介やアレンジレシピの紹介やほっともっとに関するクイズの投稿をしています。公式感がなく、いい意味でラフなので見やすいのが売りです。流行りの音源や撮り方をたまに取り入れていたり、コメント欄においてもフランクにコメントを返しているのでとても親近感が湧きます。
唐揚げ弁当を開封し、「やっぱこれでしょ」と言う動画は7月20日時点で210万回再生されています。
商品紹介だけではなく、公式らしからぬおふざけ系の動画も投稿しており、視聴者からは人気を得ています。流行りの音源に合わせて動画を編集していたり、コメントへの返信する動画も投稿しており、視聴者との距離が近いのも好感が持てます。
Meghan TrainorのTitleの「Give me that title, title」という歌詞が「(ピザの)耳が茶色、茶色」に聞こえるというおもしろ動画は800万回再生されています。
・銀のさら
全くお寿司とは関係のないコメディ感満載のショートドラマの後に、全く関係のないところから銀のさらに繋げるキャッチコピーをナレーション(例えば「あなたが思っている以上に〇〇、そしてあなたが思っている以上に銀のさらはうまい。」「その〇〇はお米のおかげ、銀のさら」など)している動画が特徴的です。
基本的にコメントに返信する形で動画を投稿しています。また、きたコメントにも多くコメントを返していたりなど、好感が持てます。
動画自体は、動画ごとにナレーションを担当している人が違ったり、流行りの音源や撮り方に乗ったり、スタッフ同士の絡みが見れるのもあり、視聴者とも交流していることからとても親近感が湧いてきます。
■実店舗でも…!
都内に3店舗ある「焼鳥どん」
飲食店あるあるを毎日投稿しています。
2021年時点のインタビューでは、TikTokを始める前より1.5倍のお客様がご来店していると話しています。コロナ禍の休業中に始まった投稿ですが、TikTok・YouTube以外の集客に関するコンテンツは使用していないとのことで反響を呼んでいます。
オーナーは20歳の現役大学生。大阪府に店舗を構えています。
「僕は70日後にラーメン屋をオープンする大学生」と言うフレーズで動画を2022年3月から投稿し始めました。今は「70日後にラーメン屋をオープンした大学生」として動画を投稿しています。Instagramのフォロワーも3.9万人と全国の視聴者に応援されていて、オープンしてから1年弱ですが人気店です。
・ベビタピ
大阪アメ村と東京原宿に店舗を構えるタピオカ屋
東京原宿店のオーナーはインフルエンサーのしなこさんが務めています。
またしなこさんに限らず、店員は奇抜なファッションをしていたりインフルエンサーが多いです。そのため、店員さん自体にファンがついています。また、流行りに乗っている動画はもちろん、スポンジに見立てたケーキを紹介するなど、商品の見た目や奇抜な面をトレンドに上手く乗せており、フォロワーの獲得も多くなっています。
新宿駅徒歩1分にある超有名ホテルシェフ監修のネオ肉割烹のお店です。
思わず笑ってしまう居酒屋におけるあるあるコント動画を主として投稿しており、リニューアルオープン後からTikTokを投稿し始めましたが、こちらの記事によると売り上げは以前より200%アップしています。
・哉月
名古屋の栄にある居酒屋で、シュールなネタ動画がやみつきになり、ノンバーバルな動画が多く、英語の字幕もついているので海外でも人気があり視聴者も多いです。
https://www.tiktok.com/@yaduki1/video/7058415316732284161
↑の動画がバズったことにより多くのフォロワーを獲得しました。
■他の企業でも”食”をコンテンツに
宮城・仙台にある15種類の建設業許可をもつ総合建設業の株式会社リンクロノヴァのアカウント。
仕事をしている社長の目の前で部下が急にクオリティの高い調理をしだす動画が人気で、社長の「おいおいおいおい!」が有名で、部下にいじられながらも満更でもなさそうなので癖になります。
建設業の会社がSNSに力を入れているのはあまり見ることが無く、また本業とは関係のない料理系の動画を上げることでこの人はどんな会社の社長なのだろう、といった導入にも繋がっています。SNSがバズってから本業の売り上げは以前より二倍に増えたとのことです。
株式会社大丸松坂屋百貨店DX推進部のアカウント。
オフィスでこっそりお菓子を食べたり、お菓子を主軸としたコントに絡ませつつ紹介する動画が人気です。お菓子の分野への偏愛力や表現力が高い社員をSNSインフルエンサーとして起用し、会社ではなく個人のアカウントとしてSNSを設営。
特に大丸松坂屋百貨店に関連しているものに限らず、お菓子であればなんでも題材にしています。洋菓子メーカー・モロゾフの広告を自主制作し、実際にモロゾフカスタードプリン誕生60周年記念とのコラボに繋がっています。
■食のトレンドの中心としてのTikTok
このように今、TikTokは今や色のトレンドに大きな影響を与えています。プロのシェフからインフルエンサー、そして普通のユーザーまで、多くの人が食に関する投稿に注目していることがわかります。
「TikTok Awards Japan」と言われるその年にTikTokで活躍したクリエイターを讃える表彰式では、グルメを扱ったクリエイターの部門があります。そこにノミネートされた5名はそれぞれフォロワーが数十万人以上もいる人気クリエイターばかりで、グルメ系は今では人気ジャンルの一つです。
最近では、超十代とセブンイレブンがコラボして乳性飲料を発売するなど、Z世代のコミュニティと企業がコラボしていて、フード業界の中で様々な新しい動きが始まっているのがわかります。今後も、SNSを通して若者の間でフード業界がどのように盛り上がっていくのでしょうか。
TikTokは日を追うごとに、クリエイターとして参加するハードルが高くなっており、飽和状態なのが現状です。
さらに、これまでのTwitter、Instagram、Facebook、SnapchatといったSNSのように、いつまでTikTokが”旬”であり続けるのでしょうか。