scouty Co-Founderの二井です。scoutyでは四半期に一回、金曜日の午後を使ってオフサイトMTGを実施しています。主に社員同士の相互理解を深める内容であったり、scoutyの価値観について考える機会にしています。 今回、2018年4月の会ではバリュープロポジションマップについてのワークショップを私のファシリテーションで実施しました。
ワークショップ実施のきっかけ① 〜シリコンバレーの当たり前「デザイン思考」を持ち込む〜 私は2017年6月〜2018年2月に、経済産業省主催「始動 Next Innovator 2017( http://sido2017.com/ )」というプログラムに参加しました。講義やグループワーク、メンタリングなどが毎月1回、全6回開催されたのですが、その中のある1回のプログラムでGoodpatchさんがバリュープロポジションマップについての研修を実施してくれました。その時初めてユーザー中心に考える体型的なフレームワークに触れ、また別の機会に及川卓也さんにも製品開発についての講義を頂き、以降の製品開発に活かすことになりました。 また始動のシリコンバレープログラムに採択され、2週間に渡ってシリコンバレーでWiLの琴さん・梶原さんからデザイン思考についてのトレーニングを受け、SAPの坪田さんからはデザイン思考が根付いた組織の強さのエピソードを聞かせていただき、そこで得た知見を社内に持ち帰ることを決意しました。
ワークショップ実施のきっかけ② 〜共通言語の重要性〜 組織の人数が増えていくにつれて職種も増えていったため、共通言語が必要であると感じる機会が増えてきました。ちょっとした認識のズレが後々発覚して、大きな問題に発展した経験を皆さんお持ちではないでしょうか。ちなみにscoutyでは創業直後の段階から、エンジニア用語をビジネスサイドや管理部門を含めて使う空気感を意識的に作っています。 またこれまでscoutyでは、無意識にユーザー中心の議論が行われていましたが、メンバー増員を機に、改めて明文化する機会を設けたというわけです。
【テーマ】 〜バリュープロポジションキャンバス〜 今回の社内ワークショップは、scoutyに関わっていただいている及川卓也さんから受けた講義、こちらの本、始動 Next Innovator プログラムで学んだGoodpatchさんの研修をベースに約4時間実施しました。
組織内に価値を取り込むためには、価値提案をビジネスモデルに組み入れなければなりません。そのために利用できるのが、価値を想像し、実現し、取り込む方法を描いたビジネスモデルキャンバスです。顧客価値の想像方法を詳細に描いたバリュープロポジションキャンバスをビジネスモデルキャンバスに組み入れることで、2つのツールを完全に統合することが可能です (出典:Value Proposition Design)
バリュープロポジションキャンバスとは (出典:https://www.fusion.co.jp/column/2016/09/ValuePropositionCanvas/)
右側の丸には顧客が抱えている仕事(成し遂げたいこと)、ペイン(障害、リスク、コストが高い)、ゲイン(望む結果、恩恵、必要不可欠)をブレスト方式で書いていきます。アイデアを出し切ったタイミングで、そのペイン/ゲインの優先順位をつけていきます。
左側の四角には、製品・サービス(提供するもののリスト)、ペインリリーバー(ペインを取り除く具体的な方法)、ゲインクリエーター(ゲインを生み出す具体的な方法)を書きます。この際、顧客の仕事と製品・サービス、ペインとペインリリーバー、ゲインとゲインクリエーターが対応する形で書いていきます。
良いペインリリーバー/ゲインクリエーターは複数のゲインやペインを解決することもありますが、重要なのは複数のニーズを満たしていることではなく、顧客が最も重要だと思っているゲイン、最も致命的だと思っているペインに対して、答えられていることです。
【ワークショップ】 〜ユーザーが欲しいアプリケーションを作ろう〜 <ユーザーヒアリング> ワークショップでは、ユーザー(代表の島田)が一番欲しい旅行用モバイルアプリを作成するというワークを行いました。3つのチーム内で、それぞれペインとゲインを考えて、実際にユーザーにヒアリングを行います。また、このヒアリングはどのチームも聞いてよいことにしました。
誰とどこに旅行にいくのか、どんなペインが深刻なのか、ヒアリングを通して、ペルソナの頭の中にある旅行のイメージをクリアにしていきます。 同じようにゲインクリエーターとペインリリーバーのアイデアをチーム内で考えた後、その内容をユーザーに確認します。
<プロトタイピングをしよう> 次はチーム内でサービスの構想をしていきます。ここまでのヒアリングを通してどの程度までユーザーを深く知ることが出来ていたかがポイントです。 そして、出てきたサービスのプロトタイピングを行っていきます。今回は紙に手書きでワイヤーフレームを書いていきます。
<ユーザーにプレゼンをしよう> 出来たプロトタイプをチームごとにユーザーである島田にプレゼンをしていきます。
それぞれ旅行先レコメンドアプリ、旅行計画サポートアプリ、旅行の順路最適化アプリが誕生しプレゼンが行われました。
ユーザー役だったscouty代表の島田からのコメント 今回3つの内容が特に印象に残りました。 1つ目は、ヒアリングを言葉そのままに受け止めてはいけないということです。自分は「旅行の経路はアプリが勝手に選んでくれると嬉しい」と発言しましたが、実際に製品の形で提示された時、経路がすべて完全自動で選定されてしまうのは嬉しくなかったということに気づきました。「いい提案を復数もらって、自分が選定するのが一番良い」という事は、実際にアイディアが目に見える形になって始めて気が付きました。
2つ目は、プロダクトの軌道修正の重要性です。1つのチームが私の趣味が写真であることを知って、あるタイミングまでは、今回優勝したチームは写真共有アプリを作ろうとしていました。しかし、すでに自分が満足しているアプリを所有していることを知ったタイミングで、すぐに軌道修正をしてくれました。
3つ目は、強みにフォーカスすることです。今回は結果的に3チームとも似た機能を持つアプリをプレゼンしてくれました。それぞれいい部分があったのですが、ヒアリングから最も刺さったゲイン(旅行の順路計画を補助する機能)にフォーカスをしていたプロダクトが刺さりました。
普段は自分はプロダクトマネージャとしてヒアリングを行う側でしたが、徹底的にヒアリングをされる事、ヒアリングを元にプロトタイプが出来るという事は新しい経験でした。
ファシリテーターの感想 オフサイトMTG後に社員全員行ったアンケートの結果、満足度が非常に高く当初想定していた以上の成果となりました。私自身はワークショップの運営が初めてで、教材もほとんど自作したため、開催までは不安だったのですがうまくいきました。 今回のワークを通して下記のような成果を得られました。
・ユーザー中心の考え方を「知っている」レベルから「手を動かす」レベルまで社内のレベルが引き上がったこと ・デザイナー/PMでなくても、誰でもプロトタイピングが出来ること
同じ会社にいてもそれぞれのメンバーで見える世界は違っていて、より良い製品を作るためのアイデアを職種の壁を超えて出し合うことが大事です。社内の誰かがサービスを作るのではなく、社員一人一人がサービス作りの一端を担っていることを改めて認識する機会に出来たと思います。
scoutyでは、ビジネスサイドもプロダクト開発に密接に関わります。
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