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AIスピーカーに就活イベントのブース対応をさせてみた

先日、就活イベント「天下一合説」に出展してまいりました。就職活動中の方に企業が集まって自社の説明をする、いわゆる合同企業説明会です。

今回、この合同説明会で、初の試みでAIスピーカーにブース対応をさせてみました。

就活生がGoogle社のAIスピーカー「Google Home」に質問をすると、スピーカーが自動で回答します。「社員数は?」「服装は?」「出産や育児に関する制度は?」などの質問への回答はもちろん、「こんにちは」「悩みを聞いてくれますか?」などの雑談にも対応しています。

この出展を通じて感じたこと、わかったことなどをご紹介します。

なぜAIスピーカーにブース対応をさせてみたのか

なぜブース対応をわざわざAIスピーカーにさせたのかというと、プレスリリースにも書きましたが、AIスピーカーによる接客の可能性を追求するとともに、収集した質問を集計・分析し、今後の採用活動への活用できるかどうかを検討しようと思ったためです。

それと、これはプレスリリースに書かなかったのですが、実は無人ブースのスピーカーに話しかけようとするくらい探究心が強く、尖った方が来られるのではないかという考えもありました。

スピーカーに話しかけるのはハードルが高い?

こんな感じでブースを出していました。無人だけに目立たせないとと考えてまあまあ派手です。

全体的なブースの様子を言うと、まず第一に、あんまり人が来ませんでした。

新卒が大半のイベントだったというのもあるのかもしれません。みなさん真面目で、面白がって話しかけるなんて方は稀でした。どちらかというと中途採用の方が来てくださったのは、一度社会に出て度胸がついたり、社会ってあんがいこんなもんね、ってわかっているからかもしれませんね。

でも、気になってウロウロ何度も前を通る方もおられました。我慢できずにこちらから声をかけると、「気にはなったけど話しにくかった」とか「声をかけづらかった」という方も。

気になったらグイグイ来てください!

「スピーカーに話しかけるくらいの探究心」を期待してはいるものの、あまりに来ないと出展の意味もないので、ブースの装飾や配置をいろいろ変えて試してみました。

覗き込んだら見えるようにしてみたり、通路から目に入りやすい位置に変えてみたり。でもやっぱり人はなかなか来ずでした。

スピーカーに話しかけることが恥ずかしい、興味があっても話しかけにくい、なども日本人の文化としてあるように言われていますが、このようなデバイスが今後浸透していけばなんとかなるのでは、と見ています。例えば、イヤホンで電話するのも、少し前まではひとりで喋っているようで恥ずかしいというイメージがありましたが、今は街中でも見かけるようになりました。

実は、以前も一度スピーカーを展示会で使ってみたことがあったのですが、その際には「何をどう質問していいかわからない」という課題がありました。「質問してください」に対してどうすればいいのかオロオロする気持ちはよくわかります。

そこで、今回は質問を書いたくじ引きを用意して、質問が思いつかない方には引いたくじに書いてある内容を話してもらうという試みをしました。

しかし・・・そもそもブースに人があまり近寄ってこないという課題。。話しかけやすい雰囲気にすることは大事です。緊張した学生が多い就活イベントというのも難しいのかもしれません。

技術、実装面での課題

技術的な課題として大きかったのは、周囲のノイズを拾って反応してしまうことです。今回の場合、想定外の質問が来た場合には「言い方を変えていただけますか」「今のは少しわかりにくかったです」などの返答をするようにしていましたが、例えば近隣のブースの声が大きかったり、近くを通る方の話し声を拾ってしまい、勝手に「今のは少しわかりにくかったです」と連発してしまうこともありました。

<ノイズを拾ってしまった例。「Default Fallback Intent」は回答を導き出せなかった場合の返答>

質問にノイズが少し混在する、という程度なら、回答は可能なようです。

ログを見たところ、全体のログの6割程度がノイズに応答してしまった印象です。スピーカーに向けた質問なのかそうではないのか、を判別する方法が、マイクの認識と言語処理の両方で必要だと感じました。

あとは、スピーカーの会話のテンポに人がついていけないという印象もあります。アプリを立ち上げる、操作する、程度なら問題ないのかもしれませんが、今回の試みは「会話をさせる」です。

例えば、人間が何気なくやっている、何かを質問をして相手の返答を待つ、伝わりにくそうと判断して別の言い方にする、など判断しながら話すのはスピーカーには難しい部分です。

スピーカー自体が人のテンポに呼応するようになるとよいですが、難しい場合は利用するシーンを限定するなど運用側でも工夫が必要になりそうです。

とはいえ、うまく会話できていることもありました。今はまだ質問の仕方にかなり影響されるところも大きいです。

<うまく会話できている例>

会社概要よりは雰囲気や働き方に関するものが多め

質問に応えられずに聞き返したもの以外を、質問ごとに「募集内容関連」「雰囲気」「働き方」「会社概要関連」などに大きく分類し、グラフにしてみました。

応募資格や中途入社の割合、勤務時間などの「募集内容関連」が一番高いのですが、社風や派閥の有無などの「雰囲気」や服装や残業の多さなどの「働き方」に関する項目が住所や社員数などの「会社概要関連」に比べて多いのは面白いですね。自分が働く環境に大きな関心を持っていることがわかります。

(とはいえ、人が来なくて暇だったブーススタッフが話しかけた内容も入っているので正確ではないのですが)

興味が高い人もいる

ひと目で気になってブースに入ってくださる方もおられました。

その場で、会社の見学を希望される方もおられました。興味のある方はがんがん質問してくれます。質問内容もだいぶレアなものや核心に迫るものがくるので、スピーカーでは質問の程度によってブース裏の担当者にアラートが飛んでいくような機能もニーズがあるかもしれません。

まとめと今後

話しかけやすい雰囲気をどう作るか?の課題が大きかったと思います。スピーカーが小さくあまり目立たないので、目立つような装飾も必要です。ノイズの問題は、ノイズか否かを判定する方法を考えると同時に、利用シーンを考慮していくことも必要だと思いました。

ログから大きな傾向を見ることができたのは収穫でした。書いてもらうより簡単に応えられるアンケートなどにも応用できるかもしれません。

今後は女性の声と男性の声で変化を見たり、ブースの装飾や利用シーンを変えてみたり、応答のバリエーションを増やすなどしながら、最適な利用用途を検討していこうと思います。分析しやすいログのとり方も検討していきます。

ブースにお越しいただきました皆様、ありがとうございました。

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