取締役兼クリエイティブ事業部長 前島 直紀
【デザイン”の最前線を突き進む】
Q.まずは、事業領域からお聞かせください。
主にインフォグラフィックを製作し、お客様に提供させていただくのが、私たちの事業ドメインとなります。インフォグラフィックの役割は、お客様の情報を第三者目線で咀嚼して、わかりやすく表現することです。
私たちカーツメディアワークスは、我が国におけるインフォグラフィックスのリーディングカンパニーであり、それを事業として展開する唯一の法人として、これまでに蓄積してきた実践的な知見を、数多く保有しているという強みを持っています。
▼カーツメディアワークスが運営する『infogra.me(インフォグラミー)』。日本で初めて誕生したインフォグラフィックのコミュニケーションプラットフォーム。
私自身、まだインフォグラフィックという言葉が今ほど一般化していなかった頃から「情報をデザインする」の仕事に従事し、情報を単純に演出するだけではなく、丁寧な見せ方をしてわかりやすく伝える技術を習得しました。その後、カーツにジョインしてから、さらにオリジナリティを加え、事業化を進めてきたという経緯があります。現在、多くのお客様にご満足をいただき、その結果、リピートをいただきながら拡大している状況です。
最近は、それに加えてマーケティングダッシュボードのUXデザイン事業にも注力しています。お客様がお持ちのデータを可視化し、わかりやすく表現する『Tableau(タブロー)』というBIツールを用いたダッシュボードデザインの支援を開始しました。このように、私たちの事業部は、一般的なPR会社の範疇から逸脱した領域でチャレンジを続けています。
Q.インフォグラフィックを制作するうえでのこだわりは?
インフォグラフィック本来の価値は、「わかりにくい」「体系化できていない」という課題に対する解決にあります。そのために、“お客様目線”と“第三者目線”、万人が「わかりやすい」という基準が重要になります。
私たちがこれまで培ってきた知見や最新デザインのトレンドを踏まえ、情報を受け取る側にとって、その時代、その人に合わせて、いかに分かりやすく、いかに親切な作りにするのかを意識しています。
また、インフォグラフィックの本質は「伝えたいことを正確に、分かりやすく伝えるための手段」です。
情報をわかりやすく伝えることの重要性が見直され、ブランド戦略の1つとしてインフォグラフィックを用いた情報発信を実施するのは民間企業だけではなく、中央省庁や医療機関、学校など公的機関からご依頼をいただくケースが多くなっています。
これは、発信者は情報消費者に対して、より快適な情報体験を提供することが非常に重要視されるようになってきたことを示していると思います。
【データドリブンな経営×データビジュアライゼーション】
Q.「Tableau(タブロー)」とは、どういったツールなのでしょうか。
「Tableau(タブロー)」は、膨大なデータを素早く処理してグラフ化するなど、人が理解しやすい形でアウトプットするツールです。これは米国の企業が開発したものですが、日本法人のPRをお手伝いさせていただくことになったのがきっかけとなり、ビッグデータを使ったインフォグラフィックを「Tableau(タブロー)」を活用して作ってみたいと思いつきました。
▼BIツール『Tableau(タブロー)』
近年、データドリブンな経営やビジュアライゼーションという言葉に注目が集まってきていますが、そんな時代背景もあって、私たちが持つインフォグラフィックの技術を活用しながら、「Tableau(タブロー)」のダッシュボード構築を支援する事業に乗り出すことにしたのです。
Q.「Tableau(タブロー)」のダッシュボード構築支援はどのような価値をお客様に与えるものとお考えでしょうか。
数多くあるBIツールのなかで私達がTableauを使う理由がBIツールとしての優れた機能の他に「表現の幅の広さ」にあります。
ダッシュボードとは今の組織の状況を素早く理解して、次なる施策の判断を加速させる 役割があります。ただ素早く状況を理解するには、ダッシュボードはその環境に合わせて 構築する必要があり、そのためにはUXの概念(特にユーザビリティ)が必須となります。
Tableauの持つ幅の広い表現力は、その環境に応じたユーザビリティの設計が柔軟に 行えることでオーダーメイドに近いダッシュボードの構築を可能にします。 Tableauの優れた表現力と私達の情報に対するUX・UIデザインの知見から、 よりその環境・組織に適したダッシュボード構築が可能となり、状況の理解から 判断までの高速化に寄与していると考えています。
