皆さんも数十年後には老人ホームに入る時が来るかもせしれません。
どんなにいまは元気でも、いつかは誰もが身体的な衰えを経験していきます。歩く、トイレにいくといった当たり前にできていた日常動作ができなくなってきます。いましている仕事もできなくなる時が来ます。 いままでの仕事や趣味での実績について知っている人も周りに減ってきます。 死別、疎遠などで家族や友人がまわりに減ってきます。
衰えや変化というのは「できないこと」「当たり前のことが当たり前でなくなくなったこと」を経験するという形で私たちの前に現れます。それも、大抵は突然です。
老人ホームに入りたいですか? そう聞かれると多くの方は「いいえ」と答えると思います。
では、すごくきれいな老人ホームで介護技術も優れている老人ホームであれば入りたいですか? それでも多くの人は「いいえ」と答えると思います。
なぜ、老人ホームに入りたくないのでしょう。
この問いにしっかり向き合うことがいまの私たちの使命だと考えています。
老人ホームはどんなに「安心・安全」でも、どんなに「きれいな場所」であっても、私たちにとってはまだまだ入りたくない場所です。それは、人として失いたくない一番大切なものがそれだけではまだ確保されない気がするからだと私たちは考えています。
人として一番大切なものは、「自分が存在する理由」。
私たちは、この世に生まれてから様々な形で「自分が存在する理由」を確認してきました。
時には家族や恋人からの「無償の愛」で。
時には「自分の能力」や社会の中での「役割」で。
本当にうれしい時はいつだって「自分が存在する理由」が確認できる時で、本当につらい時はそれが確認できなくなった時。
私たちが老人ホームに入りたいと思わないのは、そこに入ってしまうと「自分が存在する理由」を見失ってしまいそうだからだと思います。
現実にいまも多くの老人ホームでは一度入ると、悪い言い方をすれば管理や収容の対象とされてしまい、周りの人は自分のことを「血圧、病名、体の動き」などでしか見られなくなってしまう。玄関に鍵のかかった「安心・安全」な場所でずっと過ごすことになってしまう。
「まちづくり」という視点
私たちの活動の目的は人が高齢者と呼ばれる年になったとき、たとえ寝たきりになり意思疎通も満足にできないような状況になったとしても、それでも誰もが今に満足し、明日を迎えたいと思えるような環境を創ることだと考えています。老人ホームに入ったとしても、それはただじっと死を待つだけの「おまけ」の時間ではなく、今までのそれぞれの素晴らしい人生の物語の延長にあり、そこでもまた新しい物語を紡げるようにしたいのです。
そうすると高齢者の方に関わる仕事はいわゆる「介護」という枠組みの中だけで捉えてはいけない。 その方の新しい人生を後押しするためにはどうしても「地域社会とのつながり」は必要不可欠です。施設の中でずっといるだけではなく、その地域に出ていき、自分の役割を見つけ、人と交流する機会を確保する。私たちの仕事の範囲はそこまで含めて考える必要があります。地域の方を巻き込み、地域とともに歩んでいくという意味での「まちづくり」も私たちのすごく大切な仕事の一つです。
新しい福祉のあり方を創造していく
いまの介護あるいは広く福祉のあり方に関しての問題意識を強く感じ、実際に行動されている方が全国に徐々に増えてきました。そしてすでに素晴らしい実績も挙げられている方もいます。大変心強いことです。
「高齢者になること」がネガティブなことではなく、むしろいままでとは違う新しい物語を紡いでいく「楽しみなこと」に変わるように。
超少子高齢化社会。人類史上経験したことのない課題に私たちは直面しています。世界中の先進国にとって他山の火事ではないこの状況を世界中が注目しています。この困難な局面をどう乗り越え、どういう価値を作っていくか。いままでにない柔軟な発想で乗り越えていくことが求められています。
一緒に、新しい価値を作っていける方を募集しています。ご興味がある方はお気軽にお話しましょう。