【会長 細矢義明へインタビュー!vol.1】なぜプロダクション・SNSマーケ事業に目をつけたのか
――主力事業について
現在は、TikTokerをメインにプロダクション事業を展開しており、300名の所属クリエイターの総フォロワー数は4000万人を突破しました。弊社は、クリエイターがもつ影響力をクライアントサイドに投稿するだけでなく、ファンコミュニティを形成し、クリエイター自身の影響力によって経済圏を拡大していこうという思いで事業を行っています。
もうひとつは、TikTokを活用したマーケティング事業を行っており、さまざまな企業様からTikTokを活用したマーケティングの依頼を受けています。マーケティングの企画から動画の制作、運用など、すべて一貫して受け入れているのも弊社の特徴です。「ファンコミュニティの形成によってクリエイター自身の経済圏を拡大していこう」というのは、クリエイターの影響力を利用する形でマス(大衆)に消費されていくのく、各コミュニティごとの影響力を重視するという意味合いがあります。
たとえば、TikTokの世界ではとても有名な人であっても、TikTokの事業を行っている我々でも「知らない人だった」ということもたまにあるんです。近年は、コミュニティが縦により深くなっていっているな、と感じていて、マスではなくよりコアな特定のコミュニティに対するクリエイターの影響力が、ビジネスにおいても「熱量」を高めていっていると感じています。
クリエイターが「個」として消費されるのではなく、彼らが中心となって中長期的な人生をワクワクしていける環境にするために「一緒に事業をつくってやっていこう」という考えで弊社は事業を行っています。
弊社は、単純に「案件が来たから引き受ける」というだけでなく、「どのようなクリエイターの動画が、どのような商材に対してどのような反響があるのか」というところを分析してデータを蓄積しています。それをベースにして進めたいと考えているのが「クリエイター達での事業づくり」です。SNSを活用して、クリエイターの事業展開について設計していくということを軸に、さまざまな事業に挑戦しています。事務所やプロダクションにこだわるのではなく、一緒に事業をつくっていくパートナーとして事業を進めた方が、クリエイター自身や弊社のためになると考えています。
――TikTokerの人たちは、どのような事業をしているか
まずは、自分たちのファンとのコミュニケーションを通じて、コミュニティをしっかりとつくっていくというところからスタートしていくことが多いです。SNSが得意な人であれば、アイドルプロデュースを進めていく方もいますし、商品開発などもアクティブに行っています。「いけるな」と感じたところに関しては、リアル、デジタルともにさまざまなチャレンジをしていますね。たとえば、ダンスが得意な人であれば、ダンスを絡めた実店舗づくりからデジタルを絡ませていこうか、など、企画段階から今会社にあるリソースを使った事業開発に着手しています。
――TikTokを利用したマーケティング方法というのは、TikTokがはじまった頃から構想があったのでしょうか。
弊社は、3年半ほど前の2017年に事業をはじめました。当時は、YouTubeが一番見られている媒体でしたね。TikTokが出てきたときショート動画で、かつレコメンド(推薦)機能が優れていたので「これは伸びるな」と感じていましたが、当時はまだ若い人達がユーザーの中心でした。そのような中で、TikTokはリーチ力(幅広い人に対して情報や商品知識、サービスなどを知らせる力)が圧倒的に高いと感じたので、マスに受け入れられるようになればマーケットを取っていけるほど「購買要求」が変わってくると思ったのがきっかけで、現在の事業をスタートさせました。クリエイターを抱えて育成していくと実際に事業として伸びていったので「再現性をもってやっていけるな」と感じ、進めていった形です。
弊社は現在、医療クリニック事業も行っています。そちらの事業は今あるマーケットにトライしていくというよりも、これから実を結びそうなマーケットに対して潜在層を顕在化していくことに力を入れていますね。私自身が「潜在層を顕在化していく」という工程が好きなのも理由のひとつです。
もともとは、私はエンターテイメントグループのファウンダーという仕事に携わっていました。その経験から「メンズのカッコいいはつくれる」という考えをもっています。「カッコいいのつくり方は知らないけど、時間とお金はある」という人はたくさんいて、そのような人たちに「カッコいいはつくれるんだよ」ということをSNSを通して発信したいと考えていたところから、現在の事業と絡めていきました。
私自身は「体験したときの感動」をとても大切にしていて、それが人生にとってプラスの出来事であれば、多くの人たちに届けたときに必ず反響は継続してあると考えています。