Q.これらの事業の魅力を教えてください。
現在、国内を見渡してみても、当社のようにデータを使ったデザインを専門でやっている企業が他にほとんど見当たりません。その希少性は魅力であると同時に大きな強みでもあると思っています。データリテラシーやデータベースの構築、統計学など学んできた人がデータを軸としたデザインに興味を持ち、その知見を活かしながら力を発揮できる場を提供できる企業は、日本国内では唯一と言っても過言ではないでしょう。
テクノロジーが急速に進化を遂げていくにつれて、単純なデータ処理など、どんどん自動化が進んでいくのは間違いありません。しかし、私たちが作っているUX、すなわち人がかかわるツールやコミュニケーションを促すツールについては、どんなにAIが進化しても、人の気持ちに完全にフィットするものが生み出せるとは到底思えません。それは人だからこそできるものであり、そういった意味で、私たちはコミュニケーションそのものをデザインしていると自負しています。
Q.今後の事業展開について、現在、前島さんがイメージしているものを教えてください。
「Tableau(タブロー)」もインフォグラフィックも、現在はリピーターに支えていただいきながら、ゆるやかに利用者を増やしている状況です。さらなる事業拡大のためには、新規顧客の獲得は必須ですが、世の中にはそこに課題があることにすら気づいていない、潜在的な顧客層が確実に存在するはずです。
データドリブンな経営をしたいけれども何が課題かわからない、整理できていないという方向けにLPを用意したり、セミナーを開くなどしながら、コツコツ認知を広めていければと思います。
【違った価値観や視点を持つ人と出会いたい 】
Q.そもそも、前島さんはどうしてカーツにジョインしたのでしょうか。
私は今から6年前に、“インフォグラフィックにしっかり取り組みたい”という思いから転職を決意。当時、正社員でインフォグラフィックのデザイナーを募集している会社は、カーツの他にはありませんでした。まだまだ、認知されていないどころか、インフォグラフィックが拡大するかどうかさえ未知数だった時代にも関わらず、先の見えない事業に先行投資をして募集をかけるのが、当社代表の村上が持つ先見性であり、懐の深さといえます。このように、どんどん新しいことにチャレンジしようという文化は、カーツという企業全体に浸透しています。だから、比較的面白い人間が集まっているのでしょう。
Q.この会社の魅力は?
カーツの魅力はずばり“人”です。村上の人柄を慕って集まってくるメンバーはみな、真面目で利他的、助け合いの精神を持っています。それは間違いなく、顧客満足度の向上にもつながっています。よくも悪くもベンチャーなので、いわば全員野球なのですよ。お客様のために全員が120%の力を注いで課題解決に向かっています。
メンバー同士が助け合うのはもちろん、お客様にも、“もっと役に立ちたい”“もっとやってあげたい”という気持ちが自然とうまっれる。そういった精神が根強く存在しています。それが「またカーツと仕事をしたい」と言ってくださるお客様が増えていく最大の理由であり、だからPR事業もクリエイティブ事業も単発で終わることなく、継続的に契約を更新いただけてるのだと自負しています。
お客様との密なコミュニケーションを通じて、潜在的ニーズやインサイトに気づき、それをサービスに落とし込んで横展開できることもありえますので、やはりお客様との信頼関係は非常に大きな力になると思っています。
もちろん、現時点のカーツを「パーフェクトな会社である」と言うつもりはありません。まだまだ、体制づくりや制度づくりは必要ですし、将来的にはIPOを目指しているので、事業の拡大と同時に社内環境の整備にも取り組んでいくつもりです。
Q.どのような人材に期待したいですか?
今後の成長戦略として、「ダイバーシティ」は外せないキーワードだと思っています。しかし、外国人、女性活躍など、よくありがちな「ダイバーシティ」ではなく、ある種、違った価値観や視点を持っている、多様なメンバーが集まることを期待しています。
組織の中に新しい知見がインプットされると、刺激を受けた組織は間違いなく成長していきます。多角的な意見や視点があることで、会社は良い意味で変わっていきながら、成長を続けるのだと思います。私たちのこれまでの価値観の枠内に存在していないようなタイプの方との出会いを楽しみにしています。